彼方の近衛   作:瑠和

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見てろよ公式。俺は貴様らが用意したかなしずに立派に必然性を付与し、最大限活用して、意味のあるものにしてやったぞ。

BBBは当然二日目参戦です。スーツにザビーゼクター持ってます。


第六話 ミアの場合

「うぉぉぉぉ!」

 

「what!?」

 

それは、ある日の昼下がり。昼食を買って、中庭で食べようとしていたミアは中庭方面から響いてきた悲鳴に驚いて駆けてきた。

 

「みゃあ」

 

「な、なんだよお前はぁ!」

 

見ると、中庭で瑠和がはんぺんに昼飯を狙われ、押し倒されていた。状況を察したミアはため息をついてはんぺんを引きはがしてやる。

 

「ほら、はんぺん、君のlunchはこっちだろ」

 

ミアは引きはがしたはんぺんにいつもはんぺんに食べさせてる餌を差し出す。それを見た瑠和は起き上がり、助けてくれた少女を認識する。

 

「おお、君は確か……えっと、テイラーちゃん」

 

瑠和は記憶を呼び起こし、有名なテイラー家の一員だということだけは思い出した。しかし、名前はあってるはずなのにミアは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 

「ミアだよ。ラストネームで、おまけにちゃん付けとか気持ち悪いからやめてくれる?」

 

「でも年下だろ?俺は年下はそう呼んでるからさ」

 

そう言われてもミアが瑠和に初めて会ったのは瑠和が年齢ごとの呼び方を改め始めた時期だ。ちゃん付けで呼ばれることに違和感しか覚えなかった。

 

「君は初対面からミア呼びだった。ていうかなに子猫相手にビビってんだよみっともない」

 

「昼飯食べようとしたら急に襲い掛かられてな。あんまりにも急だったから後ろに倒れちまって」

 

「ああ、今日は君が食事の係だったからご飯ねだりに来たんだよ」

 

「ていうか、その猫なんなんだ?」

 

瑠和の言葉にミアは驚く。だが、そりゃそうかとすぐに納得した。聞いた話だが、はんぺんを学校の一員として迎え入れたのは去年の5月辺り。瑠和が記憶を失う前だ。

 

ミアは軽くいきさつを説明する。

 

「………へぇ。璃奈と宮下が…」

 

「はんぺんはよく君に懐いていたからね。璃奈とよく似てるし。同じ匂いもするんだろう」

 

「匂い…ねぇ」

 

はんぺんはご飯を食べ終わると瑠和の膝の上に乗って丸くなった。瑠和は小さくため息をついて

 

「………………ミアちゃんはこのはんぺん?が好きなのか?」

 

「ん、まぁね…………君と初めて会った時も、僕ははんぺんと遊んでる時だった。嵐珠の相手に疲れたみたいなこと言っててさ」

 

「ああ……」

 

嵐珠の性格からすればそんなことになるのもわからなくないなぁなどと思いながら瑠和は取ろうとしていた食事を再開した。

 

「………僕も食べよっと」

 

ミアも一緒になって昼食を始める。

 

「そういえば君、僕が上げたパーカー着てくれてないじゃないか」

 

「パーカー…………?そういえば部屋に見慣れないパーカーがあったな」

 

普段学校に来ていく制服をかけてあるクローゼットの中に、制服と、璃奈と同じパーカーと、見慣れない黒いパーカーがあることを瑠和は思い出した。

 

「それ僕があげたやつだよ。璃奈と同じパーカー着られてたら見分けがつきにくいから」

 

「そうか。それはごめん」

 

瑠和はそう言ってミアの頭に手を置く。

 

「子ども扱いやめろよ」

 

「おお、ごめんごめん。一応先輩だったな」

 

「一応ってなんだ一応って!」

 

記憶を失っているというのに、なんだかミアと話す時の瑠和は普段通りな気がした。

 

「君、記憶失ったって本当は嘘なんじゃないか?記憶失う前と全然変わらないんだけど」

 

「………ん~。確かに俺は人の顔色見ながら動いてるけど、年下、それも璃奈よりも下の子にびくびくするほどプじゃねぇよ」

 

「なんかムカつくなぁ………ま、君が君らしくいられるなら、僕は記憶なんてどうでもいいと思うけどね」

 

「…」

 

意外なことを言われ、瑠和は食事の手を止める。今まで、記憶を取り戻して欲しいということしか言われてこなかったからだ。

 

「ミアちゃ………ミアは俺の記憶はもどらなくてもいい派?」

 

「戻らなくてもいいっていうか、言ったところでどうにもならないだろ?記憶を失ったって、どこにいたって君は君だ。果林は君の記憶が戻らないといけないみたいなこと言ったけど……君が記憶を失ったのは記憶を失う前までの環境が良くなかったから……だろ?」

 

「ああ……」

 

「であれば無理に前の君に戻る必要はない………僕はそう思う。彼方たちには、少し酷だろうけど。戻らない可能性だって考慮しなきゃいけない」

 

「…………」

 

記憶が戻らなかったとき、どうするのが正解なんだろう。何度も考えた。そしてその答えは出ていない。答えなんて存在しているのかもわからない。

 

「勘違いしてほしくないんだけど、僕は何も君の記憶が戻らない方がいいって言ってるわけじゃない。ただ、無理はよくないって思ってるだけだ」

 

「………」

 

瑠和はにっと笑ってミアの頭に頭を置き、わしゃわしゃ撫で始めた。

 

「な、なんだよ!子ども扱いするなって言っただろ!!」

 

「ははっ」

 

「ははってなんだははって!」

 

ミアが抵抗するのも気にせず瑠和はミアを撫で続ける。なんだかんだ言いつつ、ミアなりに心配しているのを感じ取ったのだ。

 

 

ストーリー中に出す次元系の設定(ナタや不思議な石等)って必要だと思いますか?

  • これまで通りでいい
  • 減らしてほしい
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