小さいころから、誰かと繋がりたいって思い続けていた。お母さんやお父さん、お兄ちゃんは私にあまりかまってくれなくて、誰かと友達になろうとしても、私には勇気がなかった。いつの間にか動かし方を忘れた表情は誤解を招き、私にトラウマを、私の周りには溝を作り出した。
いつの間にか私は一人ぼっちになって、一人ぼっちでいることにも慣れていった。引っ越して転校してからもそれは変わらず、お兄ちゃんは親戚の家に行き、私はもっと一人になった。
「…」
ポケットから小さな石を取り出す。それを見つめると、昔の思い出が少しだけ私に勇気をくれる。だけど、そのもらえる勇気も小さくなってきている。
「りなりー、何それ」
「愛さん」
後ろから愛さんに話しかけられた。
「石?割れてるね」
愛さんが言う通り、私が持っている石は割れている。全体的に丸い形をしているけれども途中から直角になっている。直角になっている面もほかの面とは色が違うことから割れていることは見ればわかる。
「これ……お守り」
「ふーん……」
「変……だよね、石がお守りなんて」
「ううん、いいと思う。何がお守りかなんて人それぞれだと思うよ」
愛さんは、大体なんでも受け入れてくれる。心の優しい人だ。心が広いって言ってもいいと思う。だけど、そんな愛さんや同好会のみんなにいつまでもそれに甘えているわけにもいかないんだ。私が、変わるときが来てるんだ。
「さ、行こ!ゆうゆうたち待ってるよ!」
「うん」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
その日の夜だった。璃奈と瑠和が二人で夕食を食べていると璃奈は唐突に口を開く。
「お兄ちゃん」
「…なんだ?」
「私、来週ライブやる。ジョイポリスで」
瑠和は少し驚いた顔をしていたがすぐに笑顔になった。
「そうか!そうか………もうそんなに…」
「だから……だから…………………見に来てほしい」
何か言いたそうにして璃奈はその言葉を飲み込んだように見えた。しかし瑠和はそれについては言及せずにいた。
「ああ、絶対に行くよ。頑張れ、璃奈」
「…………うん」
―数日後―
瑠和はここ最近、ずいぶん怠惰な生活を送っていた。同好会と関わりを持たなくなってから瑠和はどうにもやる気を持てず、放課後は家に帰るでもなくヴィーナスフォートの喫茶店でだらけていた。
「はぁ…」
何をしても手付かずだった。やり切った達成感もなく、成し遂げきれなかった悔しさも感じない。何とも言えない状況だ。いったい自分に何が足りないのかわからなかったが、足りないということだけはわかっていた。
「あーあ……」
「あれぇ?瑠和先輩?」
「あ?」
声がした。そちらを見るとかすみが立っていた。
「かすみちゃん…」
「こんなところで何してるんですか?」
「かすみちゃんこそ…」
「もうすぐりな子がライブやるんですよ。そのためのお買い物中です。小休憩でここに来ました」
かすみはそのまま瑠和の座っているテーブルに相席で座る。知り合いではないわけではないので、別に相席されること自体は問題なかったが、何の用だと瑠和はかすみを訝しむ。
「………どうしたの?」
「あの………侑先輩や歩夢先輩から聞きました、色々と」
「そうか………璃奈には伝えてないだろうな。宮下にも話したが……宮下は変なこと言って無かったろうな?」
「少なくとも私の見てる場面では…。それに、瑠和先輩のことは、りな子がいないときに話してますし」
「まだ俺のこと話してるのか?」
「…」
―数日前―
璃奈たちが同好会に入ったばかりの頃、まだ同好会の部室に璃奈が来てない間に侑、歩夢、愛、せつ菜、果林の五人で瑠和について話していた。侑と歩夢と愛が瑠和に話を聞いたがいい返事はもらえなかった。
「愛さんも今日話してみたけど、戻ってくる気は無さそうだったよ。事情も事情だったし…」
「だから何度もいってるでしょ?あの子次第なんだって。せつ菜みたいにアイドルになるわけでも、誰かにとって必要って訳でもないんでしょ?」
「そうですね…これ以上は」
「やほー」
そこに少し遅れて彼方がやってきた。彼方はメンバーの顔を見て何の話をしていたのかを大体察する。
「瑠和君の家庭事情聞き出せたよ~」
「本当ですか!?」
「本人の希望で話せないけど………あんまり放っておいていい事情でもなさそうだね~。放っておくと、瑠和君のためにならないと思うから」
「…じゃあ愛さんいい提案あるよ!」
色々話し合われたが翌日の放課後に璃奈のライブの話が持ち込まれたためとりあえず瑠和の話は延期となった。
だが何をするかはかすみも聞かされており、変に刺激しないために瑠和にはなるべく関わらずそんなこんなで現在に至るわけだった。しかし、かすみとしても少し気になることがあったので話がしたかった。
「事情は聴いてますけど、かすみん的には瑠和先輩が本当は同好会にいたいんじゃないかって思うんです。だって昔の同好会にいたころすっごい楽しそうでしたよ?」
「璃奈のために同好会の様子を見ていただけだよ。俺自身に利益は………ない」
「………意地っ張りですねぇ…ていうか、なんでスクールアイドル同好会だったんです?」
「っ!」
一瞬、脳裏にとある人影が見え、瑠和の動きが止まる。
「………人前に出るってことは、それなりにコミュ力も人とのつながりも持つことになるだろう?だからだよ」
「えぇ~?それだけですかぁ~?」
(こんなところばかり無駄に鋭い…)
「それだけだ…………帰る」
瑠和は荷物を持って席を立つ。
「待ってください。まだかすみんの話終わってないです」
「俺から話すことはない」
瑠和はそのまま会計に向かった。かすみは小さくため息をついてパンにかじりつく。
「まったく、どっちかっていうと負けず嫌いな感じですね。それにしても………ちょっと面白い反応見れましたねぇ」
悪魔の角としっぽが生えたかすみはにやりと笑った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
それからさらに数日経った。金曜日になり翌日が璃奈のライブになる日になった。瑠和は昨日から璃奈が暗いのが気になってはいたが、あまり気にしかなかった。きっとライブが近づいてきて緊張しているだろうくらいにしか考えていなかった。
朝も気持ちを整理させたいから学校を休むと言われ、瑠和は特に気に留めることもなかった。
放課後、瑠和がいつも通りヴィーナスフォートのカフェでくつろいでいると、そこに息を切らした宮下愛が現れる。
「宮下」
愛は瑠和が気付くとすぐに瑠和の手を取った。
「来て」
「え?」
「いいから来て!」
愛は瑠和の手を引っ張り、無理やり立ち上がらさせそのまま引っ張っていく。
「ちょ!ちょっと待ておぉい!俺のパン!」
「パンはかすみんがいただくので問題なく!」
愛の影から現れたかすみが瑠和のパンをかっさらっていく。しばらく引きずられ、ヴィーナスフォートの広場にまで引きずられたところで瑠和は力ずくで愛の手を振り払った。
「離せ!なんなんだいきなり!」
「……今朝からりなりー学校来てないんだけど…何か知らない?」
「あ?ああ、なんか気持ちを整理したいとかどうとかって言ってたけど?ライブ前で緊張してるんだろ?」
「でも愛さんが昨日から連絡入れても全然返事もくれない。昨日だって急に帰っちゃったんだよ?」
瑠和はそれを聞いて驚く。確かに昨日帰りは早かったがそんなことがあったとは予想してなかった。
「……一緒に来てほしいんだ。璃奈ちゃんに話が聞きたくて…」
そこに侑が現れる。さらにその後ろから同好会のメンバーが現れた。瑠和は顔を反らし、その場を去ろうとした。
「じゃあお前らだけで行けよ。もう俺に手助けできることなんて…」
しかしその前にパンを完食したかすみが立ちはだかる。
「瑠和先輩、りな子がどんなスクールアイドル目指してるかわかりますか?」
そんなこと言われても瑠和にはわからない。いや、考えようとしなかった。
「…………そんなん知るかよ」
「言ってました!ファンのみんなと心を繋げたいって!今度こそ変わるんだって!」
「…」
「今度こそ変わってお兄ちゃんに心配かけさせない様にするんだって!!」
「!」
かすみは以前璃奈から練習中にそのことを聞いていた。誰かと繋がりたい、それが根底にあり、いつも身の回りの世話をしてもらっている兄を少しでも心配させない様にしたいと璃奈は言っていた。
「でも俺には…もう俺にできることなんか……でもなんで…どうしてそうやって…」
瑠和の頭の中はグチャグチャだった。璃奈は自分を恨むどころか自分を責めていた。そのことを知り、今度は罪悪感で押しつぶされそうだった。
「…ねぇ瑠和君、どうしてそんなに自分に自信を持たないの?」
瑠和に侑が語り掛ける。
「…俺が?」
「璃奈ちゃんに自信持てっていったのは瑠和君なんだよね?だったら自分で自分に少しは自信持とうよ。じゃないとせつ菜ちゃんに言ったこと自分で否定することになるよ?瑠和君にできることはあるよ」
「そんな…」
「………お兄ちゃんなら…その立場に自信持たないとダメだよ。いざってときに一番頼れる家族がそんなんじゃ璃奈ちゃんもなにもできないよ!?」
「…俺に………できること…」
それはもうわかっていた。唯一にして最大の璃奈への支援。だが、それをやることに瑠和はまだ覚悟が足りず、その場に座り込む。覚悟を決められない瑠和を見かねた愛が最後の一押しをした。
「前に愛さんが言ったこと覚えてる?逃げてるって、ちゃんと向き合えてないって。あたしがいいたかったのはさ、悪いと思ってるなら勝手に贖罪するんじゃなくて、ちゃんと謝って、それから支えてみようってことなんだよ。そうすれば、何がしてほしいのかもわかるし。愛さんが逃げてるって思ったのは正直に謝って責められることを恐れてるように見えたから」
「でもそれで俺の支援なんか必要ないって言われたら…俺は…」
「その時はその時だよ。もしそうなったら…まぁ、私たちが何とか間を取り持てるように頑張るよ」
瑠和の肩を愛が叩く。
「このままもし璃奈さんがライブができなかったら…その失敗がきっと大きなトラウマになるでしょうね…」
せつ菜が呟く。少し考え、瑠和は拳を握った。
「勇気を出す時なんじゃない?」
果林が言った。瑠和は膝を立てる。
「彼方ちゃんも璃奈ちゃんの頑張り無駄にしたくないなぁ~」
彼方の言葉を聞いて瑠和は立ちあがった。そして顔を上げて走り出した。
「瑠和君!?」
そのまま瑠和を追って同好会のメンバーが走り出す。瑠和はそのまま自宅に駆け込み、鍵を開けて璃奈の部屋の扉を開けた。
「!」
部屋の電気をつけると部屋の中にあった大きな段ボールが大きく動く。息を切らしに切らした瑠和がそれを見ると少し固まる。
(…………とにかく走ってきたが…何を話すかなんて決まってない………決めてない…。いや、そんなことは関係ない……やることは決まっている…っ!)
瑠和は璃奈が入っていると思われる段ボールに近づく。それと同時に少し遅れてきた同好会のメンバーが到着した。
「璃奈…」
「りなりー?」
「お兄ちゃん……?それと…愛さん?」
愛が璃奈のそばに寄ろうとしたとき、瑠和は手で「来るな」と制止させる。
「明日ライブなのに…練習に行ってないし…連絡にも出ないって聞いた。みんな心配して今来てくれた……」
「…ごめんなさい……せっかくみんな協力してくれて…お兄ちゃんにも手伝ってもらったのに…」
「…っ!」
「私が…勇気を持てなかったから…。お兄ちゃんが私を心配してくれたのに……。期待に応えられない自分が恥ずかしくて……。私は、何も変わってなかった。昔から、楽しいのに怒ってるって思われちゃったり、仲良くしたいのに、誰とも仲良くなれなかった…。今もクラスに友達はいないよ。全部私が悪いんだ」
そこまで話を聞いていた瑠和は急にその場に崩れ落ち璃奈に頭を下げた。
「違う…っ!違うんだ璃奈!!俺のせいなんだよ…お前がそんな風になったのは全部……全部俺のせいだ!」
瑠和は地面に頭をこすりつけ、涙ながらに謝罪をする。
「お兄ちゃん…?」
「るなりん…」
「お前だって寂しかったのに…俺は親が構ってくれないからって、お前を一人家に置いていた…。引越しの話が出た時に俺はお前のことを考えずに反発して、結果地元に俺だけ残ってお前はもっと一人になった!俺が悪いんだよ!!!もう…………嫌なんだ自分が……殺してほしいくらいに…。俺は俺が悪いって知りながら、浅ましく謝ろうともせず勝手にお前を手助けしたいって思って…勝手に行動して…また俺は自己満足に…自己中心的な無責任なクソ野郎になって同好会を影ながら支えることでお前への贖罪をしている気になっていた!俺ならどうなってもいい!殴りたければ気が済むまで殴ってくれ!!もう顔も見たくないってんならこの家を出る!転校だってする!ほしいものがあるならいつまでだってお前に貢ぐ!!!だから……だからどうか………あきらめないでほしい…どうか……華やかな人生を取り戻してほしい…」
「…」
部屋の中に、瑠和のすすり泣く声だけが響く。少しの沈黙の後、璃奈が小さくつぶやいた。
「悪くないよ…」
「え?」
「お兄ちゃんは悪くないよ……だってお兄ちゃんは…私に勇気をいっぱいくれたよ」
「でも…………それは……最近の話で」
「小さいころ…お兄ちゃんがくれたお守り…」
璃奈は段ボールを少し持ち上げて手を出した。その手には割れた石が持たれていた。
「あ、前に見たお守り」
「それは……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
それはまだ私たちが小学生だったころ。遊びに出かけたお兄ちゃんが帰ってきたとき、私に二つに割れた石の片割れをプレゼントしてくれた。
「璃奈!これやるよ!」
「これは?」
「きれいに割れてるだろ!公園で拾ったんだ」
「…ありがとう」
それはわたしにとって初めてお兄ちゃんからもらうプレゼントで、表情には出てなかったが内心とても喜んでいた。たとえそれが石ころだったとしても。
「あんまり璃奈と遊べてやってないしさ、俺がいなくて寂しいときはそれが俺だって思えばちょっとは寂しくないだろ?俺も片割れ持ってるし……離れていても心は一緒だ」
そう気さくに笑うお兄ちゃんに私は大きな勇気をもらった。それからそれを持って友達を作ろうと頑張ったけどどうしても頑張り切れなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「お兄ちゃんはこんなことっていうかもしれないけれど、これでも私はお兄ちゃんはすっごく大きな勇気をくれたんだ……だから頑張れなかった私にも責任があるんだ」
「……」
瑠和は鞄を掴み、外についているポケットを漁った。そこからは、割れた石のもう片割れが出てきた。そして璃奈の持っている石の割れた面と瑠和の石の割れた面同士を合わせる。割れた面同士はきれいに合わさり、一つの石になる。
「…お兄ちゃん…」
「そんなことも…あったっけな……」
そんな昔にもらった石の片割れを持っててくれたことに璃奈は驚いた。瑠和も昔はいいお兄ちゃんをできていた時期があった気がした。
「璃奈ちゃんは瑠和君のことをどう思っているの?」
侑が璃奈に尋ねる。
「嫌いだって…いなくなってほしいって思ってる?」
「そんなことない!昔はお兄ちゃんはお母さんやお父さんさんがいないときに家事とかしてて忙しかったの知ってるし…」
瑠和は外で遊んではいたが帰ってきた後家事はしっかりやっていた。家に親が帰ってこれればやっていたが、それができないときも多々あった。そんなとき瑠和は幼いながらも兄としてしっかりいろいろやっていたのだ。
瑠和はなにもしてやれなかったというが、璃奈の目から見れば十分なほど色々してもらっていたのだ。
「二人が何を思ってたのかは大まかにだけどわかった気がする…。二人ともさ、お互いの理解が足りてないだけなんだよ。きっと。だからお互いしっかり話し合おうよ。なにが必要なのか」
瑠和は璃奈が入っている段ボールを見つめる。
「俺は…俺は璃奈に求めることは幸せになってほしい…それだけだ」
それを伝えると、璃奈は石を持っている瑠和の手を石ごと握った。
「!」
「お兄ちゃん………もし、私のお願いを聞いてくれるなら…私のそばにいてほしい…。私のそばで、支えてほしい!」
「璃奈……本当にいいのか?お前の、そばにいて…」
「……うん、私はお兄ちゃんを恨んでなんかないよ」
「…………ありがとう…ありがとう…璃奈」
瑠和はその場にうずくまり、肩を震わせて泣いた。それを見かねた彼方が瑠和を宥める。
「泣き虫さんだねぇ…。そんなお兄ちゃんじゃ璃奈ちゃん不安になっちゃうよ?」
「だって……璃奈がそんな風に思ってくれてたなんて…思ってなくて………こんな話するのだって…初めてで…」
「そういえばそうだねぇ」
「愛さんも、りなりーのことをちゃんと聴くの初めてだったかも」
「あっ…」
璃奈はその言葉でなにかに気づく。
「もしかして…」
璃奈は段ボールを被ったまま立ち上がりカーテンを開けた。
「これだ…っ!」
ージョイポリスライブステージー
「わー、結構お客さんいるなぁ」
侑がステージ裏から客席を見て言った。その後ろで瑠和はステージ衣装をまとった璃奈に訪ねる。
「…大丈夫か?璃奈」
「……緊張してる。だけどきっと、大丈夫」
璃奈は石を取り出す。瑠和も石を取り出して断面を重ねた。ただお守りとしての石を眺めていたころよりずっと勇気をもらえた
「離れていても、心は一つ」
(お兄ちゃんがいる………同好会のみんながいてくれる…。そして、私がいる…)
「お兄ちゃん」
「ん」
「つけてくれる?」
そう言って璃奈はフェイスデバイスを瑠和に託す。瑠和は軽く微笑んでそれを受け取り、璃奈の頭に装着してやる。フェイスデバイスの電源が付き、そこにドッドの顔が表示された。そして、最初は無表情だったが笑顔が表示された。
「行ってきます」
普段とは少し違う明るめの声でそう言われ、瑠和は驚く。そんな声のテンションで話しかけられたのは初めてだったからだ。しかし、瑠和はすぐに笑い返す。
「ああ、行ってこい」
璃奈は立ち上がり、ステージに向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ライブは大成功に終わった。ライブ中に俺は泣いてしまい、終わってからもしばらく泣いていた。あの臆病で引っ込み思案だった瑠和があんなにも立派に人前で歌い、踊り、人々を熱狂させた。こんなに立派になっていたんて感慨深かった。
ライブの動画も親に送った。リモートで話したが反応は俺と似たような感じだった。今度両親ともちゃんと話してみたいと思う。
そして、俺は今虹ヶ咲スクールアイドル同好会の部室の前に来ていた。
「…」
意を決して扉を開く。
「ようこそ!虹ヶ咲スクールアイドル同好会へ!」
同好会のメンバーは俺を温かく迎えてくれた。その中から璃奈が前へ出てきた。
「お兄ちゃん………」
璃奈はノートを取り出すとそれを顔の前に持ってきた。
「これからよろしくお願いします!!」
続く