彼方の近衛   作:瑠和

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久しぶりの投稿です。
完結編はもう二章の分まで終わったし、投稿したいんだけど、どんな形で終わるのか予想もつかないからまだ投稿できない………。

というわけで、いくつか作品を作って投稿しようかと思います。作った全部を投稿できるかはわかりませんが、とりあえず

「天王寺瑠和が記憶を取り戻しても戻さなくても、虹ヶ咲メンバーの誰とも結ばれず未来へ進んだ場合の話」

の予告をあとがきの部分に置いておきます。ご興味ありましたら、読んでいただけたら幸いです。


第七話 歩夢の場合

「今日は私が一緒だね」

 

「ああ……って言っても、上原とはクラスメイトだったし、同好会に入ってからもそこまでかかわりはなかったんだろ?」

 

「………そうかもね。まぁ、今は彼方さんにあんまり会いたくないってのもあるから、少し助かる。」

 

そう言った瑠和の顔には少し疲れが見えた。歩夢はその顔に少し興味深そうな表情をする。

 

「………」

 

 

 

―上原家―

 

 

 

「で、なんで俺はお前の家に案内されたわけ?」

 

気付けば瑠和は上原宅に案内されていた。案内されているうちにもしやとは思っていたが予想通りになった。

 

「…………帰る」

 

「ええ!?ま、待ってよ!どうして!」

 

以前しずくの家に案内され、好きだのなんだの言われ、瑠和は困惑した。またそんなことがあるのではないかと警戒したのだ。しかも歩夢には現直という恋人までいる。

 

しずく以上に厄介なことになりかねない。

 

「女の子の家に行くのはもうこりごりだからだ」

 

「でも、お台場は他のみんなと大体回っちゃったでしょ?私ともあんまり思い出があるわけじゃないし、だったら新しい刺激はどうかなって!普段やらないこととかやってみると、案外記憶に刺激与えられるかなぁって!」

 

「………」

 

まぁ歩夢の言うことも一理あるかとは感じた瑠和は、しぶしぶ歩夢の家に上がることにした。隣は侑の家と聞いたが、侑は音楽科の課題で忙しく、学校に残るらしい。

 

(高咲がいなくて暇だから呼んだんじゃねぇのか?)

 

という疑惑を持ちつつも瑠和は歩夢の家に着いた。

 

「ただいま~」

 

「お邪魔します…」

 

「あ、歩夢~」

 

「ん?なぁに?ごめんね、ちょっと待ってて?」

 

「ああ…」

 

歩夢は歩夢母に呼ばれ、リビングに向かっていった。瑠和は一人残され、少し待とうと思っていた。しかし、その足は自然と廊下の奥へと歩を進める。

 

理由は、瑠和はこの家に見覚えがあったからだ。

 

歩夢の話によると瑠和は二年生になってから歩夢や同じマンションの侑の家来たことはない。無論一年生の時にもだ。

 

それなのに

 

(俺は、この家を知っている?)

 

歩を進める。見覚えのある扉がある。それを開くと、その先には歩夢の部屋と思しき部屋があった。歩夢に姉妹はいないと聞いているので歩夢の部屋で確定だろう。

 

瑠和は無許可で部屋の中へ入る。

 

なぜか、歩夢の部屋にすら見覚えがあるからだ。

 

「…………」

 

瑠和は歩夢の部屋のベッドに触れる。触ったことがある感触。少し考えて、そのベッドの上に寝転がる。

 

(この景色………俺は知ってる……?)

 

そんなことを考えながら瑠和はベッドで自身の記憶に想いを馳せていた。

 

 

 

―十数分後―

 

 

 

「ごめんね、お待たせ~ってあれ?」

 

歩夢が玄関に戻ると、瑠和がいなくなっていることに気付く。だが靴があるので外に出ていったわけでないことはわかった。

 

しびれを切らして部屋に向かったのだろうか。そう思い、部屋に向かう。

 

自身の部屋の扉を開けると、そこには自身の部屋のベッドで寝息を立てている瑠和がいた。

 

「…………ええ?」

 

「………すぅ…」

 

「瑠和君?瑠和君!」

 

「…………うぉ!?上原!?」

 

眼を覚ますと眼前に歩夢の顔があり、瑠和は驚いて飛び起きる。

 

「びっくりしたのは私なんだけど…」

 

「ああ…………悪い」

 

瑠和は事情を話す。来たことがないはずのこの家に既視感を感じ、歩夢の部屋までまっすぐこれたこと。ベッドからの部屋の景色にも既視感があり、妙に落ち着くこと。

 

「…………にわかには信じがたいけど…」

 

「そうだ………そう、この間、嵐珠と出かけたときもこんなことがあったんだ。一度も行ったことがない場所に既視感を覚える……その記憶って俺のもののはずなのに、まるで俺のものじゃないみたいな感じでさ……」

 

以前、嵐珠の原付に乗ってお台場を回ったとき。集合場所の学生寮に行ったとき、瑠和はそれまで学生寮に来たこともなかったはずなのに妙な既視感を感じていた。

 

歩夢の家に来てから感じていた既視感は、それに近いものに感じた。

 

「………記憶を失ったことと何か関係あるのかな?」

 

「わからない……でも、上原の言った通り少しは記憶を揺さぶれた……のかな?」

 

「あはは、それならいいけど………ねぇ、瑠和君」

 

「ん?」

 

とりあえず瑠和が変な目的で歩夢の部屋にまで来たわけではないことを理解すると、歩夢は瑠和を家に呼んだ本当の目的を果たそうとした。

 

「彼方さんと会いたくないって………さっき言ってたでしょ」

 

「…」

 

「それってどんな感覚なのなぁって………私は、現直君や侑ちゃんに会いたくないって思ったことはないから。今の瑠和君にとって彼方さんはどんな存在なのかなって」

 

彼方は端から見れば素敵な女性だ。仮に記憶がなくてもそばにいることに対して何の引け目を感じるのであろうか。それが疑問だったのだ。

 

「…………素敵な人だと思う。でも、彼女が求める俺と、今の俺のギャップが気になっちまう………だから」

 

「そっか………そういうことも、あるんだね」

 

その後、瑠和は歩夢と軽くお茶会を楽しんでから帰っていった。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

夜、歩夢はベランダに出て瑠和に言われた言葉を思い出す。

 

(今の自分と相手が求める自分………か…現直君は………私にそれを感じているのかな)

 

「あれ、歩夢どうしたの?」

 

となりのベランダから声をかけられた。そちらを見ると、侑がいた。

 

「侑ちゃん。ううん、少し考え事」

 

「そっか、もうすぐグランプリだし、風邪とか引かないようにね」

 

二人は他愛もない話をして夜は更けていった。




「僕は瑠和。天王寺瑠和だ」

「いいか、最長十分で離脱だ」
「授業中にアイドルがおねんねしてるってのがアホなんだよ」

アイドル育成学校、初星学園。

「アイドル、それは私たちの永遠の憧れ。夜空に輝く星のように、大地に咲く花のように、みんなの心を熱く震わせて、かなしさを優しく包み込んで、いつも笑顔にしてくれる、そんな素敵な人になりたくて、私は「初星学園」の門をくぐりました」

アイドルを率いる男。天王寺瑠和。

「私が、彼の鼻をあかしてくれるわ」
「プロデューサーのやり方、正しくないですよ」
「じゃあ教えてくれよこの仕組みの深さを破壊する方法を」

「僕は変わるよ、変えてみせるよ」

「閃光の学P」(仮名)今春公開予定

ストーリー中に出す次元系の設定(ナタや不思議な石等)って必要だと思いますか?

  • これまで通りでいい
  • 減らしてほしい
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