彼方の近衛   作:瑠和

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本当は、完結編がすべてが終わってから投稿しようと思ってたんですが、二章のBDが届いてみてたら我慢できなくなったので、ちょっとずつ、ちょっとずつ出していきたいと思います。更新速度は、未定です。

現在進行中の作品はいいタイミングで終わらせようと思います。

完結編第一話は3月31日0時に更新予定です。完結編最終章を見たことで何か変更が起らないことを切に願います。


感想いただければ幸いです。


第八話 ??の場合

世界を滑るアイドル。誰もが憧れとするような絶対的なスター。それを聞けば大抵帰ってくる答え。それは

 

 

「斑鳩ルカ」

 

 

 

歌唱力、ダンス力、演技力、どれをとっても最高レベルの実力。しかし、彼女がスターになれたのは何と言ってもそのカリスマ性だ。

 

若いころから多くのファンがついていた、それは間違いなく彼女のカリスマ性から得られたファンだ。

 

 

 

―スクールアイドルグランプリ数日前―

 

 

 

「歩夢~」

 

スクールアイドルグランプリ開幕を目前に控えていたある日、歩夢は部室に向かう前にクラスメイトの友人に呼び止められた。

 

「これよかったらいらない?」

 

クラスメイトが差し出したのはスマホだ。スマホに映し出された画面には「斑鳩ルカライブツアーチケット」の文字が書かれていた。

 

「チケット?しかも、斑鳩ルカさんの!」

 

「友達が大ファンでさぁ。一つのアカウントじゃ申し込める数に限りがあったから、私も協力したのよ。でも本院が当たったから、これいらなくなっちゃってさ」

 

「え?でも自分で行けば……滅多に当たらないって有名だよ?」

 

世界をまたにかけるスターだ。チケットの当選なぞ滅多にあることではない。

 

「用事が入っちゃってさ~。私そこまでファンなわけでもないし。連番チケットだから、彼氏と一緒に行って来たら?」

 

「ああ………うん」

 

 

 

―プロムナード公園―

 

 

 

「………」

 

歩夢はチケットを受け取らなかった。歩夢もルカに憧れは抱いている。しかし、現直と一緒にルカのライブに行ったら……と思うと胸がもやもやする。

 

真横でルカに目を奪われる現直の姿が容易に想像できて、もやもやするのだ。

 

「歩夢ちゃん?」

 

そこにたまたま彼方がやってきた。おそらく帰り道だ。

 

「彼方さん」

 

彼方はあからさまに悩んでいる歩夢の隣に座り、その頭を撫でた。

 

「どうかしたの~?」

 

「………実は」

 

歩夢は事情を話す。我ながらくだらない相談だというのはなんとなく理解している。でも、誰かに相談せずにはいられなくて、彼方に話してしまった。

 

「ふぅん……」

 

「すいません。彼方さんだって瑠和君のことで、色々不安なのに」

 

「別にいいよ。瑠和君のこと考えない方が気持ちは楽だし」

 

彼方は苦しそうな顔で言った。愛する人のことを考えないでいいなんて言うのは胸が痛むのだろう。それを察した歩夢は少し申し訳なく感じた。

 

「………別に今回のコトをすごく悩んでるわけじゃないんです。この先こんなことはもっとあるでしょうし……」

 

「まぁねぇ……」

 

「彼方さんはそんなこと、ありませんでしたか?」

 

「ん?ん~」

 

考えてみれば同好会の中で恋愛経験があるのは彼方と歩夢の二人だけだ。こんなこと聞けるのは彼方くらいのものだった。

 

「………なかったよ。不安になることは会ったけど瑠和君は「そばにいるよ」って言ってくれたから」

 

「………」

 

「歩夢ちゃんも聞いてみればいいんじゃないかな。正直な気持ちをまっすぐに伝えるの、大切だと思うよ」

 

「………まっすぐに」

 

 

 

―数日後―

 

 

 

歩夢は色々思い悩んだ末に現直をルカのライブに誘った。現直は「何かライブの参考にできる部分があるかもしれない」と言って喜んで受け入れてくれたが、歩夢はやや複雑な気持ちだった。

 

会場を待ち合わせ場所にして、歩夢は会場に向かっていた。

 

「………ん?」

 

ふと前を見ると、ひとりの子供が不安そうにあたりを見回しているのが見えた。

 

歩夢は足を止め、腕時計を見る。まだ開園まで時間はある。そう判断した歩夢は子供に声をかけた。

 

「こんにちは、どうかしたの?」

 

「ママ………いなくなっちゃったの……」

 

「そっか、じゃあ一緒に探してあげるね」

 

歩夢はにっこり笑って子供の手を取り、一緒に辺りを探し始める。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「この子のお母さん、いませんかー!?…………はぁ」

 

しばらく歩き回ったが、どうにも見つかる様子がない。開園の時間も迫る中、歩夢は少し焦り始めていた。このあままこの子を置き去りにするわけにもいかない。

 

「お姉ちゃん……ごめんね……」

 

「え?ううん!気にしないで!」

 

頻繁に腕時計を見るしぐさが急いでいることを助長させたのだろう。とはいえ焦っているのは事実だ。どうしようかと悩んでいると、歩夢の前に一人の女性が現れた。

 

「…………?」

 

「その子、迷子?」

 

「あ、はい!知ってるんですか!?」

 

もしかしたらこの子を多少なりとも知っている人かと思い、歩夢は期待した。

 

「いいえ。こんにちはお嬢ちゃん。お母さんとはぐれちゃったの?」

 

「うん……」

 

「お母さん、どんな格好?髪の色とか、特徴言える?」

 

「白い服…………髪は茶色で長くて……黒いバッグ持ってる……」

 

「あ……」

 

歩夢は急いでいたこともあって、初歩的な質問も少女にすることを忘れていた。

 

「お母さん、どこか行くとか言ってた?」

 

「スマホ、忘れて、取りに行くって……公園で待っててって言われて」

 

(そうだったんだ……)

 

歩夢が少女を見つけたのは公園から少し離れたところだ。おそらく中々戻らない母を心配して公園から出てきてしまったのだろう。

 

「そっか、じゃあ一回公園戻ろうか」

 

公園に戻ってみるとそこには少女のお母さんと思しき人が子供の名前を呼びながら探し回ってる姿が見えた。

 

「あれじゃない?」

 

「お母さん!!」

 

少女は母のもとに駆けていった。女性はその少女の後を歩いてついていく。

 

「その子、不安そうでしたよ」

 

「すいません、ありがとうございます!」

 

「あんた、人の親だろ。だったら子供一人残して離れるんじゃねぇよ……っ!」

 

柔らかな物腰から発せられる低い声に母親はすっかり小さくなってしまった。

 

「………すいません…」

 

女性はため息をつくと歩夢のところに戻る。

 

「アナタ、ライブ行くんじゃないの?」

 

格好や、トートバッグの隙間からみえるものでライブに行くことを気付かれていたようだ。

 

「え、ああ………あはは、急いでいかないと」

 

「そんな急ぐことない。だって主演がここにいるんだから」

 

「え?」

 

女性がサングラスをずらすと、そこに見えたのは猫のような鋭い眼差し。見間違えるはずもないあの世界的スター「斑鳩ルカ」だ。

 

「ル……ルルルルル」

 

「はい静かに。こんなとこで声出したら騒ぎになる」

 

「どうしてこんなところに……もうすぐ開演ですよね?」

 

「ああ、よくこうして本番前に歩き回るのはいつものコト。多少遅れても旦那のプロデューサーが何とかするから問題ない」

 

「あはは……」

 

一度は結婚と子育てで芸能界を離れたが、復帰した。さっきの気迫は、一度子育てを経験した身故の言葉なんだろうと歩夢は感じた。

 

「なんだか、イメージと違うんですね……ルカさんって」

 

ルカはステージの上ではロックな曲を叫び、その歌声とカリスマ性でファンを魅了する。今のルカからはそう言ったものは感じられない。

 

「………幻想を与えるのがアイドルの仕事。普段はただの人の親でも、ステージの上じゃ偶像になるのが私」

 

「ステージの上じゃ……」

 

「そろそろ帰らないと。じゃあね」

 

「………」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「いやぁすごかったですね!さすがは世界的スター!!僕の心にジンジン来ました!」

 

ライブは歩夢も感動するほど素晴らしく、思った通りというか現直もルカのカリスマ性に魅了されていた。

 

だが、歩夢が想像してたよりも歩夢の内心はもやもやすることはなかった。それはきっと、先ほどルカの本当の顔を知ったことと、ルカの言葉を聞いたせいだろう。

 

(ルカさんだって、ステージの上の姿が全部じゃない………そしてそれは)

 

歩夢は歩みを止めてガラスに映った自分の姿を見る。

 

(私も同じ)

 

歩夢が止まったことに、現直が気づき、振り返る。

 

「歩夢さん?」

 

「………現直君」

 

歩夢は決意を固め、現直を見る。

 

「いつか、アナタが目を離せない私を見せて見せる。だから、私のことを見ていて」

 

 

 

続く




作中に登場した斑鳩ルカはある作品の登場キャラです。最終的に最終章に必要になったので出しました。悪しからず。

ストーリー中に出す次元系の設定(ナタや不思議な石等)って必要だと思いますか?

  • これまで通りでいい
  • 減らしてほしい
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