世界同士の衝突を防ぐために哀れなテイマーが一人寂しくマギレコの世界で調査をすることに。



1 / 1
デジタル・レコード

そこは気持ち悪いほどに色が混在している空間だった。そこら中に不規則に鏡が立ち並びあらゆるところから耳障りの悪い笑い声がこだまする。

極彩色の鏡は空間ないの物体を際限なく反射しどんどんと空間の広さが曖昧になっていく。

その中央に今回の標的であるメルキューレモン……といえばいいのだろうか、追っていた時は無かった巨大な肉塊と触手を下半身に携えている。

いくら元が格下のデジモンとはいえ今の姿は完全体もしくは究極体クラスだろう。

油断することなく火力を集中させる。

デジヴァイスを構え、俺は相棒を呼び出す―――。

召喚(サモン)・アルゴモンMEGA!」

CKlooooOOOOッ!

デジヴァイスから飛び出すのは、デジヴァイスはおろか自分の数十倍はある巨大な肉体。

頭部下の空間から幾つもの目玉が現れメルキューレモン変異体(仮称)を睥睨する。

「MEGA!早期決着だ、テラバイトディザスター!」

目玉に鈍色の光が集まり照射、メルキューレモン変異体に突撃していく

 

 

メルキューレモンは即座に鎮圧、変異も解除され逃走防止用のデータに収納している。

一息ついたその時

「あなたは誰ですか?」

振りむけば、そこにはいかにもファンシーな姿の少女が俺を見つめていた。

彼女のまなざしは異様なものを見たかのように驚きと恐怖が混ざっている。

「いえ、心配ありませんよ。ここにいたわるーいデジモンは倒しましたから。あなたがたの邪魔をすることはありませんよ。安心してください。」

 そう語りかけて少女に近づく。

 

このとき、俺は完全に失念していた。

情報保護のためのプログラムを掛けていたのをもうすっかりと。

それほど年頃の少女に敵意全開で武器を向けられるという状況が珍しかったためだ。

相手からすれば、顔にノイズが掛かった存在がわけのわからない言語を発しながら歩み寄ってくるのだ、そりゃあ敵意向けるわ。俺だってそうするもん。

 

まぁ、その時の俺は気づかなかったわけよ。

だから反応が遅れたというか、相手一人じゃないのに気づかなかったんだ。

デジヴァイスから一瞬だけクレニアムモンが盾出してくれなきゃ槍衾だったわ。

んで、そこからは撤退戦よ。あそこの空間が特異だったのか中々帰還アドレスが実行できなくてね、久しぶりの全力戦闘よ。おじさん困っちゃう。

最初はコンバートして凌いでたんだけど、いつまで経っても相手は引かないしこっちも帰還出来ないじゃん?相手も増援がどんどん来てね、こっちも本気出しちゃった♡

え?それでこのまえデジヴァイス修理に出したのかって?それはそうなんだけど、帰還アドレスが起動したは良かったんだけど送還の瞬間にいい攻撃打ち込まれてね。

その影響で過去のデジタルワールドかよーわからんところに飛ばされたのよ。こっからは小説3巻ぐらいの濃密な世界救済があるんやけど、どや?え、いらん?

じゃあ、いいわ。まぁ色々あってデジヴァイスが過剰召喚でショートしちゃったわけ。

 

まぁ超究極体も含めて9体も同時召喚したらそりゃショート寸前になるしなぁ・・・。は?それ相手死ぬんじゃないのって?そんなヘマおじさんがするわけないじゃん、舐めてんのか?

ちゃんと手加減したよ、過剰防衛は規則に違反するしね。

まぁ当分あの世界は行きたくはない。本気を出したら完全体ワンパンできる少女がいっぱいいる世界に何て潜入依頼とかあったら行きたくないね。

 

 

 

 

え?あの世界への潜入依頼?おじさん指名でしかも報酬はデジヴァイスの修理代金振替?

やったー!おじさんがんばる!

 

 

「というわけで、俺はこれから長期任務に入る。基本こういう事例で任務になる場合は最悪あっちの世界で永住コースになることが多い。どういう原因で世界同士が干渉する事態になるかのメカニズムが判明してもいつ世界の安全が保障されるかというと『長期派遣した人物が死去するまで』だ。」

 そう断言して目の前の弟子にコーヒーカップを突きつける。

弟子は弟子で泣く様子も見られない。もっと心配しろよ。

 「でも、師匠は寿命ないようなモノですよね?その場合はどうするんですか?」

弟子からの質問にちょいと詰まる。まぁ寿命が極端に長いテイマーなんてデジタルワールドにこまんといるしな。そう思うのも普通だろう。

「その場合は拠点を置いてちょくちょく行ったり来たりしながら調査になるだろうな。世界によってはデジモンでも太刀打ちできない存在とかもいるからな。そういうのが出張ってきたら、最終手段で世界ごと切り離すしかないな。この手がデジタルワールドでは一般的な対処手段だ。変異デジモンが出てきても世界同士の干渉をなくせば個体を倒せば種として定着しなくなるからな。」

 コーヒーをぐびりと飲み干す。ドリアンコーヒーとも当分お別れだろう。この味をわかるのはアルファモンぐらいしか居ないし、ゲテモノドリンクというのは大衆じゃなくて個人同士で味わうものだ。よっぽどな同好の士に出会わなければ、帰還時にしか味わえなくなるだろう。

 「まぁ、俺はこれで行くからよ。なんでも好きなもん頼んでくれよ。」

 

 

 

 

「じゃあ、メニューの右から左まで!」「財布が死ぬからやめてくれ」



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。