これがキン○クリムゾン?(絶対違う)
病院で先生に見てもらってからヒシアマゾンのお腹は日に日に大きくなってきた。
その帰りに買っておいた妊婦用の服が役に立って良かった。
幸いなのはつわりがネットで調べたり、人から聞いたほど酷くはなかったことか。
それでも辛そうではあったが。
洗濯や料理、風呂掃除と言った普段はなんでもないことが明らかに大変そうになっていたので、当然オレは手伝いを申し出た。
「悪いねぇ、ヒシアマ姐さんともあろうものが。」
ヒシアマゾンは申し訳なさそうに言うが
「いや、無理をして体に障る方が問題だよ。」
「しっかしじれったいねえ。子供ができたのは嬉しいけどさ、こうも動けないとはね。」
「まあ、家事は慣れてないけどいざやってみると新鮮で楽しいよ。」
「そうかい?じゃあこの子が産まれてからもやってもらえるかい?」
ヒシアマゾンがイタズラっぽく笑う。
冗談を言えるくらいには余裕があるのだろうか。
彼女は元寮長であるためか人のために無茶をすることもある。
普段はそれが頼もしく見えるし彼女らしいとも思うが、勝手ながら今は極力控えてもらいたい。
まあ、ヒシアマゾンの知り合いや後輩たちは彼女の今の状態を分かっているから、そんなに無茶な相談などは持ちかけてこないが。
そして、予定日に近づいてヒシアマゾンが出産のために入院することになる。
陣痛というやつは流石の彼女もすこし堪えるらしい。
予定では一〜二週間らしく、その準備としてあちらで使用するパジャマやタオルに名前を書いておく。
洗濯はあちらでしてくれるため、他の患者さんのものと間違えないためだ。
病院に入って行くヒシアマゾンはいつもの笑顔を浮かべていたが、やはり初のお産とあってか不安そうでもあった。
「まあそう心配しないでおくれよ。」
むしろ自分がいない間、オレがちゃんとやってけるかが心配だとか。
全く頭が上がらない。
彼女を病院へ送り届けてからも、オレはソワソワしっぱなしである。
ソファーに立ったり座ったり、リビングをウロウロと歩き回ったり、外でやったら完全に不審者な行動ばかりしてしまう。
それほど気が気ではないのだ。
無論出来る限り会いに行った。
そして、その日がやって来た。
オレが駆けつけた時はヒシアマゾンはすでに分娩室の中。
苦しそうなうめき声が続く。
どれくらいの間だったかは正直判然としない。
こういう時、男親は無力だ。
できることといえばせいぜい待合室の椅子に腰掛け、三女神様に妻と子の無事を祈るくらいだ。
心臓が早鐘を打ち、時々不安が頭を掠める。
その度に被りを振って再び祈る。
そして…………………
オギャー オギャー オギャー
「旦那さん、生まれましたよ。」
分娩室の自動ドアの中からお世話になった先生が出てくる。
「先生、妻は…」
「行ってあげて下さい。」
オレは先生に軽く会釈すると中に入る。
「あぁ、トレ公…」
目の前のヒシアマゾンは明らかに消耗していたが、どこか達成感のようなものも感じているようだった。
産湯につけられ、身綺麗になった我らが娘が医師に抱えられやって来る。
ヒシアマゾンはその子を受け取ると、絶対に落とすまいとしっかりと抱きかかえる。
「今は無理をしないで。」
「ホラ、トレ公も抱いてやっておくれよ。」
ヒシアマゾンがソッとその赤ん坊を差し出してくる。
オレは恐る恐るその子を抱き抱える。
「重いなぁ、バカヤロー。」
オレはどういうわけか泣いていた。
「相変わらずだねぇ。」
妻はそんなオレを見て笑っていたが、しばらくすると疲れたのか赤ん坊と一緒に寝息を立て始めた。
フレンドの利用数制限増えないかなぁ…。
ハーフアニバーサリーでは増えたけども…。