一弥side
巴「ぬいぐるみが……か?」
一弥「そうだ、僕もその時目を疑ったよ」
ひまり「確かそれって……『ひとりかくれんぼ』じゃなかったっけ?」
一弥「あぁ、父さんに聞いた話じゃ降霊術の1種らしい。なんでそんなことをしたのか、今じゃ分からないけど」
……嘘だ、本当は全部知っている。
何せそれがきっかけなのだから
一弥「僕はぬいぐるみから逃げてる時に気を失ったらしいからその後のことは全て父さんから話を聞いたよ。なんで引っ越したのか、この街でどれくらい怪異が起こってどれくらいの人が被害にあったのかを。そして僕は決意した………」
すると、手袋をしてる右手をみんなに見せ、そのまま手袋を外した。
蘭・モカ・巴・ひまり・つぐみ「!?」
一弥「僕も父さんを継いで怪異を討伐する霊能者になるって」
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その右手には掌や手の甲、更にはそれぞれの指先に至るまで紋章のような刺青がびっしりと刻まれていた。
モカ「かずくん、それって」
一弥「これを使って羽沢の中に巣くう怪異を潰す。羽沢を助けるためにはこれしかない。どうする?」
そうして一弥は全ての判断をつぐみに委ねた。
巴「どうするったって……そんな突拍子も無い話をいきなりされても、未だに信じられないよな」
一弥「わかってる、現実味のない話をしてるっていう自覚はある。だけどこれが事実なんだ。だからこそそれを信じてくれるかはみんなに任せる。それに……」
再び言いづらそうな様子を見せた後に。
一弥「羽沢には、もう一度寝てもらうことになる」
ひまり「それって、つぐにもう1回悪夢を見ろって言うの!?」
一弥「悪いけど僕のできるやり方としてはこれしか方法がない」
蘭「そんなのダメ!これ以上つぐみに負担を つぐみ「わかった」 ……つぐみ?」
つぐみ「私は一弥くんを信じる」
蘭「つぐみ……」
つぐみ「一弥くんだって幼馴染の1人だもん、一弥くんが助けてくれるって言うなら私は信じるよ!」
モカ「こういう時のつぐの意志は誰よりも固いよね~、あたしも異議なーし」
一弥「ありがとう、約束する。命に替えても助け出すから」
そうして約束を交わすつぐみと一弥。
つぐみはいざとなると誰よりも意志が固いことを知ってるみんなはそれ以上、つぐみに対し何も言わなかった。
巴「でもどうやって解決するつもりなんだ?それを知る権利くらいはあるはずだ」
一弥「それもそうだな、と言っても難しい話じゃない。
蘭・モカ・巴・つぐみ・ひまり「………は?」
一弥の一言に全員が耳を疑う。
それもそのはず。さも当たり前のように『夢に入り込む』と言うが普通はそんなこと出来るはずがない。
ひまり「夢に入り込むって……簡単に言うけどそんなことできるの?」
一弥「できるよ、ちょっときついけど」
それでもなんの躊躇いもなく答える一弥に
巴「……常識外れなものには常識外れな力で対抗するって訳か」
蘭「……なんかもうアタシたちが夢でも見てるみたいだよ」
つぐみ「まぁ、霊能者だもんね……」
ひまり「霊能者の力、なんか興味が湧いてきちゃったよ!」
モカ「ふぁんたすてい~っく」
……みんな無理やり納得するしか無かった。
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一弥「確か今日中に退院出来るんだっけ、それなら今日中にカタをつけたほうがいいね」
巴「そんなすぐにできるのか?もっとこう、ロウソクとか魔法陣とか盛り塩とか必要じゃないのか?」
一弥「父さんの方法なら多分必要かもしれないけど、僕の方法にそんな大掛かりなものは必要ない。強いて言うなら場所かな、欲を言えば血が付着しても問題ない場所」
巴「サラッと恐ろしいこと言ったな、今」
一弥の発言に少し顔を青くさせる巴。
そしてしばらく6人で考えた後蘭が……
蘭「一弥の部屋じゃダメなの?」
蘭の提案に対し一弥は少々渋る様子を見せる。
5人からすれば血が付着しても問題のないうってつけの場所だろうと思う。男の子の部屋に入るという点を除けば……とはいえ命がかかっている以上そんな悠長なことは言ってられない。
しかし、一弥は苦笑いをしながら
一弥「…あそこはやめといたほうがいいと思う」
巴「なんでだよ!1番汚しても問題ない場所じゃないか」
一弥「
と言って巴、蘭、ひまりを見る一弥。
ひまり「つ、つぐの命がかかかってるんだかららだだだ大丈夫だよ!」
モカ「ひーちゃんわかりやす~い」
巴「アタシは我慢するぞ!つぐのためにも!!」
つぐみ「巴ちゃん……脚震えてるけど大丈夫?」
蘭「別に、これもいつも通りでしょ……」
一弥「非日常の光景です、はい…」
分かりやすく怯える3人を見て一弥の家は没となった。
そうして考えてるうちに……
つぐみ「一弥くん、私の部屋でどうかな?」
つぐみが提案をする。
一弥「いいのか?」
つぐみ「うん、自分の家でできるならそれが一番落ち着くと思う」
蘭「……つぐみがいいって言うなら、いいんじゃない?」
モカ「あたしもさんせー」
ひまり「人の家なんだから汚さないようにするんだよ!」
一弥「約束は出来ないが、対策はちゃんとする」
巴「本当に……頼んだぞ」
一弥「……当然だ」
そう告げると一弥はつぐみがいる病室を出ていった。
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外を見れば日は落ちかけていた。
夕日が発するオレンジ色の光が商店街を包み込み、商店街自体もオレンジがかっていた。
そんな中、一弥は羽沢珈琲店の中で5人の到着を待っていた。
一弥(夕日……か、確かAfterglowの由来だったって上原が言ってたな。そういえばまだ1度も演奏聞いた事無かったな。)
そうこう考えているうちにベルの音が響く、入口の扉が開いた合図だ。
5人が来たと思い、一弥が入口を見ると……
一弥「……あれ?1人多くないか?」
幼なじみの5人ともう1人……銀髪の女の子がいた。
一弥「確か………前にここで働いてた人だよね?」
イヴ「はい、若宮イヴと言います、以後お見知り置きを」
一弥「あ、あぁ、吠舞羅一弥だ。よろしく。」
互いの自己紹介の後、それぞれ席に着き、なぜイヴがここに来たのかを聞くことにした。
イヴ「ツグミさんのことは皆さんから全部聞きました。それでこれからやろうとしてることも聞きました。皆さんはツグミさんを助けに行くみたいですが、ワタシはどうしても怖くて勇気が出ません……でも、ワタシもなにかツグミさんや皆さんのためになにかお手伝いしたくて、それでここに来ました!」
イヴが自身の気持ちを吐露する。
イヴが友達想いなことを十分に理解した一弥は…
一弥「………ちょっと待て、『皆さんはツグミさんを助けに行く』って今言わなかったか?」
イヴ「え、えぇ……皆さんこれから夢の中に入ってツグミさんを助けに行くのでは?」
意見の食い違いに気づいた一弥は今度は幼なじみ達を見る
一弥「おい……どういうことだ?」
その言葉を聞きみんなが真っ直ぐ一弥を見る
巴「なぁ…一弥のその術ってアタシたちも夢の中に入れないか?」
一弥「はぁ!?」
巴の一言に一弥も驚く他なかった。
そんな一弥を気にすることなくひまりと蘭が後に続く
ひまり「私達だってつぐを助けたいの!ただ見守るしかないなんてそんなの嫌だよ!」
蘭「お願い一弥、アタシたちもつぐみの夢に連れて行ってよ!」
一弥「ダメに決まってんだろ!危なすぎる!」
2人の言葉を一喝する……のだが
モカ「『ダメ』なんだ……『無理』じゃなくて『ダメ』なんだ、てことは不可能ってことじゃないんだね~?」
一弥「んな!?」
モカに指摘されたことにより一弥は何も言えなくなった。
モカ「アタシたちも危険なのは何となくわかってるつもり、でもこればっかりはかずくんに迷惑をかけてでもアタシたちの意見を通してもらうから。」
いつも間延びした喋り方をするモカでさえ、今ははっきりと話していた。
一弥も5人の覚悟を目の当たりにし、ノーと断ることが出来なくなっていた。
巴「頼む一弥!」
ひまり「私たちにも何か出来ることはあるはず!」
蘭「アタシたちの気持ち……絶対に否定させないから」
モカ「つぐのために地獄でもなんでも行ってやる~」
5人の必死の訴えに……
一弥「……勝手な行動はとるな、僕の言うことはちゃんと聞け……最低でもこれは守ってもらうからな」
一弥はついに折れた
つぐみ「……みんな」
一弥「いい幼馴染だな、羽沢」
つぐみ「私にとっては一弥君もそのひとりなんだけどね」
こうして、一方的につぐみを苦しめてきた怪異に対し、ついに皆が反撃に出ることになった。
書きながら思いましたがイヴちゃんって「銀髪」?それとも「白髪」?