Ace Combat インデペンデンス・デイ   作:紅乃 晴@小説アカ

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プロローグ,異世界転生

 

 

 

突然だが、みんなは「インデペンデンス・デイ」というSF映画をご存知だろうか?

 

アメリカ合衆国独立記念日である7月4日を控えた時、宇宙から飛来した巨大なUFOにより世界各国が破壊され、核をも防ぐ強力なバリアーを持つ宇宙人の技術力に人類が窮地に陥るが、主人公たちの機転によって逆転の糸口を掴み、世界が一丸となって宇宙人を打ち倒すと言う物語だ。

 

個人的には、この映画は宇宙人との戦いを描いたSF映画の中でも痛快劇の金字塔だと思っている。

 

冴えない天才、宇宙を夢見るエースパイロット、もと空軍で支持率が低迷しつつある大統領、うだつの上がらない変人扱いされる親父。

 

そんな登場人物たちが戦いの中で魅力を開花し、人々を鼓舞し、勇敢に宇宙人に立ち向かっていく姿は幼い自分の心に深く響いた。

 

それから、数々の宇宙人との戦いを描いた作品が映画となったが、インデペンデンス・デイはそれらに多大なる影響を与えただろう。今見たらチープな映画と揶揄する人もいるだろうが、その作品がもたらしたものは大きく、そして新たなる可能性を高めたに違いない。

 

さて、そんな映画をなぜ紹介したのか?それはこれから語る物語にとって、最も重要なことであり、それがなければ始まらないからだ。

 

 

 

 

 

 

目が覚めらたら子供部屋だった。

 

VRの戦闘機ゲームをしていたところ、眩い閃光に目をくらませて、光が収まったと思ったら全く知らない部屋に立っていた。

 

インデペンデンス・デイを見てから特に好きになった戦闘機、F/A-18「ホーネット」を操縦していたはずなのに、成人を迎えていた体はすっかりと縮み、声も若くなっていた。

 

ゲーム中に寝落ちた……?VRというリアリティ溢れるゲームの最中に華麗に寝落ちるなど考えづらく、そして夢にしては空気感や感覚が異様に現実的だった。

 

頭にかぶっていたVRの機器など当然なく。半ばパニックになりつつ俺は放り出された場所で目を回した。

 

突如として放り出された世界は見るからにしてアメリカンな子供部屋。星があしらわれた壁紙とおもちゃに子供サイズのベッド。そして自分は土足。明らかに日本ではない。まさかと思って部屋に置いてある小さな鏡で自分の姿を見て、俺はついに耐えられず子供じみた感高い悲鳴を上げた。

 

黒髪黒目だった容姿は濃いブロンドと蒼眼となっていた。ぶったまげてその場で腰を抜かしてしまった。

 

なんで?何故に?俺はいつからアメリカンな容姿になった?まったく状況が理解できない。俺はさっきまで仕事終わりの楽しみであるオンラインゲームで空を飛んでいたはずなのに!!

 

崩れ落ちたままそのまま現実逃避に移行しようとしていると、俺の悲鳴を聞きつけたのか人がバタバタと入っていた。

 

 

「おい、なにがあったんだ?」

 

 

差し出された手に促されるまま、握り返してなんとか腰を起こす。そこには清廉な容姿をした男がいた。服装はアーミーグリーンの軍服であり、彼が軍属であると言うことはすぐにわかった。そして同時に。なんとなくわかる。

 

この相手は自分の兄だと。

 

兄?はて、そんな親族など自分にはいなかったはず。若干の記憶の混濁に戸惑っていると、彼は優しげに肩に手を置いてこう言った。

 

 

「俺は明日から戦争に行くが、お前は残って母さんと父さんを守るんだ。できるな?ラリー。兄さんと約束してくれ」

 

 

話によると、どうやら兄は空軍のパイロットととして湾岸戦争に向かうらしい。政治家である両親は反対していたが兄の決意は堅かった。

 

そして今日は出発前日。

 

俺の悲鳴は、兄に行って欲しくないという癇癪だと捉えられたらしい。兄は引き留める俺を優しくあやして、残る両親と共に無事を祈っていてほしいと言ってくれた。

 

全く状況がわからない中、ことが進んでいく。たが不思議と不安は少なくなっていった。同時にこの世界に馴染んできたという感覚もある。

 

不思議だ。

 

まるでゲームをしていた世界が〝夢〟で、突如とした放り込まれたこの世界が〝現実〟だと思えるほどに。

 

だが、決定的な違和感と知識と意識は残っている。俺は兄の前で冷静さを維持した。これから戦争に向かう兄に不要な心配をさせたくなかったからだ。

 

兄は最後に俺の頭を撫で、優しく微笑んでから部屋を後にしようとする。

 

 

「じゃあな、ラリー。俺は……両親にも、この名にも恥じない戦いをする。トーマス・J・ホイットモアの活躍を見せてやるとするさ」

 

 

にこやかにキザなセリフを残して部屋を降りてゆく兄……トーマス・J・ホイットモア。

 

その名を聞いて、俺の思考は固まる。その名を知っている。兄としての知識ではない。それ以外のもので。

 

空軍パイロットから、のちにアメリカ合衆国大統領にまで大成し、自由と生きる権利を勝ち取るために先陣を切って宇宙人との戦いに挑んだ英雄。

 

そして、俺は彼の弟。

 

俺の名前は、ラリー・L・ホイットモア。

 

奇しくも、この「インデペンデンス・デイ」

へと繋がる世界へと紛れ込んだ転生者だった。

 

 

 

 

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