ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

11 / 36
スードリー編#02『アムロの帰還』

「ヒッコリーにですか?」

 

 スードリの艦橋で、俺……(アニオタ高校生が転生した)連邦軍の女性パイロット、カレル・ファーレハイト……は、スードリ隊隊長のブラン・ブルターク少佐に聞いていた。

 

「そうだ。アウドムラはヒッコリーに向かっている。どうやら、あそこのシャトル基地を使って、エゥーゴのパイロットたちを宇宙に上げようとしているらしい」

「なるほど……それを阻止せよ、というわけでありますね」

 

 そう聞き返すのは、いつのまにか、俺の妹分になっていた強化人間のロザミィことロザミア・バダムだ。あれからさらに仲は進み、本当の姉妹みたいな関係になっている。外見でいえば、あちらがお姉さんみたいなんだけどな。それと、軍隊口調がそのままなところも彼女らしい。

 

「そういうことだ。アウドムラを補足し次第、出撃することになるので、それまで英気を養っておくように」

「わかりました」

「了解です」

 

 二人ともうなずき敬礼をして、ブリッジを出た。そこで。

 

「さて、それじゃシャワーを浴びるとしますか」

「カレルお姉ちゃん、私も一緒に浴びたいであります」

「え」

 

 ち、ちょちょちょ、ちょっと待て。俺は外見こそ女性なんだけど、中身は(ガンオタ)男子高校生だったんだぞ! いくら女になったからって、女性と一緒にシャワー浴びるなんて、ハードル高いって!

 

「い、いや、ちょっと……」

「嫌なのでありますか、カレルお姉ちゃん……?」

 

 だ、だからロザミィ、そんな目を潤ませて見つめないでくれ!

 

「お願い。ロザミィはカレルお姉ちゃんと一緒にシャワー浴びたいであります……」

「……わかった。一緒に入ろう」

 

 ……負けました。

 俺がそう言うと、ロザミィは微笑んでくれた。

 外見や態度は堅そうな女性軍人なのに、そういうところは典型的な妹キャラというのは反則だろう。原作でカミーユがあんなにロザミィのことを慮っていたり、ジュドーがプルツーを大切にしていたのがよくわかる気がするようなしないような。

 

 と、ふと見ると、レコアさんがこちらをちらりと見ているようだ。

 そうだ、この機会だから、彼女に聞いてみることにするか。

 

「ステファニーさん(レコアさんの偽名である)、一緒に入りませんか?」

「え、私は構わないけど……」

 

 そういうわけで三人でシャワールームに行くことになった。

 

* * * * *

 

 そしてシャワーが終わりました。本当にロザミィからのスキンシップがすごかった。ロザミィって、原作ではあんなキャラだったか……? もう、ここでは書けないようなすごいスキンシップだったのだが。

 そんな彼女は一足先にシャワールームを出て着替えている。今、このシャワールームにいるのは、俺とレコアさんのみ。

 

 ……よし。

 

「そういえば、聞きたいことがあったんですが……レコアさん」

「!?」

 

 薄い壁の向こうから、レコアさんが息をのむ声が聞こえた。

 

「気づいてたの?」

「えぇ」

 

(スパイであることに)気づいてたのではなく、(彼女本人について)知っていたんだが。ガンオタ男子高校生を甘くみないでいただきたい。

 

「安心してください。あなたに危害を加えたり、捕まえようという気はありませんから。あなたの返答次第ですけど」

「返答次第……ね」

「レコアさんの狙いはなんですか? 見たところ、このスードリの機密を盗もうというようではなさそうですが」

 

 そこから少し沈黙。

 

「あなたのことよ。あなたの言動に秘められた謎が気になって、それを調べにきたの」

「……なるほど」

 

 やっぱりターゲットは俺か。確かに、ジャブローの核のことを教えたり、カミーユを諭したり、カミーユ母の殺害を阻止(結局殺害されたけど。あの外道ハゲに)したりと、色々やらかしてるからなぁ。怪しまれてもおかしくない、か。

 

「わかりました。それだけ聞けば十分です」

「いいの? 捕まえなくて」

「えぇ。スードリをスパイする目的じゃなかったですし。それに、あなたの素性をばらすのは、メリットよりリスクが多いですから」

 

 もしこれがスードリの機密を盗んだり、スードリに破壊工作をしたり、ロザミィに危害を加えようというんだったら、彼女の素性を暴いて捕まえることに躊躇はないんだが、俺のことを調べるのだったら全然セーフだ。

 むしろ、彼女の素性を暴こうとしたら、「なぜお前が知ってる!?」って話になって厄介なことになりそうだからな。最悪の場合、ニタ研(ニュータイプ研究所)に入れられる、なんてことになるかもしれない。それは本当に勘弁願いたい。

 

「本当にあなたは変わってる人ね。クワトロ大尉があなたを注目するのがわかる気がするわ」

「恐縮です。そうだ、もう一つ」

「何?」

 

 彼女の悲劇を阻止するためにもこれは言っておきたい。

 

「クワトロ大尉にのめりこむのはやめたほうがいいです。少なくとも、この戦いが終わるまでは」

「……」

「あの人はまだ迷走しています。それに過去の恋人たちにしがらみを持っている部分もありますし」

 

 ララァとかハマーン様とかな。外伝も含めれば、ナタリーさんも含むか。未来には、ナナイさんもいるし。本当に、もげろと言いたくなるほどの女性遍歴だ。それでいて、結局心の根っこではララァを求めてるんだから。しかも、女のほうから近寄ってくるんだからたちが悪い。俺は絶対に彼には惹かれんからな。何より、俺は元男なんだ。

 

「そんな彼に入れ込んだら、ろくなことにはならずに、サボテンの花を哀しく咲かせ、散らすことになってしまいますよ。せめて、この戦争が終わるまで、一線をひいてください」

「……あなた、いったい何者なの?」

「ただの元ティターンズの女性パイロットですよ、ただの、ね」

 

 そう言い残し、俺はシャワールームを出た。

 

* * * * *

 

 残されたレコアはシャワールームの中でしばし考え込んでいた。

 カレルの謎や底知れなさは、彼女の想像を超えていた。自分のことを知っていた(気づいていた、ではない。スードリの中では誰にも自分の本名は話していないし、スードリのクルーはみんな自分の本名を知らないはずである)ばかりか、クワトロ・バジーナ……シャアのことにまで詳しい。本当に、彼女はどこまで知っているのか。

 だがそれと同時に、そんな彼女に、レコアは何か不思議な魅力を感じていた。シャア以上に彼女に惹かれている自分を自覚した。

 

* * * * *

 

 さて、その翌日。ヒッコリーに接近し、アウドムラを補足した俺たちは、さっそく出撃した。

 ヒッコリーに向かう中で、俺はふとあることを思い出した。さっそくブラン少佐のアッシマーに通信を入れる。

 

「ブラン少佐、ちょっとお話が」

『何か? ファーレハイト少尉』

「アッシマーの技術情報を見て気づいたんですが、アッシマーは可変するときに、一瞬、胸部ハッチが無防備になる弱点があるみたいなんですよ」

『ほう……? 俺の副官、『褐色の姫』殿はMSの設計にも詳しいのか?』

「『褐色の姫』でもないし、副官でもないです。一般兵との戦いなら問題はないでしょうけど、エゥーゴのカミーユ・ビダンとかクワトロ・バジーナのようなエース相手だと、そこを狙われるかもしれないので、気を付けてください。差し出がましいですが」

『いや、指摘してくれてありがたい。自分の機体の弱点とかがわかれば、それだけ付け入る隙を減らすことができるからな。これからも何かあれば教えてくれ、『褐色の姫』』

「だから私は『褐色の姫』なんて言われるような人ではありませんって……」

『少佐、カレルお姉ちゃん、アウドムラからMS隊が出てきました』

『よし、話はここまでだ。やるぞ!』

「了解!」

 

 そして俺たちはアウドムラを守るMS隊と戦闘を始めた。

 

 激戦を繰り広げる俺たち。俺はあえて、コクピットを狙わずに、ライフルを持つ右腕や、メインカメラのある頭部、あるいは乗っているドダイを集中して狙うように心がけた。右腕を失えば、空中戦では無力になるだろうし、頭部を潰せば、サブカメラもあるとはいえ、目隠しをされたような状態にさせられる。そしてドダイを墜として墜落させれば、そのMSは高空に戻ってくることはできないだろう。

 

 そうやってできるだけ敵を殺さない戦いを続ける俺のガルバルディに通信が入る。

 

『カレルお姉ちゃん、すごいです。器用に腕や頭部を狙って……』

「別にすごいってわけじゃないけどね。無暗に殺生をしたくないってだけだよ」

『え……エゥーゴは空を落とす悪い奴らなのにですか?』

 

 やっぱり、洗脳の影響が強いんだろうか? 俺は内心でため息をつきながら返した。

 

「トップの奴らが悪いからって、下の人たちも全部悪いってわけじゃないんだよ? ロザミィは、もし少佐が悪いからって、私も悪い奴だと思う?」

『いいえ……。カレルお姉ちゃんは例え悪いエゥーゴの中にいても、良い人だと思います』

「そういうことだよ。悪の組織の人たちが全部悪いっていうのは、あくまで特撮番組だけのお話。みんな、組織の一員だからその組織のために戦ってるだけで、決して悪い心でやってるわけじゃないの」

『……』

「そんな人たちを悪いところにいるからって殺したらかわいそうだし、生かしてあげて、正しい道に連れて行ってあげたいと思わない?」

 

 そこで少しの沈黙。俺の言葉について、洗脳を受けてる身なりに、一生懸命に考えているみたい。

 

『わかりません……。でも、お姉ちゃんの言ってることは間違ってない気がします』

「そっか。ちゃんと自分で考えて答えを出すのはいいことだよ」

『はい……ありがとう、お姉ちゃん』

「いえいえ……と」

 

 と、俺は気が付いた。アウドムラの前に飛び出てライフルを構えるブラン少佐のアッシマー。その彼の機体に向かって、民間機が突っ込んでいくのを。

 しまった、アムロの特攻イベント、通称『アムロ再び』イベントがあるのを忘れてた!

 

「ブラン少佐、よけてください、後ろ!」

『後ろだと?』

 

 振り向いたブラン少佐のアッシマーにアムロの飛行機が突っ込んでいく。とっさにそれをかわそうとするが、かわしきれずにビームライフルを持つ右腕をもっていかれた!

 それでも、なんとか体勢を立て直し、円盤形のMA形態に変形する。

 

「少佐、大丈夫でしたか?」

『あぁ。だが、ちょっとしくじったな……』

「少佐、戦い続けて、もう燃料も弾薬も残り少ないみたいです。これ以上戦うと……」

『そうだな。スードリに自力で帰れなくなるかもしれん。それは避けたい。……よし、撤退するぞ!!』

 

 そして俺たちはスードリに帰還していった。

 背後のカメラの映像を、正面のスクリーンに出す。

 

 そこには、パラシュートで降下するアムロを回収する、カミーユのガンダムMk2の姿が映し出されていた。

 




ファンアート、ただいま募集中です!

* 次回予告 *
アウドムラは、ヒッコリーに接触するために、アメリカ西海岸に滞空する。
カレルたちは、アウドムラの考えを阻止するために、アウドムラに攻撃をかける。

「やらせません!!」

その末、上官の危機に、彼女は奮闘した。

『どうやらここまでのようだ。俺はお前たちの上官で』
「そこから先は言わせませんよ! ロザミィ、ギャプランでアッシマーを追って!」

次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』

第12話、『白い闇の下で』

刻の涙は、止められるか?

※次の更新は、11/20、17:30の予定です。

味方になったジェリド君。新しい愛機は何がいいですか?

  • ガブスレイ
  • バイアランカスタム(もどき)
  • ガンダムMk2
  • ネモ
  • メタス
  • オリジナル機体
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。