ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

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うわー!! ついに、ブラ公二期のUVすらも超えてしまいました!
本当に、Zガンダムというコンテンツに感謝です!><

そして、なんと12時のUA数が一気に1000に……すごすぎる……


スードリー編#04『シンデレラ』

「知ってると思うが、ブラン少佐が後方へ下がられたため、私がこのスードリの指揮を引き継ぐことになった。よろしいか?」

「はい」

「……はい」

 

 彼が怖いのだろう。ロザミィ……ロザミア・バダムが俺……カレル・ファーレハイトの軍服の裾を引っ張ってきた。

 確かロザミィは原作ではもっと凛とした女軍人って感じがしたのに、俺の妹(的存在)に収まってからは、怖がりや甘えたがりな面で原作よりも出てきているような気がする。刷り込みの影響なのか……?

 

 俺をはじめとしたクルーたちの前に立つ、薄茶色の髪の連邦軍軍服を着た男性。

 ベン・ウッダー大尉。ブラン少佐の副官で、彼のあとを継いで、このスードリ隊の隊長代理となった男だ。確かこいつ、原作ではミライさんを人質にしたり、ニューホンコン市街で戦闘に及ぶなど、悪い意味で職務に忠実、目的のためには手段を選ばないやつなんだよな、それでいて、なぜかクルーの数人が特攻に付き合うなど、変な人望のある男だったりもする。

 本当に、彼を補佐するのは大変そうだ。あのバスクの外道ハゲよりも物分かりがいいといいんだが。

 

「それと、新隊員を紹介しよう。先ほど、サイコガンダムとともにやってきた……」

「フォウ・ムラサメ少尉です。よろしくお願いします」

 

 そしてついに来た。水色の髪をショートにした少女。ちなみに声はC.C.(ゆ○なさん)(劇場版)ではなく、島津○子さん(テレビ版)だった。口調も、どこか劇場版ではなく、テレビ版に近いものを感じる。

 Zガンダムのヒロインの一人、悲劇の強化人間その1である、フォウ・ムラサメだ。

 カミーユと恋仲になるも、戦いによって引き裂かれ、しまいにはカミーユをかばって命を落としてしまう悲劇のヒロインだ。

 その境遇ゆえか、スパ〇ボでは、彼女が登場するほとんどの作品に、彼女を救済するイベントが用意されてるほど。それにしても、あるス〇ロボでは、彼女『がいる』状態で、カミーユでシロッコを倒すと、カミーユが精神崩壊するんだよな。あれはどういうわけだ。

 

 と。

 

「……っ」

 

 突然の鋭い頭痛。その痛みに、思わず顔をしかめる。

 

「どうしたのですか、カレルお姉ちゃん?」

「いや、大丈夫。ちょっと頭痛がしただけ……」

 

 でも今までそんなことはなかったのに、フォウが来たら頭痛が起こるなんてどういうわけだ……? もしかして、ロザミィと一緒にいたことが影響して、俺もニュータイプに? いやいやそんなバカな。

 

 そこに。

 

「ファーレハイト少尉」

「は、はいっ」

 

 ベン大尉から声をかけられた。

 

「ブラン少佐から話は聞いている。君にはこれから私の補佐として、色々助言などをしてもらいたい」

「はっ、わかりました」

「正直、俺は君のことは気に食わなかったが、君の実力や戦略眼などは評価しているつもりだ。よろしく頼む」

「はぁ……」

 

 うん、なんか少しはバスクのハゲよりは話がわかりそうだ。

 

* * * * *

 

 さて、俺の周囲に女性隊員が新しく加わったら、最初にすることは決まっている、らしい。

 そう、ロザミィを含めてのシャワータイムだ。

 

 さすがにスキンシップをするのは、フォウは苦手らしく、彼女だけは俺とロザミィの入っているのとは別のシャワー室に入っている。

 ……そして今回も、ロザミィのスキンシップがすごかった。毎回のことながら、理性が危うくぶっとびかけた。

 そういえば、フォウも身体がすごかったな。同い年の少女よりよく発達していた。だいぶ昔に彼女のピンナップが付録として出たというが、当時の若者たちがそれに夢中になったのもわかる気がする。出るところは出て、くびれてるところはくびれてて……。

 一応、それなりなものの、まだまだ発達途上な俺としては、実にうらやましい限りだ。

 

「ふぅ……」

 

 隣のシャワールームでシャワーを浴びているフォウがため息をつく。

 

「フォウ、こうやって一緒にシャワー入ったり、風呂に入ったりするの苦手?」

「はい……どうも慣れなくて」

 

 隣にいるフォウに話しかけると、そんな返事がかえってきた。やっぱり島○冴子さんの声で戸惑った声を出されると破壊力があるような気がする。

 

「そうなんだ。子供のころにこんなことしたことってないの?」

「……」

 

 向こうから沈黙がかえってきた。あ……しまった。確か彼女は……。

 

「……わかりません。私には、幼少のころの記憶がないので……」

「ごめん……」

 

 沈痛さと、戸惑いを秘めた声で、返事がかえってきた。

 そう。彼女、フォウ・ムラサメには過去の記憶がないのだ。作中では、強化による洗脳による影響だということが示唆されていた。フォウ・ムラサメという今の名前も、『ムラサメ』研究所の『四番目(フォウ)』の実験体という意味しかない。

 

 そんな彼女がティターンズに身を置く理由。それは……。

 

「それじゃ、その記憶のために軍に?」

「はい。研究所は、ここで功績を挙げれば、記憶を返してくれると約束してくれました」

 

 そこで少しの沈黙。

 

 ……やっぱりか。しばし考える。

 記憶……過去は大切だ。あるネゴシエイターも「記憶があるから人は自分の存在を確認できる」「記憶が失われれば人は不安から逃れられない」と言っている。

 だから、フォウの戦う理由もわからなくはない。だが、それが彼女の幸せにつながるかと問われればNoだ。

 ティターンズもムラサメ研も、彼女に記憶を返すつもりはない。適当なことを言って、彼女を使いつぶそうとしているだけだ。記憶を返せば、彼女は彼らの手を離れてしまう。ティターンズもムラサメ研もそれを許すはずがないのだ。記憶を返すのは、フォウが死んだその時だろう。

 このまま彼女が記憶を取り戻すことに固執したら、原作通りの結末を迎えてしまう。

 それに。

 

 彼女は記憶……過去に固執しているが、過去にばかり目を向けるのもよくないと思う。それは、その先にある未来を見失うことにつながるんじゃないだろうか。

 過去は変えることはできないが、未来は自分で作っていくことができるんだ。無限の可能性がある刻からの宝物、それが未来だ。

 

 できればフォウには、過去にではなく、未来にも目を向けてほしいのだが……。

 この先にある、『あの』出会いがそのきっかけになるか……?

 

* * * * *

 

「この作戦ではどうだろうか、ファーレハイト少尉?」

 

 その翌日、俺はウッダー大尉から相談を求められていた。ニューホンコンに到達したアウドムラに対する作戦についてだ。

 

「戦術的には問題はありません。市民を危険にさらすことを除けば。ただ、戦略的となるとどうでしょう?」

「戦略的だと?」

「はい。現在、ジャミトフ閣下は、ティターンズの権限を強化する法案の採決を目指している大事な時期です。そんな状況下で、市街戦に及べば、穏健派の票が反対に流れてしまう可能性があります」

「ふむ……」

「もちろん、恫喝にとられてこのまま賛成にいく可能性もありますが、法案の採決は不確定要素が増すことになります。ジャミトフ閣下はそうなることは望まないでしょう」

 

 まぁ、原作ではニューホンコンの件があっても法案は通ったわけだが。だが、市街戦による被害を少なくしたい俺は、法案やジャミトフの考えを使って、ウッダー大尉を説得させてもらう。人道的に反対しても押し切られそうだしな。

 

「なるほど……さすがはブラン少佐が認めただけのことはあるな。それではどうすればいいと思う?」

「ニューホンコンの郊外……沖合あたりに部隊を展開させ、攻め込む素振りを見せて、カラバをおびき出したらどうでしょう? 身近に戦火が迫れば、それはニューホンコン政府への恫喝になり、カラバをニューホンコンから追い出すことにもつながるかもしれません」

「なるほど。俺の作戦に手を加えた感じか。いいな。よし、その作戦でいこう」

 

 わかってくれてよかった。やっぱりウッダー大尉は、あのハゲメガネよりは話がわかる。

 

「作戦は、今日の2200に開始する。それまでは、見張り以外は自由時間とするので、英気を養っておくように」

 

* * * * *

 

 そして。

 

「あら? フォウ、どこに行くの? ニューホンコン市街に買い物?」

 

 16時。作戦開始まで寝溜めしていようと、自室に向かっていた俺は、外出の準備をしているフォウと出くわした。

 

「はい。何か、私を呼んでいるような、待っているような気がしたんです」

 

 それを聞いて、俺はピンときた。原作とはまた違った展開になっているが、それもまたよし。

 もしかしたらそれが、フォウが未来に目を向けるきっかけになるかもしれない。となれば。

 

「わかった……の前に、ちょっとこっちいらっしゃい?」

「え?」

 

 そして自室にフォウを招いた俺は……。

 

「し、少尉、外出するのにこれだけのお化粧は……」

「どんな出会いがあるかわからないでしょ? それに、オバタリ〇ンやコギ〇ルがしてる化粧よりはずっと質素よ」

「カレルお姉ちゃん、オバ〇リアンやコ〇ャルってなんですか……?」

 

 フォウの戸惑いの声や、ロザミィの質問の声を聞きながら、俺はカレルとしての記憶を引き出しながら、フォウにシンプルな化粧をしてあげた。この後、カミーユと出会ってデートするのなら、身だしなみはちゃんとしなければ。

 

「よし、できた」

「フォウ少尉、とってもきれい……」

「……」

 

 フォウは鏡に映る自分が本当に自分なのかというような表情で、目の前の鏡に映る自分を見つめ続けている。

 

「少尉……ありがとうございます」

「礼なんていいよ。あなたに少しでも幸せになってほしいと思ってやったことだから。ほら、行ってらっしゃい。2200には作戦が始まるから、2130ごろには帰ってくるんだよ」

「はい、行ってきます……カレル」

 

 そしてフォウは部屋を出て行った。

 そういえば今、俺のことを「少尉」とか「ファーレハイト少尉」とかではなく、「カレル」と呼んでくれたな。

 

* * * * *

 

 そしてそれから時間がたって、9時20分。

 フォウはなかなか帰ってこない。もうそろそろ作戦が始まるのだが……。

 

「フォウ少尉、戻ってこないでありますね、カレルお姉ちゃん」

「うん……。いくらデートが楽しいとはいえ、ちょっと心配だよね」

 

 と、何かが発進する音。なんだなんだと思って格納庫に行ってみると、サイコガンダムが発進していったじゃないか。

 ベン・ウッダーの奴、フォウが戻ってくるのが待ちきれなくて、サイコガンダムで連れ戻しに行ったな!

 

 俺は慌てて、ロザミィと一緒にスードリに配備されたアッシマー・アーグラに飛び乗って、その後を追った。

 

* * * * *

 

 そしてサイコガンダムに追いついたのは、ニューホンコンの公園の近く。

 その途中でウッダー大尉を見かけた。ということは、どこかでサイコガンダムに乗った後、この公園までさまよってきたんだろう。

 少しの沈黙、するとサイコガンダムは、公園を潰そうと拳を振り上げたではないか!

 

「待ちなさい!」

 

 俺は慌てて、サイコガンダムの前に回り込み、その拳を受け止めた。

 さすがサイコガンダム。すごい衝撃が、アッシマー・アグラのコクピットを襲う。

 

「落ち着きなさい、フォウ。そんなことをして何になるの!?」

「フォウ少尉、落ち着いてください!」

 

 そう止めている間に、後方からの敵機接近を知らせるアラームが。その敵機を見てみると……ネモとリックディアスと……ガンダムMk2じゃないか!

 カミーユ、タイミング悪いよ! あんたの役どころ、俺がとっちゃったよ!!

 

 敵の接近を察したサイコガンダムが立ち上がって応戦態勢をとる。

 

「待ちなさい、フォウ! 戦いは、沖合に移動してからよ! 後退しましょう!」

『わかった……』

 

 そして俺のアッシマー・アグラとサイコガンダムは、友軍が展開しているであろう沖合まで後退した。もちろん途中で、ウッダー大尉を拾うのも忘れない。

 

* * * * *

 

 そして、ニューホンコンの沖合まで後退したところで、そこで待ち構えていたスードリ隊と、カラバとの戦いが始まった。

 なお、ギャプランを失い、乗る機体がないロザミィと、途中でサイコガンダムを降ろされたウッダー大尉は、一度スードリまで戻って降ろしている。ウッダー大尉はすぐにマラサイに乗って出てきたが。

 

「ウッダー大尉。指揮官たるあなたが、前に出てこなくてもよかったのに」

『何を言っている。隊長たる者が前に出なければ、部下はついてこないだろう? それに、部下が命を懸けているのに、私だけが安全なところでお茶を飲んでいるわけにはいかん』

 

 ……なるほど。原作を見た時には、彼の特攻に数人の部下が同行していて、『どうして?』と思っていたけど、こうして彼の部下になっているとその理由がわかる気がする。

 

 確かに、目的のためには手段を選ばないヤバイ奴だけど、部下の意見は一応聞いてくれるし、このように上官の心構えもしっかりしてる。しかも、部下を守るという気概もある。それは確かに部下たちもついてくるな。

 俺も惚れてしまいそう……いやいや、ないない。俺は元男なんだ。

 

 何はともあれ、ニューホンコンの沖合では激しいMS戦が繰り広げられている。俺も、アッシマー・アグラを駆り、初めて乗ったばかりながらも、なんとか変形を駆使して敵を撃破していく。

 

 一方、サイコガンダムのほうを見ると、暴れるように攻撃してくるサイコガンダムに、ガンダムMk2がまるでそれを止めるように動き回っている。きっと、フォウに戦いを止めるように説得しているんだろう。それを止める気はない。任務であるとはいえ、俺はできればフォウにもロザミィにも戦ってほしくはないのだ。

 

 さて、そんな中ではあるが、戦いはスードリ側に極めて不利である。何しろ、向こうにはカミーユのほかに、アムロというエースもいるのだ。対してこちらは、最大戦力であるフォウのサイコガンダムが、カミーユに抑え込まれている現状。あまり芳しい状況ではない。

 

 かなりの激戦に、こちらの戦力が削られていく中、戦いは終わりを迎えた。ニューホンコン行政府からアウドムラに、退去勧告が出されたからだ。幸いにもこの戦いが、ニューホンコンへの恫喝へと捉えられたようだ。『これ以上カラバに肩入れするなら、次は市街戦をも辞さないぞ』という。

 その勧告を受け、カラバのMSたちはアウドムラに引き上げていった。

 

 俺はアッシマー・アグラを降りると、フォウのサイコガンダムに走っていった。頭部にあるハッチを開けると、そこにはうずくまって悩んでいるフォウの姿があった。

 

「フォウ、大丈夫……?」

「私は……私は……」

 

 カミーユとの出会い、戦場での戦いで迷い、悩んでいるのだろう。フォウはうずくまったまま、そうつぶやくだけだった……。

 




※ファンアート、募集しています!

* 次回予告 *

フォウは、戦闘の中で、自分のしていることに気が付いていた。それは人の性であろう。

「私はどうしたらいいかわからない……。記憶を取り戻したいといえばうそになるわ。でも私は、カミーユとは……いえ、もう戦いは……」

カレルはそんなフォウに新しい未来を見せるため、奮戦する。

「フォウ、ガンダムMk2の元に……いえ、カミーユのところに行きなさい」

そしてカミーユは、フォウとの意思のつながりを知りながらも、宇宙へと帰っていくのだった。

次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』

第14話『青海の脱出』

刻の涙は、止められるか?

※次の更新は、11/26 12:00の予定です。お楽しみに!

[今回登場新MS]
NRX-044B
アッシマーアグラ

ティターンズのアッシマー改修機『キハール』、その重力下仕様のデータを、アッシマー初期型(本作の世界ではブランのアッシマーは、アッシマーの初期型という設定です)に反映させた試作機。
テストデータに基づいた改修を施したことにより、機動性や格闘性能が、従来機より30%向上した。
脚部が従来型から変わっていることと、キハールから受け継いだ整流板が機体の各部にあるのが特徴。
後に、このアグラの運用データから、後期型(ダカールで一般兵たちが乗っていた機体)が開発されることになる。
なお、アグラとはヒンドゥー語で『次の』という意味。

味方になったジェリド君。新しい愛機は何がいいですか?

  • ガブスレイ
  • バイアランカスタム(もどき)
  • ガンダムMk2
  • ネモ
  • メタス
  • オリジナル機体
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