ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより 作:ひいちゃ
本当にZガンダムとフォウ人気様々です(平伏
さぁ、いよいよ第二部開始ですぞ!
今回は、前回から一気に、キリマンジャロ直前まで時間が進みます。
あと、フォウはアウドムラに引き取られてからは、雑用兼ブリッジの通信オペレーターとして働いている、という設定です。
キリマンジャロ編#01『謎のサイコガンダム』
スードリ撃沈から約3カ月後。カラバの母艦アウドムラは、ニューギニアからアフリカ大陸へと飛行していた。
目指すは、ティターンズ一大根拠地、キリマンジャロ基地である。
ここを陥落させれば、地上でのカラバ、エゥーゴ連合軍とティターンズの戦力バランスは一変する。そんなターニングポイントの一つとなる戦いだけに、今回の戦いでは、エゥーゴに支援を要請するとともに、カミーユのZガンダムと、クワトロ・バジーナの百式にも、降下してキリマンジャロ基地攻略に参加するよう要請を出している。
もっとも、カラバのリーダー、ハヤト・コバヤシが二人に降下を要請したのは、それだけが理由ではないのだが。
* * * * *
フォウ・ムラサメは最近、忙しい。忙しいが充実している。
あの日から3カ月経って、だいぶ変わってきた、と自分でも思っている。
多少のおしゃれはするようになったし、髪も少し長くなった。
ティターンズで、自分を兵器や実験体扱いしていた奴らと違って、アウドムラのクルーは、みんな自分を大切な仲間だと思ってくれている。
その温かさは、ムラサメ研究所やスードリにいたころとは大きな違いだ。まさに天国と地獄。
そこまで思い浮かべたところで、フォウは少し顔を伏せた。
アウドムラに移った時、生き別れた親友のことが、頭をよぎったのだ。
自分のことを親身に考えてくれた女性。
アウドムラの人達より前に、自分を兵器ではなく、一人の人間としてみてくれた女性。
そして、その命を張って、自分が止めてもなお、自分を守るために戦ってくれた女性。
彼女がいてくれたから、今の自分がいる。
彼女は愛機とともに炎に包まれ、孤島のジャングルに堕ちていったが、彼女は信じている。
あの人は死んでいない。きっとまた会える、と。
確証はないが、そんな予感がするのだ。
そう思った彼女の耳に、警報の音が届いた。
* * * * *
「遅れました! それで、どうしたんですか?」
ブリッジに飛び込んだフォウに、MS隊長のアムロがしかめ面をしたまま言った。
「キリマンジャロ基地から、このアウドムラに向けてMS部隊が発進してきた。そのうち一機はとても大型だが……」
そこに、オペレーターの一人がこちらを向いて報告してきた。
「敵、こちらの遠距離レーダーの範囲に入りました! 画像出します!」
「あぁ」
ハヤトがそう答えると、メインスクリーンに接近中の敵機の姿が映し出された。
「なっ……!」
その姿を見て、フォウは絶句した。アムロもハヤトも、信じられないものを見た、というような驚愕の表情を浮かべている。
漆黒の機体。機体の前面にある三基の拡散メガ粒子砲。まるで体育すわりをしているかのようなフォルム。
それはまさに、フォウにとって忘れられない機体。
そう、それはフォウがかつて乗っていた機体、縛られていた機体、MRX-009・サイコガンダムであった。
「あれはサイコガンダム……! 修復したのか、それとももう一機生産されていたのか……!?」
「いや、それよりも……」
ハヤトの言葉に、アムロも戸惑いの表情を浮かべながら言う。
「かつてのパイロットだったフォウはここにいる。なら、あれに乗っているのは一体……? 新しい強化人間なのか……?」
フォウが声を震わせながら言う。
「わかりません……。私がスードリに派遣された時点では、私が最後に調整された強化人間でした。その後に別の人が強化された可能性は否定できませんが……。でも……」
「どうした?」
「よくわかりませんが、あれに乗っているのは、知っている人のような気がするんです……。何、どうしてなの? 何か、嫌な予感がする……」
そこでアムロが表情を引き締める。
「とはいえ、あのサイコガンダムにアウドムラを落とさせるわけにはいかないな。ディジェで出る」
「あぁ、気を付けてくれ」
「わかってる」
ブリッジを走り去るアムロの姿を、フォウは不安そうな表情で見つめていた。
* * * * *
「アムロ・レイ、ディジェ、出る!」
アムロのディジェを筆頭に、カラバのMS部隊が、次々とアウドムラから発進していった。
「いいか、ここで消耗するわけにはいかない。全員、やられないように気をつけろ!」
『了解です!』
そして、MS部隊がサイコガンダムに襲い掛かる。
さっそく、サイコガンダムが拡散メガ粒子砲を発射! さすがアムロの部下たちだけあり、ほとんどの機体がそれを回避することに成功するが、運の悪い一機が、メガ粒子砲の直撃を受けて爆散した。
その後も、サイコガンダムは、アムロたちの攻撃を平然と受け流しつつ、アウドムラに向かう。まるで、アウドムラを落とすことが最優先目標だということをわかっているかのように。
「アウドムラを落とすつもりか、そうはいくか!!」
アムロはそれを追撃しようとするが、運悪く、サイコガンダムの僚機であるマラサイの攻撃を受け、出花をくじかれてしまう。
他の部下たちも、ティターンズのMSの相手が手一杯で、サイコガンダムへの追撃ができる状況ではなかった。
そしてサイコガンダムはついに、アウドムラの眼前に到着すると、MS形態に変形し、その腕部ビーム砲を突き付けた!
「!!」
* * * * *
サイコガンダムのパイロットは、躊躇することなく、眼前のアウドムラに腕部ビーム砲の照準を合わせる。心のどこかに違和感を覚えるが、そんなものは気にしない。トリガーを引けば、それで任務は終わりだ。
だが。
彼女は見つけてしまった。アウドムラのブリッジにいる水色の髪をした少女の姿を。
それを見てしまった彼女の指がとまる。まるで、彼女を殺してはいけないとわかっているかのように。
なぜなのか。『彼女』はその少女のことを知らないはずなのに。
だが、任務は任務だ、とそれでもトリガーを引こうとしたその時。
背部に着弾。やっと追いついたアムロのディジェがクレイバズーカで撃ってきたのだ。
やっと体の自由を取り戻した彼女は、背後を振り向き、拡散メガ粒子砲を発射する。アムロはそれを回避し、さらにもう一発、クレイバズーカを発射する。またも着弾。
さらに上空から二機のMSが飛来するのがレーダーに映る。敵の援軍だろう。
ならばこのまま戦い続けるのは不利。そう判断したパイロットは、サイコガンダムをMA形態に変形させ、僚機とともに飛び去って行った。
そしてそのサイコガンダムを、フォウはただ、手を組んで見つめ続けていた。
カミーユのZガンダムと、クワトロの百式が降下してきたのは、ちょうどその時である。
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* 次回予告 *
百式はZとともに、地球に降下した。そこでは、懐かしい顔との再会があった。
「カミーユ!」
「フォウ! よかった……生きてたんだね」
そしてキリマンジャロに潜入したカミーユとフォウは、そこに懐かしさを感じる仮面の娘を見た。
「……っ!」
「どうしたんだ。大丈夫か、フォウ!?」
「突然、鋭い頭痛が……この感じはもしかしたら……近くにあの強化人間がいるのかも……」
次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』
第17話『キリマンジャロに降る雪』
刻の涙は、止められるか?
※次の更新は、12/5 12:00の予定です。お楽しみに!
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