ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

17 / 36
キリマンジャロ編#02『キリマンジャロに降る雪』

「カミーユ!」

「フォウ! よかった……生きてたんだね」

 

 アウドムラのMSデッキに着艦したカミーユを待っていたのは、数カ月前に生き別れた恋人、フォウの抱擁だった。

 

「うん。カレルに助けてもらったの」

「カレルさんが……それで、彼女は?」

 

 そこで沈黙。それこそが答えだった。

 

「そうか……ごめん、フォウ」

「ううん、いいの。予感がするの。彼女は生きてるって」

「フォウ……そうだね」

 

 カミーユがそういうと、フォウはふわっと微笑んでうなずいた。

 

「あ……」

「どうしたの?」

「いや、今の微笑みがとてもきれいだったから……」

 

 その二人に、アムロが微笑んで茶化すように言う。

 

「あぁ、フォウはとても変わったよ。3ヶ月前と比べて、ずいぶん女の子っぽくなった。やっぱり、カミーユとの再会を待ち焦がれていたからかな? 本当に恋する女の子って感じだったぞ」

「あ、アムロさんっ」

 

 ほほを染めて反論するフォウ。場に微笑ましい笑い声が響く。そしてそれがおさまったところで。

 

「さて、これからキリマンジャロの攻略に挑むわけだが、いきなり大きな障害があらわれてしまった。のんきにしてばかりはいられない」

「あのサイコガンダムだな」

 

 ハヤトの言葉に、クワトロが返す。それを機に、MS格納庫が緊張で包まれる。

 

「でも、あのサイコガンダムはなんなんです? パイロットのフォウはここにいるのに……」

 

 カミーユの質問に、アムロが真顔のままで答える。

 

「わからん……。だが、かなりの強敵だというのは間違いなさそうだ。あの時も、僕が攻撃していなければ、アウドムラは沈んでいたぐらいだからな」

「今度のキリマンジャロでの戦いにも、奴が出てくる可能性は高いな。一筋縄ではいかないかもしれん」

「ですが……」

 

 そこでフォウがぽろりとつぶやいた。

 

「何か?」

「でももし、かつての私のように、望まずして強化され、戦わされてるのなら……助けてあげたい……。それに、あのサイコガンダムのパイロット、知っている人のような気がするの。そんな予感がするだけだけど……」

 

* * * * *

 

「ふむ、なかなかのようだな。フォウ・ムラサメを取り戻すことができなかったのは残念だが、彼女という強化人間が手に入ったのは、それを上回る幸運といえる」

 

 目の前に座る女性を見て、ジャミトフ・ハイマンはそう満足そうに言う。そのジャミトフに対し、ムラサメ研究所の所長、ムラサメ博士が、これまた笑みをこぼして言う。

 

「まったくですな。素晴らしい素材です。なんなら、まだ精神のブレが見られますので、洗脳や強化をさらに強化することができますが」

 

 だが、そのムラサメ博士の言葉に、ジャミトフは嫌悪感を表情にわずかに込めて言った。

 

「いや、その必要はない。これだけのニュータイプ能力があれば十分事足りる」

「しかし……」

「バスクも貴官も困ったものだ。元来強化人間への強化は、優秀なニュータイプ兵士を作るためであり、強化の研究は、人類をニュータイプへと導くための研究のはずだ。なのにバスクも貴官も、それらをただ自分の欲を満たすものだとみておる」

「……」

「そんなことでは、人類の革新はいつまで経っても来んぞ。まぁ、わしは人類の革新が遅くなっても、最悪なくてもかまわんのだがな。いいか、これ以上の強化は不要だ。現状のパフォーマンスを維持できるだけの調整で十分だ」

 

 そう言って、ジャミトフは去っていった。その後ろ姿を見たムラサメ博士は、ジャミトフに言いようのない畏怖を感じていた。

 この人は一体何を目指しているのか、何を考えているのか、まったくわからないし見通せないのだ。

 

 そこまで考えてムラサメ博士は、自分の背後の、色々な機材につながれた椅子に座っている女性に視線を向けた。

 仮面をかぶり……茶色の髪をポニーテールにしたその女性を……。

 

* * * * *

 

 そして、ついにキリマンジャロにやってきたカラバは、基地の攻略戦を開始した。

 アムロのディジェを先頭に、カラバのMS隊が次々とアウドムラから発進していく。

 

 そしてカミーユも出撃しようと、Zガンダムに乗り込もうとしたところで……。

 ノーマルスーツに身を包んだフォウがやってきた。

 

「待って、カミーユ! 私も連れて行って!」

「フォウ、でも外は危険だ。君はここで待っていたほうがいい」

「私は大丈夫。ニュータイプ能力はスードリにいた頃より弱くなってきてるけど、足手まといにはならないわ。あのサイコガンダムのパイロットに会わなければならない気がするの。お願い!」

 

 フォウに懇願されて、しばし考え込むカミーユ。そして。

 

「わかったよ、一緒に行こう」

「ありがとう!」

 

 そして二人でZガンダムに乗り込む。

 そして。

 

「カミーユ・ビダン、Zガンダム、行きます!」

 

* * * * *

 

 まさに激戦だった。

 カラバのネモと、ティターンズのハイザックやマラサイ、新しく配備されたバーザムとが激しく銃火を交えあう。

 

 そして、カミーユのZガンダムにも。

 

「カミーユ、後ろ!」

「!!」

 

 フォウの声を受けて、カミーユが機体を回避させる。Zがいたところをビームが通り過ぎて行った。

 

「このっ!」

 

 そしてZを今撃ってきたマラサイのほうに向けてビームライフルを発射! マラサイは胸部を撃ち抜かれて爆散した。

 そこに。

 

『こちらクワトロ。キリマンジャロ基地に潜入する』

 

 その通信を聞いた、カミーユとフォウが向き合ってうなずきあう。

 

 岩場の陰に着陸した百式。その横の岩場に、カミーユはZガンダムを着陸させる。

 Zガンダムを降りたカミーユとフォウは、同じく降りてきたシャアと共に、基地内に潜入するのだった。

 

* * * * *

 

 基地に潜入した、シャア、そしてカミーユとフォウの三人。

 だがある程度歩いたところで、警備兵の出迎えを受けた。たちまち銃撃戦が始まる。

 

 だが、警備兵は次々と数を増していく。このままでは数で押し切られるのは目に見えていた。

 

「やむを得ん。ここからは二手に分かれよう」

「わかりました」

「はい」

 

 そして、三人は二手に分かれて、銃を撃ちながらそれぞれ別の通路に走っていった。

 

 基地の中を走り回るカミーユとフォウ。その時。

 

「……っ!」

「どうしたんだ。大丈夫か、フォウ!?」

「突然、鋭い頭痛が……この感じはもしかしたら……近くにあの強化人間がいるのかも……」

 

 見ると、部屋の一角に灯りがついていた。銃を構えながら、近寄っていく。

 

 そして部屋に入った二人は突然、銃撃の洗礼を受けた。足元に二発の銃弾が着弾する。

 

「誰だ、エゥーゴの者か!? それともカラバか!?」

 

 聞き覚えのある声に、フォウが衝撃を受ける。それとカミーユも。

 

 そして部屋の奥から現れたのは……。

 

 茶色の髪をポニーテールにした、童顔の、仮面をかぶった女性だった……。




* 次回予告 *

「私はカレルではない。K……。ティターンズの意思の代行者である」
「カレル、私がわからないの!? フォウよ! フォウ・ムラサメよ!」

仮面の女性はサイコガンダムから離れることができない。ただ、その運命を呪うことも知らないまま、巨人と運命を共にするしかないのだろうか……?

「うるさい! 私は『K』……。ティターンズの意思を遂行するもの……カレルではない!!」
「うるさい! お前は私ではない! 引っ込んでいろ、『カレル・ファーレハイト』!!」

人の革新はまだ遠いのか?

次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』

第18話、『永遠?のカレル』

刻の涙は、止められるか?

※次の更新は、12/8 12:00の予定です。お楽しみに!

味方になったジェリド君。新しい愛機は何がいいですか?

  • ガブスレイ
  • バイアランカスタム(もどき)
  • ガンダムMk2
  • ネモ
  • メタス
  • オリジナル機体
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。