ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより 作:ひいちゃ
でも、それだと文章中ではただの男主人公にしか見えないし、かわいくないしと考え、結局今まで通りにさせていただきました。
それと、カレルの人格についてですが
(洗脳前) 『俺』と『カレル』がほぼ融合した状態。思考のベースは『俺』、ふるまいなどは『カレル』という感じ。一方、『俺』の感じたことなどは『カレル』にも伝わっています。
(洗脳中) 『俺』と『カレル』の人格が分離。主導権は『カレル』に奪われ、『俺』は『カレル』の感じたことなどは伝わりますが、身体に影響を与えることはほとんどできません。
(現在)『俺』と『カレル』は分離しながらも協調しています。二つの人格同士は、脳内で会話することも可能です。また、時と場合に応じて、人格の片方に感知を任せたり、身体の主導権の一部または全部を別の人格に任せることも可能。ただ、主導権を握っていない人格の反応は、身体に影響を及ぼすこともあります。(赤面すると身体も赤面するなど)
カミーユたちに救助された俺……カレル・ファーレハイトを回収したアウドムラは、連邦首都ダカールへ向かっていた。おそらく、シャアにダカール演説をさせるためだろう。
その途上。アウドムラの独房にて。俺は、カミーユとクワトロ・バジーナ……シャアから説得を受けていた。
「やっぱり、エゥーゴに入ってはくれないんですか?」
「えぇ、申し訳ないけど……。私はこれまでサイコガンダムに乗って、エゥーゴやカラバの人たちを殺したり、街を焼き払ったりしたわ」
「でもそれは、洗脳されたためで……」
「えぇ、そうだけど。でも、そんな私がまたエゥーゴに入るなんて、虫が良すぎる。あなたたちはともかく、エゥーゴやカラバの兵士たちが納得しないでしょう」
そこで少しの沈黙。そこでシャアが。
「だがそれは、自分の犯したことの責任から逃れてるだけではないかな? 本当に君がそのことを悔やんでいるのなら、一般兵たちに反発されたりするのを覚悟のうえで、参加すべきではないだろうか。それが君のしたことに対する償いだろう」
「……」
確かにシャアの言う通りだ。俺は、虫が良すぎることを理由にして、一般兵や犠牲者たちから目を背けているだけなのに過ぎないのかもしれない。それは、かつてシャアがアムロに言ったように、『ティターンズに手を貸す』こと、そして『償いから逃げる』のに他ならないのだろう。
「……一つお聞きしたいのですが、クワトロ大尉」
「何かな?」
「私が洗脳されている間、どんなことがありましたか?」
私が聞くと、シャアはそれまでに起こったことについて詳細に語ってくれた。
シロッコの登場。
アポロ作戦。
ブレックス准将暗殺。
グラナダへのコロニー落とし未遂
再びの毒ガス作戦(これは原作とは違い、成功してしまったそうだが)
アクシズの到来。
すべて、俺が前世で見て、知ってる原作の通りだった。
それを知らされて、俺は考える。
もうここまで来てしまった以上、ティターンズはもはや、ジャミトフの意図から離れた組織になってしまったのではないか。
少なくとも、俺がいたころのティターンズはもうなくなってしまったと思わざるを得ない。
ならば、そのティターンズを倒すのに力を貸すのが、同じティターンズだった俺のするべきことであり、これまで犯してしまった罪の償いではないだろうか。
例えシャアの言う通り、その途中で、エゥーゴやカラバの兵士たちに、白い目を向けられることになったとしても。
それで覚悟は固まった。
「わかりました。協力します」
「カレルさん……!」
「ティターンズはもはや、私から見ても許すことのできない組織に変貌し、それはもはや改めることはかなわないと判断しました。なら、それに引導を渡すのに力を貸すのが、私……いや、俺のするべきことだと思いますから」
決意を表す意味も込めて、あえて『私』ではなく『俺』と、素の話し方に戻って伝える。
そして、心の奥底にいるもう一人の俺……『カレル』に心の中で謝る。
―――ごめんな、『カレル』。もう少しお前に苦しい思いをさせることになるが……。
―――いいえ。私もこれ以上の悲劇は生み出したくありませんから。何より、あなたが苦しみや痛みを分かち合ってくれるから、私はいくらでも耐えられます。
―――ありがとう。
「そうか、感謝する。我々エゥーゴは、君を歓迎しよう」
「ありがとうございます。一般兵の人たちにも歓迎してもらえるかはわかりませんが……。そういえばクワトロ大尉、一つお伝えしたいことがあります」
「? 何か?」
これだけは伝えなくてはならない。それを阻止できるかどうかはわからないが、伝えておかなければ、悲劇が起こるのは確実なのだ。
「実は、ティターンズはグリプス2で恐ろしい戦略兵器を作っているのです」
「戦略兵器? それは……」
「あなたにも関係のある兵器のはずです。なぜならそれは……ソーラ・レイ、コロニー・レーザーなのですから」
「なんだと……!?」
シャアとカミーユの表情が驚愕で固まる。それはそうだろう。
一年戦争の中で最強最悪の戦略兵器、それが再び作られようとしているのだから。
「本当なのか、それは……?」
「はい。どこまで完成しているかはわかりませんが、遅くても12月7日には、使用可能なレベルに入っていて、サイド2を目標にして発射する予定のはずです」
「なんてことだ……」
18バンチという、詳細な目標はあえて言わない。そこの住民を脱出させたところで、それに気づいたティターンズは別のコロニーを目標にするに決まっているからだ。
「わかった、情報感謝する。ただちに、アーガマに連絡して対処をお願いしておこう」
「よろしくお願いします、クワトロ大尉。ところで、アクシズとの会談はどうだったんですか?」
「……」
そこでシャアは目をそらした。ああ、やっぱり「よくもミネバをこうも育ててくれた!」したのね。
一応カミーユにもあれを聞いておくか。これは、ロザミィにもかかわることだからな。
「ところでカミーユ、その場にレコアさんはいた?」
「いえ、その時レコアさんは、ティターンズからの脱走兵を、サイド6まで避難させる任務についていましたから」
それを聞いて一安心。
ロザミィが無事にサイド6に避難した意味でも、レコアさんがティターンズに寝返らなかった意味でも。
* * * * *
そして、ダカールが近づいてきた。
カラバのパイロットたちが、MSに乗り、発進準備を進める。俺もノーマルスーツを着て、与えられたリック・ディアス(おそらくはアムロがかつて乗っていた機体)に向かう。
パイロットや整備兵の視線が不信に満ちていたのはわかっていた。軽蔑にまで至ってないのは不幸中の幸いだが、それでも結構堪えるものはある。
と。
―――あなたも一人で抱え込まないでください。あなたの感じる辛さ、苦しさも、私が一緒に分かち合いますから。一緒に向かい合っていきましょう。
―――うん、ありがとう。それを聞いて、いくらか救われるよ。
なんかここまでくると、『カレル』が俺のヒロインみたくなってきたな。と、『カレル』が赤面した感じがした。
そこで。
「カレルさんも出撃ですか?」
と、言いながらカミーユがやってきた。その後ろからはアムロも続いている。
「うん。よろしく頼むね」
「はい。そういえば、あの時は、話し方が男っぽかったですね。フォウも驚いてましたけど」
ああ、そうか。アレキサンドリアで会ったころは、まだ女っぽい話してたころだもんな。
俺は思わず、苦笑して返す。
「変? 女なのに男っぽい口調で」
「いいえ。カレルさんも、その話し方が好きなんでしょう?」
ああ、そうか。
確かカミーユは、スードリーの決戦の時、フォウとの会話で、女っぽい自分の名前のコンプレックスを振り払って、好きになれたんだもんな。俺を、そんな自分に重ねているのかな?
俺は微笑んで返した。
「うん、大好きだよ。でも、こっちの話し方も好きだけどね」
「よかったです。お互い、頑張りましょう」
「うん、頑張ろう」
そういえば、カミーユの表情がどこか明るく、やわらかい。
きっと原作では、フォウの死という出来事があったから、気持ちも沈みがちだったのだが、今回フォウが無事だったから、そのおかげだろう。
この調子で、精神崩壊イベントがなければいいが……いや、油断は禁物だ。注意しなくては。
そして俺はカミーユと別れ、リック・ディアスに乗り込んだ。
「カレル・ファーレハイト、リック・ディアス、出る!」
* * * * *
俺を含めたカラバのMS隊は、ダカールの上空でティターンズのMSを戦闘を開始した。
リック・ディアスを駆り、ティターンズのMSたちと渡り合う俺の視界の片隅に、ダカール市街に走っていく車が見えた。おそらくはシャアとベルトーチカの乗った車だろう。
それを見とがめて接近していくティターンズのマラサイを、俺はクレイバズーカで撃ち落とす。
あのスードリー特攻の時に感じたあの高揚感が、俺を再び包み込もうとしていた。俺が本来望んでいた『世界のための戦い』だからだろうか。
「さぁ、どこからでもかかってきなさい! 演説の邪魔はさせないよ!!」
そして奮闘する俺の耳に、放送の音声が飛び込んでくる。シャアの演説の声だ。
それをBGMに戦い続ける俺の後ろから、ビームが発射された。
「!!」
それをかわして、ビームの方向に方向転換する。そこには、新手のMSの群れがいた。おそらく、ジェリド率いるメロゥドのMS隊だろう。
きっと彼らは、放送中継施設を襲うはずだ。議事堂のことはアムロたちに任せて、こちらは中継施設を守るのに向かったほうがいいだろう。
そう判断し、俺はリック・ディアスを乗せたドダイを、メロゥド隊に突撃させる。俺の意図を察したカラバのMS隊の一部も、俺の後に続いたのだった。
* * * * *
そこで、俺はあり得ないものを見た。1機の濃紺のバーザムらしきMSが、カラバのMSと戦いながら、地上を攻撃していたのだ!
まるで、その様子は、戦いのついでに、逃げ惑う人々を殺害するのを楽しんでいるかのようだ。
俺の全身を義憤が駆け巡る。こんなことを許してはいけない!
そこに、カミーユのZガンダムも駆け付けた。
『あいつは……!』
「知っているの、カミーユ?」
『はい。サイド2の毒ガス部隊を指揮していた奴です。あの時はハイザックでしたけど……』
と、そのバーザムも、俺たちに気が付いたようだ。こちらに向きなおり……憎々し気な敬礼をした。あのしぐさは!!
「あいつはもしかして……!」
『カレルさんも気が付きましたか? あいつが母さんを……!』
「うん、間違いないね。だが、怒りに飲み込まれちゃダメだよ、カミーユ。怒りに飲み込まれるとそこを突かれる」
『はい!』
そして、俺たちは、バーザムとの戦闘に入った。バーザムはSFSに乗っていないながらも、ジャンプなどを駆使し、またある時にはビルを踏み台替わりにするなどして攻撃をかわしたりしながら、こちらに攻撃を仕掛けてくる。
戦っているうちに、そいつの動きの癖を見て、あることに気づいた。まさか、あいつか! あいつも転生していたのか!
「あいつの動き、まさか……!」
『カレルさんも、あいつを知っているんですか?』
「うん、詳しくは言えないけど……」
その動きを見間違えるわけがない。
俺の前世での悪友。いや悪友というのもおこがましい。何しろ、そいつは俺たちのゲーム友達の輪にすら入っていないんだから。
俺たちがガンダムゲーをしていることをかぎつけると、どこからともなくやってきて強引に割り込み、俺たちを蹂躙して、高笑いとともに去っていく。とんでもないゲーム荒らしだ。
それでいてガンダムゲーがすごく得意で、さらにまるでそれが本性(いやきっと本性なのだろう)であるかのようにヒールプレイを好む。煽ったり罵倒したりするのは当たり前で、ひどいときには攻撃の邪魔になる友軍機にフレンドリーファイアをぶちかまして、敵ごと葬るなんてことも茶飯事。
俺たちゲーム仲間に忌み嫌われており、当時俺たちはどうやってあいつに気づかれずにプレイするか頭を悩ませたものだ。
そんなあいつが、まさかここに転生してくるなんて。どんな運命の皮肉だよこれは!
そんなことを思い出しながら戦う俺たちに、通信ではなくスピーカー音声で声が聞こえてくる。
『ちっとは腕をあげたか? 赤ん坊坊ちゃんがよぉ? ヒャーハハハァ!!』
声は違うが、口調からして間違いない。あいつで確定だ。本当に最低な奴だ。
『き、貴様!』
「待って、カミーユ!」
激昂したカミーユがビームライフルを撃ちながら突撃していくが、奴のバーザムはこともあろうか、足元の自動車の群れを蹴り上げて目くらましにしてきた! なんて奴だ!
ゼータがそれにひるんでいるうちに、バーザムはジャンプして上空からゼータにビームライフルを撃とうとしてきた。やらせるかよ!
俺は奴の後ろからドダイを突撃させてぶつけてやり、さらに上からビームサーベルで切りかかった! ライラさんやマクマナス大尉、ブラン少佐にもまれて鍛えてきた腕をなめるなよ!!
ドダイに激突されてバランスを崩したバーザムに斬りかかる。うまくいけば、一刀両断できたのだろうが、さすがは奴というべきか、そのヤザンかと見間違うかのような野獣の勘みたいなもので機体をとっさに回避させ、バーザムの右腕を斬り落とすだけにとどめた。
「ちっ、遊びすぎたか。まぁいい。また会おうぜぇ、今度こそこの俺、ルブラ・フェーゴがなぶり殺しにしてやるよぉ!!」
そしてなんと奴は、友軍機を殴り飛ばしてドダイを奪うとそのまま去っていった。
『ま、待て!』
「追っちゃダメ、カミーユ。私たちの目的は議事堂と放送設備を守ることだよ」
『はい……。ルブラ、必ずお前を倒す……!』
そのカミーユの決意の声を聴きながら、俺は接近してきたマラサイをクレイバズーカで撃ち抜いた。
* * * * *
その次の日、俺は再び宇宙に向かうシャトルの中にいた。他の座席には、クワトロ・バジーナことシャア、そしてカミーユ、フォウの姿もある。
作戦は成功したのだが、すぐにコロニー・レーザー阻止に向かうことがあるため、作戦成功の祝賀会への出席をキャンセルし、すぐに宇宙に向かうことにしたのだった。
ちなみにあの戦いの後、俺はその奮闘が評価されて、カラバの面々から信頼を得た。MS格納庫に戻ってきたときは、もうみんなにもみくちゃにされたものだ。うれしいようなこそばゆいような。だが、悪くはない気持ちだった。
でも、これに甘えてはいけない。この程度ではまだ、俺の犯した罪を全部償うことにはならないからだ。俺の生涯を全て費やしても、償いきれるものではないかもしれない。だが、俺はそれでも償っていかなくてはならない。
そう決意を新たにする俺の後ろの座席で、シャアがカミーユに、宇宙移民のことについて話していた。スペースノイドの得た新たなセンスと、ニュータイプの開花、それらが希望、という話は、俺が原作で聞いたのとまったく同じだった。
それとは別に、俺は宇宙について思う。
俺の前世では、人類は民間の宇宙船を衛星軌道上に送り込むのがやっとで、この宇宙世紀のような宇宙移民なんて考えもしないレベルだった。宇宙は俺たち人類にとって、未知のフロンティアだったのだ。
一方、この宇宙世紀におけるは地球圏の宇宙はフロンティアではなく、人々が暮らす第二の大地だ。まさに俺たち前世の人たちが夢見たものがここにある。しかしその代償なのか、宇宙世紀の人々はこの宇宙まで戦いの舞台としてしまった。
それは俺たち、宇宙進出を夢見た前世の世界の人たちにとっては、悲しいことだ。
一刻も早くこの戦いを終わらせたい。そして、この宇宙を人々が自由に平和に暮らせる世の中にしたい。
それが前世の世界から転生してきた俺の夢、目標だと思う。
―――そのために頑張ろうぜ、『カレル』
―――はい。
その決意と思いを乗せ、シャトルは衛星軌道上へと上がっていった。
ただいま、ファンアート募集中です!
というか、ファンアートの受付って、どういう風にするんだろ?
また、ルブラ君の専用機の名前のアンケートをはじめました!
協力してくれると嬉しいです。
その他の場合は、活動報告の募集スレのほうに書いてくださいませー
※ちなみにその専用機の原型はバウンド・ドッグの予定です
それでは次回予告です!
* 次回予告 *
カレルたちは、軌道上に待機するアーガマと合流するために、宇宙へと戻った。そこでは、懐かしい顔が、嬉しい驚きをもって彼女を待っていた。
「あっ! ボスニアからカレルさん宛てに入電です。『あなたの帰還を歓迎し、祝福する。巡洋艦ボスニア一同」
しかし、敵の攻撃を排除する間に、カレルはまた前世からの刺客、あの男の襲撃を受けるのだった。
『そら、お遊びはこれで終わりだ!』
次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』
第20話、『ボスニア再び』
刻の涙は、止められるか?
※次の更新は、12/14 12:00の予定です。お楽しみに!
今回出てきた新キャラの外道悪役、専用機の名前はどれがいいですか?
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オル・トロス
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ノートゥング
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ヒュドラー
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その他