ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより 作:ひいちゃ
打ち上げられて宇宙に出た俺たちを乗せたシャトルは、無事にアーガマに収容された。
ちょうどそこでヤザン隊の襲撃を受けたが、それもなんとか切り抜けた。
原作では一話使う話だったんだけどなぁ……。
まぁ、それはおいといて。
アーガマに到着した俺は、さっそくブライトさんをはじめとしたエゥーゴの面々に迎えられた。
「君がカレル君だな。このアーガマ艦長のブライト・ノアだ。我々は君を歓迎する」
「あ、ありがとうございます」
思いっきり緊張している俺……カレル・ファーレハイトを責めないでほしい。
何しろ、ファーストガンダムからこのZ、ZZ、逆襲のシャア、UC、そして閃ハサと、一連のシリーズに出ている、(ガンオタな俺の中での)有名人なのだ。
ちなみに声は、ジェレミアの中の人ではなく、鈴置洋孝さんだった。
うう、鈴置さん……。
「ん? カレル君、どうして泣いているのだ?」
「い、いえ、なんでもないです」
亡くなられた鈴置さんのことを思い出してしんみりしてしまった。
そこで俺は咳払いをして。
「そういえば、コロニー・レーザーのほうはどうなりました?」
「あぁ。現在、グリプス2に工作員を派遣して、情報を収集してもらっている。あちらから報告が入り次第、我々も行動を開始する予定だ」
「なるほど」
まぁ、情報も何もない状態で突撃してもやばいしな。
工作員を派遣した、と言ってたが、誰を派遣したんだろう? レコアさんかな?
俺がそう思っていると。
「艦長、連邦軍の巡洋艦が接近! こちらに投降のサインを出しています」
「なに、どの艦だ?」
「はい。ルナツー所属のボスニアと名乗っています」
ボスニア。これはまた、懐かしい艦が来た。
ボスニアは、地球に降下する前、俺が所属していた艦であり、俺の恩師、ライラ・ミラ・ライラが乗っていた艦である。その艦や艦のみんながエゥーゴに合流してくれるなんて、こんなにうれしいことはない。
と、そこでオペレーターのトーレスさんが。
「あっ! ボスニアからカレルさん宛てに入電です。『あなたの帰還を歓迎し、祝福する。巡洋艦ボスニア一同」
それを聞いて、また涙腺が崩壊しそうになる。あれ、頬から熱い水が……。
とそこに、エマさんがハンカチを差し出してくれた。
* * * * *
「やっと戻ってきてくれたか、カレル。信じて待っていたぞ」
「でもカレル少尉、前いたころよりちょっとガサツになっていませんか?」
ボスニアに移乗した俺はさっそく、ボスニアのMS隊長、ヴァン・マクマナス大尉と、MS隊のムードメーカーのジョッシュ・ミレットをはじめとした隊員たちの歓迎を受けた。
やっぱりホームグラウンドというのはいい。スードリーにいた頃も悪くはなかったが、ボスニアの雰囲気はそれに勝るものがある。
「はい。これからよろしくお願いします。それとジョッシュ、あとで〆ますからね」
「なぜっ!?」
ガサツは余計だ。
と、そこで。
「さて、カレルが戻ってきたばかりでなんだが、我々はこれからアーガマとは別行動でサイド2に向かう」
「……何があったのですか?」
「うむ。ティターンズの一部部隊が、サイド2に向かっているという報告があったのだ。コロニー・レーザーに関しての動きらしい」
あぁ、そうか。
確か、コロニー・レーザーが完成した時、コロニー・レーザーをグラナダに接近させるにあたり、陽動のためにサイド2に毒ガス攻撃を仕掛けたんだったか。確かにそれは阻止しなくては。
「それは確かに向かわなければなりませんね。奴らがコロニーに毒ガスをまかないとも限りませんし」
「そうだな。奴らならやりかねん。そういえばもう一つ、お前のほかに、ボスニアに補充兵が入ることになった」
「補充兵?」
「そうだ。入れ」
マクマナス大尉に言われて入ってきたのは……。
「……カツ・コバヤシです。よろしくお願いします」
エエエエエエ!? カツ!? カツナンデ!?
まさかここでこいつがやってくるとは思っていなかった!
―――知っているのですか?
―――ああ。こいつのせいで、どれだけイライラさせられたか……。
―――……気持ち、お察しします。
俺の脳内会話に気づくよしもなく、マクマナス大尉は話を続ける。
「元はラーディッシュに配属されていたのだが、ちょっと難ありとのことでな。このボスニアで鍛えなおしてやってくれ、とのことだ」
ヘンケン艦長、カツのわがままぶりに手を焼きすぎて、こっちにパスしてきたな……。
本当にカミーユの縮小版ともいえるカツの暴れっぷりで、原作では大変なことになった。
無断出撃は当たり前、捕虜の美少女(サラ)に逆に誘惑されて逃がしてしまったり。勝手にグワダンに潜入したり。
もう、劇場版のカミーユか、ロランの爪の垢でも飲めと言いたい。
「そういうわけで彼の教育は、カレル少尉、よろしく頼む」
「ええっ!?」
そんな気軽に教育係を頼まれても困る。
もしこいつに矯正の余地があったら、原作で最後までいろいろやらかすことはなかったはずだ。
「そんなこと言われても……。いっそ、ティターンズにのし付けてくれてやるか、手足を外したザクに乗せて大気圏突入させるか、それとも……」
「こらこら」
「カレル少尉、何不穏なこと言ってるんすか」
―――……さん、それはちょっと……。
思わず物騒なことを口走ってしまい、マクマナス大尉とジョッシュ、そしておまけに脳内の『カレル』にまでに止められてしまった。
しかし、劇中の彼のしでかしたことを思うと、そう考えられても仕方ないと思うんだけどなぁ。
まぁ、仕方ない。今回のカツが劇場版かもしれないし、もしかしたら確変を起こしていい奴になるかもしれない。
一応、面倒を見てやることにするか。
「そういうわけで、私が君の教育係になったっぽい。よろしく頼むね」
「……ふん」
生意気な態度をとったカツに、俺がコブラツイストをかけたのは言うまでもない。
そこに警報が鳴った。
* * * * *
宇宙を、エゥーゴ艦隊に向けて飛行するバーザム隊。その先頭を行くルブラ・フェーゴが舌なめずりをしながら言う。
「いいかお前ら! ガンダムは俺の獲物だ! 手を触れるんじゃねぇぞ! 邪魔したら例え味方でもぶち抜くからな! お前らはそこらへんの雑魚でも処理してろ!」
『は、はい……!』
そしてまた舌なめずりをして、スティックを握りしめる。
「くくく……今度こそいただくぜぇ……! Zガンダム……!」
* * * * *
リック・ディアスで出撃した俺を始めとするエゥーゴのMS隊に向かってくるのは、ティターンズのバーザム隊だった。しかも、先頭の奴は濃紺の機体。奴か!
ルブラの機体は、俺には目もくれず、Zに向かっていく。ルブラの奴、カミーユしか見えていないようだ。
無視されたようで面白くないが、俺のところにもバーザムが数機接近してきている。『こいつらとでも遊んでいろ』ってことか。本当に嫌すぎる奴だ。
だが、俺たちボスニア隊に向かってきたバーザム隊はなかなか手練れだった。二機一組のコンビネーションで、こちらを翻弄してくる。
『うわあ!!』
あ、出撃していたカツのメタスが、バーザム隊の攻撃で足を吹き飛ばされた。やはり彼には早すぎるか。
助けにいってやりたいが、俺も二機のバーザムの相手で手一杯だ。
クレイバズーカを撃つが、それはあっさりかわされ、また別のバーザムが別の方向からビームを撃ってくる。からくもこれをかわす。こいつら、本当にルブラの部下か? チームワークが良すぎだ。
と、そこに。
―――下です!
「!!」
『カレル』の声に反応して、クレイバズーカを下に撃つ。その弾は見事、敵のバーザムを撃ち抜いた! バーザムが爆散する。
―――ありがとう、『カレル』。おかげで助かった。
―――いいえ。言ったはずですよ。一緒に向き合っていきましょうと。この戦い、二人一緒に戦い抜いていきましょう。
―――あぁ、そうだな。
俺が戦っているバーザムが残り1機になったこともあり、心にいくらか余裕ができる。となればあとは難しくはない。
バーニア全開で、残ったバーザムに飛び掛かっていく。敵のビームライフルをかわし、ビームサーベルで左腕を斬りつける。さらに右腕もビームサーベルで一刀両断! 無力化に成功した。
さて、カツを助けにいってやるか。
* * * * *
ルブラのバーザムは、まるでカミーユをいたぶるように攻撃を仕掛けていく。エース向けの改造を施されたらしいバーザムは、カミーユの攻撃を軽々とかわしていく。
『ほら、どうしたどうした! 大したことねぇなぁ、おい!』
「くっ……!」
ビームサーベルの斬撃で、ビームライフルを切断される。
『そら、お遊びはこれで終わりだ!』
と、そこに。
『!!』
ビームが飛んでくる。バーザムがそちらを見ると、ロベルトのリック・ディアスが飛んでくるところだった。
『大丈夫か、カミーユ!』
『邪魔が入ったか。ならばまずはお前から喰ってやるよ!』
バーザムはリック・ディアスに突撃。すれ違いざまに右腕を切断。そして飛びずさるとビームライフルを乱射。
リック・ディアスは左腕と両足を次々に撃ち抜かれ、最後に胴体を撃ち抜かれて爆散した。
「ろ……ロベルトさああああぁぁぁん!!」
『へへへ……邪魔をするからこうなるんだ!』
勝ち誇ったような笑みを浮かべるルブラ。
だが、余裕なのはそこまでだった。
二機のバーザムを倒し、カツを助けたカレルのリック・ディアスが駆け付けてきたからだ。
* * * * *
「戦いをゲームとみて、命も駒と同じ感覚……許せないな、ルブラ・フェーゴ!」
思わず、素の口調に戻って言い放ちながら、クレイバズーカを撃つ。それをかわしたところに、Zがビームサーベルで切りかかる。
だが、カミーユは、目の前でロベルトを殺されたことで、冷静さを失っているように見える。
案の定、Zが大振りでビームサーベルを振るうが、ルブラのバーザムはそれをかわし、隙をついてビームサーベルで切りかかる。そこに。
そのビームサーベルは受け止められた。俺のリック・ディアスが二機の間に割りこんで、自機のビームサーベルで奴の斬撃を受け止めたのだ。
『カレルさん!』
「カミーユ、熱くなりすぎだよ! そんなんじゃ戦いに勝つどころか、自分のニュータイプ能力に食い殺される!」
俺はそう言うと、バーザムを蹴り飛ばした。
「怒りを持つなとは言わない。でも、それで余裕をなくしてしまうのは本末転倒だよ。自分の心に隙間を持たないと、いっぱいいっぱいになって、追い詰められていく」
『説教してる場合かよ!!』
俺が説教してるところに、ルブラが襲い掛かってきた。しかし。
「お前がそんな奴だと言うのは、もう骨の髄までわかりきってるからね」
『なんだと!?』
俺は振り向きざま、奴のバーザムをかすめるようにクレイバズーカを放った。
「それに、こんな外道な奴に怒りを燃やして余裕をなくすなんて、心の損だよ」
『カレルさん……ありがとうございます。わかりました、もう大丈夫です』
『二人で和気あいあいとしてるんじゃねぇ!!』
ルブラがあざ笑いながら向かってくる。しかし、俺もカミーユも、それを余裕をもってかわす。前世でのあいつと散々かかわってきた俺はもちろん、カミーユも俺に諭されたことで、いくらか余裕をもつことができたようだ。
そして余裕ができれば……。
「わかる……。こいつは確かに強いけど、でも対処できないほどじゃない……」
『ヒャーハハハァ!!』
カミーユのZは、次々とルブラの攻撃をかわしていく。そしてかわしながらも、時にはルブラのバーザムに切りかかる。
『くそ、動きまくるんじゃねぇ、このハエどもが!!』
「そのハエがもう一匹いるのに気が付いてないんじゃない?」
『なに!?』
俺は奴の死角からクレイバズーカを発射する。弾はかわされたが、バーザムの左腕を撃ち抜いた!
『ちっ、やるじゃねぇか! だがお遊びは……ちっ、こんな時に撤退命令かよ。命拾いしたなぁ! ヒャーハハハっ!!』
そう捨て台詞を言い残し、ルブラは引き上げていった。
「やれやれだね……」
ため息をついたところに、カミーユから通信が入ってきた。
『カレルさん、ありがとうございました。あそこで諭してくれなかったら、やられていたと思います……』
「うぅん、いいんだよ。でも、今のことを忘れないで。怒りに囚われたり、それで余裕がなくなったら終わりだよ」
俺がこんなに口を酸っぱくして言うには理由がある。
よく前世で言われていることだが、新訳版の彼が精神崩壊せずに済んだのは、『自分や周囲を客観視し、余裕を持ち、色々なことを受け流すこと』ができたからだ。それができなかったテレビ版のカミーユは、多くの死や自分のニュータイプ能力に押しつぶされて、最後にシロッコの断末魔でとどめを刺されて廃人となった。
当然俺は、カミーユにそんな風になってほしくないのだ。このカミーユがテレビ版か新訳版かわからないけど、どちらにしても、最悪の結果にならないように導いてやらなければならない。
『はい……』
「それがわかってればOK。私はボスニアと一緒にサイド2に行くけど、その間も、今言ったことを忘れたらダメだよ」
『わかりました。カレルさん、お気をつけて』
「うん、行ってきます」
うん、カミーユの返事を聞くに、心配はなさそうだ。少なくとも、彼の方向性は精神崩壊の方向には向いていないと感じた。
そして俺は、リック・ディアスをボスニアに向けて飛んで行ったのだった。
ただいま、ファンアート募集中です!
また、ルブラ君の専用機の名前のアンケートをはじめました!
協力してくれると嬉しいです。
その他の場合は、活動報告の募集スレのほうに書いてくださいませー
※ちなみにその専用機の原型はバウンド・ドッグの予定です
※『その他』枠の候補に投票したい場合は、『ルブラの専用機のネーミング』スレに、投票したい機体名を書いてレスしてくださいませ(平伏
* 次回予告 *
ティターンズの怪しい動きを察知したボスニアは、アーガマの本隊と別れてサイド2へと向かった。
そこでは、あの部隊がカレルたちを待っていた。
「ただし、無理して阻止する必要はない。生還を最優先にして、なるべく消耗を抑えて戦うように」
その戦いの中、カレルは新たな力を身に着けた。それはもう一人の自分とつながることで使える力。
―――今だ。身体の主導権を返してくれ!
―――はい!
「動くなよ。ビームが外れるからああああ!!」
次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』
第21話『T3部隊』
刻の涙は、止められるか?
※次の更新は、12/17の予定です。お楽しみに!
【次回登場新MS】
RMS-117B ガルバルディγ
RMS-117DEF ガルバルディディフェンサー
今回出てきた新キャラの外道悪役、専用機の名前はどれがいいですか?
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オル・トロス
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ノートゥング
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ヒュドラー
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その他