ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

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サイド2編#01『ボスニア再び』

 打ち上げられて宇宙に出た俺たちを乗せたシャトルは、無事にアーガマに収容された。

 ちょうどそこでヤザン隊の襲撃を受けたが、それもなんとか切り抜けた。

 

 原作では一話使う話だったんだけどなぁ……。

 

 まぁ、それはおいといて。

 アーガマに到着した俺は、さっそくブライトさんをはじめとしたエゥーゴの面々に迎えられた。

 

「君がカレル君だな。このアーガマ艦長のブライト・ノアだ。我々は君を歓迎する」

「あ、ありがとうございます」

 

 思いっきり緊張している俺……カレル・ファーレハイトを責めないでほしい。

 何しろ、ファーストガンダムからこのZ、ZZ、逆襲のシャア、UC、そして閃ハサと、一連のシリーズに出ている、(ガンオタな俺の中での)有名人なのだ。

 

 ちなみに声は、ジェレミアの中の人ではなく、鈴置洋孝さんだった。

 うう、鈴置さん……。

 

「ん? カレル君、どうして泣いているのだ?」

「い、いえ、なんでもないです」

 

 亡くなられた鈴置さんのことを思い出してしんみりしてしまった。

 そこで俺は咳払いをして。

 

「そういえば、コロニー・レーザーのほうはどうなりました?」

「あぁ。現在、グリプス2に工作員を派遣して、情報を収集してもらっている。あちらから報告が入り次第、我々も行動を開始する予定だ」

「なるほど」

 

 まぁ、情報も何もない状態で突撃してもやばいしな。

 工作員を派遣した、と言ってたが、誰を派遣したんだろう? レコアさんかな?

 俺がそう思っていると。

 

「艦長、連邦軍の巡洋艦が接近! こちらに投降のサインを出しています」

「なに、どの艦だ?」

「はい。ルナツー所属のボスニアと名乗っています」

 

 ボスニア。これはまた、懐かしい艦が来た。

 ボスニアは、地球に降下する前、俺が所属していた艦であり、俺の恩師、ライラ・ミラ・ライラが乗っていた艦である。その艦や艦のみんながエゥーゴに合流してくれるなんて、こんなにうれしいことはない。

 

 と、そこでオペレーターのトーレスさんが。

 

「あっ! ボスニアからカレルさん宛てに入電です。『あなたの帰還を歓迎し、祝福する。巡洋艦ボスニア一同」

 

 それを聞いて、また涙腺が崩壊しそうになる。あれ、頬から熱い水が……。

 とそこに、エマさんがハンカチを差し出してくれた。

 

* * * * *

 

「やっと戻ってきてくれたか、カレル。信じて待っていたぞ」

「でもカレル少尉、前いたころよりちょっとガサツになっていませんか?」

 

 ボスニアに移乗した俺はさっそく、ボスニアのMS隊長、ヴァン・マクマナス大尉と、MS隊のムードメーカーのジョッシュ・ミレットをはじめとした隊員たちの歓迎を受けた。

 やっぱりホームグラウンドというのはいい。スードリーにいた頃も悪くはなかったが、ボスニアの雰囲気はそれに勝るものがある。

 

「はい。これからよろしくお願いします。それとジョッシュ、あとで〆ますからね」

「なぜっ!?」

 

 ガサツは余計だ。

 と、そこで。

 

「さて、カレルが戻ってきたばかりでなんだが、我々はこれからアーガマとは別行動でサイド2に向かう」

「……何があったのですか?」

「うむ。ティターンズの一部部隊が、サイド2に向かっているという報告があったのだ。コロニー・レーザーに関しての動きらしい」

 

 あぁ、そうか。

 確か、コロニー・レーザーが完成した時、コロニー・レーザーをグラナダに接近させるにあたり、陽動のためにサイド2に毒ガス攻撃を仕掛けたんだったか。確かにそれは阻止しなくては。

 

「それは確かに向かわなければなりませんね。奴らがコロニーに毒ガスをまかないとも限りませんし」

「そうだな。奴らならやりかねん。そういえばもう一つ、お前のほかに、ボスニアに補充兵が入ることになった」

「補充兵?」

「そうだ。入れ」

 

 マクマナス大尉に言われて入ってきたのは……。

 

「……カツ・コバヤシです。よろしくお願いします」

 

 エエエエエエ!? カツ!? カツナンデ!?

 まさかここでこいつがやってくるとは思っていなかった!

 

―――知っているのですか?

―――ああ。こいつのせいで、どれだけイライラさせられたか……。

―――……気持ち、お察しします。

 

 俺の脳内会話に気づくよしもなく、マクマナス大尉は話を続ける。

 

「元はラーディッシュに配属されていたのだが、ちょっと難ありとのことでな。このボスニアで鍛えなおしてやってくれ、とのことだ」

 

 ヘンケン艦長、カツのわがままぶりに手を焼きすぎて、こっちにパスしてきたな……。

 本当にカミーユの縮小版ともいえるカツの暴れっぷりで、原作では大変なことになった。

 無断出撃は当たり前、捕虜の美少女(サラ)に逆に誘惑されて逃がしてしまったり。勝手にグワダンに潜入したり。

 もう、劇場版のカミーユか、ロランの爪の垢でも飲めと言いたい。

 

「そういうわけで彼の教育は、カレル少尉、よろしく頼む」

「ええっ!?」

 

 そんな気軽に教育係を頼まれても困る。

 もしこいつに矯正の余地があったら、原作で最後までいろいろやらかすことはなかったはずだ。

 

「そんなこと言われても……。いっそ、ティターンズにのし付けてくれてやるか、手足を外したザクに乗せて大気圏突入させるか、それとも……」

「こらこら」

「カレル少尉、何不穏なこと言ってるんすか」

―――……さん、それはちょっと……。

 

 思わず物騒なことを口走ってしまい、マクマナス大尉とジョッシュ、そしておまけに脳内の『カレル』にまでに止められてしまった。

 しかし、劇中の彼のしでかしたことを思うと、そう考えられても仕方ないと思うんだけどなぁ。

 

 まぁ、仕方ない。今回のカツが劇場版かもしれないし、もしかしたら確変を起こしていい奴になるかもしれない。

 一応、面倒を見てやることにするか。

 

「そういうわけで、私が君の教育係になったっぽい。よろしく頼むね」

「……ふん」

 

 生意気な態度をとったカツに、俺がコブラツイストをかけたのは言うまでもない。

 

 そこに警報が鳴った。

 

* * * * *

 

 宇宙を、エゥーゴ艦隊に向けて飛行するバーザム隊。その先頭を行くルブラ・フェーゴが舌なめずりをしながら言う。

 

「いいかお前ら! ガンダムは俺の獲物だ! 手を触れるんじゃねぇぞ! 邪魔したら例え味方でもぶち抜くからな! お前らはそこらへんの雑魚でも処理してろ!」

『は、はい……!』

 

 そしてまた舌なめずりをして、スティックを握りしめる。

 

「くくく……今度こそいただくぜぇ……! Zガンダム……!」

 

* * * * *

 

 リック・ディアスで出撃した俺を始めとするエゥーゴのMS隊に向かってくるのは、ティターンズのバーザム隊だった。しかも、先頭の奴は濃紺の機体。奴か!

 

 ルブラの機体は、俺には目もくれず、Zに向かっていく。ルブラの奴、カミーユしか見えていないようだ。

 無視されたようで面白くないが、俺のところにもバーザムが数機接近してきている。『こいつらとでも遊んでいろ』ってことか。本当に嫌すぎる奴だ。

 

 だが、俺たちボスニア隊に向かってきたバーザム隊はなかなか手練れだった。二機一組のコンビネーションで、こちらを翻弄してくる。

 

『うわあ!!』

 

 あ、出撃していたカツのメタスが、バーザム隊の攻撃で足を吹き飛ばされた。やはり彼には早すぎるか。

 助けにいってやりたいが、俺も二機のバーザムの相手で手一杯だ。

 

 クレイバズーカを撃つが、それはあっさりかわされ、また別のバーザムが別の方向からビームを撃ってくる。からくもこれをかわす。こいつら、本当にルブラの部下か? チームワークが良すぎだ。

 と、そこに。

 

―――下です!

「!!」

 

 『カレル』の声に反応して、クレイバズーカを下に撃つ。その弾は見事、敵のバーザムを撃ち抜いた! バーザムが爆散する。

 

―――ありがとう、『カレル』。おかげで助かった。

―――いいえ。言ったはずですよ。一緒に向き合っていきましょうと。この戦い、二人一緒に戦い抜いていきましょう。

―――あぁ、そうだな。

 

 俺が戦っているバーザムが残り1機になったこともあり、心にいくらか余裕ができる。となればあとは難しくはない。

 バーニア全開で、残ったバーザムに飛び掛かっていく。敵のビームライフルをかわし、ビームサーベルで左腕を斬りつける。さらに右腕もビームサーベルで一刀両断! 無力化に成功した。

 さて、カツを助けにいってやるか。

 

* * * * *

 

 ルブラのバーザムは、まるでカミーユをいたぶるように攻撃を仕掛けていく。エース向けの改造を施されたらしいバーザムは、カミーユの攻撃を軽々とかわしていく。

 

『ほら、どうしたどうした! 大したことねぇなぁ、おい!』

「くっ……!」

 

 ビームサーベルの斬撃で、ビームライフルを切断される。

 

『そら、お遊びはこれで終わりだ!』

 

 と、そこに。

 

『!!』

 

 ビームが飛んでくる。バーザムがそちらを見ると、ロベルトのリック・ディアスが飛んでくるところだった。

 

『大丈夫か、カミーユ!』

『邪魔が入ったか。ならばまずはお前から喰ってやるよ!』

 

 バーザムはリック・ディアスに突撃。すれ違いざまに右腕を切断。そして飛びずさるとビームライフルを乱射。

 リック・ディアスは左腕と両足を次々に撃ち抜かれ、最後に胴体を撃ち抜かれて爆散した。

 

「ろ……ロベルトさああああぁぁぁん!!」

『へへへ……邪魔をするからこうなるんだ!』

 

 勝ち誇ったような笑みを浮かべるルブラ。

 だが、余裕なのはそこまでだった。

 

 二機のバーザムを倒し、カツを助けたカレルのリック・ディアスが駆け付けてきたからだ。

 

* * * * *

 

「戦いをゲームとみて、命も駒と同じ感覚……許せないな、ルブラ・フェーゴ!」

 

 思わず、素の口調に戻って言い放ちながら、クレイバズーカを撃つ。それをかわしたところに、Zがビームサーベルで切りかかる。

 だが、カミーユは、目の前でロベルトを殺されたことで、冷静さを失っているように見える。

 

 案の定、Zが大振りでビームサーベルを振るうが、ルブラのバーザムはそれをかわし、隙をついてビームサーベルで切りかかる。そこに。

 

 そのビームサーベルは受け止められた。俺のリック・ディアスが二機の間に割りこんで、自機のビームサーベルで奴の斬撃を受け止めたのだ。

 

『カレルさん!』

「カミーユ、熱くなりすぎだよ! そんなんじゃ戦いに勝つどころか、自分のニュータイプ能力に食い殺される!」

 

 俺はそう言うと、バーザムを蹴り飛ばした。

 

「怒りを持つなとは言わない。でも、それで余裕をなくしてしまうのは本末転倒だよ。自分の心に隙間を持たないと、いっぱいいっぱいになって、追い詰められていく」

『説教してる場合かよ!!』

 

 俺が説教してるところに、ルブラが襲い掛かってきた。しかし。

 

「お前がそんな奴だと言うのは、もう骨の髄までわかりきってるからね」

『なんだと!?』

 

 俺は振り向きざま、奴のバーザムをかすめるようにクレイバズーカを放った。

 

「それに、こんな外道な奴に怒りを燃やして余裕をなくすなんて、心の損だよ」

『カレルさん……ありがとうございます。わかりました、もう大丈夫です』

『二人で和気あいあいとしてるんじゃねぇ!!』

 

 ルブラがあざ笑いながら向かってくる。しかし、俺もカミーユも、それを余裕をもってかわす。前世でのあいつと散々かかわってきた俺はもちろん、カミーユも俺に諭されたことで、いくらか余裕をもつことができたようだ。

 そして余裕ができれば……。

 

「わかる……。こいつは確かに強いけど、でも対処できないほどじゃない……」

『ヒャーハハハァ!!』

 

 カミーユのZは、次々とルブラの攻撃をかわしていく。そしてかわしながらも、時にはルブラのバーザムに切りかかる。

 

『くそ、動きまくるんじゃねぇ、このハエどもが!!』

「そのハエがもう一匹いるのに気が付いてないんじゃない?」

『なに!?』

 

 俺は奴の死角からクレイバズーカを発射する。弾はかわされたが、バーザムの左腕を撃ち抜いた!

 

『ちっ、やるじゃねぇか! だがお遊びは……ちっ、こんな時に撤退命令かよ。命拾いしたなぁ! ヒャーハハハっ!!』

 

 そう捨て台詞を言い残し、ルブラは引き上げていった。

 

「やれやれだね……」

 

 ため息をついたところに、カミーユから通信が入ってきた。

 

『カレルさん、ありがとうございました。あそこで諭してくれなかったら、やられていたと思います……』

「うぅん、いいんだよ。でも、今のことを忘れないで。怒りに囚われたり、それで余裕がなくなったら終わりだよ」

 

 俺がこんなに口を酸っぱくして言うには理由がある。

 よく前世で言われていることだが、新訳版の彼が精神崩壊せずに済んだのは、『自分や周囲を客観視し、余裕を持ち、色々なことを受け流すこと』ができたからだ。それができなかったテレビ版のカミーユは、多くの死や自分のニュータイプ能力に押しつぶされて、最後にシロッコの断末魔でとどめを刺されて廃人となった。

 当然俺は、カミーユにそんな風になってほしくないのだ。このカミーユがテレビ版か新訳版かわからないけど、どちらにしても、最悪の結果にならないように導いてやらなければならない。

 

『はい……』

「それがわかってればOK。私はボスニアと一緒にサイド2に行くけど、その間も、今言ったことを忘れたらダメだよ」

『わかりました。カレルさん、お気をつけて』

「うん、行ってきます」

 

 うん、カミーユの返事を聞くに、心配はなさそうだ。少なくとも、彼の方向性は精神崩壊の方向には向いていないと感じた。

 そして俺は、リック・ディアスをボスニアに向けて飛んで行ったのだった。




ただいま、ファンアート募集中です!

また、ルブラ君の専用機の名前のアンケートをはじめました!
協力してくれると嬉しいです。
その他の場合は、活動報告の募集スレのほうに書いてくださいませー
※ちなみにその専用機の原型はバウンド・ドッグの予定です
※『その他』枠の候補に投票したい場合は、『ルブラの専用機のネーミング』スレに、投票したい機体名を書いてレスしてくださいませ(平伏

* 次回予告 *
ティターンズの怪しい動きを察知したボスニアは、アーガマの本隊と別れてサイド2へと向かった。

そこでは、あの部隊がカレルたちを待っていた。

「ただし、無理して阻止する必要はない。生還を最優先にして、なるべく消耗を抑えて戦うように」

その戦いの中、カレルは新たな力を身に着けた。それはもう一人の自分とつながることで使える力。

―――今だ。身体の主導権を返してくれ!
―――はい!

「動くなよ。ビームが外れるからああああ!!」

次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』

第21話『T3部隊』

刻の涙は、止められるか?

※次の更新は、12/17の予定です。お楽しみに!

【次回登場新MS】
RMS-117B ガルバルディγ
RMS-117DEF ガルバルディディフェンサー

今回出てきた新キャラの外道悪役、専用機の名前はどれがいいですか?

  • オル・トロス
  • ノートゥング
  • ヒュドラー
  • その他
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