ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

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サイド2編#02『T3部隊』

 さて、ルブラ隊の強襲を退け、改めてサイド2に向かっているボスニア。その途中で、整備兵がマクマナス大尉に駆け寄ってきた。

 なんの報告だろう?

 

「マクマナス大尉。先ほど、『アレ』の本体の改修が終わった、とのことです」

「ふむ、そうか。カレル、お前に見せたいものがある。MS格納庫に来てくれ」

「あ、はい。カツ、今から戻ってくるまで休憩していいよ」

「はい……助かった……鬼教官すぎるんだよ」

 

 やっぱり生意気なカツにはさらにハードなトレーニングをぶつけてやろうと思いつつ、俺はマクマナス大尉についていった。

 そしてそこには……。

 

「が……ガルバルディ!?」

 

 そう、かつての俺の愛機、ガルバルディβだった。だけどよく見ると、バックパックが少し違うような……。

 

「あぁ。お前が帰ってきたとき、新しい愛機として用意したものだ。まだ途中ではあるがな」

「これでまだ途中?」

 

 と思ってよく見ると、バックパックがガルバルディのものから、ガンダムMk2に変わっているじゃないか。ということはもしや……。

 

「もしかしてこれ、Gディフェンサーと合体する前提なんじゃ……?」

「気が付いたか。さすがだな。その通りだ。そのために、バックパックをガンダムMk2のものに改造したんだ。Gディフェンサーの調整が終われば、それと合体して運用できるようになる」

「はぁ……」

「さらに言うと、装甲もガンダリウムγにアップデートされているぞ。バーニアも増設されている。残念ながらフレームや内部機器はガルバルディβのままだが」

「なんか至れり尽くせりですね……」

 

 でもそれなら、かなり戦えるかもしれない。ただ、ディフェンサーに乗る相方にカツは勘弁してほしいが。

 

 とそこに、警報が鳴りだした。

 

* * * * *

 

 一方、サイド2宙域、そこに向かっているティターンズ艦隊。その中に、ティターンズの試作機試験部隊、T3(Titans Test Team)部隊があった。

 

 エゥーゴの艦隊接近の報は、その部隊の母艦、アスワンにも入っていた。

 

「来たか、エゥーゴ。さすがに動きが早いな。各員、出撃準備」

 

 T3部隊マーフィ小隊の隊長、ウェス・マーフィーが部下たちに号令を飛ばす。

 

『了解!』

「ただし、無理して阻止する必要はない。生還を最優先にして、なるべく消耗を抑えて戦うように」

「隊長?」

 

 怪訝そうな顔をしたエリアルド・ハンターに、マーフィー隊長は苦虫をかみつぶしたような顔で答える。

 

「13バンチと同じような作戦で、お前たちを死なせたり、消耗したりする気にはなれん。上の奴らに、申し訳が立つ程度に戦ってくればいい」

 

 それで、エゥーゴが作戦を阻止してくれれば万々歳、とは言わない。彼も一応はティターンズの一員なのだ。

 

 そして、T3部隊の母艦、アレキサンドリア級『アスワン』から、エリアルドのギャプランTR-5、彼の同僚カールのTR-4『ダンディライアン』、そしてマーフィー隊長のガンダムTR-1『ヘイズル改』が発進し、もう一隻の僚艦からも、ジム・クゥエル3機が発進していく。

 

* * * * *

 

「マクマナス、リック・ディアス、出るぞ!」

「ジョッシュ、ネモ、行きます!」

 

 ボスニアから、マクマナス大尉のリック・ディアス、ジョッシュのネモが発進していく。

 そして。

 

「カレル・ファーレンハイト、ガルバルディγ、出る!」

 

 俺……カレル・ファーレハイトのガルバルディ……仮称ガルバルディγが発進した。ボスニアの整備長さん曰く、元になったガルバルディβから、装甲のガンダリウムγへのアップデートや、バーニアの増設など、色々強化したから、ガルバルディγなんだそうだ。俺は、ガルバルディβⅡでもいいかな、と思ったんだけどな。

 

 なお、俺のガルバルディγの後ろからは、カツのメタス、他の隊員のネモも発進している。

 カツには、よそ見は絶対しないように洗脳……もとい、教育しておいた。何をしたのかって? ふふふ、実は彼に『チ〇タン』を耳元で聞かせてやったのだ。屈指のトラウマ交通安全ソングだけあって効果はてきめん。今のところはよそ見運転せずに、ちゃんとついてきているっぽい。

 

「よそ見怖い、交通事故怖い、チコ〇ン怖い……」

 

 というカツの声が通信機から聞こえてくるが、まぁ、それはスルーの方向で。

 

 そうこうしているうちに、向こうからMS隊がやってきた。

 ギャプランに1機に、ガンダムっぽい奴が1機、変な形をした機体が1機、あと3機はジム・クゥエルだ。

 

 そうこうしているうちに、変な形の機体がビームを放ってきた! あわててそれを回避する。

 向こうはロングライフル持ちかよ。それはちょっときついかもな……。

 

『あの動き……マーフィーか。こんなところで相まみえるとかな』

「え、大尉。あの人のこと、知っているんですか?」

 

 うちの大尉が、マーフィー……T3部隊・マーフィー小隊隊長、ウェス・マーフィーのことを知っているとは意外だった。

 ちなみに俺のほうは、マーフィー氏が出てくる『ADVANCE OF Z』のことは、Wikiで読んだだけだったりするが。

 

『あぁ。ア・バオア・クーの時、一緒に戦ったことがある』

 

 へぇ、それはなんか不思議な縁だな。俺たちの隊長が隠れた有名人と知り合いだったとは。

 

 そう思ってるところに、ロングライフルの二発目が飛んできた。もちろん、それも回避。

 

『長話はここまでだ。いくらマーフィーたちとはいえ、時間をかけていられん。こいつらを突破して、本隊に向かうぞ!』

「了解です!」

 

* * * * *

 

 そして俺たちは、敵部隊と接敵した。

 さすが、AoZの主役部隊だけあって、みんななかなかの手練れだ。ジム・クゥエルに乗ってるパイロットでさえ、こちらの攻撃を見事にさばいてくれる。

 そのおかげで、うちの部隊はだれも、敵を撃破できず、突破できないでいる。

 

 だがそのうち、俺と対峙しているジム・クゥエルの一体が、こちらの攻撃の前に態勢を崩した。今だ!!

 ところが。

 

―――いけない、よけてください!

 

 脳裏に届く、『カレル』の声。俺がそれに従ってガルバルディを回避させると同時に、そこまでいた空間をビームが通り過ぎる。

 危なかった……。もし、『カレル』が警告してくれなければ、俺は今頃、あのビームの餌食になっていた……。

 

 ビームの飛んできたほうを見ると、そこにはあの変な形の機体……確か、ダンディライアンといったか……。そのMSがロングライフルを構えていた。

 そのロングライフルがまた火を噴き、こちらのネモの一機が、頭部を撃ち抜かれた。幸いにもパイロットは脱出に成功したようだが……。

 でも本当に厄介だな。まずあれをどうにかしないと……。

 

 そう判断した俺が、そのダンディライアンに向かおうとするが……。

 

「やらせるか!!」

 

 ギャプランが襲ってきて、出鼻をくじかれる。

 

 そうしてるところにロングライフルが飛んできた。慌てて回避。

 

 さすが主役部隊(本日二度目)だけあって、憎らしいほどに完璧なフォーメーションで、こちらの攻めを阻んでくれる。

 ギャプランとガンダムもどき、それとあと3機のジム・クゥエルが前衛で、こちらの攻撃を受け止め、後ろからはあのダンディライアンが援護射撃を仕掛けてくる、という見事な作戦。

 長射程武器がないこちらにとっては、本当に不利すぎる。

 

 でも、そうしてるうちに、毒ガス部隊は接近してるし、どうにかしないと……。

 

 とそこに。

 

『姫さん、待たせたな! ディフェンサーの調整ができた! 射出するから、しっかり受け取れ!』

 

 と整備長さんの声。

 やった! Gディフェンサーにはロングライフルがある。あれがあればどうにかなる!

 

 そして、ボスニアからGディフェンサーが射出された!……と思ったら、ダンディライアンのロングライフルに破壊されたーーーーー!?

 

『うろたえるんじゃない! 今のはおとりに射出したダミーだ! それとは別に、今送った座標に本物を射出したから、ありがたくドッキングしろ!』

「わ、わかった! ジョッシュ、生きてる!?」

『あ、あぁ、なんとか!』

「お願い、3分だけ援護して!」

『3分!? 少尉、俺に死ねと言ってるんですか!?』

「冗談よ。1分だけ援護して!」

『無茶言ってくれますよ……了解です!』

 

 そして、敵の相手をジョッシュに任せて、俺は指定された座標に飛んでいた。するとそこには……あった! 愚直にまっすぐ飛んでいる、コアファイターのないGディフェンサーが。

 

 俺はダンディライアンのロングライフルが飛んでくる中、うまくGディフェンサーとの位置を合わせ……Gディフェンサーとドッキングした!

 

 ガルバルディディフェンサー! いや、スーパーガルバルディか? どちらでもいい。それの完成だ!

 

 それとともに、俺は一つ思いついたことがあった。

 

―――『カレル』、体の主導権を一部、お前に返す。俺がロングライフルを準備して照準を定めるまで、奴からの攻撃を回避してくれ。

―――わ、わかりました!

 

 そう、『カレル・ファーレハイト』の体には、転生したガンオタ男子高校生である『俺』と、『俺』が覚醒する前までのカレル本人の人格である『カレル』が同居している。

 『カレル』と和解した今は、再び『俺』がこの体の主導権を握らせてもらっているが、やろうと思えばこのように、身体の一部を『カレル』に任せ、二人で分担し、協力して身体を動かすことが可能だ。

 ガンダム00でいう、『超兵復活といこうぜ!!』とか『いいか、反射と思考の融合だ!』というやつである。

 

 ともあれ、だ。俺は、『カレル』がガルバルディディフェンサーを回避させている間に、ロングライフルの発射準備を進める。コンソールを操作し、FCSをロングライフルのものに切り替え。照準を冷静に定める。そして。

 

―――今だ。身体の主導権を返してくれ!

―――はい!

 

「動くなよ。ビームが外れるからああああ!!」

 

 俺に身体の主導権がすべて戻ってくると同時に、ロングライフルのトリガーを押した!

 ガルバルディディフェンサーのロングライフルが火を噴き、ビームを発射する!

 

 そしてビームは見事、ダンディライアンの追加ユニットらしきパーツを撃ち抜いた!!

 本体部分らしきMSは間一髪でパーツをパージして脱出したっぽいが、まぁそれはそれでよしだ。

 

* * * * *

 

 ガルバルディβらしきMSがビームを発射したと思うと、それはダンディライアンの増加パーツを撃ち抜いた。

 カールが間一髪、コアMSであるロゼットを切り離して難を逃れたのは不幸中の幸いであった。

 

 そのロゼットのカールに、T3部隊隊長のマーフィーが通信を送る。

 

「カール、大丈夫か?」

『はい、なんとか……。でもあと少しパージするのが遅れていたら、ロゼットもやばかったかもしれません』

「エゥーゴの新型め、なかなかやるな……。よし、ここまでだ。引き上げるぞ」

『え、ですが……』

 

 そう言ってくるエリアルドに、マーフィーが重ねて言う。

 

「撤退だ。何度も言わせるな。俺はこんなろくでもない任務で、お前たちを失いたくはない」

 

 そう言って彼は、戦闘を中止して、ガンダムヘイズル改をアスワンに向けて離脱させた。後に、ほかのMSたちも続く。

 

* * * * *

 

「ふぅ……」

 

 T3が撤退するのを見ながら、俺はため息をつく。

 普通のMS戦より1.5倍はあると思われる疲労が身体にのしかかる。

 

―――すまん、『カレル』。あれを使わせてくれ。

―――あ、はい……。

 

 『カレル』の許可を得て、俺はシートに内蔵されたダッシュボードから針のない注射器を取り出し、それをむき出しにした腕に押し付けた。

 

「……! ふぅ……」

 

 今注射したのは、長時間激しい戦いを続けるための特殊薬剤だ。ガンダム0083の最終決戦で、コウが使っていたあれである。栄養剤はもちろん、麻薬に近い劇薬まで混じっているというわけありな品。

 

 でもそれを打ったおかげで、疲労がいくらかまぎれた気がする。

 

「でも、こんな手、そう頻繁には使えないな……」

 

 俺は照準合わせとロングライフルの準備のみを担当したとはいえ、一つの身体を『俺』と『カレル』の二つの人格で分担して動かすなんていう離れ業をやってのけたのだ。その負荷はかなりのものがある。

 強化された身体だから、このぐらいの疲労で済んでいるが、普通の体でこんなことをやったら、あっという間に過労死してしまうだろう。

 本当に、これに近いことを平然とやってのけるアレルヤがどれだけ規格外かわかった気がするな。

 

 とはいえ、強化された身でも、こんな手は何度も使えない。やった日には、あっという間にヤク中になってしまうのが目に見えている。

 

 そこで通信が入った。マクマナス大尉からだ。

 

『お疲れ様だったな、カレル』

「はい、ちょっと疲れました……」

『ちょっとどころじゃないように見えるが……。どうする? ボスニアに戻っているか?』

 

 心配そうに大尉が聞いてくるが、答えは決まっている。

 こんなところで止まってはいられない。こんなのは償いの1割にも満たないだろう。

 こんなところで休んでいては、俺が今まで奪ってきた命たちや、エゥーゴやカラバの兵たちに笑われてしまう。

 

「いえ、ここまで来たんです。このまま行きますよ。薬を打って、少しは元気になりましたし」

『そうか。だが、くれぐれも無理はするなよ』

「はい、わかってます」

 

 そして俺は、ガルバルディディフェンサーをマクマナス大尉たちと合流させ、そのまま敵本隊へと向かっていった。

 




ただいま、ファンアート募集中です!

また、ルブラ君の専用機の名前のアンケートが開催中です!
協力してくれると嬉しいです。
その他の場合は、活動報告の募集スレのほうに書いてくださいませー
※ちなみにその専用機の原型はバウンド・ドッグの予定です
※『その他』枠の候補に投票したい場合は、『ルブラの専用機のネーミング』スレに、投票したい機体名を書いてレスしてくださいませ(平伏

* 次回予告 *

T3部隊を撃退したボスニア。だが、毒ガス攻撃を阻止しようと先を急ぐカレルたちの前に、あの野獣が立ちはだかる。

『こちらヤザン隊! いつでも準備はできてるぞ!』
「そうか。シロッコから送ってもらったハンブラビを任せているんだ。前艦長見殺しの汚名を返上するほどの戦果を見せてもらおう」
『わかってる! ハンブラビ、出るぞ!』

果たしてボスニアは、野獣を退け、毒ガス攻撃を阻止できるのか?

『女ごときが戦場に出てくるとは、生意気なんだよっ!!』
「女で悪いかっ! 女子供と思ってると痛い目見るよっ!!」

次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』

第22話『野獣』

刻の涙は、止められるか?

[今回登場新MS]
〇RMS-117DEF ガルバルディディフェンサー/スーパーガルバルディ
 まさかのガルバルディとGディフェンサーの悪魔合体である。
 ダカール演説後にエゥーゴに合流したさい、エゥーゴから供与されたGディフェンサーの試作機をガルバルディβに合体させて運用しようというプランが立ち上がった。
 しかし、ガンダムMk2と同型のバックパックを装備した機体との合体が前提となっているGディフェンサーは、ガルバルディに合体させることはできない。
 そこでなんとボスニアのスタッフは、Mk2と同型のバックパックを装備するように改造。さらに装甲をガンダリウムγにアップデートし、この機体は完成した。
 その結果として、防御力と機動力、航続距離が大きく向上した。
 なお、この機体はGディフェンサー装備時がデフォルトなので、コアファイターは接続されていない。またその関係でフライヤー形態には変形できるが、実用性はほとんどない形態となっている。

〇RMS-117B ガルバルディγ
ガルバルディディフェンサーの本体のガルバルディβの部分。
外見こそ、(ガンダムMk2のバックパックを装備した)ガルバルディβだが、装甲のガンダリウムγへの換装、バーニアの増設など、原型機から大きく強化されたことから、こう呼ばれる。
前述したガンダムMk2のバックパックへの換装や、装甲の強化、バーニアの増設などで、機動性や防御力がかなり上がっている。

[今回登場の外伝登場MS]
〇ギャプランTR-5
〇TR-4『ダンディライアン』
〇ガンダムTR-1『ヘイズル改』

※次の更新は、12/20 12:00の予定です。お楽しみに!

今回出てきた新キャラの外道悪役、専用機の名前はどれがいいですか?

  • オル・トロス
  • ノートゥング
  • ヒュドラー
  • その他
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