ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

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終盤のカレルがカツを説得する言葉は、自分がかかわったリレー小説『Home And Bloody Days』において、登場人物が言っていた台詞をアレンジさせて使わせていただいています。(ちなみにその回の作者はひいちゃではありません)



サイド2編#05『サラ・ザビアロフ』

 カツだが、すぐに見つかった。

 林の一角で、サラ・ザビアロフと邂逅していたからだ。

 

 と言っても、どう見ても逢引きの途中には見えない。カツがサラを説得しようとしているようだ。

 その説得の声が、風にのって、こちらまで聞こえてくる。

 

「なんでわからないんだ! シロッコは、君をいいように使っているだけなんだよ! そうじゃなきゃ、毒ガス作戦なんて、そんなことに君を参戦させるものか!」

「前にも言ったはずよ! 私にはパプテマス様が全てなの。あの人のためになれればそれでいい! あなたこそ、どうしてエゥーゴで戦っているの?」

「……! それは……」

「ジオンへの復讐のため? それと私の戦う理由と、どちらが良い理由なの?」

「……」

 

 そこでサラが、カツへ一歩踏み出した。

 

「ジオンに復讐したいだけなら、カツ、私と一緒に行きましょう。きっとパプテマス様は、あなたの望みを叶えてくれるはずよ……誰っ!?」

 

 と、そこでサラがこちらに気が付いた。音は立てていないはずなのだが、俺……カレル・ファーレハイトのNT能力を感知されたのだろうか。

 仕方ないので、姿を現すことにする。

 

「内緒話を聞いてごめんね」

「カレル・ファーレハイト……。カツを連れて行くのを邪魔するつもり?」

「えぇ、当然。でもカツがそれでもティターンズに行きたいというなら、あえて止めはしないけどね。もっとも、そうなったら、私は躊躇なくカツを討つだけだけど」

「カレルさん……」

 

 そこで俺は、サラに厳しい目を向ける。

 

「それでもあなたよりはマシだと思う。シロッコの人形のあなたよりは」

「なんですって……?」

「だってそうじゃない。シロッコの言うことを妄信して鵜呑みにして疑問を持たず、考えることもせず、ただその通りに動くなんて。そんなのただの人形だよ。それは自分の未来を摘み取ることに他ならない。少なくとも、私……いや、俺はカツをそんな存在になり果てさせるつもりはない」

「カレルさん……」

「カツ、ティターンズに行くなら止めるつもりはない。でも、今のままの彼女についていったらダメ。そうなったら、あなたも人形にされるだけだよ」

「そんなこと……!」

 

 言い募るサラに、俺は最後通牒を突き付けた。素の口調に戻って。

 

「違うと言い切れるか? もしシロッコがカツを殺せと言ってきたら、あんたはそれを止められるのか?」

「……!」

「今の沈黙、躊躇が全ての答え、自分がシロッコの人形に過ぎないという証明だ。カツを誘惑する前に自分を見直すべきじゃないか?」

「……」

 

 と、そこで唐突に、あたりが揺れた。かすかに爆音も聞こえる。

 

「くっ……!」

「サラ!」

 

 俺たちが態勢を崩した隙に、サラは逃げ出した。

 

「待ちなさい、カツ。さっきにも言ったけど、そんな彼女についていったらダメ」

「でも……」

「彼女を助けたいなら……って、それどころじゃないな。ボスニアに戻りましょう。続きはあと」

「は、はい……」

 

 そして俺とカツは、ボスニアのある宇宙港に走っていった。

 

* * * * *

 

 かくして。

 

「カレル・ファーレハイト、ガルバルディディフェンサー、出る!」

「メタス、行きます!」

 

 俺のガルバルディ・ディフェンサーと、カツのメタスが、出航したボスニアから発進していく。

 

 さっきの振動は、どうやらティターンズの部隊が、こちらに攻撃を仕掛けてきたからのようだ。

 奴ら、なりふり構わなくなってきたな……。

 

 そして俺たちボスニアのMS部隊は、ティターンズのMS部隊と接敵した。

 相手は、ハイザックの狙撃仕様、ハイザック・カスタム。奴ら、残骸に紛れて、付近を偵察とかしていたエゥーゴのMS隊を襲っていたらしい。

 

 ハイザック・カスタムの1体がビームを発射! それを回避する。

 

「遠距離戦主体の機体は、懐に入り込めばっ!!」

 

 さらに飛んできたビームをかいくぐり、その懐に飛び込んで、その腕を一刀両断する。ダメ押しに、離れ際にビームライフルでメインカメラも破壊しておく。

 

 もう1機には、ジョッシュのネモが応戦していた。さすが、マクマナス隊長に鍛えられてきただけあって、ビームランチャーをうまくかわしながら、ビームライフルの射程まで接近し、ビームライフルを連射! 見事に胴体を撃ち抜いて撃破した。

 

 別の一機に、カツのメタスが組み付いた。あれがサラの機体だと感づいたのだろうか。

 説得しているのか、二機は組み付いたまま動かない。

 

 だが、それも終わるときがきた。ハイザック・カスタム隊が撤退を開始し、サラのハイザックも、メタスから離れて離脱していったのだ。

 

 カツはメタスのビームガンをハイザックに向けるが、結局撃つことができずに、逃がしてしまうのだった……。

 

* * * * *

 

 ボスニアの通路。そこでカツは、ただ外を見てため息をついていた。

 俺は、そこにそっと近寄って、その脇に立った。

 

「カレルさん……」

 

 そこで沈黙。やがて、カツのほうから口を開いた。

 

「僕はどうしたらいいんですか……? サラには戦ってほしくないんです……でも……」

「そっか……。クワトロ大尉が(原作で)言ったことなんだけど、戦いの中で助ける方法だってあるはずだよ」

「そんなきれいごと!……そんな理想論が……」

 

 普通はそう思うだろう。だけど。

 

「できる!」

「!?」

 

 俺はカツに正面から向き合ってそう断言した。

 そして真剣な面持ちで話しを続ける。

 

「そもそも理想論だからと諦めたら、それ以上進むことはできないよ。そうじゃない?」

「……」

「今のカツにはあるものが足りないから、それができないだけ。それを補えばきっとできるはず……」

「それは一体なんなんですか?」

「それは強さと信念だよ」

「強さと信念……」

 

 俺はうなずく。

 

「甘いのは結構。でも、弱かったらただ甘いだけだよ。彼女を殺したくないなら、取り戻したいなら、それなりの信念と覚悟、サラを殺さず無力化できるだけの力を持たないとダメ。なんとしても叶えたいものがあるなら、今より強い強さを、サラよりもシロッコよりも勝る強さを身に着けないとダメだよ」

「……」

「力なき正義は無力。サラを助けたければ、シロッコから彼女を解放したければ、その気持ちを固くして、それを成し遂げられる力を身に着けること。そうすればきっと、君の望みはかなうと思うよ」

「カレルさん……はい」

 

 カツの表情が決意を固めた男のものになった。俺の言葉がカツの再起につながったのなら何よりだ。

 

 そう思った俺の視界に、アーガマが近づいてくるのが見えた。

 




ただいま、ファンアート募集中です!

また、ルブラ君の専用機の名前のアンケートが開催中です!
協力してくれると嬉しいです。
その他の場合は、活動報告の募集スレのほうに書いてくださいませー
※ちなみにその専用機の原型はバウンド・ドッグの予定です
※『その他』枠の候補に投票したい場合は、『ルブラの専用機のネーミング』スレに、投票したい機体名を書いてレスしてくださいませ(平伏

* 次回予告 *

月面の都市グラナダに、グリプス2のレーザーが発射されようとした。エゥーゴはハマーン・カーンの協力の元、その機能を一時的に止めようとする。

「ティターンズと同盟を結び、コロニー・レーザーの背後に布陣しているアクシズ艦隊に、コロニー・レーザーを攻撃してもらうよう交渉……出資者は相変わらず無理難題をおっしゃる」

だが、そこから歴史はささやかな変化を見せる。シャアに代わり、ハマーンの元に特使として赴くことになったのは?

―――もしかしたら、ミネバ様だけでなく、ハマーン様にも気に入られたのかもしれませんね。
―――いやいや、だからって、表向きとはいえ交渉相手に俺を選ぶか?

次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』

第25話、『ハマーンとの接触』

刻の涙は、止められるか?

※次の更新は、12/29 12:00の予定です。

今回出てきた新キャラの外道悪役、専用機の名前はどれがいいですか?

  • オル・トロス
  • ノートゥング
  • ヒュドラー
  • その他
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