ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより 作:ひいちゃ
カツだが、すぐに見つかった。
林の一角で、サラ・ザビアロフと邂逅していたからだ。
と言っても、どう見ても逢引きの途中には見えない。カツがサラを説得しようとしているようだ。
その説得の声が、風にのって、こちらまで聞こえてくる。
「なんでわからないんだ! シロッコは、君をいいように使っているだけなんだよ! そうじゃなきゃ、毒ガス作戦なんて、そんなことに君を参戦させるものか!」
「前にも言ったはずよ! 私にはパプテマス様が全てなの。あの人のためになれればそれでいい! あなたこそ、どうしてエゥーゴで戦っているの?」
「……! それは……」
「ジオンへの復讐のため? それと私の戦う理由と、どちらが良い理由なの?」
「……」
そこでサラが、カツへ一歩踏み出した。
「ジオンに復讐したいだけなら、カツ、私と一緒に行きましょう。きっとパプテマス様は、あなたの望みを叶えてくれるはずよ……誰っ!?」
と、そこでサラがこちらに気が付いた。音は立てていないはずなのだが、俺……カレル・ファーレハイトのNT能力を感知されたのだろうか。
仕方ないので、姿を現すことにする。
「内緒話を聞いてごめんね」
「カレル・ファーレハイト……。カツを連れて行くのを邪魔するつもり?」
「えぇ、当然。でもカツがそれでもティターンズに行きたいというなら、あえて止めはしないけどね。もっとも、そうなったら、私は躊躇なくカツを討つだけだけど」
「カレルさん……」
そこで俺は、サラに厳しい目を向ける。
「それでもあなたよりはマシだと思う。シロッコの人形のあなたよりは」
「なんですって……?」
「だってそうじゃない。シロッコの言うことを妄信して鵜呑みにして疑問を持たず、考えることもせず、ただその通りに動くなんて。そんなのただの人形だよ。それは自分の未来を摘み取ることに他ならない。少なくとも、私……いや、俺はカツをそんな存在になり果てさせるつもりはない」
「カレルさん……」
「カツ、ティターンズに行くなら止めるつもりはない。でも、今のままの彼女についていったらダメ。そうなったら、あなたも人形にされるだけだよ」
「そんなこと……!」
言い募るサラに、俺は最後通牒を突き付けた。素の口調に戻って。
「違うと言い切れるか? もしシロッコがカツを殺せと言ってきたら、あんたはそれを止められるのか?」
「……!」
「今の沈黙、躊躇が全ての答え、自分がシロッコの人形に過ぎないという証明だ。カツを誘惑する前に自分を見直すべきじゃないか?」
「……」
と、そこで唐突に、あたりが揺れた。かすかに爆音も聞こえる。
「くっ……!」
「サラ!」
俺たちが態勢を崩した隙に、サラは逃げ出した。
「待ちなさい、カツ。さっきにも言ったけど、そんな彼女についていったらダメ」
「でも……」
「彼女を助けたいなら……って、それどころじゃないな。ボスニアに戻りましょう。続きはあと」
「は、はい……」
そして俺とカツは、ボスニアのある宇宙港に走っていった。
* * * * *
かくして。
「カレル・ファーレハイト、ガルバルディディフェンサー、出る!」
「メタス、行きます!」
俺のガルバルディ・ディフェンサーと、カツのメタスが、出航したボスニアから発進していく。
さっきの振動は、どうやらティターンズの部隊が、こちらに攻撃を仕掛けてきたからのようだ。
奴ら、なりふり構わなくなってきたな……。
そして俺たちボスニアのMS部隊は、ティターンズのMS部隊と接敵した。
相手は、ハイザックの狙撃仕様、ハイザック・カスタム。奴ら、残骸に紛れて、付近を偵察とかしていたエゥーゴのMS隊を襲っていたらしい。
ハイザック・カスタムの1体がビームを発射! それを回避する。
「遠距離戦主体の機体は、懐に入り込めばっ!!」
さらに飛んできたビームをかいくぐり、その懐に飛び込んで、その腕を一刀両断する。ダメ押しに、離れ際にビームライフルでメインカメラも破壊しておく。
もう1機には、ジョッシュのネモが応戦していた。さすが、マクマナス隊長に鍛えられてきただけあって、ビームランチャーをうまくかわしながら、ビームライフルの射程まで接近し、ビームライフルを連射! 見事に胴体を撃ち抜いて撃破した。
別の一機に、カツのメタスが組み付いた。あれがサラの機体だと感づいたのだろうか。
説得しているのか、二機は組み付いたまま動かない。
だが、それも終わるときがきた。ハイザック・カスタム隊が撤退を開始し、サラのハイザックも、メタスから離れて離脱していったのだ。
カツはメタスのビームガンをハイザックに向けるが、結局撃つことができずに、逃がしてしまうのだった……。
* * * * *
ボスニアの通路。そこでカツは、ただ外を見てため息をついていた。
俺は、そこにそっと近寄って、その脇に立った。
「カレルさん……」
そこで沈黙。やがて、カツのほうから口を開いた。
「僕はどうしたらいいんですか……? サラには戦ってほしくないんです……でも……」
「そっか……。クワトロ大尉が(原作で)言ったことなんだけど、戦いの中で助ける方法だってあるはずだよ」
「そんなきれいごと!……そんな理想論が……」
普通はそう思うだろう。だけど。
「できる!」
「!?」
俺はカツに正面から向き合ってそう断言した。
そして真剣な面持ちで話しを続ける。
「そもそも理想論だからと諦めたら、それ以上進むことはできないよ。そうじゃない?」
「……」
「今のカツにはあるものが足りないから、それができないだけ。それを補えばきっとできるはず……」
「それは一体なんなんですか?」
「それは強さと信念だよ」
「強さと信念……」
俺はうなずく。
「甘いのは結構。でも、弱かったらただ甘いだけだよ。彼女を殺したくないなら、取り戻したいなら、それなりの信念と覚悟、サラを殺さず無力化できるだけの力を持たないとダメ。なんとしても叶えたいものがあるなら、今より強い強さを、サラよりもシロッコよりも勝る強さを身に着けないとダメだよ」
「……」
「力なき正義は無力。サラを助けたければ、シロッコから彼女を解放したければ、その気持ちを固くして、それを成し遂げられる力を身に着けること。そうすればきっと、君の望みはかなうと思うよ」
「カレルさん……はい」
カツの表情が決意を固めた男のものになった。俺の言葉がカツの再起につながったのなら何よりだ。
そう思った俺の視界に、アーガマが近づいてくるのが見えた。
ただいま、ファンアート募集中です!
また、ルブラ君の専用機の名前のアンケートが開催中です!
協力してくれると嬉しいです。
その他の場合は、活動報告の募集スレのほうに書いてくださいませー
※ちなみにその専用機の原型はバウンド・ドッグの予定です
※『その他』枠の候補に投票したい場合は、『ルブラの専用機のネーミング』スレに、投票したい機体名を書いてレスしてくださいませ(平伏
* 次回予告 *
月面の都市グラナダに、グリプス2のレーザーが発射されようとした。エゥーゴはハマーン・カーンの協力の元、その機能を一時的に止めようとする。
「ティターンズと同盟を結び、コロニー・レーザーの背後に布陣しているアクシズ艦隊に、コロニー・レーザーを攻撃してもらうよう交渉……出資者は相変わらず無理難題をおっしゃる」
だが、そこから歴史はささやかな変化を見せる。シャアに代わり、ハマーンの元に特使として赴くことになったのは?
―――もしかしたら、ミネバ様だけでなく、ハマーン様にも気に入られたのかもしれませんね。
―――いやいや、だからって、表向きとはいえ交渉相手に俺を選ぶか?
次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』
第25話、『ハマーンとの接触』
刻の涙は、止められるか?
※次の更新は、12/29 12:00の予定です。
今回出てきた新キャラの外道悪役、専用機の名前はどれがいいですか?
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オル・トロス
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ノートゥング
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ヒュドラー
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その他