ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより 作:ひいちゃ
ご指摘ありがとうございました!
かくしてアクシズとの交渉を成功させたエゥーゴは、いよいよコロニー・レーザーに攻撃をかけることにした。
といってもこちらは陽動。こちらがティターンズの目を引き付けている間に、ティターンズの後詰をしているアクシズ艦隊がコロニー・レーザーを攻撃してくれる、という寸法だ。
ちなみにその条件は原作通り、サイド3の譲渡(具体的にはアクシズがサイド3のジオン共和国に攻め込んでも、エゥーゴとしては関知しない)と……なぜか俺……カレル・ファーレハイトが毎年一回、アクシズに特使として赴く、ということに決まった。きっと、ミネバ(もしかしたらハマーンも)が、俺を気に入ってねじこんだのだろう。しかし、特使が俺のような少尉のぺーぺーでいいのだろうか、という気がするが。
まぁ、それはともかく、だ。ティターンズ艦隊の警戒領域に入ったエゥーゴ艦隊は、こちらも戦闘態勢に移った。アーガマを初めとした各艦からも、MS隊が発進していく。
そして、ボスニアからも。
「姫、本当にいいのかい? 俺としてはちょっとゴタゴタして気にくわないんだけどなぁ」
「はい。やっぱり戦い方のオプションが増えたほうがいいですから」
そう笑って、真下のガルバルディディフェンサーを見下ろす。整備長も言う通り、ガルバルディディフェンサーには、ちょっとごたごたしたものがついていた。
まず、ディフェンサーの側面、ロングライフルのついているのと反対側にはクレイバズーカ、さらに背面部には爆雷を投下するマインレイヤー。
ガルバルディの左腕には煙幕弾のランチャー、右腕にはグレネードランチャー。さらに両腰には、ワイヤーつきアンカー。
我ながら結構つけたものだ。当然その分重量はいくらか増しているが、ディフェンサーの推力があるので、さほど影響はないはずだ。
改めてヤザン隊の手ごわさを思い知った俺は、自分の戦いを見つめなおした結果、正攻法はもちろん、トリッキーな戦いも必要だと考え、そのための装備を、整備班に頼んで施してもらったのだ。
これでどこまで立ち向かえるかはわからないが、やっておいて損はないだろう。
『ジョッシュ、ネモ、行きます!』
MSデッキから、ジョッシュの乗ったネモが発進していく。次は私の番だ。
「それじゃ行ってきますね、整備長」
「おう、がんばってこいよ」
「はい」
そしてガルバルディに向かい、乗り込む。
「カレル、ガルバルディ・ディフェンサー、行きます!」
* * * * *
接近してきたバーザムを、ロングライフルで迎え撃ち、頭部と両腕を撃ち抜く。上からやってきたハイザックは、そのビームサーベルを交わし、すれ違いざまに切り捨てる。
俺はできるだけ犠牲は出したくないが、だからといって完全不殺というわけではない。避けられないとなれば、撃破することも辞さない。これは戦いだからな。そんな割り切りも必要だ。
また、ここでは新装備は使わない。これあくまで、ヤザン隊やジェリドなどの強敵との戦い用なのだ。
ロングライフルを構え、ネモの1機に攻撃しようとしていたマラサイを撃ち抜く。
史実ではふてくされてなかなか出なかったカツも、今回はメタスで激戦を繰り広げていく。その動きは、原作よりも鋭い。カツもあれから、カミーユやエマさんから特訓を受けたのだろう。
俺は接近してきたバーザムのビームサーベルを、同じくビームサーベルで受け止めた。
* * * * *
一方、ドゴス・ギア。
「バスク大佐、アクシズ艦隊が、コロニー・レーザーの後方から接近。後方支援に就く、とのことです」
それを聞き、バスクは愉悦の笑みを浮かべた。アクシズがエゥーゴとも密約を交わしていると知る由もなく。
「くくく……女狐め、恩を売るつもりか。一応、アレキサンドリアのガディに監視するように伝えておけ」
「はっ」
そして正面に向きなおり、指令を下した。
「よし、これで戦力はこちらが有利になる。MS隊に攻勢に出ろ、と伝えろ」
「了解!」
* * * * *
そして一方のグワダン。
「ふ……こちらがエゥーゴと結んでいる可能性を考えもしないとは、やはり戦いだけが全ての能無しだな」
艦橋のハマーンがそうほくそ笑む。
そして、コンソールを操作し、コロニー・レーザーの一点にマーカーをつけた。
「コロニー・レーザーを全て破壊する必要はない。この核パルス・エンジンのみを潰すのだ」
その指示を聞いたグワダンの艦長、ユーリ・ハスラーはあることに気づいて、問いかけた。
「いずれ、我々がこれを使うこともあると?」
「察しがいいな。その通りだ。我々が使うもよし、さらにエゥーゴから条件を引き出すための交渉材料としても使えよう」
「なるほど……」
ハスラーの感嘆の声を聴きながら、ハマーンはふと苦笑をもらした。
(シャアやエゥーゴそのものには特に思い入れはないが……な。ふ……私も変わってしまったものだ)
* * * * *
ティターンズの攻勢が強くなった。先ほどよりも多くのMSがこっちに向かってくる。
だがそれは、ティターンズが、アクシズのことを疑っていないことを意味する。その意味では、こちらの策はあたったといえるだろう。
「もうひと頑張り、行くよ!!」
そう言い、俺はGディフェンサー部からミサイルを発射。接近してくる数機のMSを撃墜した。さらに数機のMSがこちらに突っ込んでくる。
そのうちの1機のハイザックをロングライフルで撃ち抜き、もう一機接近してきたバーザムのビームサーベルを、ビームサーベルで受け止める。そしてそいつを蹴り飛ばすと、その反動で後退してロングライフルを発射! その攻撃で左腕を失ったバーザムは、それでも闘志を失わずに突撃してきた。
俺は慌てず騒がず、狙いを定めて、腕のグレネードランチャーを発射した! グレネードはバーザムの頭部に命中!
頭部までも失った機体からパイロットが脱出した。それを見計らうと、俺はロング・ライフルでバーザムにとどめを刺した。
* * * * *
一方、グワダンでは主砲の発射準備が行われていた。
それを見ながら、ハマーンがハスラー艦長に言う。
「ふふふ、主砲はアーガマを狙ったのだろう? 艦長」
「はっ」
「アーガマを狙ったビームがそれて、コロニー・レーザーに当たるとは、なんとも不幸な事件だ」
そしてグワダンからビームが発射! それは見事にコロニー・レーザーの核パルスエンジンの一つを撃ち抜いた!
* * * * *
その報告は当然、ドゴス・ギアのバスクの元へも届けられていた。
「な、なんだと!? コロニー・レーザーの核パルスが!?」
「は、はい。後方からのグワダンからの砲撃で……。向こうは乗組員が不慣れなゆえの事故と釈明していますが……」
バスクの顔をみるみる怒りで赤くなる。これが誤射ではないことぐらい、彼でもわかるのだ。
「そんなわけはあるか! おのれ、女狐め……。これでは、グラナダを射程に収めるどころか、他に狙いを定めることもできんではないか……! アレキサンドリアのガディは何をしていたのだ!?」
「あっ、アクシズ艦隊、急速に後退していきます!」
「おのれ、女狐……このままで済むと思うなよ……!」
* * * * *
俺のガルバルディ・ディフェンサーのコクピットに通信が入る。アーガマのブリッジにいるオペレーターのフォウからだ。
「エゥーゴの各MSに告ぐ。作戦は成功した! ただちに帰還せよ! MS隊を回収し次第、ただちに撤退する。繰り返す!」
どうやら、コロニー・レーザーを止めることには成功したようだ。よかった。
エンジンだけを破壊して、機能そのものは残すとは、さすがハマーン。喰えない人、というべきか。
彼女は情念だけの人ではない。打算やら戦略やらもわきまえて動く傑物だというのを改めて感じた。
何はともあれ、目的を達したのなら、これ以上ここにいることはない。逃げるに限る。
俺はガルバルディディフェンサーをボスニアに向けたのだった。
ただいま、ファンアート募集中です!
XINNさんからファンアートをいただきました!
カレルの立ち絵です。ありがとうございました!
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XINNさんからは、ちょっといやんなカレルのファンアートもいただきました!
ありがとうございます!
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* 次回予告 *
コロニー・レーザーへの攻撃は、ティターンズにささやかな亀裂を生みつつあった。
「しかし、あのようなものでスペースノイドどもを威圧しようとは。わしは大量殺戮者の汚名はほしくはないのだがな……。武闘派という輩は、宇宙が砂漠化しても生きていけると思っているようだな。彼らを排除する算段しておかねばならぬか……」
そしてジャミトフの思惑とは別に、バスクとシロッコもその野心を燃え上がらせ蠢き始めるのだった。
「えぇ、ありえない話ではないでしょう。だからこそ、私がジャミトフ氏を退場させてあげようというのですよ。悪い話ではないでしょう?」
次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』
第27話『三者三様の思惑』
刻の涙は、止められるか?
※次の更新は、1/4 12:00の予定です。お楽しみに!