ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

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さぁ、ここから、少しですが展開が原作とは少し変わってきますよ!


ゼダンの門編#03『三者三様の思惑』

 コロニー・レーザーの戦いの後、ジャミトフ・ハイマンは部下からコロニー・レーザーが被害を受けた時の報告を聞いていた。

 それを聞き、彼はため息をもらす。それは、彼の部下たちの武断ぶりに頭を痛めているかのようであった。いや、実際そうなのだが。

 

「しかし、あのようなものでスペースノイドどもを威圧しようとは。わしは大量殺戮者の汚名はほしくはないのだがな……。武闘派という輩は、宇宙が砂漠化しても生きていけると、本気で思っているのか? 彼らを排除する算段しておかねばならぬか……」

 

 そして、どこかと電話で連絡を取った後、窓から外を眺めてつぶやいた。

 

「彼らにスペースノイドに対する弾圧の責任を負わせ、処断する。その後に、ティターンズを少しでも開明的な方向に向けさせ、それをアピールさせていけば、まだやりようはあるかもしれん。バスクたちを処断すれば、ティターンズが変わることをアピールする材料には十分だ」

 

 そしてさらに続ける。

 

「歳だ。いつ死んでもいい。わしが死ぬまでに、地球圏にとって必須のことをやってみせる」

 

* * * * *

 

 ……なぜ俺……カレル・ファーレハイトはここにいるのだろうか? 俺はただの少尉なのだが。

 

「この度は、コロニー・レーザーへの攻撃、感謝いたします」

 

 俺はまたもやグワダンの謁見室で、ハマーン、ミネバの二人に対して頭を下げていた。

 よほど俺は二人に気に入られているらしい。二人に最も近い人物であるシャアを差し置いて、俺を呼んだくらいなのだから。

 

「うむ、ザビ家再興の日も近い。それがともによい日であることを祈っておいてほしい」

「はい、もちろんです」

 

 俺としては、1年戦争やZZのような大戦争を起こさなければ、ザビ家は一向にいくら再興しても構わない。ただ謎なのは、連邦との戦力差がわからないはずがないハマーンがなぜZZの戦いを起こしたのか、ということなんだよな。連邦が態勢を立て直して本腰で挑めば勝てないことぐらいわからないことはないと思うのだが。現に、劇場版ではアステロイド・ベルトに引き返しているし。

 

 と、そこで文官が何かの紙をハマーンに手渡した。何かの報告だろうか?

 

 それを読み終えたハマーンは、文官に何かを伝えて、下がらせた。

 

「ハマーン様、何かあったのでしょうか?」

「お前たちに教えてよいものかどうか迷うが……まぁよかろう。知ったところで、こちらに不利益になるとは思えないからな」

 

 まぁ、確かに。史実でも、シャアに、ミネバがグワンバンに移ること(=グワダンで何か大変なことが起こる)を平然と知らせているしな。

 それで俺はピンときた。この後に起こるイベントに、思い当たりがあったのだ。

 

「ジャミトフとの会談ですか?」

「ふ……さすがに聡いな。先を知る者ゆえか?」

「ノーコメントとさせていただきます」

 

 やんわりと断っておく。ハマーンには知られているとはいえ、俺が先のことを知っていることを、あまり広げてほしくない。

 

「その通りだ。ジャミトフが交渉を求めてきた。大方、我々と再び手を結びたいのであろう。ふ……こんなことまで話してしまうとは。お前は本当に不思議な奴だ」

「恐縮です……。それで、応じるのですか?」

「もちろんだ。もっとも、あの俗物のことだから期待はできまいが……」

「それなら一つだけお願いしたいことがあります。ジャミトフを暗殺するのだけはおやめいただきたいと思うのです」

「ほう……?」

 

 ハマーンが、興味深そうな目で俺を見る。俺の考えていることに関心を持ったみたいだ。

 

 ジャミトフがハマーンと会談する。それを聞いて、俺の中で一つ、思うところがあったのだ。

 もしかしたらここが、このグリプス戦役の流れが変わるターニングポイントかもしれない、と。

 

「よかろう。お前がそう言うのならばな。そうだ。その代わりと言ってはなんだが、お前に一つ頼みたいことがある」

「???」

「アーガマ……いや、シャアに言伝を頼みたいのだ」

 

* * * * *

 

「ハマーンが、ゼダンの門でジャミトフと会談をすると?」

「はい。それで、脱出のさいに、支援をしてほしいと」

 

 アーガマのブリッジ。そこで俺の報告を受けたブライトさんとクワトロ大尉ことシャアが相談をしている。

 

「クワトロ大尉、この会談、成立すると思うか?」

「うまくいくはずがないな。ザビ家の再興をジャミトフが本気で認めるとは思えんし、ハマーンのことだ。ジャミトフの許しなど得ずとも野望を果たそうとするだろう。だがこれはもしかしたら、ゼダンの門を叩く好機かもしれん」

 

 ゼダンの門……ジャミトフが会談場所に指定したティターンズの拠点の一つだ。旧名称はア・バオア・クー。そう、連邦とジオンの最後の戦いが行われた場所だ。

 確かにここを潰せれば、ティターンズに大きな打撃を与えられるだろう。シャアの言う通りに。

 でも俺はそれとは別に、考えていることがあった。

 

「それなら、攻撃の支援に、工作員を派遣するのはどうでしょう?」

「確かにそうだな。それなら私他数名が向かうことにしよう」

「私も行きます。少しは役に立つかもしれません」

 

 俺がそう言うと、シャアはふっと口元を笑みの形にゆがめた。

 

「それは謙遜がすぎるな、少尉。君の力には期待させてもらう」

 

 なんか意味深な言葉。俺の強化された肉体能力のことを言っているのか、俺の秘密のことについてなのか、どっちだろう?

 それはともかく、俺が工作に同行することにしたのは、任務とは別の考えがある。

 機会があれば、ジャミトフと会い、直談判できないかと思ったのだ。

 

 本編を見てきた俺だからわかるが、ジャミトフの本意は決して、「アースノイド一番、スペースノイド滅ぶべし」という単純な地球至上主義ではない。

 その本当の思惑は、「戦争を利用して、地球上の人口を減らして管理し、地球環境を再生する」というものだ。戦争を使って人減らしをするというのは過激で許されるものではないが、それでも、彼の地球を憂う心は本物だ。彼はやり方を間違えただけなのだ。

 

 だからここでジャミトフを説得して、翻意させて今のやり方を変えさせることができれば、もしかしたらエゥーゴやアクシズとの和解にもつながり、この後の宇宙世紀の歴史が変わるのではないかというのが俺の狙いだ。

 まぁ、そもそもうまくジャミトフと会えるかわからないし、説得できるかどうかもわからない、うまくいったら僥倖というような考えではあるが。でもそれでも、やらないよりはましだ。

 

* * * * *

 

 一方、ドゴス・ギアには、バスクと会見するパプテマス・シロッコの姿があった。

 

「ふん、何をしに来たのだ、シロッコ?」

「そう邪険にしなくてもいいでしょう。私とあなたには一つ、利害が共通することがあるのですから」

「利害だと?」

 

 バスクがそう言うと、シロッコは唇をゆがませた。

 

「えぇ。ジャミトフの存在です」

 

 そういわれ、バスクの表情が変わった。それこそが、シロッコの言葉が正しいことの証明であった。

 

「あなたも気づいているのでは? あなたの今までしてきたことは、ジャミトフの意に完全に沿ったものではなく、かえって、彼に危機感を与えるものであったと」

「それでジャミトフ閣下が私を粛正するかもしれんと?」

「えぇ、ありえない話ではないでしょう。だからこそ、私がジャミトフ氏を退場させてあげようというのですよ。悪い話ではないでしょう?」

 

 シロッコの言葉に、バスクは厳しい表情を浮かべた。……その口元はかすかに歪んでいたが。

 

「そのようなことに、私は関与する気はない。やりたければ勝手にやればいい。できればな」

 

 その言葉の意味を察したシロッコも笑みを浮かべた。

 

「えぇ、勝手にやらせていただきます。それでは」

 

 そして去っていくシロッコ。その途中で彼は思う。

 

(ジャミトフ暗殺を黙認し、私に手を汚させ、自分は労せずティターンズの全権を握る気か、バスク・オム。だが残念だったな。ジャミトフの次はお前だ)

 

 その足音を聞きながら、バスクもほくそ笑んでいた。

 

(ジャミトフを暗殺させ、その罪をシロッコに着せて、奴を粛正し、私はジャミトフを暗殺した逆賊をうち、その名声をもって全権を握る。悪くはない。どのみち奴は危険だ。生かしておくわけにはいかないのだからな)

 




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* 次回予告 *

最後の会談が、ジャミトフとシロッコ、ハマーンの間でもたれた。

「遅かったな、ハマーン。わしらを暗殺する算段でもしていたのか?」
「それも考えていたけど、やめたよ。色々あってな」
「ほう……?」

ジャミトフにひそかに会うため、ゼダンの門に潜入するカレル。

そこで彼女は、ジャミトフの死を看取り、あるものを託されることになるのだ。

「持っていくがいい。あの男に一人勝ちされるのは、気に食わんのでな……」

次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』

第28話『暗殺劇』

刻の涙は、止められるか?

※次の更新は、1/5 12:00の予定です。お楽しみに!
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