ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

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ゼダンの門編#04『暗殺劇』

 原作において、ゼダンの門でのジャミトフとハマーンとの会談は、周辺宙域に配備されていたアレキサンドリア級の中で行われていたが、この世界では、ゼダンの門の中の一室で行われるそうだ。

 

 というわけで、俺……カレル・ファーレハイトとクワトロ・バジーナ大尉ことシャアは、ハマーンに頼んで、グワダンに乗せてもらって、ゼダンの門までやってきた。……その代わりに、グワダンに泊まれ(そしてミネバの相手をしろ)という条件を飲まされてしまった。もうハマーンの株どころか、シャアの株までも奪いそうな勢いだがいいのだろうか? いやだぞ、俺のクローンが『私の知ってるカレル・ファーレハイトは、あなたのような空っぽの人間ではなかった』と責められるのは。

 

 それはともかく、問題なく、グワダンはゼダンの門まで到着することができた。後は、要塞内部に潜入するだけである。が、そこはエゥーゴがうまくやってくれた。

 

「サラミス級が入港を求めています!」

「識別は!?」

「応答ありません! あっ、加速をかけました!」

「要塞の対空砲で撃ち落とせ!」

 

 たちまち、要塞の対空砲からビームが放たれ、エゥーゴから放たれたサラミスは穴だらけになった。だが、実はかなり補強されたサラミスはそれでは止まらず炎を出しながら宇宙港に突入。白煙を発した。俺たちは、その白煙に紛れて要塞内部に潜入した。

 

「よし、私は弾薬庫に仕掛けてくる。カレル少尉はMS格納庫に仕掛けてくれ。宇宙港で合流しよう」

「了解です」

 

 そしてシャアと別れる。ちょっと急がないとな。史実ではここでの交渉が決裂すると、ハマーンがアクシズをゼダンの門にぶつけることになる。その前にやることをやってしまわないとな。

 

* * * * *

 

 一方そのころ。ゼダンの門の会議室で、ジャミトフとハマーン、そしてシロッコの会談が始まろうとしていた。

 

「遅かったな、ハマーン。わしらを暗殺する算段でもしていたのか?」

「それも考えていたけど、やめたよ。色々あってな」

「ほう……?」

 

 そこでハマーンは、シロッコに視線をうつして、笑みを浮かべた。

 

「むしろ、暗殺はシロッコの領分ではないのか?」

「滅相もない。私は、ジャミトフ閣下に忠誠を誓ってるのでな。血判状を出すほどに」

「ほう……? ずいぶん前時代的だな」

 

 そして三人で席につく。

 

* * * * *

 

 MS格納庫にやってきた俺は驚愕した。そこに、ジ・Oとボリノーク・サマーンがあったからだ。ということは、ここにシロッコが……?

 

 何か不穏なものを感じながら、爆薬を仕掛ける。あえて、ジ・Oとボリノーク・サマーンの近くには仕掛けない。シロッコはどうでもいいが、サラを吹き飛ばしたりしたら、カツに申し訳ないしな。

 

 そして、爆薬を仕掛け終えた。時間を見ると、シャアとの合流時間にはまだ余裕がある。

 

 ……さて、それじゃジャミトフを探しに行くか。

 

* * * * *

 

 そして、ハマーンとジャミトフの交渉は……。

 

「ザビ家の復興は既に約束したはずだ。血判でもほしいのか?」

「ははは! 紙の上に血を乗せたものなど、何の証明になりましょう」

 

 そういうと、ハマーンは立ち上がる。

 

「これで決まったな。アクシズをゼダンの門にぶつける!」

「その前に、お前の命がこれで終わると思わぬのか?」

 

 そういって、ジャミトフが銃を抜こうとしたその時!

 

 会議室を激しい揺れが襲う! カレルとシャアが仕掛けた爆薬が爆発したのだ。

 

 それによる混乱に乗じ、ハマーンは身に着けていたイヤリングを外し、地面にたたきつけた。途端に、イヤリングから煙幕が噴出し、部屋の中を白く染める。

 

「お前の命を奪わなかったことをありがたく思うがいい!」

 

 そう捨て台詞を残し、ハマーンは走り去っていった。

 

* * * * *

 

 俺がジャミトフを探していると、ハマーンの声が階上から聞こえてきて、白い煙が少し流れてきた。

 確か、ハマーンはジャミトフと会談をしていたはず。ということは、ジャミトフはその階に?

 俺はヘルメットのバイザーを降ろして、慎重に階段を昇って行った。

 

* * * * *

 

「グワダンから通信! 『昼と夜は相いれず』です!」

 

 アーガマのブリッジにグワダンからの通信が届く。それは、『交渉決裂。離脱の援護を求む』という意味だ。

 それを聞き、ブライトがうなずく。

 

「よし、ゼダンの門のティターンズに対し、攻撃を仕掛ける! MS隊、発進用意!」

「はい! カツ行くわよ!」

「わかりました。グワダンを助けるのは気が進みませんけどね!」

 

 原作と異なり、そう愚痴りながらも、カツはエマの後を追っていった。

 

* * * * *

 

 俺がその部屋に近づくと、二人の男性の声が聞こえてきた。

 

「ゴホ、ゴホ……ハマーンは……」

「あの女は逃げおおせましたよ。でも、それはもうあなたには関係のないことだ」

 

 そして銃の音。

 

「ジャミトフ閣下、若い女を口説き落とせませんでしたね」

「し、シロッコ、貴様……!」

 

 そしてシロッコがジャミトフに銃を向けたのと、俺が部屋の中に入ってくるのは同時であった。

 

「シロッコ!」

「!!」

 

 俺は、シロッコに思い切って体当たりをする。それを受けて彼はよろけるが、よろけながらも銃が撃たれ、ジャミトフの左胸……心臓の近くに着弾した!

 

「ごふっ……!」

「くっ、邪魔が入るとは。だが、その傷ではもう助かるまい!」

 

 そういって、シロッコは俺をはねのけて走り去っていった。

 それと入れ替わるように、俺はジャミトフの元に駆け寄った。

 

* * * * *

 

「お前は……キリマンジャロで調整されていた強化人間か……」

「はい。今はエゥーゴに参加しています」

「そうか……お前にわしの死と、我が理想の終焉を看取られるとは、因果なものだな……ごふっ……」

 

 そう言うと、ジャミトフは胸から、血にまみれたディスクを差し出した。

 

「さっきのシロッコとのやり取りを録音したものだ。持っていくがいい。あの男に一人勝ちされるのは、気に食わんのでな……」

「ジャミトフ閣下……ありがとうございます」

「しかし……ごふ……我が理想もこれで終わるか……無念じゃ……」

「この戦いを利用して、人口を減らし、地球の環境を回復させようとしたのでしょう?」

「ははは……お前のような娘に……わしの真意を見抜かれるとは……」

 

 そこでまた、ジャミトフは血を吐いた。その顔は真っ青だ。冥府の門をくぐるのは間もなくということだろう。

 しかし、彼も言った通り、ティターンズの部下や側近ではなく、敵である俺が彼の死をみとるとは、なんという運命の皮肉か。

 

「あなたはきっと、戦乱の絶え間ない世界と、自分の年齢とで焦り、逸りすぎたのだと思います。ゆっくりと時間をかければ、そのような手を取らずとも、地球の再生はなったのかもしれませんでしたのに、もしかしたら、このような結末を迎えることも……」

「そう……じゃな……今となっては、もう……遅いが……」

「ですが、あなたの地球を想う心は本物だと思います。少なくとも、あのシロッコよりは」

「ははは……お前に理解されても……うれしくは……ないが……」

 

 そういって、ジャミトフはこと切れた。

 それを見届けると、俺はジャミトフのまぶたをそっと閉じてやり、その場を後にした。

 

* * * * *

 

 そしてその場を離れた俺は、宇宙港でシャアと合流した。

 

「無事だったか、カレル少尉。そのディスクは?」

「ジャミトフが私に託したものです。シロッコに暗殺されて、その死の間際に……」

「そうか……。しかし、あのジャミトフに会ってきて、遺産を託されるとは、君は実はすごい奴なのだな」

「たまたま、ジャミトフを見つけただけですよ。そんな有名人ではありません」

 

 そう言って、ハマーンが宇宙港に置いておいてくれたガルバルディと百式に乗り込む。

 その俺の耳に、シロッコの声が聞こえた。

 

* * * * *

 

「全ティターンズの将兵に告ぐ! ジャミトフ閣下は、ハマーン・カーンに暗殺された!」

 

 シロッコは、ジ・Oから全周波で通信を送る。スピーカーからも。

 

「ジャミトフ閣下は死の間際、私に遺言を下された! ティターンズの指揮権を私に譲ると、そしてアクシズとエゥーゴを叩けと!」

 

 シロッコはほくそ笑みながらさらに続ける。

 

「ティターンズの全将兵よ、ティターンズに敵対するもの全てを叩け! これは閣下の……」

 

 だがそこに。

 

『ゴホ、ゴホ……ハマーンは……』

『あの女は逃げおおせましたよ。でも、それはもうあなたには関係のないことだ』

 

 シロッコの演説を遮るように、そのシロッコとジャミトフの声が戦場に響く。

 

『ジャミトフ閣下、若い女を口説き落とせませんでしたね』

『し、シロッコ、貴様……!』

 

 そして銃声が、衝撃をもって戦場に鳴り響いた。

 




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* 次回予告 *

ジャミトフの暗殺が招いたのか。それは誰にもわからない。
しかしゼダンの門は、エゥーゴとティターンズの戦いの場と化していた。

―――気を付けて。来ます!!

その戦いの中、カツは、もう少しで手が届いたものが、無慈悲で不条理なものに奪われる様を目の当たりにする。

『カツ、離れて!』
「え?」

次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』

第29話『クロス・ファイト(前編)』

刻の涙は、止められるか?

* 次回登場・外伝登場or本作オリジナルMS *
NRX-055N ヒュドラー

※次の更新は、1/8 12:00の予定です。お楽しみに!
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