ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより 作:ひいちゃ
申し訳ありません(汗 カツもすまん(汗
あとそれと、大人しい人ほど怒ると怖いものです(爆
コロニー・レーザーを守備しているアクシズ艦隊に攻めてきたのは、バスク・シロッコ派……ブライトさん曰く主流派……の先遣部隊らしい。
問題は、先遣部隊でも、アクシズ艦隊を上回る規模ということだ。先遣艦隊で守備艦隊を撃滅し、奪った後、本隊の合流を待つつもりなのだろう。
それだけあって、先遣部隊の規模はなかなかのもので、普通に戦ってもある程度の時間持ちこたえられそうだ。
つまり、普通に戦っても、コロニー・レーザーの奪取は難しいということだ。
ではどうするかというと……。
* * * * *
「ちゃんと戻って来いよ、カミーユ」
「シンタ、何言ってるんだよ。お前たちのほうこそ、ファに面倒かけるなよ?」
アーガマに引き取られている子供、シンタの頭を軽く叩き、カミーユは居住区を出ていった。
原作でもあった光景だが、今回は状況が明るいほうに向いているため、カミーユからは危うい感じはしなかった。いいことだ。
それを俺……カレル・ファーレハイトが温かい目で見送っていると、近くの部屋からカツが出ていった。その表情は、原作の時よりは落ち着いているが、それでもやっぱり思いつめている感じがした。
「カツ、サラを失って辛いのはわかるけど、あまり思いつめたらだめだよ」
「カレルさん……わかっています。でも、サラの無念は僕が晴らしたいんです。命を賭けて、少しでもティターンズの奴らを倒して、ティターンズを倒す手伝いをすることが、無念を晴らすことにつながるんじゃないかって……」
やっぱりサラのことを引きずってるのか……。うーん。
「うーん、気持ちはわかるけど、それはちょっと違うんじゃないかな?」
「え?」
「戦うべきは、ティターンズを倒すためではなくて、彼らを倒すことで、この戦いを終わらせること、そして世界をティターンズの圧政から解放するためじゃないかな? それに、それより大事なのはカツが無事でいることであって、そのために戦って散っていったって、サラは喜ばないと思うよ」
「……はい……」
「大事なのは、この戦いを生き抜き、終わらせること。それを忘れないで」
「はい、わかりました……」
「うん、よろしい」
そしてカツも、グリップリフトに乗って居住区を出ていった。その俺に、ジェリドが近づいてきた。
「……何?」
「いや、前までカミーユに世話を焼いていたのに、今度はあの坊やか。ご苦労なこったと思っただけだ」
「性分だからね。それに、前って言ったって、数カ月前のことじゃない」
俺がそう言うと、ジェリドは苦笑した。
「そうだけどな。でも本当に、グリーンノア2のことが遠い昔のように思えるぜ」
「そうだね……」
本当にあの時のことが懐かしい。思えば、あれから色々なことがあったな。
ボスニアに配属され、ライラさんと出会い、別れ、地球に降りて、ロザミィやフォウと出会い、強化され、いつの間にかここまで来ている。
本当に遠いところまで来たような感じだ。
……といかんいかん。
「過去のことに思いをはせるのは後にしましょう。それは、この戦いが終わって、平和になってからゆっくりと振り返ることにしようよ。決戦前に昔のことを思い出すのは死亡フラグだし」
「そうだな。昔のことを思い返すにはまだ若いか」
「そういうこと。今はこの戦いを無事に生き残ることを考えよう」
「そうだな」
とそこで俺はあることを思いついた。
「あ、ねぇ。この作戦が終わって時間があったら、久しぶりにエマさんと同窓会しない? さすがにアルコールはNGだけど」
「決戦前の景気づけか。とってもいいな。俺も賛成だぜ」
「賛成もらえて嬉しい限り。やっぱり先にご褒美があるとやる気が出るしね」
「あぁ、同感だ……ところで、死亡フラグってなんだ?」
そう話しながら、俺とジェリドは、居住区を出ていった。
* * * * *
かくして。
「カレル・ファーレハイト、千式、行きます!」
俺の乗る千式が、アーガマから飛び出していった。
カミーユのZガンダム、シャアのサ・リゲル、カツのネモ、エマさんのガンダムMk2、ファのGディフェンサーは既に発進し、俺の後から、ジェリドのバイアラン・ガラハドも発進している。
周囲の艦からもネモやリック・ディアスなどが随時発進している。
現在、エゥーゴの各艦は、グリプス2のコロニー・レーザーを取り囲むように布陣している。正面からぶつかりあっても、時間を稼がれてしまうので、包囲して一気に叩こうということになったのだ。叩く相手がアクシズからティターンズに変わったが、原作でいう『メールシュトローム作戦』である。
なお、事前にハマーンが連絡してくれたこともあり、アクシズの守備隊は一時期、こちらの指示に従うようになっている。そのアクシズ艦隊には、無用な損害を減らすため、一時コロニー・レーザーから脱出し、こちらと合流次第反転し、攻撃に参加するようになっている。
* * * * *
コロニー・レーザーに突進するエゥーゴ艦隊。ここからは時間の勝負だ。主流派の本隊がこの宙域に現れる前に、先遣隊を潰し、コロニー・レーザーを奪わなければならない。
そんな俺たちは、先遣艦隊と接敵。戦闘を開始する。
『死に急いでるんじゃないよ!』
カミーユがそう叫び、Zのビームライフルでハイザックを撃ち抜く。
エマさんは、ロングライフルで、次々と主流派のサラミスを沈めていく。
『サラ、見ててくれ。僕は、この戦いを戦い抜く、そして必ず生き残る……!』
カツもネモで、ティターンズのMSと激しい戦いを繰り広げていく。やや気が逸っている部分があり、ちょっと隙があるように見えるが、そこは……。
『させるかよ!』
カツのネモの背後から襲おうとしていたマラサイを、ジェリドのバイアラン・ガラハドが腕のメガ粒子砲で撃ち抜いた。俺が事前に、ジェリドにカツのサポートを頼んでおいたのだ。
『あ、ありがとうございます……』
『何を逸っているかは聞かんが、死に急ぐな。もし俺があの世に先にきていたら、大切な者が死に急いでこっちに来るのなんか見たくないんだからな。そんなことになったら現世に蹴り飛ばしてやる』
『あ……』
『死んでいる人たちが何を望んでいるか、それを考えるんだな。そうすりゃ、戦う理由というものも見えてくる。多分な』
『はい。ありがとうございます』
『今のは独り言だ、気にするな』
そんなカツとジェリドの会話も、通信機から聞こえてくる。やはり、ジェリドにカツのサポートを頼んで正解だったようだ。ジェリドも、マウアーの死を受け、ルブラと戦い、そしてエゥーゴに協力することになって、何か変わったんだろう。いい方向に。
さて。戦局はこちらに有利ながらも、激戦はあちこちで続いている。
その中でも目を引くのは、やはり赤の機体、シャアのサイコ・リゲルグ……サ・リゲルだ。
『ふむ。なかなかいい動きをする。悪くない』
あの……シャアさん? なんか声がウキウキして聞こえるのは気のせいですか?
そんなシャアのサ・リゲルは、敵の動きを、普通の回避運動、トリッキーな動き、色々織り交ぜてひらひらとかわしていく。なんか、百式より動きがとてもよくなっている気がする。
そして、マラサイをビームライフルで撃ち抜き、ハイザックに背中のミサイルランチャーで迎撃していく。
そして、俺の千式も。
「いい加減撤退しなさい……よ!」
バーザムの攻撃をかわし、千式の頭上を通り過ぎたところに、マウントしたクレイバズーカを発射して撃墜する。
すると、今度は数機のマラサイがこっちに接近してきた。
俺は千式をくるりと回転させる。そして。
「喰らっちゃいなさい!」
千式の頭が敵のほうを向いたところで、大型バックパックのマインレイヤーから爆雷をばらまく。
その爆雷に突っ込む形になったマラサイたちは、あわれ、その爆発に巻き込まれて大破した。
さらに、バーザムがまた突っ込んでくる。そのビームライフルを軽くかわして……。
「さすがバイオ・センサー。敏感だけどいい感じだ……ね!」
ビームライフルで撃ち抜く。頭部が撃ち抜かれて吹き飛ぶ。さらにビームライフルを連射して、両腕を次々と撃ち抜いて達磨にしてやった。
本当にいい感じだ。さっきもつぶやいたが、さすがバイオ・センサー。俺の操作する通りに、すんなり動いてくれる感じがする。ちょっと敏感なきらいはあるが、それぐらいはいくらでも修正がきく。
と、向こうのほうから新手が……って、じ、ジ・O!?
* * * * *
ちょっと待って。なんでジ・Oが来るの!? ジ・Oならカミーユのほうに行きなさいよ!!
と慌てたが、よく見ると、ジ・Oとはまた違ったMSだった。全体的な感じは似てるが、細部はどこか違った感じ。
『また会ったな、女ぁ!! 少しの間、遊んでもらうぜ!!』
「ヤザン!?」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。ヤザンがジ・Oもどきに乗ってくる……どうやら、俺にとってのラスボスはヤザンのようだ。
だけど、本隊が後に控えているのに、こんなところで力を使い切ってしまうわけにもいかない。
なんとかふんばり、とっととお帰り願おう。ヤザンには失礼だが。まぁ、向こうも『少しの間遊んでもらう』言ってたしね?
ともあれ、俺はジ・Oもどきが撃ってきたビームライフルを余裕でかわす。さすがバイオ・センサー付きMS。反応がとてもいい。バーニアも増設されているので、なおさらだ。
俺は反撃に、ビームライフルを発射する。それをあちらもあっさりと回避する。なんというか、動きがハンブラビと同等か、それ以上に軽やかで鋭いような感じがする。俺の千式と同じぐらいか。
くそ、新型もらっても、向こうと差が広がらないのかよ! 宇宙世紀の神様はどれだけ意地悪なんだ!
今度はジ・Oもどきがビームライフルを連射してくる。三発のうち二発は千式の機動性で回避し、かわしきれない一発は小型ビーム・シールド……ビーム・バックラーの通常出力モードを展開して防ぐ。
ロング・メガバスターで反撃するか……ダメだな。メガバズーカ・ランチャーより連射性、速射性が優れてるとはいえ、それでもメガバズーカ・ランチャーと比べてのこと。ビームライフルに比べるとはるかに劣る。使うとするなら、何か隙ができた時に、だな。
それからもビームライフルを撃っては回避して、また撃つをお互いに繰り返し続ける。やはり、MSの性能が互角なだけあって、なかなか決着がつきそうにない。いや、実を言うと俺のほうが少しばかり不利だ。MSの性能が互角なら、後はパイロットの腕だからな。
そうしているうちに、ジ・Oもどきの後ろから一機のネモが襲い掛かった! しかしヤザンは、それを軽くかわすと反撃に、左手に持つビーム砲らしきものを背中にマウントし、ビームサーベルをふるった! それで、ネモの右腕が斬り落とされた!
『うわぁ!』
「カツ!?」
そのネモに乗っていたのはカツだったらしい。
ジ・Oもどきを見て、シロッコと思い込んで、それで頭に血が上ったのかもしれないが、なんて無茶な! 俺の千式はカツを援護するべくビームライフルを撃つが、ヤザンはそれを軽くかわしつつ、ネモに攻撃を仕掛けていく。まるで、カツのネモをおもちゃにするかのように。
ヤザンは俺の援護も、カツの抵抗も、全てを楽しむように戦いを繰り広げていく。その様子に、俺の中に義憤が沸き上がる。そしてそれは彼女も、いや彼女の怒りはそれ以上だったようだ。普段は大人しい彼女だからこそ、か。
―――すいません、身体、一時返してもらいます。
―――え?
次の瞬間、『俺』の人格は身体の奥に引っ込み、『カレル』に身体の主導権を奪われた。普段は、俺のほうから譲らない限り、こんなことはないのだが、それほど『カレル』の怒りは激しかったらしい。
「人の命を、戦いを、遊びにするのはそこまでです!!」
『何!?』
そう叫ぶと、俺の身体……いや自分の本来の身体に戻った『カレル』は、千式を駆り、ジ・Oもどきに激しい攻撃を仕掛けていく。
ただヤザンを倒すか追い払うかする、そのためだけにただ猛攻撃を仕掛ける。それだけだが、いやそれだけに、その攻撃は激しく、ヤザンに反撃の隙を与えない。
だがその時、俺は気づいた。背後から別のマラサイが、俺たちに狙いをつけていたのを!
―――ごめん、『カレル』。一部使わせてくれ!
―――は、はい?
俺は左腕を操作し、千式を急速回避して、そのマラサイが撃ったビームライフルを回避した。それで狙われていた『カレル』がビームライフルで反撃し、そのマラサイを撃墜する。
―――すみません、助けていただいて……。
―――気にするなって。俺たちは一心同体なんだからな。お前の足りないところは俺がサポートする、その逆も……だろ。
―――はい……。
と、そこで向こう側から発光信号が放たれた。どうやら撤退信号のようだ。
見ると、エマさんやカミーユたちの活躍で、先鋒隊のほとんどのサラミスが沈められてしまってる。このままでは残った先鋒隊もやられると判断して撤退することにしたのだろう。
ティターンズのMSたちは次々と母艦に引き返していった。それはもちろん、ヤザンのジ・Oもどきも。
これでなんとか、コロニー・レーザーを確保することはできた。だが、これはまだまだ序の口である。
この後は、いよいよ本隊がやってくる。
生きるか死ぬか(デッド・オア・アライブ)……最後の大勝負だ。これで全てが決まる。
その大きな渦のような決戦まで、あと少し……。
ファンアート募集中です!
* 次回予告 *
エゥーゴとティターンズの、最後の戦いがはじまった。
それぞれが出会わなければ、決して失われなかったであろう命が、宇宙に吸い込まれようとしている。それを避けようとカレルはあがく。
血で飾られなければならない戦いの宿命、彼女をそれを打ち砕けるのか?
―――千式、俺(私)に力を貸せ(貸して)!!
次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』
第33話『生命……』
刻の涙は、止められるか?
※次の更新は、1/20 12:00の予定です。