ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

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さぁ、いよいよ最終回です!

カレル最後の戦い、刮目してご覧ください!……と言ってみる。


終章#05『宇宙を駆ける者』

 目の前で、ヤザンのジ・Oもどきが、激しい爆炎を放ちながら爆散する。

 ヤザンには脱出されたが、もう彼がこの戦いに姿を現すことはないだろう。この後は、シャングリラでジュドーたちとボカスカやるルートだろうしな。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 再び大きな息をつく。この前のように、『カレル』とともに身体を共有して戦ったのだ。やはり、その負荷はかなりのものがある。おまけに今回は、サイコパワーまで発動したのだ(本日二回目)。

 

―――大丈夫か、『カレル』?

―――はい、なんとか……。……さんのほうは?

―――かなり疲れたが、なんとか大丈夫。俺たちが倒さなくちゃいけない敵はもういないはずだ。少し休んでいてくれ。

 

 ルブラはカミーユに倒され、ヤザンは今撃破した。シロッコは、カミーユが決着をつけてくれるだろう。

 俺がどうしても倒さなくてはいけない相手は、もういないといっていい。なら、ここから先は俺一人だけでも十分だと思う。

 やることがあるとしたら、カミーユがクルパーにならないよう気を付けるぐらいか。

 

―――はい。言葉に甘えさせてもらいます。くれぐれも、気を付けてくださいね。

―――あぁ。

 

 そして、『カレル』はまた意識の底に引っ込んだ。寝ている波動が感じられる。

 俺はあのクスリを取り出して、腕に押し付けて注射する。本当に気を付けないと、マジでヤク中になりかねんぞ……。

 

 しかし、敵はまだまだ多い。撃破しても撃破しても、次から次へとやってくる。

 ロング・メガバスターで薙ぎ払ってやりたいのだが、その砲身は、さっきのヤザンとの戦いで失われてしまった。

 

「な!」

 

 ふと見ると、シロッコのジ・Oが、コロニー・レーザーの中に入っていくじゃないか。それを追って、シャアのサ・リゲルも中に入っていく。ついでに、カミーユのZも後を追うように。

 

 大丈夫かとは思うが、俺も守りにいくべきか。しかし、艦隊の直掩もしなくちゃならない。はっきりいって戦力が足りないのだ。ここまで壊滅せずにいるのが奇跡である。

 原作と同じく、主流派が、コロニー・レーザーを傷つけないために手を抜いてくれているのが大きい。

 

 とはいえ、やはり数が多すぎる。こうして俺が、ハイザックやマラサイ相手に無双している間にも、別の機体たちがコロニー・レーザーやエゥーゴ艦隊に向かっている。どうにかしなくては……。

 

 と、そこに。

 

 別の方向から、ビームやミサイルが飛んできて、コロニー・レーザーに向かおうとしているティターンズのMSたちの何機かを撃破してくれた。

 

 ビームやミサイルが飛んできたほうを見ると……。

 

『待たせたな! カレルも生きてるようで何よりだ!!』

 

 聞き覚えのある声とともに、ボスニアと、アレキサンドリア級二隻、何隻かのサラミス級、そしてMS隊がやってきた!

 やっと、良識派の艦隊がやってきてくれたか! それと、アクシズの艦隊も!

 

「マクマナス大尉、私はコロニー・レーザーの守りに就きます! 主力の援護をお願いします!」

『了解した! 好きなだけ暴れてこい!』

 

 いや、大暴れはもう、さっきのヤザン戦でやってきたんだけど。

 とりあえず俺は、マクマナス大尉の好意に甘えて、コロニー・レーザーへと向かっていった。

 

* * * * *

 

「よし、MS隊発進せよ! 主流派の奴らに、コロニー・レーザーやエゥーゴ艦隊を一機たりとも触れさせるな!」

『了解! ギャプランTR-5、発進する! 遅れずについて来い!』

『了解です!』

 

 アレキサンドリア級『アスワン』から、T3部隊隊長、マーフィーのギャプランTR-5を始めとするT3部隊のMSが次々と発進していく。

 エリアルドのガンダムTR-6、カールのヘイズル・アウスラもその後に続く。

 

 サラミス級『アンティグア』のガディ・キンゼーも、アスワンに負けじと指示を飛ばす。

 

「T3の奴らにばかりいい格好をさせておくな! アジス大尉、お前の活躍を期待しているぞ!」

『わかっています! ティターンズの理想を歪ませた奴らを許しはしませんよ! ガブスレイ、行きます!』

 

 アンティグアから、アジス・アベバ大尉率いるMS部隊も発艦していく。

 

 他にも、良識派の艦隊からMS隊が発進していき、エゥーゴ艦隊に襲い掛かっている主流派ティターンズのMSや艦隊に、猛禽のように襲い掛かっていった。

 

* * * * *

 

 一方、アクシズの艦隊からも、ハマーンのキュベレイを始めとしたMSが出撃していた。

 ハマーンはそのうちの一機、ガルスJの試作機のパイロットに向けて声をかける。

 

「マシュマー、私が与えたそのガルスJと薔薇に見合った活躍を期待しているぞ」

「はっ、お任せくださいハマーン様。あの女などには負けません!」

 

 ハマーンは苦笑すると、改めてアクシズのパイロットたちに号令をかけた。

 

「よし、行くぞ! ティターンズの奴らに、我らアクシズの力、見せつけてやるのだ!」

 

* * * * *

 

 マクマナスのリック・ディアスが部下たちのネモと共に戦っていると……。

 

「!!」

 

 どこかから飛来してきた対艦ミサイルが、ボスニアに着弾した。それが致命傷だったのか、ボスニアは黒煙を発しながら小爆発を繰り返す。

 

「ボスニア、大丈夫か!」

 

 返事はすぐに来た。

 

『けが人は出ましたが、クルーは全員無事です。でもこの艦はもうだめです。総員退艦しますので、援護をお願いします!』

「了解した!」

 

 と、ミサイルが来たほうを見ると、緑色の、二連ビームガンと円形の盾を持ったMS……パラス・アテネが飛んできた。背中には、左側に4発、右側に3発の対艦ミサイルがマウントされている。1発欠けている、ということは、こいつがボスニアを沈めた犯人なのだろう。

 

「ボスニアをやったのはこいつか! これ以上やらせるわけにはいかないな! 行くぞ、ジョッシュ!」

『了解です!』

 

 マクマナスはジョッシュのネモとともに、パラス・アテネに向かっていく。

 二機は巧みなコンビネーションで、ラムサスのパラス・アテネと互角以上にわたりあっていた。

 

 パラス・アテネの発射したシールド・ミサイルをリック・ディアスの機動力を頼りに振り切る。そしてその隙にジョッシュのネモが背後からビームライフルで攻撃する。パラス・アテネがそれをかわすと、そこにマクマナスのリック・ディアスがビームサーベルで切りかかる。

 パラス・アテネがつばぜり合いに押し勝ち、さらに追撃しようとしたところで、ジョッシュのネモのビームライフルが、パラス・アテネの右腕を撃ち抜き、ビームガンごと破壊した。

 

『こいつら……!』

「緑色のMSだったら、ジャングルにでも突っ立っていればいいのだ!!」

 

 そしてついに、リック・ディアスのクレイバズーカが、パラス・アテネの背中に着弾! 対艦ミサイルが誘爆した!

 ラムサスがとっさに、マウントされたムーバブルシールドをパージしたので、機体ごと爆散するのは免れたものの、それでも少なくはないダメージを負った。そこに。

 

「武装をゴテゴテしてるからって勝てると思うな!!」

 

 ジョッシュのネモが突撃。パラス・アテネがビームサーベルを構える前に、ビームサーベルをそのコクピットに突き刺した!

 その瞬間、ラムサスは断末魔を発することなく、チリとなって消えたのだった。

 

 そして、ネモが離れると同時に、パラス・アテネは爆散した。

 

 それを見下ろすジョッシュの目に、ボスニアから脱出していくランチの姿が映った。そして、ランチが十分に離れた直後、ボスニアは大爆発を起こした。

 

『さらば、わが母艦、ゆっくり眠れ……』

 

 という、キザっぽい哀悼の意を口にしたジョッシュに苦笑しつつ、ランチに通信を入れた。

 

「脱出できたか。欠員や死亡者はいないか?」

『はい。全員、無事に退艦できました』

「よし、それじゃアーガマにでも避難していてくれ。俺が護衛につく。ジョッシュ、そこは任せたぞ」

『えー……了解です』

 

 そして、ジョッシュのネモが、他のエゥーゴのMSと共にティターンズを迎撃しているのを背後に見る中、マクマナスのリック・ディアスはランチとともに、アーガマに向かっていくのだった。

 

* * * * *

 

 コロニー・レーザーの中に入ろうとするハイザックをビームライフルで撃ち抜く。これで、このあたりのティターンズ機はないはずだ。

 

 あとは、シロッコとカミーユとシャアだけか。ハマーンが抜けてる状態で、内部でどんな議論が聞こえているか気になるが、今はそれどころではない。発射されるまで、コロニー・レーザーを守り切らなければならないのだ。

 その中を見ると、中はまばゆい光にあふれ始めている。エネルギーが臨界に差し掛かっているのだ。今頃アーガマの中では、「グリプス2、エネルギー臨界!」「今撃たないと、ターゲットが逃げます!」「わかってる! コロニーの中には、カミーユたちがいるんだよ! 彼らが出てくるまで……それまでは待つんだ!」という会話が交わされていることだろう。ちなみに劇場版では「コロニーの中にいるカミーユたちが出てくるのを待ってやるしかないだろ!」だった。

 

 そんなことを考えながら、味方の攻撃をかいくぐりながらコロニー・レーザーに向かってくるティターンズを撃ち落としていると……。

 

『大尉は下がってください! シロッコは僕がやります!』

 

 というカミーユの声が聞こえてきた。コロニー・レーザーのほうを見ると、三つの影が出てくるようだった。きっと、シロッコのジ・O、カミーユのゼータ、シャアのサ・リゲルだろう。

 

 それにしても、二人の新鋭機つきニュータイプを相手にして、傷一つつけてないあたりはさすがシロッコだな。というかむしろ、二人を押しているようにさえ見える。発射を阻止するため、二機をコロニーから脱出させないように立ちまわっているのだ。

 このままにしてはおけない。援護しよう。

 

 ビームライフルを撃って、ジ・Oをけん制し、シャアとカミーユを援護する。

 ジ・Oが二機を追撃しようとしたが、それは背中のマインレイヤーから、爆雷をばらまいて阻止した。

 

『カレルさん!』

「二人とも、早くコロニー・レーザーから出て! そうしないと、コロニー・レーザーが撃てない!」

『了解!』

 

 そして、俺たちはコロニー・レーザーの前面から退避した。できればシロッコはそのままコロニー・レーザーに巻き込まれてほしかったのだが、さすがにそうはいかず、シロッコもコロニー・レーザーから脱していった。

 

 かくして、コロニー・レーザーが発射された!!

 

* * * * *

 

 なかなかエゥーゴの守りを崩し、コロニー・レーザーを奪還することができず、いら立ちを隠しきれないバスク。

 その時だった。

 

「た、大佐!?」

「?」

 

 その次の瞬間。

 彼の視界は白く染まり、彼の意識も白く染まった。

 

 彼は断末魔を発することさえも許されなかった。それが、これまで彼がしてきた非道への罰であった。

 

 主流派ティターンズはこのコロニー・レーザーの光に飲み込まれ、次々と消滅していく。

 最終的に残ったのは、全艦隊の1割、エゥーゴ・良識派ティターンズ連合艦隊の半分にも満たない数に過ぎなかった。

 

* * * * *

 

 主流派ティターンズの艦隊が、コロニー・レーザーのレーザーに飲み込まれる。

 その様をパプテマス・シロッコはジ・Oのコクピットから愕然と見ていた。

 

「こ、これでは……エゥーゴには勝てん!!」

 

 艦隊やMSのほとんどを失い、さらにバスク・オムのドゴス・ギアも消滅し、指揮系統が破壊されたのだ。

 これで勝つのは、いかにもシロッコといえども無理である。

 

「ジュピトリスに戻って、次の機を待つしかないというのか……」

 

 そこに。ガンダムタイプと、銀色のMSが、ビームを撃ちながら接近してきた。

 

* * * * *

 

「シロッコ!!」

 

 カミーユのZガンダムが、シロッコのジ・Oに切りかかる。

 

『目の前の現実も、見えない男が!!』

『さかしいだけの子供が、何を言う!!』

『さかしくて悪いか!!』

 

 つばぜり合いを演じる、ジ・OとZガンダム。

 

 俺は腕からグレネードを発射し、援護する。はっきり言って、先のヤザン戦でかなり消耗している俺には、シロッコと正面から戦うのは無理ゲーだ。こうして、カミーユを援護してやることぐらいしかできない。

 それに、シロッコを倒すのはカミーユの役目だ。というか、この仕事はカミーユしかできない。

 

『あなたはいつも傍観者で、人をもてあそぶだけの人ではないですか!』

 

 Zガンダムが再び斬りかかる。

 

『私にはその資格がある!!』

 

 再びつばぜり合いが始まり、ぶつかりあったビームの刃同士の間にスパークが走る。

 

『それは、人を家畜にすることだ! 人を道具にして!』

『子供が……ほざくか!!』

『それは一番人が人に、やっちゃいけないことなんだ!!』

 

 と、ジ・Oのスカート部から隠し腕が伸びて、ビームサーベルを構える。カミーユは、それに気が付いていないようだ。

 

「カミーユ君、よく見て!」

『!!』

 

 カミーユは、なんとかゼータを後退させてその不意打ちを交わしたが、右腕に構えていたビームライフルを切り裂かれて、失ってしまう。

 

「強い……俺は勝てるのか……?」

『くじけちゃダメ、カミーユ。君は一人じゃない』

「カレルさん……?」

 

『な、なんだ、Zと銀色が……?』

 

 シロッコが驚くのも無理はない。俺の千式と、カミーユのZがオーラに包まれているのだ。

 Zに搭載されているバイオセンサーと、俺の千式のバイオセンサーが互いに共鳴して力を発揮している。

 

「生きている人も、死んでしまった人も、君につながりのある全ての人が、君に力を貸してくれる」

『力を……』

「そう。ゼータは、それを表現できるマシーンなんだよ。バイオセンサーが、全ての人の意思を力に変えてくれる」

『……わかります。俺の周りに、力が集まってくるのが……!』

「それでOK。さぁ、ここから先は君の仕事だよ。頑張って!」

『はい!』

 

 そして、俺たちは再び、シロッコのジ・Oに襲い掛かった。

 ジ・Oがビームライフルを構えたところに、俺の千式が腰のワイヤーアンカーを放った。アンカーは、トリッキーな軌道で、ジ・Oのビームライフルを潜り抜け、ジ・Oのビームライフルに絡みつき、そして奴の手から奪い取られた。

 

『シロッコにはわかるまい! この、俺を通して出ている力が!!』

『力だと!?』

『そうだ!』

 

 Zがビームサーベルを振るい、ジ・Oのビームサーベルを持つ左手を斬り落とした!

 

 そこにまた、声が届く。

 

『カミーユはその力を表現できるマシンに乗っているのよ!』

 

 フォウの声だ。カミーユと一番つながっている彼女も、彼に力を貸してくれる一人。

 

『女の声……!?』

 

 そして、Zはウェイブライダーに変形し、ジ・Oに突っ込んでいく。

 正常なシロッコとジ・Oならば、その突撃をかわすのは造作もないことだろう。だが。

 

『!?』

 

 突然、ジ・Oが動きを止めた。まるで金縛りにあったかのように。

 

 俺には見えた。サラの幻が、後ろからシロッコに抱き着き、身動きを封じているのが。

 シロッコは、自分が用済みとみなし、排除した少女に、逆に牙をむかれることになったのだ。

 

 さらに届く、カミーユに力を送る声。

 

―――カミーユ……。

 

 エマさん。

 

―――カミーユ!

 

 カツ。

 

―――カミーユ……!

 

 ファ。

 

 その他多くの人の想いがウェイブライダーに集まり、ウェイブライダーは青い光に包まれた。

 

『まだ抵抗するのならあああああ!!』

『じ、ジ・O……なぜ動かん!?』

 

 猛然と、動けないジ・Oに突進していくウェイブライダー。

 

「それはあなたが、人を道具として利用し、想いを踏みにじってきた結果だよ!!」

 

 そしてついに、ウェイブライダーが、ジ・Oに突き刺さった!!

 

―――ぐおおおおおお!!

―――女たちのところへ帰るんだ!!

―――お、女だ、と……!?

 

 カミーユの叫びと、シロッコの断末魔の思念が、俺のところへ届く。やったな……。

 

 と、そこに、ネモが一機駆け付けてきた。すぐに通信が入ってくる。

 

『カミーユは!?』

 

 ファだ。エマさんとドッキングした後、一度アーガマに戻り、ネモに乗り換えたのだろう。

 俺は無言で、ジ・Oに特攻したウェイブライダーのほうを指し示した。

 

 やがて。

 

 ジ・Oが爆発を巻き起こし、その衝撃でウェイブライダーは吹き飛ばされた。

 それをファのネモが受け止める。

 

『カミーユ、大丈夫よね!?』

 

 心配そうなファの声。カミーユの最後の言葉は劇場版だったが、その前はテレビ版だっただけに、俺も少し心配だ。シロッコの断末魔をくらい、クルパーになっていなければいいのだが。

 

 心配しながら見つめる俺とファの前で、ウェイブライダーはゆっくりとMS形態へと変形していく。まるで、天使から人間に戻るかのように。

 

『大丈夫なのね、カミーユ!?』

『あぁ、メットを交換する。シロッコのMSは、ジュピトリスを道連れにしたんだ……』

 

 どうやら無事だったようだ、よかった。俺も安堵のため息をつく。

 

―――無事でよかったですね……。

 

 心に届く、『カレル』の声。俺も心の中で答えた。

 

―――あぁ。

―――よかった……。これで全て終わったんですね。お疲れ様です。

―――あぁ。『カレル』もお疲れ様だ。

 

 そんな俺たちの前で、ジュピトリスの爆発が少しずつ消えていった。

 

* * * * *

 

 それから。

 

 主流派ティターンズの将兵たちは、ほとんど捕まり、処罰されたり、予備役に降格されるなりした。中には逃げ延びて抵抗を続ける者もいたが。

 エゥーゴは連邦軍と統合し、ブライトさんも連邦軍に復帰とあいなった。

 エマさんやカツといった、エゥーゴのスタッフたちも、そのまま連邦軍に編入となったが、カミーユは医者になりたいとのことで、連邦軍には入らず、民間に下ることにしたそうだ。その傍らにはフォウ……とファがいたことは言うまでもない。修羅場にならなければいいのだが。

 そうそう、コーウェン少将は今回のことで、なんと大将に二階級昇格。ブライトさんと共に連邦軍の改革に挑むそうだ。

 

 また。

 

「ケーラ少尉、動きに腰が入ってない! そんなことでは、目をつぶっている俺を倒すこともできんぞ!」

『はい、すみません、ジェリド大尉!』

 

(見ていろ、カミーユ。俺はこの新しいティターンズを精強かつ本当の意味で地球圏を守る最強の部隊にしてやる。そしてお前が民間に下らずにここに入ればよかったと後悔させてやる。それが俺なりの、俺とお前との決着だ……!)

 

 良識派のティターンズは条件通り、連邦軍の外郭部隊として再編。司令官にはT3部隊のオットー大佐が実戦指揮官として、そしてジェリドがそのMS隊隊長に着任することになり、ジオン残党や主流派ティターンズの残党への対処にあたることになる。

 その後、アムロ、ブライトらエゥーゴメンバーと合流し、ロンド・ベルに再編されることになるが、それはまた別の話。

 

 一方、アクシズのほうは……。

 

「まさか、一度アステロイドベルトに引き返した私たちが、サイド3の人たちに望まれて戻ってくることになるとはな」

「そうだな。お前が地球圏に出ていった時は、こうなるとは予想してもいなかった。これもカレルのおかげだ」

「あぁ。だが、まだ一歩をしるしただけだ。先は遠い」

「そうだな。色々問題はある。ここからが貴様の真価が問われる時だぞ、シャア」

「あぁ、わかっている。だが不安視はしていない。ハマーン、お前がいてくれればどんな問題も解決できる」

 

 シャアがアクシズに帰還。彼はハマーンから指揮権を譲られることになった。そのシャアを新たな指導者にいただいたアクシズは、自分たちがサイド3に進撃することで新たな混乱や戦いの種を生むことを懸念し、一時アステロイド・ベルトに戻ることになった。

 

 だが。

 

 ダカールで演説を行い、ティターンズから地球圏を解放するきっかけを作ったエゥーゴのクワトロ・バジーナ、彼がジオン・ダイクンの遺児、シャア・アズナブル、キャスバル・ダイクンであり、その彼がアクシズの指導者となったことを知ると、サイド3の市民たちは、自分たちを導いてくれる存在として、彼、そしてアクシズの帰還を求める声をあげ、やがてそれは結実して、アクシズ軍の者たちは、アクシズを出てサイド3に帰還。ついに彼らは再び母なる地に戻ってきたのである。

 

 それから数年後、シャアは望まれて、ジオン共和国の首相となる。だが、彼が言った通り、その前途は多難だ。彼が連邦寄りの態度をとることに反発して、共和国を出奔して再び地下に潜り活動を開始した一部のジオン残党への対処、政権を追われることになった旧ジオン共和国首脳陣との関係など問題が山積みである。

 

 シャアはそれらの問題の解決に全力を捧げて悔いることはないだろう。その傍らには、彼と結ばれた、妻のハマーン・アズナブルの姿もある。彼ら二人の力なら、それらの問題を解決することは疑いないはずだ。

 

 そして俺は……。

 

「さて、それじゃ行くか」

 

 ラフな服装をした俺は、リュックを担ぐ。そう、俺は連邦軍を除隊したのだ。

 もう、ここで俺のするべきことは終わった。少なくとも、今のところは。これからは気の向くまま心の向くままに旅をしようと思ってる。思えば、今までゆっくりと宇宙世紀の世界を巡ったことはなかった。

 そんな俺に、『カレル』の声が聞こえる。

 

―――まずは、どこに行きますか?

―――そうだな。まずは、サイド6に行くか。約束通り、ロザミィに会いに行ってやらないとな。

―――そうですね。私も早く会いたいです。

 

 と思っていると。

 

「冷たいわね。私を置いていく気?」

 

 聞いたような声に後ろを振り向くと……。

 

「えぇ、れ、レコアさん!?」

 

 そう、同じく旅姿のレコアさんが後ろに立っていた。

 

「行ったはずよ、嫌でも離してあげないって」

「は、ははは……」

「私を魅了した責任、とってもらうから」

「……わかりました、それじゃ行きましょうか」

 

 と、心の中に、なんというか重い波動が伝わってくる。『カレル』がやきもちをやいてるみたいだ。

 

―――怒るなよ。俺がお前のことを忘れるわけないだろ? 俺とお前は一心同体なんだから。

―――そ、そうですよねっ。レコアさんと一緒にいたって、一番は私ですよねっっ。

―――そんな前のめりになるなよ。安心しろ。俺とお前はずっと一緒なんだから。

―――ずっと一緒……。

 

 お、おいっ、また変な想像して赤面するなっっ。

 

「ん、どうしたの? カレル?」

「い、いえ、なんでもありませんよ……あはは……。それじゃ行きましょうか」

 

 そして、俺と『カレル』、レコアさんは旅立っていった。

 先のことはわからない。また、刻の涙が流れるかもしれない。その時が来たら、また俺の出番が来てしまうかもしれないが。

 それでも今は、この平穏を楽しもう。俺と『カレル』が望んだ、この平穏を……。

 

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