ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

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ボスニア編#04『カミーユの発現』

 俺……カレル・ファーレハイト少尉は、ボスニアの通路の窓から黄昏ていた。

 

「カミーユは今頃、ウォンさんとエマさんに修正くらってるのかなぁ……」

 

 そう遠い目をしてしまう。多分今頃、アーガマでは、グラナダに停泊しているティターンズのサラミス級を奪う作戦が立案されているころだろう。確かその話では、カミーユがブリーフィングに遅刻してしまい、二人に修正を喰らっていたはずだ。

 

 今回のカミーユは、俺の説得の影響か、戦いに前向きになってるとはいえ、やっぱり今までは民間人の高校生だったんだから、遅刻の可能性は少なくないだろう。お姉さんやっぱり心配である。いやいや、俺は元男なんだが。

 

 とりあえず、『修正されなかった? 大丈夫?』とだけメールを送っておくかな。

 

 ……いや、ダメだろう。こちらとしては、別に機密を送ったり、内応の算段をしてるわけではないとはいえ、ボスニアのみんなに疑われることをするのは避けるべきだ。敵と連絡をとることはいけない、という常識もあるし。

 それに、『どうしてそのことを知ってるんですか?』って、カミーユに変に思われる可能性もある。いや、俺がカミーユだったら間違いなく思う。

 

 ここは我慢、我慢だ。でもなぁ……。

 

 そんなことを考えていると……。

 

「少尉、何してるんですか? もうすぐブリーフィング始まりますよ」

 

 ジョッシュの言葉で我に返った。

 ……危うく俺がブリーフィングに遅れて修正されるところだった。

 

* * * * *

 

 アーガマに再び強襲をかけることになった。

 

 というのも、俺の前世の記憶の通り、アーガマがグラナダのティターンズ艦を拿捕するという作戦を開始した、という情報が入り、それに乗じて、手薄になったアーガマを襲う作戦が開始されたからだ。原作では、カクリコンたちのティターンズ部隊がその任務にあたったが、今回はアーガマの近くにいるのが俺たちボスニアなので、こちらにその任務が回ってきた、というわけである。

 

 そういうわけで発進準備……と、MSデッキに出ると。

 

「待たせたな。改装も準備もできてるぞ」

 

 俺にそう言ったのは、デニス・シヴァコフという中年の整備士。腕は確かだが、ちょっとマッドエンジニアの気があるのが玉に瑕な、このボスニアの整備士長さんだ。

 

 その彼に俺は微笑んで頭を下げた。

 

「ありがとうございます。でも、別にHMU仕様にしなくてもよかったのに」

「なぁに、せっかく予備パーツがあるんだ。使わないともったいないだろう? そして使うとなったら、それはライラが見出した『褐色の姫』しかいないだろうよ」

「だから、その『褐色の姫』はやめてくださいよ。私はただのMSパイロットに過ぎないんですから」

「はっはっはっ。評価は自分ではなく、他人でするものだよ。ほら、乗った乗った」

「もう……」

 

 そう、いつの間にか俺のガルバルディβは、ボスニアに積まれていた予備パーツを使って、高機動型に改修されていたのだ。ライラさんと同じ仕様になるのは、ちょっと複雑な気持ちだ。それに、改修するなら、まず隊長を引き継いだマクマナス大尉にではなかろうか。

 

* * * * *

 

 かくして、俺たちは発進した。

 

 なお、今回は作戦にあたり、ティターンズから1隻サラミス級を提供していただいている。これでMS隊は合計8機となる。そのうち、2機をボスニアの直掩にあて、残り6機でアーガマに向かっている。

 

 アーガマが見えてきた。俺たちが接近しているのを見つけ、すぐに1機の赤リック・ディアスと、2機のGM2が上がってきた。

 

 リック・ディアスはともかく、相手がGM2なら、このガルバルディの敵ではない……いやいや、油断は禁物だ。気を付けないと。

 

 ガルバルディβHMUの機動力に任せて、GM2のビームライフルをかわしていく。そして隙をついて急接近し、ビームサーベルを振るう。それでGM2の右腕を斬り落とした。

 さらに追撃を加えようとしたところで、こちらに向けて弾が飛んできたので、あわてて回避する。

 

 弾を撃ってきたのは、クレイバズーカを構えた赤リックディアスだ。あの話で出てきたのは……。

 

「エマさんね。相手にとって不足はなし。かつての仲間でも容赦しませんよ!」

『カレル!?』

 

 クレイバズーカの弾は、ビームライフルのビームに比べると弾速は遅い。ガルバルディHMUの機動性なら、かわすのは簡単だった。

 これではいけないと、リック・ディアスがビームピストルに持ち替えようとしたところを……。

 

「隙あり!」

 

 持ち替えようとした左手をビームライフルで撃ち抜く。

 

「ガルバルディの力を甘くみてもらっては困るよ!」

『くっ……』

 

 しかし、さすがエマさん、なかなか粘る。物語通りなら、途中でカミーユが引き返してくるので、それまでに決着をつけておきたいのだが。

 そう思いながら、ビームライフルを撃つ。エマさんはそれをジャンプでかわした。上空から攻撃しようというのだろう。俺は、バーニアを全開にして、全速後退。リック・ディアスのクレイバズーカを立て続けにかわす。

 そしてタイミングを見計らって、シールドミサイルを発射! ミサイルは見事、着地したばかりのリック・ディアスの足に着弾! 破壊して擱座させることに成功した!

 

 よし! エマさんの無力化に成功した! 俺は再びバーニアを全開して、アーガマに迫る。そして死角からエンジンに狙いを定めた。本当ならブリッジにぶち込むのが筋なんだろうけど、やはりむやみに人を殺すのは好きではない。俺は殺人狂じゃないんだ。エンジンを叩けば、アーガマを行動不能に追い込むことはできる。その後、降伏勧告すればいい。

 そして発射しようというところで……。

 

「!!」

 

 何かがひらめく感覚。なんだ? まさか俺もニュータイプに覚醒が? そんなバカな。

 ともあれ、その感覚に従って、ガルバルディを後退させる。それまで機体がいた位置を、ビームが通り過ぎた。

 

 そのほうを見ると……やはりというべきか、カミーユのガンダムMk2が飛んできた!

 

『カレルさん!』

「カミーユ君か。本当にいいタイミングで来るね!」

 

 そう言いながら、回避行動をとりながらビームライフルを連射する。Mk2はそれを鮮やかな動きで回避しながら、ビームライフルを撃ってくる。

 

 カミーユの動きが今までよりシャープになっている。この動きは……原作でのあの動きと酷似していた。エマさんを守りたい、という気持ちが、彼のニュータイプ能力の開花を促しているんだろう。

 

 その戦い方は憎らしいほど見事で、俺でさえ、互角な戦いをするのがギリギリだ。本当に味方にすれば心強いが、敵にすれば……とはよく言ったものである。

 

 その戦いの末、撤退信号が出たのと、俺のガルバルディのシールドがMk2に破壊されたのとは同時だった。

 

 ここまで、か。本当にカミーユ、どんどん強くなっていくな。

 そう思いながら、俺はガルバルディを後退させた。

 

 後ろの様子をモニターに移すと、エマさんがMk2のコクピットに入っていくのが見えた。

 

 これから彼女に、「グラナダの作戦が終わっていないのに勝手に戻ってきたのでしょう!?」と叱られるのだろう。ご愁傷様。

 

 それに少し留飲を下げながら、俺はボスニアに帰還したのだった。

 




* 次回予告 *

カミーユが、ファとの間の幼馴染の絆を嫌っていたことをカレルは知っていたが、立場上、何もすることはできなかった。

それよりも彼女には、片方のチームリーダーを勤めるという重責があったのだ。

「ええっ、私がβ隊の指揮でありますか!?」

彼女が思うのは、ジャブローの罠による刻の涙の回避。

「了解しました。炎にまかれないように気を付けてくださいね」

そのことを思うカレルを助けたMSに、彼女は世界を乱す者の気配を感じるのだった。

次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』

第8話『ジャブローの嵐(前編)』

刻の涙は、止められるか?

※次の更新は、11/08 17:30の予定です。お楽しみに!

味方になったジェリド君。新しい愛機は何がいいですか?

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