ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより   作:ひいちゃ

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ボスニア編#05『ジャブローの嵐(前編)』

 前回の作戦失敗を受け、改めてティターンズから通達が来た。

 いよいよ、エゥーゴが動き出した。5日後にジャブローへの降下作戦を行うと見られるという。それに合わせてティターンズが阻止作戦を行うので、衛星軌道付近の連邦軍にも、それへの協力を要請する、という内容である。

 

 確か原作ではティターンズのみで迎撃を行ったはずだが、今回は(表向きにも)ジャブロー防衛を確実にするため、使えるものは使ってやろうということなのだろうか、それとも他の意図か。

 

 ともあれ、その衛星軌道付近にいる俺たち、ボスニアにもその通達が届いたわけだ。

 俺……カレル・ファーレハイトとしては喜んで、という具合だ。ジャブローに核が仕込まれていることを原作の知識で知ってる俺としては、なんとかその核の被害者を減らしたいと思っていたからだ。

 だが、どうすればいいかはまだ思いついていない。降下直後に俺からばらしても信じてはもらえないかもしれないし、利敵行為として処罰されるかもしれない。あの外道ハゲことバスクだったらやりかねない。

 

 だからそれ以外の方法を考えなければならないのだが……うーむ。

 

 と、俺がうんうん悩んでいるうちに、ブリーフィングの時間となった。

 

* * * * *

 

「お前たちも知っている通り、エゥーゴからのジャブロー防衛のため、俺たちボスニアにもその支援の要請が入った」

 

 と口を開いたのは、ライラさんの後をついでMS隊隊長となった、ヴァン・マクマナス大尉だ。彼は引き続き、ミッションの説明を行う。

 

「今回は隊を二つに分けて行う。α隊はエゥーゴを迎撃後、ジャブローに降下し、引き続きエゥーゴを迎撃。β隊はα隊と共にエゥーゴを迎撃した後、ジャブローに降下していくα隊を支援する。作戦終了後、β隊はボスニアに帰還、現地から離脱する、という流れだ。何か質問は?」

「はい」

 

 と手を挙げたのは、ボスニアMS隊のムードメーカー、ジョッシュ・ミレットだ。

 

「なんだ、ミレット少尉?」

「はっ。α隊はジャブローに降りた後はどうすればいいのでありますか?」

 

 ジョッシュがそう言うと、マクマナス大尉は苦笑して、手元の書類を見て返答した。

 

「それを忘れていたな、すまん。α隊は作戦終了後は、ジャブローの輸送機に乗って、連邦の宇宙基地まで移動。そこからシャトルで宇宙に戻るそうだ。もちろんボスニアはそれに合わせて再び軌道上まで戻るから心配しなくていい」

「はっ、了解しました」

 

 その後、メンバーの振り分けが行われたのだが……。

 

「ええっ、私がβ隊の指揮でありますか!?」

 

 そう、なんと俺がいきなり、β隊のリーダーを仰せつかったのである。

 いきなり重責だ。

 

「何を驚くファーレハイト少尉。グリーンノアでの一件や、モンブラン拿捕など、貴官の挙げてきた功績をとれば当然のことだと思うが」

「はぁ……そうかもしれませんが」

「俺は反対です! いくら功績を挙げたといっても、指揮を執った経験がない、しかも女性が指揮などできるわけがありません! なるなら俺が!」

 

 ジョッシュが反対してきた。さすが俺にライバル心を抱いてるだけのことはあるな。そのコンプレックスが元で、強化されることがなければいいのだが。

 

「ふむ、それなら仕方ないな」

 

 マクマナス大尉がつぶやいたその言葉に、ジョッシュがぱあっと表情を明るくさせる。自分がリーダー役を任せてもらえるかもという希望を持ったのだろう。だがしかし、現実は非情であった。

 

「よし、どちらがβ隊のリーダーにふさわしいか、シミュレータ戦で白黒つけようではないか」

 

* * * * *

 

 シミュレータを使ったリーダー争奪戦は、結局3対2で俺の勝ちとなった。その後、ジョッシュが「条件が悪かっただけだ!」と駄々をこねた二回戦も、2対1で俺の勝ち、半泣きになりながらお願いした、泣きの三回戦に至っては3対0と俺の勝ちとあいなり、やっぱり俺がβ隊のリーダーになったのだった。ジョッシュはよほど悔しかったのか、「俺は認めないからなー!!」と走り去っていった。彼には沈む夕日の幻が見えていたのだろうか? もっともそんな彼も、β隊のサブリーダーに収まったのだが。

 

 なお、α隊のリーダーは、当然のことながらマクマナス大尉。ジャブローの核に巻き込まれないか不安だが、俺にはβ隊を指揮し、α隊を支援し、ボスニアを守るという任務がある。彼や降下した兵士たちを助けるために、事故を装って一緒にジャブローに落ちる真似をしたら、あの世のライラさんにどやされるだろう。ここは、マクマナス大尉の勘を信じるしかない。

 

ともあれだ。俺は愛機である、茶色の高機動型ガルバルディ(バリュート装備)をカタパルトまで移動させる。

 

「カレル・ファーレハイト、ガルバルディβHMU、行きます!!」

 

 そして、宇宙へと飛び立っていった。

 

* * * * *

 

 一方、地球圏に近づきつつあるヘリウム3輸送船、ジュピトリス。

 その格納庫にて、可変モビルアーマー(MA)、メッサーラが発進準備をしていた。

 

 コクピットの中のパイロット、パプテマス・シロッコの元に通信が入る。

 

「大佐、本当に自ら行かれるのですか? ここはハイザック隊に任せては……」

「いや艦長。ティターンズの信頼を得るためにも、ここは私自ら出るべきなのだ。ジャミトフ閣下も、私にエゥーゴを倒させるならこうするべきとわかっているはずだ。案ずるな」

 

 そういうが、シロッコの顔には余裕の笑みが浮かんでいた。

 そしてシロッコにはもう一つ、自ら出撃する理由があった。

 

(地球圏に入った時から感じていた、微弱ながらも女とも男ともつかぬ特殊なプレッシャー……。その源を確かめ、見極めなければなるまい)

 

「メッサーラ、出るぞ!」

 

 そしてシロッコのメッサーラは、ジュピトリスから漆黒の宇宙へ飛び立っていった。

 

* * * * *

 

 ガルバルディβの1機に襲い掛かろうとしていたネモの右腕を、ビームライフルで撃ち抜く。さらにビームサーベルを抜こうとしたもう片方も、撃ち抜く。

 さらに、別のネモが俺のガルバルディの脇を通り過ぎて、引力圏に向かおうとする。俺はバーニアを全開にしてそのネモを追う。さすが高機動型。あっという間にそのネモに追いついた。そこでビームサーベルでバリュートパックを切り裂き、さらに宇宙のほうにけりだす。これであのネモはもう大気圏突入はできない。

 

 と、今度は俺の部下のガルバルディが、また数機のネモに襲われているじゃないか。

 ボスニアのMSパイロットたちは、隊長がライラさんだったこともあってみんな手練れぞろいだが、それでもやはり大変そうだ。

 そのうちネモの一機が、ボスニアに取り付き、ビームライフルを構えた、やばい!

 

 と、その時。

 そのネモが、どこかから放たれたビームに貫かれて爆散した。なんだ!?

 

 ビームの発射されたほうを見てみると、何かが飛んできた。あれは……メッサーラ? シロッコが援軍にきてくれたのか?

 

 さらにメッサーラは、こっちに襲い掛かろうとしていた別のネモをも撃ち抜いた。それからも、俺たちの出番を奪うかのように、ボスニアに向かってくるエゥーゴのMSを次々と落としていく。

 正直、彼がこの後しでかす色々なことを考えると、素直に感謝したり喜ぶ気にはなれないが、とりあえず援軍にきてくれたのはありがたい。

 

 そして、そのメッサーラが、俺のガルバルディの前を通り過ぎた時。

 

 不思議な感覚が俺を貫いた。うまくいえないが、宇宙のイメージなのだが、不快というか悪意に満ちた感じというか……。 俺がその感覚から解放された時には、メッサーラは遥か彼方……おそらくアーガマのほうに飛んで行っていた、

 

 それにしても、今のはなんだったんだ?

 もしかして俺もニュータイプに? いやいや、そんな馬鹿な。俺はただのガンオタ男子高校生転生者なんだ。ニュータイプに覚醒するなんて、いやまさかそんな。

 

* * * * *

 

 一方、アーガマに向かっているメッサーラの中、シロッコは得心した表情を浮かべていた。

 

「あのプレッシャー、やはりあのガルバルディのものだったか。だがあの程度ではこの天才たる私の足元にも及ばん。大したことはできんだろう。ちょっと無駄足だったな。さて、次のプレッシャーは私の期待に応えてくれるか……?」

 

 そしてアーガマとそのMSをとらえたシロッコは、不敵に言い放った。

 

「落ちろ、カトンボ!!」

 

* * * * *

 

 メッサーラに助けられてからも、戦いを続ける俺とβ隊の面々。

 と、そこで通信が入った。

 

「はい、こちらβ1。α1、どうぞ」

『こちらα1。αはこれより大気圏に突入する。援護を頼む』

「了解しました。炎にまかれないように気を付けてくださいね」

『??? 了解した』

 

 通信が切れた。俺は一息つくと、β隊の各機に通信をつなぐ。

 

「よし、これからα隊の援護に向かうわ! β3とβ4はボスニアの直掩をお願い。私とβ2は援護に向かいます!」

『β3、了解』

『β4、了解です』

「よし、それじゃ行くわよ。ジョッシュ!」

『おう! 戦果をたくさん挙げて、姫より俺が強いってことを証明してやるよ!』

 

 そして俺の高機動型ガルバルディβと、ジョッシュのガルバルディβは、引力圏に向かっていった。

 

 




* 次回予告 *

『なんだファーレハイト少尉、君も降下してきたのか』
「はい、ちょっとしくじってしまいまして」

カレルは誤り、ジャブローに降り立った。だがそこではまさに、エゥーゴをせん滅せんとする、ティターンズの陰謀が動き始めていた。

「カミーユ君、聞こえる?」
『え、か、カレルさん?』

時を刻む核爆弾。果たしてカレルたちボスニア隊は、ジャブローを脱出できるのか?

そしてカクリコンは、人知れず、語られもせず大気圏の塵と化すのであった。

次回、『ティターンズのモブテストパイロットにTS転生したので、刻の涙を減らすべく頑張ってみます~機動戦士Zガンダムより』

第9話、『ジャブローの嵐(後編)』

刻の涙は、止められるか?

※次の更新は、11/11 17:30の予定です。

味方になったジェリド君。新しい愛機は何がいいですか?

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