敵キャラはこの子とカマボコ博士の二人体制がしばらく続きそうですねぇ。
今回も例によりCHARAT DRESSUP様にてイメージ画像を作らせて頂きました
カマボコ博士
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アーティ
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「皆さん、バナナオーシャンの知り合いからココナッツが送られてきましたよ」
「わぁい。ココナッツミルク好きなんですよね~」
わらわらと集まって来る花騎士達。彼女達の笑顔を見るだけで心が癒される。可愛いな~、なんて思っていると、
「じゃあ早速」
バキっと鈍い音が響いた。
見ると花騎士達は素手でココナッツを割っていた。
ちょっと待って。ココナッツって素手で割れるものだっけ……?
「あれ? 団長さん、どうしたんですか?」
「もしかして割れないッスか? しょうがないッスね~」
ヤドリギちゃんが私の代わりにココナッツを割ってくれた。勿論素手で。当たり前のように。
「あ、ありがとうございます……」
この間のカマボコ博士との戦いで、花騎士達は自分の力の無さに気付かされた。そしてオリビア大佐に徹底的に鍛えられたわけだけれど……
(いや、鍛えすぎでしょ!)
このままでは全員ムキムキのゴリラになってしまう。ゴリラーナイトガールに! そんなの嫌だぁ~!
「皆さん、今日は訓練無しにして、ゆっくり休みませんか?」
「そうですね。それじゃあ日課の指立て伏せ500回と腹筋、背筋1000回を終わらせたら休みますね」
「筋肉もたまには休ませないとね。特製プロテイン、ココナッツ味も作っておくわね」
「」
そんな花騎士達の姿を、蚊型監視カメラを通して見ている者がいた。
「花騎士達め、新たな力を付けおったか」
余は悪の科学者、カマボコ博士。
余の目的は二つ。アクアへの復讐。そして、この世界を支配し、新たな法と秩序を与えること。
だが……
(このままでは花騎士には勝てん。この前の戦いでも、世界花の加護を無効化し、ようやく勝てたというのに……)
しかし諦めるわけにはいかない。余はこの世界の帝王となる者。この程度の壁など生温いわ!
「……だがやはり戦力差が厳しい。『アレ』が正常に働いてくれれば問題ないのだが……」
「よう、ご主人。いつも以上に暗~い顔してんなぁ~」
「!?」
いつの間にか余の背後には少女が立っていた。炎のように赤い髪、キリリと鋭い瞳。そう、彼女こそは……
「アーティ!」
姿形は人間のように見えるが、彼女は余の作りだしたアンドロイドだ。それもただのアンドロイドではない、人造花騎士「アーティ」だ。
余は水面下で花騎士の研究を続けてきた。何故彼女達に加護が宿るのか、その仕組みを。そうして辿り着いたのが、このアーティだ。
身体は機械のみで構成されているが、その心臓部にF物質という特殊な物質を埋め込んである。これによって世界花はアーティを花騎士だと誤認し、加護の力を与える。
しかしF物質の生成は難航し、結局10年以上を費やしても完成したのは一つだけだった。つまりこのアンドロイド、アーティこそが余の最後にして最大の兵器ということになる。
なるのだが……。
「おっ、プリンあるじゃん。頂き~」
「貴様っ! 冷蔵庫を勝手に開けるな! それにそれは余のプリンだ! フタに余の名前が書いてあるだろ!」
「おっと、ごめんごめん。次からは気を付けるわ~」
「ぐぬぬ……」
人工知能を与えたのが間違いだった。訳の分からん知識ばかり覚えてくる……。これなら制御可能な思考回路にしておけば良かった……。
「おっ、花騎士の映像見てんの? あたいも見る~」
子供のようにモニターに釘付けになるアーティ。身体の大きさも余と同じくらいだし、見た目相応と言ったところか。
「アーティよ、この花騎士達はお前の倒すべき敵だぞ」
「え~、面倒臭~」
「貴様という奴は……産みの親である余のために働こうとは思わんのか!」
「うわぁ~、何その古臭い考え~」
けらけらと笑う奴を見て、流石の余も堪忍袋の緒が切れた。
「ふふ……そういうことなら無理矢理にも従わせてやろう。これを見よ!」
「およ? 何それ?」
「これは貴様の中に埋め込まれている爆弾を起動させるためのスイッチだ。余がこれをペタっと押せば、貴様は木端微塵になるのだ!」
「え~、でもご主人、あたいが死んだらご主人が困るんじゃない?」
「今回は片腕だけにしてやる。だが貴様には痛覚もあるから、痛みと恐怖で余に服従することになるだろう!」
「へ~」
興味無さげにモニターに視線を移す。どうやら余を見くびっているようだな。
「アーティよ、覚悟!」
遂にスイッチを押した。押してしまった。これで奴の右腕は破壊されるはず。……はず?
「む? 何故爆発しない? ……ぬぉっ!?」
その時、秘密基地内で爆発音がした。方角的には余の寝室の辺りだが……。
「き、貴様、まさか自分で爆弾を外したのか!?」
「何か邪魔だったんで……」
「何てことを……お馬鹿!」
「馬鹿って言う方が馬鹿なんだからね!」
「何をぉ!」
もうこうなれば容赦はせん! 余が直々に教育してくれる!
「おらぁ!」
「ぶべっ!?」
余の鉄拳がアーティの頭に直撃する。流石に鋼鉄製だけあって、殴った手も凄まじく痛いが、余の威厳を保つためにも止めるわけにはいかんのだ。
「や、やるじゃん、ご主人……」
「ふんっ、伊達に悪の道を進んではおらんわ!」
「よっしゃ、喧嘩だ! 来い、ご主人!」
「覚悟~! キェェェェェ!」
砂埃が舞う。基地が壊れそうな程の勢いで二つのパワーがぶつかり合う。そして最後に立っていたのは……。
「ふにゅ~……」
「甘いな~、ご主人。あたいに勝つなんて100年早いよ」
アーティはそう言うと、余の背中に尻を降ろしてきた。
「ふぅ~……ま、あたいもそろそろ戦いたいと思ってたし、倒してこようか? 花騎士を」
「早く行ってこい……」
「あれ~? それがお願いする態度なのかな~?」
アーティの挑発的な瞳が余に向けられる。
……仕方ない。世界を手にするためなら、余はこのプライドを捨てる!
「……お、お願いします……」
「聞こえないな~。行くの止めよっかな~」
くそ! こいつはどこまで余をこけにすれば気が済むんだ!
「お願いします! 花騎士を倒してきて下さい!」
「ま、そこまで言うのなら仕方ないよね~。首を長くして待っててよ」
アーティの背中に機械の羽根が展開する。ジェットブースターが点火し、その飛行速度は音速を超える。
「行ってきま~す!」
「……あやつめ、天井を吹き飛ばして行きおって……」
今日はヤドリギちゃんとバニラちゃんと、平野部の討伐任務に来ている。報告によると極限級の可能性もあるということで、気を引き締めていかなければ。
「おっ、害虫発見ッス!」
「あの巨体、やはり極限級ですね。気を付けて「ふんっ!」
私が言い終わる前に、ヤドリギちゃんは害虫の脚を引きちぎってしまった。
「ギェァァァ!!」
「よし、止めを差します! たぁぁぁ!」
悶え苦しむ害虫に、バニラちゃんのポッピン・ヴァニラが決ま……決ま……
「ぬぉぉっ!?」
とんでもない衝撃波に吹き飛ばされてしまう。見ると直径数100mの巨大なクレーターが出来ていた。
「あちゃぁ~……やり過ぎちゃいました」
何かもう……何かもう……。
「いやぁ~、仕事終わりのケーキは格別ですね~」
「ここの味、参考に出来そうッス」
予定よりかなり早く討伐が終わったので、二人を連れてケーキ屋に。
あんなとんでもパワーを見せても、やっぱり女の子なんだなぁ。甘いものを食べている時の満面の笑みは、それだけで全てを許せるような破壊力を持っていた。
「見つけたぞ花騎士達!」
「ん? どうしました、お嬢さん?」
いつの間にか目の前には、ソヨゴちゃんと同じ位の女の子が立っていた。
赤い髪と瞳に八重歯。活発そうな見た目なのにふりふりドレスを着ているのがギャップ萌えを誘う。
「あたいは人造花騎士、アーティ。お前達を倒すために……あぁ!? ケーキ食べてる!」
「お嬢ちゃんも食べたいッスか?」
「食べたい!」
「もぐもぐ……美味ぁ……」
口一杯にケーキを頬張るアーティちゃん。可愛いなぁ……。ケーキも奢ってあげたし、寝室連れ込めないかなぁ……。
「アーティちゃんは何処から来たんですか?」
「ん~? ご主人の……カマボコ博士の所から来たの。花騎士を倒すために」
「……カマボコ博士!?」
『ふふふ……アクアよ、アーティの恐ろしさを思い知……って、何やっとるかぁ~~~!』
「その声はカマボコ博士!?」
辺りを見渡すが、声はすれど姿は見えず。
「どこにいるんですか! 姿を見せなさい!」
『ここだ、ここ。貴様の近くを飛んでいる蚊をよく見てみろ』
「蚊? ……なるほど、蚊型ロボットにカメラとマイクを付けているわけですね」
『そんなことよりアーティ! 貴様、花騎士を倒すと言っておきながら、何を仲良くケーキ何か食っておるのだ!』
「えぇ~、だってケーキ食べる方が大事だし……」
『貴様と言う奴は~!』
そんなやりとりを花騎士達と眺めていると、カマボコ博士が不憫に感じてくる。
「……何か大変そうですね」
「団長さん、隙だらけですけど、どうしますか?」
バニラちゃんが鈍器を構えている。
「……よし」
『花騎士を倒して来んとおやつ抜きだぞ!』
「えぇっ!? それは嫌だ!」
『なら戦ってこい!』
「よ~し、花騎士達! あたいと戦……ぐぇぇぇぇ!」
『アーティ!?』
バニラちゃんにホームランされ、アーティちゃんは空を飛んで行った。何だこの呆気ない結末は……。
『く、くそ……不意打ちとは卑怯な……』
「どの口が言いますか」
『仕方ない。今日の所は退き下がるが、今に見ておれよ!』
そんな捨て台詞を吐いて、カマボコ博士(蚊)は退散しようとしている。しかしどうせなら……
「えいっ」
『あぁっ!? 貴様、蚊型ロボットをザザザ』
こんなロボットがあったら今後も監視されてしまうし、潰しておくのが得策だろう。
「ふぅ……手強い敵でしたね……」
バニラちゃんが額の汗を拭った。
「……え? そうでしたか!?」
「見て下さい。鈍器に銃弾の痕が……アーティさんは、あの一瞬で反撃しようとしてきたんです。恐ろしい反応スピードでした……真正面からだと、バニラちゃんでも勝てるかどうか……」
「なるほど……それは確かに手強いですね……」
「……って、いやいや! 無理矢理フォロー入れようとしてません!?」
「ごめんね~、ご主人。負けちゃった☆」
「……」
「そんな怖い顔しないでさ~。ほら、御意見五両堪忍十両って言うじゃん?」
「……き、貴様は一週間おやつ抜きだ~~~!」
「いやぁぁぁぁ!」
アーティ、初登場なのに散々な結果に……
一応実力は本物のはずです。アホですが
この二人の敵が加わったことで、お話にもバリエーションが……! 増えればいいなぁ……
ここまで読んで頂き、ありがとうございました