変態レズ団長と花騎士達   作:イッチー団長

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今回は初代トランスフォーマーの「二人のコンボイ」という話のパロディだったりします。パロディ元は滅茶苦茶面白いので機会があれば是非ご覧ください。


二人のアクア

「喰らえ、ポッピンヴァニラ!」

「ガァァァ!」

 バニラちゃんの必殺技によって地面は抉れ、害虫は粉々に砕け散った。

「これにて任務終了!」

 

 今日はバニラちゃんとヤドリギちゃんを連れて、山岳地帯の討伐任務に赴いていた。しかしバニラちゃんが強過ぎたため、特に苦戦もなくあっさりと終わってしまった。

「二人とも、帰ったらケーキ奢りますからね」

「わぁい、ケーキ!」

 

 そうして帰り支度をしている時だった。

「……っ!?」

 何処からか放たれたレーザー光線が、バニラちゃんを襲おうとしていた。気付くと同時に身体は動いていた。

 

「ぎゃぁぁぁ!」

「団長さん!」

 痛い! 死ぬ程痛い! 骨の髄まで焼け焦がされるような痛さだ。しかし倒れるわけにはいかない。説明は省いていたけれど、足元は崖なのだ!

 

「お、落ちるわけには……落ちるわけには……」

 あっ、バニラちゃんパンツ見えてる。

「あぁぁぁ……!」

「団長さ~~~ん!」

 

 

 


 その様子を蚊型監視カメラを通して見ている者がいた。悪の科学者、カマボコ博士だ。

 その研究室のモニターには、

『うっ……痛た……』

 辛うじて生き長らえたアクアの姿があった。

 

「いいぞ、もっと色々な角度からアクアを映すのだ~!」

「真昼間から盗撮とか……いい趣味してるね、ご主人……」

 目をジトっと細め、ドン引きした様子のアーティが背後から話し掛けた。

 

「愚か者め! これは趣味ではなく、騎士団を壊滅させるための作戦なのだ!」

「作戦?」

「左様。こうして集めたアクアのデータを、製作ロボット『ツクールくん』に読み取らせることで……」

 

 チンッ、と電子レンジの用な音がして、ツクールくんが作ったソレがカマボコ博士達の前に現れた。

「お、お前はアクア団長!? どうしてここに!?」

「ふははは! 落ち着けアーティ。あれは偽のアクアだ」

「偽……? つまりあれはご主人の作ったロボットってこと?」

「そうだ。余の脳波を読み取り、自由に操作出来る」

 

 カマボコ博士が右手を上げると偽アクアも右手を上げ、ターンするとその動きに追従した。

「面白そ~。ご主人、あたいにもやらせて!」

「ダメだ! この偽アクアは騎士団に潜入させるのだ!」

 

「ふふ……見ていろ花騎士達。お前達がアクアを慕う心が仇となり、」

 そこまで言うと、カマボコ博士はポケットからマイクを取り出した。彼女がそれに向かって発声すると、偽アクアの口はそれに合わせて動く。

「『騎士団は内部から崩壊する』」

 

 

 


「だ、団長さん……ヤドリギさん、どうしましょう!?」

「落ち着くッス! この崖はそんなに深くないし、団長なら大丈夫ッスよ。救助に行くッス」

 

 

 

 二人が谷底へ辿り着くと、そこには……

「団長!」

「無事だったんですね! 良かったです~!」

 アクア?に抱きつく二人。しかしそれはカマボコ博士の仕向けた偽アクアだった!

 

「心配性ですね、二人とも。では帰りましょうか」

「はい!」

(……?)

 首を傾げるヤドリギ。

(団長……花騎士に抱き付かれたのに興奮しないなんて、珍しいッスね……)

 

 疑問を残しながらも、ヤドリギは二人と共に騎士団への帰路に就いた。

 その背後の崖に、一つの手が伸びてくる。

 

「はぁ……し、死ぬかと思った……」

 こちらは本物のアクアだった。傷だらけになりながらも、自力で這い上がってきたのだ。

 

「……あれ? ヤドリギちゃ~ん、バニラちゃ~ん、何処行ったんですか~~~!」

 取り残されたアクアの叫びが、山岳地帯に虚しく響いた。

 

 

 


「団長さん、お帰りなさい。ご無事で何よりです」

 副団長のソヨゴが白銀の髪をパタつかせながら駆け寄ってくる。

 

「無事じゃないんですよ~。あたしが油断した隙に敵の攻撃を受けちゃって……」

「大丈夫ですよ。私は何ともありません」

「大丈夫じゃないッス! 早く医務室に行くッスよ!」

「本当に大丈夫ですから……」

(こいつらしつこいな……ここは話題を変えるか)

 

「それよりハツユキソウちゃん、調べ物をしたいので資料室に案内してくれませんか?」

 その言葉に花騎士達は固まってしまった。何故なら、その場にハツユキソウは居なかったからだ。

 

「? どうしました、ハツユキソウちゃん?」

 その目線の先に居た少女、ソヨゴが恐る恐る口を開いた。

「あの……わたしですか?」

「あなた以外に誰がいるんですか?」

「でも……わたしはソヨゴで、ハツユキソウさんじゃないです……」

「」

 

 

 

≪その頃、カマボコ研究室では≫

「あぁっ! 何やってんだよご主人! 滅茶苦茶疑われてるじゃんか!」

「仕方ないだろう! 余は他人の名前を覚えるのが苦手なのだ!」

 

 

 

「ど、どうしたんですか団長さん……花騎士の名前を間違えるなんて……」

「え……いや、その……」

「いや、そもそもバニラさんに抱き付かれた時に全然興奮してなかったのもおかしいッス。団長、どうしちゃったんスか?」

「あ、頭を打ったからかも知れませんね……」

 と、その時だった。

 

「もう、ヤドリギちゃんもバニラちゃんも先に帰っちゃうなんて酷いですよ~~~!」

「!?」

 本物のアクアがプンプンと怒りながら帰還する。それによって花騎士達は騒然とし始めた。

 

「団長さんが二人……」

「え? 何ですかこれ……ドッキリ?」

「こいつは驚きました。まさか私の偽物が入り込むなんて」

 わざとらしく驚くのは偽アクア。カマボコ博士は演技を楽しみ始めていた。

 

「恐らくこれはカマボコ博士が私達を陥れるための罠でしょう。皆さん、殺っちゃって下さい!」

「ち、ちょっと待って下さい。どっちが本物だか分かるまで、慎重に行動しましょう。その間はわたしが指揮を取ります」

「ソヨゴちゃ~ん、リーダーシップが身に付いてきましたね。感心感心」

「ひゃぁっ! いきなり抱き締めないで下さい……」

 

(むっ……アクアはこういう場合、花騎士に抱き付くのか。よし、余も)

「ふぇ? ご主人、何いきなり抱き付いてんの?」

「あっ、すまん。間違えた」

 

 

 

「しかしどうやって本物を見分けましょう」

「う~ん……」

 花騎士達が首を傾けて悩んでいると、

「あれ……団長が二人いるし。夢だし?」

「ツキトジさん! 夢じゃないんですよ。実は……」

 

「……なるほどだし。それじゃあ私が見分けてみるし。むむぅ……」

(ツキトジの超感覚か。厄介だが、余が対策していないとでも思ったか?)

「……分かったし。どっちも団長だし」

「えぇ~~~!?」

 

(ふふ、予めジャミングを掛けておいたのだ。例えツキトジであっても、偽アクアを本物と誤認してしまうだろう)

 

「ど、どうすればいいんでしょう……」

 その時、執務室の扉が勢い良く開かれた。

「話は聞かせて貰ったわ!」

「ガンライコウさん!」

 

「どちらが本物の団長さんか分からないなら……戦って決めればいいわ! 本物のアクアを決める『アクア・バトル』で!」

「っ!? その手がありましたか!」

「えぇ……」

 ガンライコウは連日徹夜続きで、謎のテンションになっているのだった。

 

 

 


「ルールは簡単。射出されるターゲットを槍で何個突き落とせるかを競うわ。槍の名手、団長さんなら簡単でしょ?」

「「勿論です」」

 

「では始めるわよ。位置について」

「お先にどうぞ」

 本物アクアが偽アクアに順番を譲った。

 

「ふっ……はぁっ!」

「凄い! 全部突き落とした!」

(ふふ、アクアの身体能力もコピーしているのだから容易い)

 

「あのくらいなら私だって! たりゃぁ!」

「こっちの団長さんも凄いですよ! これはどっちが本物か、益々分からなくなりました!」

 

 その時、冷たい山風が花騎士達の間を通り抜けた。そしてそれは彼女達のスカートを捲り……

「ぶっ!」

「あれ……? この団長さんは一つ打ち漏らしましたね」

「しまった……」

 

 

 

「結果……100対99でアクア団長さんの勝ちね」

「ふふ、当然の結果です」

「くっ、アクアに負けた! ……って、やってる場合じゃないです!」

 

「ソヨゴちゃん、皆~……私が本物なんですよぉ……」

 すがりつくように花騎士達の袖を掴むアクア。

「でも勝負に負けましたし……ん?」

 そこで花騎士達は何かに気付いた。

((((何で勝負に勝った方が本物ってことになったんだろ……))))

 

 

 


「ふふふ……動揺しておるな、花騎士ども。あと一押しで完全に堕ちるだろう」

「何か作戦があるの?」

「うむ。それは……偽のアクアが余の手下を倒すことだ!」

「なるほど! 確かにご主人の作ったロボットを倒せば、皆信用しそうだね!」

「そうだろ、そうだろう。ところでアーティ、倒させるロボットはどんなものがいいと思う?」

「そりゃあ小物より大物だよね」

「同感だ」

 

「そうなれば適任は一人しかいないな。アーティ、お前だ」

「あたい!? じ、冗談だよね、ご主人……?」

「ふふふ……」

「何その不敵な笑み!? あたいの何が気に入らないの? ご主人のへそくりを勝手に使ったこと? それともロボットを勝手に弄って壊したこと?」

「全部貴様の仕業だったのか!?」

「ひぇぇぇ! 死にたくない~!」

 

 翼を展開し飛んで逃げようとするアーティ。しかし、

「ぎぇっ!」

 天井から巨大なハエ叩きが出現し、彼女を叩き落した。

「二度も天井を壊されてたまるか!」

 

 

 

「話は最後まで聞け! 余の作戦は、『ツクールくん』で複製した偽のアーティを偽アクアに倒させるというものだ!」

「偽の……な~んだ! そりゃあそうだよね~。ご主人の最高傑作であるあたいを見捨てるはずないもんね~」

(ホントに破壊したろか、こいつ……)

 

 トンテンカンと数分間音がして、

「出来たぞ、偽アーティだ」

「凄い美少女が現れたと思ったらあたいだった」

「馬鹿なこと言ってないで早く行け!」

「「はぁ~い。それじゃ行ってきま~す」」

 

 

 


「これで振り出しに戻りましたね……」

(勝負の意味って……)

 その時、上空からジェット音が鳴り響き、一人の少女が降り立った。

 

「アーティちゃん!」

「おりゃおりゃぁ! 今日が花騎士達の最期だ~!」

「くっ!」

 アーティの放つガトリングとレーザーの一斉照射に、花騎士達は抵抗すら困難だった。

 

「やはり罠だったようね。あたし達をここにおびき寄せるための」

「皆、物陰に隠れて下さい! なるべく散らばって!」

 隠れる本物アクアに対し、偽物は……

「あっ、あっちの団長は向かって行ったし!」

 

「アクア団長か、面白い! 一対一の勝負だ!」

「望むところです! とりゃあぁぁぁ!」

 

 ぶつかり合う二人。その凄まじいエネルギーに、花騎士や本物アクアも気圧されていく。と、その時だった。

「皆さん、何やってるんですか! 任務から帰ってきたら誰もいなくて、心配しましたよ!」

「ハツユキソウさん……そう言えば今回出番ありませんでしたね……」

 

「ハツユキソウちゃん、危ない! 今もう一人の私とアーティちゃんが戦ってて……」

「えっ? 何で団長さんが二人……ぐぅっ!」

「ハツユキソウちゃん!」

 

 流れ弾に当たったハツユキソウに、本物アクアは駆け寄っていく。凄まじい弾幕の中を。

「団長! 危ないッス!」

「花騎士を見捨てるわけにはいきません!」

 

 そこで花騎士達は気付いた。アクアをアクアと定義するもの。それは強さではなく、花騎士を思いやる優しさに違いない。

 そして二人のアクアを見比べてみる。片方はハツユキソウの被弾に気付きながらも戦いを止める気配がない。

「なるほど……やっと分かりました……」

 

 

 

≪カマボコ研究室≫

「ふっ、はっ! 中々やるな、アーティ!」

「ご主人もね。とぉっ!」

 脳波で分身体を操る二人は、端からみるとテレビゲームで遊ぶ姉妹のようにも見えた。

 

「だがそろそろ終わらせなければ。アーティよ、覚悟ぉ!」

 

 

 

「ぎゃあぁぁぁ!」

 槍で心臓部を貫かれ、偽アーティの身体は大爆発を起こした。

 

「よし! アーティちゃんを倒しましたよ、皆!」

 しかし花騎士達は特に反応することもなく、偽アクアにジリジリと近寄った。手に武器を構えて。

 

「あ、あれ……皆どうしたんです? 大手柄ですよ、私」

「お黙りなさい! 団長さんは仲間を見捨てるような人じゃないんですよ、この偽物め!」

 

「ちょっ……まっ……待たんか!」

「問答無用! とぁぁぁ!」

 

 

 

 花騎士達にリンチされる偽アクアを見て、本物アクアは軽く引いていた。

(流石に同じ顔の人間が惨殺されるのは後味悪いですね……あと、花騎士達皆、やけに気合い入ってない?)

 

「オラぁ! 普段のセクハラの恨みだし!」

「死ぬがいいッス!」

「ぐぁっ……それ、余に関係な……がぁぁ!」

(……)

 

「ぎゃぁぁぁ!」

 断末魔をあげて偽アクアの身体は爆発した。

「団長さん、片付いたわ」

「あ、はい……お疲れ様です……」

 釈然としない思いを抱えながら、アクアは帰路に就くのだった。




花騎士達……色々溜まってるんだろうなぁ……。
セクハラが無い分、カマボコ博士側の方がホワイトなんじゃ……

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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