GBNサイドメモリーズver.M   作:麻婆炒飯

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年の瀬なので初投稿です。




side:ELダイバー小噺
はっぴーにゅーいやー


「うぃたー、みかん」

 

「ん。……あい、どぞ」

 

「ありがと」

 

年の瀬のGBN、とあるフォースネストの一室。

和洋折衷のよくある畳部屋に置かれた炬燵に、容姿の良く似た2人の幼女が呑み込まれていた。

 

「クー、みかんはんぶんちょうだい。」

 

「いいよー、……あい。」

 

「ありがと」

 

ゆったりとした時間、ゆるりと流れる一日。

ある意味GBNでは恒例とも言える騒動らしい騒動も起こらない。それもそのはず、大きな騒動(一大イベント)は今を謳歌する者達の特権であり、彼等こそが立ち向かうべき物語なのだから。だから、既に一線を退いた「最古参のダイバー」にそんなお祭り騒ぎは不要なのだ。

 

「ぬくぬく……」

 

「ここでとしこしするの、いつぶりかなぁ」

 

「ひさしぶり?」

 

「んー、クーがくるまでそんなつもりなかった」

 

「そっかぁ」

 

2人の少女は互いに向かい合って深く炬燵に呑まれ、無気力に顔をテーブルにのせてぐだりとしたまま特にこれといった意味の無い雑談に花を咲かせている。

 

「クーももーすぐ一歳だね」

 

「うん、はじめてのおしょーがつ。」

 

「いまからたのしみ?」

 

「おもち、おぞーに、おせち?たのしみ」

 

「ぜんぶごはんだね」

 

「おいしいからしかたない」

 

「うん、しかたないね」

 

食い意地の張った幼女は正月と言って連想される一通りの食べ物を揚げるのそのどれもを楽しみにしているようで、言葉に出すだけで口の中が美味しいのか手で頬をもちもちたぷたぷさせて心の内を表現する。

もう1人の少女…ウィタエはその様子をにへらとあどけない笑みを見せつつ眺め、穏やかな談笑は続く。

 

「クー、もうそろそろだよ」

 

「どれくらい?」

 

「あと30びょう」

 

「わぁ」

 

そうして次第に近付く一年の終わり。

2人で迎える初めての年越し。

もう1人では無い、満たされた日々。

今日この日よりも11ヶ月と数日程前に出会い、そして似たような境遇にあった(心を満たす何かが欲しい)2人はこうして、どんな時でも一緒にあり続ける事を、互いの酷く虚しかった心の「からっぽ(さみしさ)」を満たし合うと誓ったのだ。

 

「さん、にぃ、いち……おー、」

 

「ん、クー。あけましておめでとう。」

 

「ん…うぃた、あけまして…おめでとう…?」

 

フォースネストの外から、新年を祝う打ち上げ花火の音が聞こえてくる。外では昨年末から引き続き、飲めや食えや闘えやのお祭り騒ぎなのだろう。

 

「……うぃた」

 

「ん……なに、クー。」

 

「クーのこころは、おなかいっぱいだよ」

 

「んー……そか。ウィタエも、クーと同じだよ。」

 

それでも2人は変わらない。

外で何が起ころうと、例えば世界の常識を変えるような新しい風が吹いても、世界を全て壊してしまうような事件が起こったとしても、2人は変わらない。

 

だからこそ、2人はこう言うのだ。

 

「「ことしも、これからもよろしくね」」。

 

 




ウィタエ (※考案:守次 奏 様)

GBN黎明期に活躍を見せ、現在は一線を退いた最古参ダイバーの1人。ダイバールックは身長130cm前後の幼い容姿に、白のゴスロリドレス、青く大きな日傘を差した銀髪の幼女。
舌足らずな喋り方が特徴的で、見た目の幼さと相まって小さな子供のように見える……が、その実力は当時のままであれば現在の3桁ランカー程度なら難無くあしらって見せる程だという。
現在はGBNの「食」の進化に楽しみを見出し、日々GBNを巡ってその食を堪能しているのだとか。

クー
最古参ダイバー、ウィタエが後見人を務めているELダイバー。その在り方はGBNにて刻々と進化を続ける「食」への探究心、その食を「食べて究める」事への執着から構成されている為に、非常に大食いでどんなものも食べてしまうという。
見た目は奇跡か偶然か、後見人であるウィタエとそっくりな姿をしており、共に並んで歩く2人はペアルック、或いは姉妹か双子のように見える。クーの持つ大きな日傘はウィタエからのプレゼントで、クー本人も余程嬉しかったのか外を出歩く時は常に肌身離さず持っている。


それでは皆様よいお年を。
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