GBNサイドメモリーズver.M   作:麻婆炒飯

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もう半年ぐらいあっためてたif話です。

※当ストーリーに登場するよその子は全て作者様に許可を頂いた上でif編集、登場しています。

※この章は原作に対するアンチ・ヘイト要素が非常に強くなっております。それ等を嫌悪する方はブラウザバック推奨です。



side-IFストーリー [BD]
IF-1話 「発見」


 

私は「奇跡」というものが大嫌いだ。

 

奇跡とは、思いがけない不思議な出来事。

或いは神様がやったとしか思えないような現象。

人々は得てして、「良い事」が起きた時にばかりそんな呼び方をするけれど、実際のところ奇跡とはいい事ばかりを差す言葉ではない。

 

現に私は、その奇跡に苦しめられてきた。

 

そうして私の心は、限界に達したのだ。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

時は20XX年。…なんて言う程未来ではないけれど、フルダイブVRMMOだとか、そんな感じの技術が確立された頃。

 

この物語の舞台となる日本では…否、世界ではもはや幾度目なのかも解らない「ガンダムブーム」が世間を賑わせ続けている。

 

そんな世界に数年前、新たな風が吹いた。

 

ガンプラバトル・ネクサスオンライン

通称GBN。ガンダムブームに更なる火をくべて、大きく燃え上がらせるそのゲームは当然のごとく大流行を巻き起こし、数年も経てばそのプレイ人口はガンダムに明るくない人々まで巻き込んで、2000万人に届こうとしていた。

 

しかし、世間にだって物事の流行り廃りの流れが存在するのだからそれは当然と言えば当然なのであるが、

その流行の影で、静かに輝きを喪う世界もあった。

当然ながら、そこに取り残された人々もいた……

そして……極々小数ではあるものの、それをGBNのせいだ。GBNさえ生まれなければ、と的外れの憎悪を募らせる者も、確かに存在していたのだ。

 

 

 

GBN、それは「自身の意識を広大な専用サーバーにアップロードし、自身が組み上げたガンプラに実際に乗って戦う」事を主眼に置いたゲームである。

それは世のガンダムファンにとって大きな輝きとなり、遍く人々を魅了してきた。

 

過去に流行った様々な「ガンプラを用いた遊び」とGBNの決定的に違うところは、「実物大の機体を操る」事と加えて、「バトルに負けてもガンプラが壊れない」事があげられる。

過去の遊戯…直近であれば、特殊な技術でガンプラそのものを動かして戦わせるGPD…ガンプラデュエル等は、バトルで機体が受けた傷は程度の違いこそあれ少なからずガンプラに反映され、傷付いてしまう事もあれば、重要なパーツが割れて補修程度ではどうにもならない程に壊れてしまう事もあった。

だがGBNは、ガンプラをスキャンして再現する、謂わばVRの類だ。そうなれば当然、機体が大破しようとガンプラそのものが傷付く事は無い。

 

しかし世間にはそれを「生温い」「物足りない」「所詮はゲーム」等と揶揄する人種が僅かに存在する程度には、GBNを受け入れられない人もいた。

そんな人々からすれば……否、彼等の多くはGBNを受け入れられなくてもソレを害そうとはしなかっただろう。だが、世の中には越えてはならない一線を越えてしまった人もいたようで────、

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

「はぁ……やっぱりつまらない。」

 

1人の少女が、コックピットの中でそんな事を呟く。

少女が操縦桿を握る機体……HGウイングガンダムゼロのカスタム機は、バードモードと呼ばれる飛行形態でGBN内の草原地帯を宛もなく彷徨っていた。

 

無気力とも取れる言葉を呟く少女の姿は、黒のショートカットに、MSとは掛け離れたラフな軽装、その上からピンク色のラインを取った黒のパーカーを着ている。

GBNの基礎となるセントラルロビーで最も多く見る、ノーマルスーツを用いたアバターとは似ても似つかない格好なあたり、それなりに手間暇を掛けて作り上げたアバターなのであろうが……その少女は、そんな手間を掛ける程の価値を感じられなかった、とでも言うかのような失望感を顕にしている。

少女はこれまでミッションを3つ程と、幾つかのフリーバトルで勝利を収め……それでも、このGBNを心から「楽しい」と思える事は無かった。

確かに世間一般から見れば、この”ゲーム”は革新的で楽しいモノなのかも知れない。けれど……少女の心には、その「楽しい」を掻き消して尚も残る程の大きな棘が深く刺さっていた。

 

「………何、あれ。」

 

そのままいつまでも飛び続け…やがて少女は眼下に1つの小さな異常を発見する。それは……GBNという広大な世界に現れたヒビ割れという名の異常(バグ)は、少女の心の中の棘をもう取り返しがつかない程に肥大化させてしまう、大きな切っ掛けとなるのだった……

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

「ひっへへ、最高だなァブレイクデカールゥ!ビームマグナムくらって傷1つすらつきやしねぇッ!」

 

「このッ!卑怯者!!」

 

場所はほんの少し移り変わる。

草原地帯にて繰り広げられていた1つのフリーバトル……否、バトルなどと呼ぶにはあまりにも一方的すぎる戦いは、誰の目で見ても異常であった。

片やHGUCユニコーンガンダムデストロイモード。塗装や必要な処理をしっかりこなした、「ガンプラ」としては充分な出来栄えの機体。

相対するは、ザクII…特別なチューンアップもカスタマイズも無いただのザクIIだ。しかもガンプラとしての出来すら相手に劣る機体だ。

だがしかし、ユニコーンガンダムはザクIIに押されている。…ザクIIの使用者が圧倒的にバトル慣れしていて、ユニコーンの攻撃を全て捌いているとか、そういう話ならまだ良かっただろう。しかしこのザクは…

ユニコーンガンダムが扱うビームマグナムの一撃を、腕で弾き返して見せたのだ。

当然そんな事は有り得ない。

ビームマグナムの威力は同世代におけるビームライフルの4倍であり、しかもザクIIとユニコーンとでは設定においても製造された年代に大きな差があり、当然その基礎性能も圧倒的に異なる。

普通ならば、こんな戦況には絶対にならない。

 

「ひッひ…そォら、いい加減に大人しくぶった斬られて、俺サマのポイントになりなァッ!!」

 

「っ…くぅ…!」

 

下卑た笑い声を上げる男のザクIIが、大型ヒートホークを赤熱させて歩み寄る。マグナムは既に弾を使い切り、2本のビームサーベルの発振器も弾き飛ばされてしまった。この上でやれる事など、タックルぐらいしか無いだろう。絶体絶命かと思われたが……

その刹那、ザクIIの後方上空より高速で急接近してきたウイングガンダムの改造機が、目にも止まらぬ機動性で高速強襲を仕掛けて来たのだ。

一瞬の間に乱入者は通り過ぎながら機体を変形させて、ザクIIの肩口をビームソードで斬り落とす。

腕を落とされたザクIIはその手に持っていたヒートホークを失い、間抜けにもザクマシンガンすら持ち込んでいなかったせいで丸腰になってしまう。

そんな相手でも乱入者は容赦をしない……

 

「ふぅん……やっぱり、チートツールの類かな…ねぇ、ソレ。なんて呼ばれてるツール?」

 

「あァ?…ンだよ、ブレイクデカールだよそれがなんか悪ィのかよクソがッ!!」

 

「そ、ありがと。」

 

十数秒。たったそれだけの通信を終えて乱入者が一方的に通信を切ると、同時に容赦無く振るわれたビームソードの刃がザクIIの関節部を尽く切り離し、五体バラバラのガラクタへと変えてしまう。

そうなれば当然ザクIIは耐久値の限界を迎え…爆発と共に電子の海へと還元されていった。

 

「ね、ねぇ君」

 

「………何?」

 

「その、ありがとう。正直…助かった。」

 

「……そう思うなら、ガンプラなり、プレイヤースキルなり、少しくらいは強くなったら?こんな"お遊び"でも弱いなんて目も当てられない。……それじゃ」

 

「なっ…な、何もそこまで…行っちゃった…」

 

その後、乱入者は襲われていたダイバーに辛辣な言葉を返し、その返事を待つ事も無く飛び去ってしまった。ユニコーン使いのダイバーはその場に1人取り残され、事前の通報がブレイクデカールの妨害を抜けて届き、駆け付ける運営の聴取を受ける事になる……

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

「……見付けた。これが…こうなって…」

 

時と場所は変わって、現実世界のとある一室。

そこでは1人の少女が大仰な機械……最新鋭のコンピュータ機器を操作しつつ、しきりに画面と手元に置かれた小さな物体を交互に見比べている。

大きな画面には無数のデータが並んだ文字の羅列が目まぐるしく流れ続け、その膨大さを物語る。

 

それは……ブレイクデカール。

今、GBNを騒がせているチートツールだ。だが…その本質は世に蔓延るただのチートツールでは無い、という事実を少女は既に突き止めていた。

少女は、GBN運営ですらも未だ解き明かせていないソレを購入して解析し、既にその根幹となる干渉データ部分へと足を踏み入れていたのだ。

 

「やっぱり…これなら……」

 

これなら、GBNをぶち壊しに出来る。それだけのポテンシャルを、ブレイクデカールは秘めている。それに気付いた少女……有栖川(アリスガワ)美優(・ミユ)は、1人誰にも見られる事無く……歓喜の笑みを、浮かべていた。

だが…だがしかし、ミユの目的を達成するにはソレは完成度が足りていない。

今のブレイクデカールから手に入るものは、機体の異常なまでの火力上昇と、防御力上昇。加えてそこに隠された、「使用者のイメージを引き出す力」。これらの代償としてGBNには幾つかのバグが発生している。

ミユが利用するのはこのバグだ。

特にこのバグは使用者のイメージする力が強ければ強い程、力の反動によってGBNに齎されるその影響も大きく重篤なモノになる事が判明している。

 

だが……そこには大きな不足があった。

イメージに応じて力を与える、ブレイクデカールのキャパシティがミユの想像力に追いついていなかった。結局ミユがブレイクデカールから受け取れた効果はそこらのデカール使い……通称マスダイバーと同等程度に留まり、バグの影響も頭打ちになっていた。

ミユにとって…己の願いを叶えられるだけの可能性を持っていながら、しかし未だ完成していないソレは今の大きな不満の種になっていたのだ。

 

故にミユは……決めた。

 

「……デカールの製作者に、会おう。」

 

その日は昼間だというのに空が暗く、今にも雨が降り出してしまいそうな、曇天の日であった……

 

 




今回紹介する要素は無いです( ˇωˇ )

お得意の白文字芸もやっておりませんぬ。

以上です。待て次回。
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