インフィニット・ストラトス クレイジージーニアス   作:グ・ラン

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前回のあらすじ

オッス!オラ、アラン!随分と待たせちまって悪ぃーなぁー、ちょいと天◯一武闘会に出場する修行をしてたから随分と遅くなっちまった。というアホなジョークはこれくらいにしてあらすじ行くでぇ!

IS学園に入学した俺アランことジャック・アルフレッドは千冬先生自慢の弟君、織斑一夏ちゃんと仲良くなったのも束の間、クラス対抗戦に備えて1年1組のクラス代表を決める際に一悶着あってなその中でクラスメイトのイギリス代表候補生であるセシリア・オルコットと揉めてもうてなあ。色々話して丸く収めようとした結果、クラス代表決定戦で誰がクラス代表になるか決める事になったんやが俺は自分が出るのは嫌やったから織斑ちゃんとのコンビでオルコットに挑む事になった。

果たしてこのクラス代表どうなるんや?と続きは本編を見たってや〜
因みに今回はなんとあの子の登場やで誰が来るのかは見てからのお楽しみやで
ほな、第3話いっちょ始めよか!


第3話【白の初陣式】

クラス代表決定戦まであと5日…

 

アランが教室で動きやすい格好になれと言われた俺はアランの言葉に訳が分からずにいたが説明を聞いた後どうやら俺の身体の動きや筋肉の発達・骨格などを見て俺のトレーニング内容を考えるとの事だったらしい。

 

その結果、俺の基礎体力向上を図るトレーニングとISに関する基礎知識の復習、想像力を養う為のイメージトレーニングを中心としたトレーニングを行う方針になったのは良いが…超絶ハード過ぎるトレーニングに俺のメンタルはやられそうです。しかも疲弊し切った所に追い討ちを掛けるように授業で習ったISの専門知識を予習しながら体感を鍛えるトレーニングを寮室で行なっている。アランが言うには『自分は頭でっかちで覚えるよりか、身体で染み込ませた方が覚えやすいタイプや』と俺の性格を見抜いた言動にはびっくりした。そして今、俺はアランに呼び出されて学園内にある道場にやって来た。

 

なんでも俺のトレーニングをサポートする助っ人を呼んだ方との事らしいが果たして誰なんだろうか…と思いつつ俺は指定された道場に入ると呼び寄せたアランは両腕を前に組んで待ち構えていた。しかも道場の神棚に設置された額縁には達筆で書いた【スミス道場】と書かれた文字が飾られていた。

 

「押忍!メス、差ぁーーす!!ようこそ、スミス道場へ!儂がスミス道場師範のアラン・スミスである!!」

 

「……すまない、色々突っ込みたいが頭が追いつかない」

 

「なーんや織斑ちゃん!ノリ悪いなぁ、これは俺がリスペクトする某男塾塾長と冬○の虎への敬意を込めたジャパニーズ道場スタイルやないか。そこは自分、なんで江○島塾長とタイガー道場が混じっとんねんとツッコミを入れるんが世の常やろ?」

 

「そんな常は知らねえよ、くだらない事で呼んだのならもう帰るぞ」

 

「待ちぃーな、これは肩の力を抜く只のジョークやんか。本題はこっからや」

 

アランはさっきまでの巫山戯た姿を止めて真剣な表情を浮かべて俺に告げる。

 

「織斑ちゃんのトレーニングを俺も1から10まで徹底的に見てやりたいのは山々やけどな、俺自身も自分の為すべき目標もあって関われる時間はそないに無いねん。せやから俺の代理として優秀な助っ人を用意したから今後はそいつとトレーニングを行うんや。メニュー内容は残りの日数分全てを紙に書いてもう渡しとる」

 

「それは分かったけど、アランが呼んだ助っ人は一体誰なんだ?」

 

「そう慌てなさんな、今その助っ人を呼んであんねん。早速呼ぶとしよか、Camon(キャモン)!スミス道場門下生第一号!!」

 

「だ、誰がいつお前の門下生になったんだ。出鱈目を言うなスミス!!」

 

アランはそう言うと右手でフィンガースナップをすると道場の戸が開き助っ人と思われる人物が姿を現してアランに異議を唱えていた。しかもその助っ人は聞き覚えのある声だった。

 

「助っ人って、まさか…」

 

「はい、その通り!織斑ちゃんを支える助っ人はこの俺スミス道場の記念すべき門下生第一号のモッピーこと篠ノ之 箒ちゃんでぇーーす!!」

 

アランははっちゃけた口調で答えると紹介された箒は顔を赤くして俺からの視線を晒すように明後日の方向を見ていた。しかも箒が身に纏っていた衣服は学園指定の体操着に平仮名でほうきと書かれたゼッケンを付けて頭には門下生1号と書かれた鉢巻を巻いていた上に何世代前に絶滅したと言われたブルマと呼ばれた体操着を履いていた。

 

「この残りの5日間を我がスミス道場の映えある門下生1号であるモッピーと共に過ごすよう…」

 

「だからモッピー呼びは止めろと言ってるだろうが!」

 

「おぼぉうぇ!?」

 

その直後、箒の右ストレートがアランの顔にクリーンヒットし、道場の端まで吹き飛ばされる。箒は息を荒げてアランに対して敵意ある視線を向けていたがこの2人一体何があったんだ?

 

「オホン、話はそこの馬鹿から聞いている。私としてもお前があの高飛車な女に屈服する姿を見るのは同じ道場の門下生として耐え難いからな。仕方なく、仕方なくだがお前に手を貸す事にしよう」

 

「そうか、ありがとな箒。顔見知りのお前が手を貸してくれて非常に助かるよ」

 

「なっ…男が簡単に感謝の言葉を述べるな馬鹿者!」

 

「と言いつつもホンマは嬉しいくせに照れちゃって、モッピーのお・ウ・ブ・さ・ん…ぼぅお!?」

 

箒は俺の言葉に顔を赤くして俺にそう答えるといつの間にか起き上がったアランは何事もなかったように箒の背後に立っていたがその直後アランは箒のアッパーカットを顎から喰らい道場の天井に頭をぶつけていた。俺の幼馴染みが常人離れしているのは気のせいだと思いたい…それにしても箒が急に助っ人を買って出る事が気になった俺は箒に聞いてみた。

 

「その事だが、昨日の放課後にスミスから声を掛けられたのが事の始まりだ…」

 

箒はアランの助っ人になった経緯を説明し始める。

 

 

前日 放課後 1年生学生寮1025室前

 

箒は自身が入部する予定の剣道部に必要な道着と竹刀を取りに自室に戻っていた。昨夜、同室になった相手が自分が慕っている幼馴染みである一夏であった事に驚いたが自身の裸を見られた恥ずかしさが勝り、つい自分の悪癖が走り想い人を竹刀で叩いてしまった事を気にしていた。自分の素直になれない性格が災いしてこれまで良好な人間関係を築けて来なかった事も理解していたが言葉よりも身体が反応してしまう。そんな自分に嫌気が差してより一層剣道にのめり込むようになり、遂に篠ノ之流剣術免許皆伝までの実力を手にしたが箒の心は決して晴れる事は無かった。

 

箒は寮部屋内にある洗面台に映る鏡を見つめていたが、左腕に付けた腕時計を確認して見学の時間が迫っている事に気付いて道着と竹刀を手に携えて部屋から出た時一夏と同じ男でこの学園に入学したアランと鉢合わせるのだった。

 

「おぉ、丁度ええ所で会えたわ。篠ノ之ちゃん、ちょいと自分に用があんねんけど少しだけかまへんか?」

 

「私はこれから入部する部活の見学に行くので話は後にしてもらえますか?」

 

「ええて俺に敬語は。俺は自分と同じ学年や、変に敬語使われるのはむず痒くてな。気軽にアランと呼んでくれてかまへん」

 

「では遠慮無く言わせて貰うがお前とそんなに仲は良くない筈だ。それとあまり私を名字で呼ぶな、私は名字で呼ばれるのは好きじゃないんだ」

 

「それはあれか?自分が篠ノ之束の妹やからか?」

 

「!?」

 

アランの放った言葉に箒は一瞬動揺するが、顔に出すまいと表情を抑えてその場を立ち去ろうとするが…

 

「ISを創造した天才の中の天才、篠ノ之束と比べられるのは癪に触る所か。それは済まんかったな。せやけど…姉の名前から目逸らして逃げてるようじゃお前もその程度や」

 

「何だと…」

 

アランの挑発とも言える言葉に箒は足を止めるのだった。

 

「だってそやろ?自分の姉ちゃんが世界をひっくり返すような大発明をして評価を得れてる中、自分は何も起こさんと黙々と竹刀をブンブン振り回して目標も何も持たんと同じ日常を繰り返してるんやろ?そないな奴には何やっても変わらん、ましてや離れ離れになった両親に再会するのも夢のまた夢物語や。自分から行動に移らん奴にチャンスは…」

 

「何も知らない奴が、私を軽々しく語るなぁぁ!!」

 

アランが言葉を言い終える前に箒が竹刀を手に取り、アランの頭に叩き込もうとしたが…アランは余裕の笑みを浮かべて箒が放った渾身の一撃を真剣白刃取りの構えで受け止めていた。

 

「ふぅ〜危ない、危ない、これ俺やなかったら大怪我どころの騒ぎちゃうで。全く人の話は最後まで聞かんかい」

 

箒は内心驚いていた。自分に非があったとはいえ、自身の渾身とも言える一撃を涼しい表情を浮かべて何事もなかったかのように受け止めた人物に…箒はすぐ様竹刀を納めて謝罪の言葉をアランに告げるが当のアランは『煽った俺にも責任はあるから気にすんなや』と応えて不問にしたのだ。

 

「チャンスは訪れへんがもしそんな自分をほんの少ーしだけでも変えれるチャンスがあったらそれにしがみ付くか?強制はせんが、1度逃したチャンスは2度と訪れることは無いで」

 

「私は…変われるなら変わりたい、私自身1番理解しているんだ。このままだと何も起きない事くらいは…ならどうしたら良いんだ?私はどうやれば変われるんだ?」

 

「その答えは俺にも分からん。何せ俺は篠ノ之箒やない、アラン・スミスや。自分の変え方は自分自身で見つけるしか無い、せやけどきっかけを作る手助けくらいは出来るで。その方法を知りたかったら今から俺と勝負して勝てたら教えたるわ」

 

「勝負だと?」

 

アランの提案に箒はアランの真意を理解出来ずにいたがアランはお構い無しに話を続ける。

 

「せや、その勝負についてはここじゃ狭過ぎて出来へんから剣道部が部活動に精を出しとる道場で話そうやないか。それに元々俺も道場へ向かう予定やったしな」

 

「ちょっと待て、剣道部は私が今から見学に向かう予定の部だ。部活動中にお前の都合で止めさせる訳にもいかないだろう」

 

「あぁ、それなら安心せえ。部長には事の詳細をもう伝えとるから使ってくれてかまへんとの許可も貰ってるから。そうと決まれば早よ行こか」

 

アランはあっさりした様子で箒の疑問に答えると学園内にある道場へ脚を進めるのだった。飄々した様子で喋るアランに箒は戸惑うがすぐ様後を追いかけて行き道場に着くと否や道着と防具を着けておいでやとアランからの一声を聞いて更衣室に入り、剣道着に着替えて防具も付けて道場に入ると防具も何も身に付けず制服の上着だけを脱いだアランが待ち構えていた。

 

「ほな早速ルールを説明するで、今から5分間の間に俺から1本取れば篠ノ之ちゃんの勝ちや。勝ったら変わる方法を教えたるわ。ああそれと突き技も有効や。本来なら突き技は禁じ手やが俺からしたらハンデにもならんからな。そして時間切れ、時間内に1本も取れんかったら俺の勝ちや。負けたら俺からのお願いを聞いて貰うで」

 

「なっ、ちょっと待て!何故私がお前の頼みを聞かねばならんのだ!?」

 

「何で負ける前提で話すんや、俺から勝ちをもぎ取ったらええだけの話やんか。それともあれかな?篠ノ之流剣術免許皆伝の実力者でもある篠ノ之箒さんは俺に負けんのが怖いんかなぁ〜?それやったら、悪い事は言わん。回れ右してとっとと自分の部屋に帰って織斑ちゃんが使っとるベッドの残り香を嗅いでハッスルしとくんやな?」

 

その時、アランの煽りに箒の何かがブチっと切れる音がした。

 

「良いだろう…その減らず口永久に叩かないようにしてやる!!」

 

「ようやくやる気満々になってくれたか、ほな早速始めよか」

 

防具を着込んで顔色は分からないが箒は顔を真っ赤にした上に怒髪天を突く勢いで竹刀を握り締めていた。当のアランは懐から白金色の懐中時計を取り出して時間を測り出すのだった。箒は初手から竹刀を上段に構えて渾身の面を放つがアランはそよ風を流すかのような表情を浮かべて避ける。

 

「ええ一撃やけど、頭に血が登りすぎやで」

 

「ふんっ!」

 

かわされた竹刀を右側に薙ぎ払うように胴を狙うもアランは背中を曲げて竹刀を避けると身体をそのままバク転して体勢を戻すのだった。

 

「さあ、遠慮せんとどんどんおいでや。俺はただひたすら避けるだけや、残り4分50秒の間に決めれるかなぁ〜?」

 

「くっ、舐めるなあぁぁ!!」

 

箒はその後、アランから1本も取る事無く時間切れで負けたのだった。休む事無く責め続けて息を荒げる箒に対してアランは何事も無く涼しい表情を浮かべた様子でいた。そんなアランの姿を見て箒は悔しい表情を浮かべていたその時…

 

「お疲れさん、4月とはいえまだ少し冷え込むからな。これ使って汗拭き、それと飲みもんも用意しといたからそれ飲んで落ち着かせるんや」

 

いつ用意していたのか分からないがアランは箒に汗拭きタオルとスポーツ飲料を渡すと防具を外して汗を拭い去ると喉が渇いていたのかペットボトルに入ったスポーツ飲料に手を伸ばして水分を摂るのだった。

 

「ほな、約束通り勝負は俺の勝ちって事でかまへんな?」

 

「好きにしろ…」

 

「じゃあお言葉に甘えて、今から自分は織斑ちゃんのサポーターになってもらおか?そして今から自分のあだ名はモッピーや!」

 

「おい、誰がモッピーだ!?何だその色々失礼なあだ名は…私を馬鹿にしているのか?」

 

「馬鹿になんかしとらんわ。だって自分篠ノ之って呼ばれるの嫌なんやろ?せやったら皆から愛着が着きやすいあだ名で呼んだ方がまだマシやろ?それにこのモッピーってあだ名は今後、色んな人から呼ばれる事間違いなしや!」

 

「ええい、モッピーは止めろ!せめて名前で呼べ!」

 

「呼ばれたかったら俺に勝負挑んで俺から1本取ったからにせぇや。そしたら名前で呼んだるわ。それまで俺はモッピーと呼び続けるからな」

 

「それと何故私が一夏のサポーターをせねばならんのだ!元はと言えばお前が一夏を巻き込んでオルコットに決闘を挑んだのが原因だろう!!」

 

箒はアランの決めた内容に抗議するがアランは箒の核心を突く言葉を言い放つのだった。

 

「だって自分織斑ちゃんにほの字なんやろ?」

 

「ぶふっ!?」

 

アランの言葉に箒は口にしていたスポーツ飲料を吐き出しそうになった。

 

「だ、誰があんな優柔不断な軟弱者を好きでいるかぁ!!それに私とあいつは同じ道場の門下生だけであってだな…」

 

「んなベッタベタな照れ隠しせんでもバレバレや。俺が何の為に自分に声掛けたと思っとるんや?織斑ちゃんにとって自分は心許せる数少ない人間や、それに同じ寮部屋の相手やから変に気を遣うこともないし気心許せる相手が手を貸してくれたら織斑ちゃんの精神面もホッとするやろ。それとこれはモッピーの為にもなると思うてな。お互いを磨き合い切磋琢磨する事で心身共に成長するのも人間や。織斑ちゃんのトレーニングを通じて自分の変わるきっかけ作りになれたらなとまあ考えた訳や」

 

「アラン…」

 

箒はアランの意図を知り、一夏だけではなく自分の事もキチンと考えていた事に内心驚いていた。最初はあまりにも軽薄かつ人を煽る失礼な男かと捉えていたがアランへの見方を改めるべきだと考えていた。

 

「それにこのまま発展したら織斑ちゃんとモッピーが夜の創生合体してGoする様を見届けるのも楽しみやからなぁ!!」

 

「何を考えてるんだお前はぁぁぁぁ!!」

 

「ぶうぅぇぇ!?」

 

箒は竹刀を手にしてアラン目掛けてフルスイングするとアランはさっきまでの様子とは打って変わって吹き飛ばされるだった…

 

事の経緯を聞いた箒から聞いた俺は改めてアランの強さに驚くと同時にアランが何者かを知りたい好奇心が湧く。しかしアランは肝心な事ははぐらかして自分の事を語ろうとしないな…俺がそう考えていると天井に頭をぶつけたアランが何事も無く起き上がる。

 

「さてさて後は門下生1号モッピーに任せて、俺は男でも動かせるISの完成に近づく為に整備室でシコシコやっとくから頑張りや織斑ちゃん。それと先走ったパトスが抑えられんようになって創生合体するのはええが避n…「さっさと行け!この変態が!!」ぼふぉ!?」

 

アランが言い終える前に箒が竹刀を槍投げの要領で投擲してアランの額にぶつけるのだった。俺と箒が創生合体ってどういう意味だ?今度千冬姉に聞いてみるか。俺はこうして新たに協力してくれる助っ人、箒の助力もあり順調に前へ進んでいる事を自覚していたがその裏でオルコットに迫る悪意にはその時はまだ誰も気付けていなかった……

 

 

一夏が箒と共に道場でアランが組んだトレーニングを実践している一方、IS学園内にある第3アリーナでは誰もいなくなった中、セシリアが自身の専用機である【ブルー・ティアーズ】に搭乗して射撃訓練に励んでいた。アリーナの使用時間ギリギリまでの時間しか申請が取れず、ほんの1時間弱しか練習出来ない状況下であってもセシリアは精神を乱す事無く空中に浮かぶ立体ディスプレイに映る的に目掛けて自身の主武装でもあるレーザーライフルを用いて的の真ん中へと狙いを定めて見事に命中させるのであった。セシリアはディスプレイに映る時間を見るとアリーナの使用時間があと僅かになっている事に気付いて急いで機体の展開解除してディスプレイの機材を元の場所に直し終えて更衣室へ着替えに行こうとしたその時、上級生と思わしき生徒がセシリアが来るのを待っていた。

 

「練習お疲れ様。流石はイギリスの代表候補生にして1年生の中でもエリートと呼ばれるセシリア・オルコットさん、貴女をずっと待っていたわ」

 

「何方かは存じませんがわたくしに何の御用でしょうか?今から更衣室に戻って着替えたいのですが」

 

セシリアは話し掛けてきた相手が上級生とは言え見ず知らずの人間にいきなり話しかけられ警戒心を示すがそんな上級生はセシリアの様子を気にする事無く話を進める。

 

「そんなに警戒しないで頂戴、私は貴女のサポートに来たの。来週の月曜日に神聖なるIS学園にどんな手を使って入ったか分からない害虫と勝負すると聞いてね、居ても立っても居られなくなって直接話そうと思ってね」

 

その上級生は一夏の事を花園に紛れ込んだ害虫のような扱いで喋り出すとセシリアにある提案を告げる。

 

「いかに千冬様と同じ血の通った弟とは言え、所詮は下賤な生き物。この学園には不要な存在なのは貴女も理解してるはずよね。ならいっその事、来週の試合で私があの害虫を試合に出れなくしてあげるから私と手を組まない?そしたら貴女はもっともっと輝けるわ。それこそ千冬様、いいえあんな野蛮な雌ライオンさえも越えた存在に…」

 

上級生は千冬を野蛮人扱いした上でセシリアへ手を差し伸べて掴もうとしたが…

 

パシンっ!!

 

その手はセシリアの手によって振り払われるのであった。

 

「お断りしますわ。相手が誰であれ、わたくしセシリア・オルコットは正々堂々と全力で立ち向かいますわ!それに学園内の生徒が憧れる織斑先生を侮辱するような下賤な方と手を組むなんてこちらから願い下げです。早くそこを退きなさい無礼者!!」

 

「そう…残念だわ。貴女なら崇高なる同志になれると思っていたのに、その威勢必ず後悔させてあげる……」

 

セシリアの堂々した一喝によって上級生は負け惜しみを言い残してこの場から去って行くとセシリアは更衣室へと急ぎアリーナから退出するのだった。

そして、セシリアの一喝によってこの場を去った上級生は人気の無い場所でスマホを何処かに電話を掛けていた。

 

「申し訳ありません、セシリア・オルコットを我が組織への勧誘に失敗致しました」

 

『別に構わんとも、時代遅れの貴族社会の中でしか輝けん小娘だ。勧誘出来たとしてもオルコット家が残した莫大な遺産のみでアレ自体に用は無い。お前は引き続き学園内に潜入し、IS学園の内部崩壊を狙い我々が暗躍しやすいように行動を移せ』

 

「畏まりました。全ては偉大なるマザーの御意志の下に…」

 

『ああ。マザーの御意志の下に、吉報を期待しておく』

 

上級生は相手の声に頷くとスマホを切り、胸元に仕舞っていたエンブレムを取り出すと天を仰ぐように祈りを捧げ出す。林檎を手に掲げた聖女のレリーフが彫られていたエンブレムを取り出した上級生の表情は恍惚な表情で猟奇的な笑みを浮かべるのだった。

 

そして5日の期間があっという間に過ぎ去り、クラス代表決定戦当日

放課後第3アリーナAピット内にて…ISスーツを身に纏った俺は今、焦っていた。何故なら代表決定戦前までに届く予定だった俺の専用機が何らかの影響を受けて当初の予定からかなり遅れていたからだ。しかもその専用機はまだ届いていない。これには流石の俺も地団駄を踏む勢いだったが…

 

「落ち着けや織斑ちゃん、焦る気持ちは俺も分かる。そんな時やからこそどっしり構えて常に余裕ある表情を浮かべるんや」

 

アランの言葉に俺は落ち着きを取り戻そうとしていた。トレーニング中、俺は訓練機のISを動かそうと訓練機の使用許可証を申請しに行ったが何故か()()()()()()()俺が訓練機を使う機会は一度も無かった。その穴埋めとしてアランが用意したトレーニングメニューやイメージトレーニングを重ねて来たが果たしてそれが代表候補生のオルコットにどこまで通用するか…と考えていたその時

 

「織斑君、織斑君!い、今織斑君の専用機が搬入されましたぁ〜」

 

副担任の山田先生が駆け足で俺の下まで来て知らせに来てくれた。

 

「マーヤ先生、態々来て下さってホンマありがとうございます。さあこのタオルを使って汗を拭って下さい。それに息も乱れたままやと身体に負荷が掛かりますから俺が言う呼吸法で身体を落ち着かせて下さい。ヒッヒッフー、ヒッヒッフーと声に出して息を吸って吐いて下さい」

 

「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー!」

 

「教師にラマーズ法をさせるな大馬鹿者」

 

「ぶっふうぅっ!?」

 

ラマーズ法で息を整えるよう促していたアランは千冬姉の右フックを喰らい、回転しながら吹き飛ぶ。と言うか俺の身内の人間は腕力が人間越えしていないか?

 

「おい馬鹿弟、今失礼な事を考えなかったか?」

 

「イイエ、ナニモ…」

 

危うく俺にまで飛び火が飛びそうになったが何とか助かった。

 

「それはそうと早よ織斑ちゃんの専用機をフォーマットとフィッティングするのが先決や!マーヤ先生、専用機の搬入口まで案内頼みます」

 

「分かりました。直ぐに専用機のシェルターを解除します」

 

「織斑、お前は直ぐに搭乗出来る様に準備しておけ」

 

「えっ、あ、はい」

 

さっきまでの落ち着いた空気とは違ってアラン達は急ピッチで動き出していた。俺は千冬姉に言われるがままピットから出てISが格納されている搬入口まで来ると白一色に染まった機械鎧が鎮座していた。

 

「これが織斑君の専用機【白式】です!」

 

白式…これが俺の専用機…俺はふと鎮座された白式にふと触ると入学試験の時に起きた膨大な知識の波は来なかったが、何の為にこのISがあるのかは理解出来た。コイツは、白式は俺を待ち続けていた。俺の思い上がりかもしれないが触れた瞬間、そんな感じがしたんだ…そして俺は促されるまま鎮座された白式に座り身を委ねるように身体を楽にして座るとアランがキーパッドを手にしてプログラムを打ち込んでいた。

 

「その場凌ぎになってもうたがフォーマットとフィッティングが完了する時間を短縮するプログラムを白式に打ち込んどいたで。織斑ちゃん、お前はこの短い間俺のハードメニューカリキュラムを乗り越えた男や。胸張ってええで!後は全力で楽しめ!」

 

「最初はどうなるかと思ったけどありがとうなアラン」

 

アランはプログラムを打ち終えるとそのままサムズアップして俺に見送るが親指を人差し指と中指の間に入れて上下に動かしていると千冬姉からドロップキックを喰らっていた。多分俺の緊張を解すつもりでいたと捉えておこう。

 

「白式のハイパーセンサーも馴染んで来ているようだな。一夏、問題無いか?」

 

「ああ問題ないよ千冬姉、あっ」

 

「別に今は構わん。それなら良い、私から言えるのは一つだけだ。頑張れよ」

 

普段は俺を名字で呼ぶ千冬姉だが俺も釣られてつい、名前で呼んだが千冬姉は気にして無い様子で穏やかな口調で答えると俺に激励を送るのだった。

 

「一夏、気を付けてな」

 

「ああ、ありがとな箒。俺の為に遅くまで付き合ってくれて…やるからには勝つつもりで行くから見届けてくれ」

 

「当たり前だ。私はお前の…いや、なんでもない。行って来い!」

 

俺はピットゲートまで進み、白式を授業で教わった通りに自動浮遊歩行システムで浮かせるとゲートが開きアリーナへと進むとそこには対戦相手であるオルコットが青いISを纏ってライフルを携えて待ち構えていた。

 

「あら、随分時間が掛かっていたようですね。あまりにも遅いからわたくしは逃げ出したのかと思いましたわ」

 

「アランが逃げも隠れもしないと言ったんだ。俺だけ逃げ出すわけにはいかないだろ?」

 

「へぇー、少しだけ貴方の事を見直しましたわ。そんな貴方にわたくしから最後のチャンスを差し上げますわ」

 

「チャンス?」

 

俺はオルコットが言うチャンスの言葉にロクな内容じゃない事は理解していても一応聞いておくことにした。

 

「このまま戦っても貴方が赤っ恥を掻くだけなのは目に見えておりますから早めにギブアップされる事をオススメしますわ。そうしたら貴方の事は不問に致します。ですがあの道化師はわたくし自らが鉄槌を下しますけどね」

 

オルコットは余裕な表情を浮かべて喋りつつもライフルに掛けられた安全装置を解除しており、何時でも撃てる準備を整えていたが…

 

「悪いけどそれはチャンスとは言わないな。それに友達を売って自分だけ助かろうとするなんて男以前に人として終わってるだろ?お前への返答はNOだ!」

 

俺はオルコットにハッキリと自分の意思を伝えるとオルコットは一瞬、驚いた表情を浮かべていたが直様元の表情へと戻る。

 

「そう…ではここで、お別れですわ!」

 

オルコットは眼に見えない速さで俺の胴体目掛けてライフルの引鉄を引いてレーザーの一撃を放つが…俺はライフルの直撃をギリギリの距離で回避するのだった。

 

「少しはやるようですね…そうでなくては面白味が有りませんもの」

 

「伊達に備えてきたわけじゃ無いからな」

 

「では始めましょうか、このセシリア・オルコットとブルー・ティアーズが奏でる華麗な円舞曲(ワルツ)を!」

 

「悪いな、俺は円舞曲よりJ-POP派なんだよ!」

 

こうして俺とオルコットによる代表決定戦が幕を開けるだが…

 

「フフフ、見てなさいセシリア・オルコット、この私の誘いを断った愚かさ思い知らせてあげるわ…」

 

その裏で身勝手な悪意が俺達に伸びようとしていた……

 

 

 




【次回予告】
篠ノ之箒だ。いよいよ始まったクラス代表決定戦、一夏の対戦相手であるセシリアの実力は本物だ。気を引き締めて戦えよ一夏!しかしそんなクラス代表決定戦の中で蠢く悪意がオルコットだけでは無く一夏にも降り注ぐが…私は信じているぞ!一夏の勝利をな!!

次回、第4話【零落白夜】
男なら気合と根性で乗り越えろ一夏ぁ!
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