芸術家提督ー英雄列伝 作:後世の歴史家(自称)
あともう一話くらいで時間が進みます。(予定)
もう少しだけお付き合いください。
旗艦の艦橋部に被弾ーー最悪の場合、全艦隊の戦闘力を喪失しかねない事態は敵の奇襲により起きてしまった。被害状況を調査していた大佐のもとに、艦橋から連絡が入る。
「こちら艦娘「日向」。司令官が負傷した。現在治療中だが、妖精によると、戦闘中の復帰は望めないそうだ。臨時に指揮権が委譲される」
「私もこれより後部艦橋に向かう。大佐、指揮をお願いする」
「日向へ。わかった。只今より指揮にはいる」
「妖精さん、全艦に繋げるかい?」
頷いたのを確認してマイクを取る。
「全艦へ、こちら渡邉大佐。先程の砲撃によって旗艦艦橋をやられた。司令官が負傷したため、私が指揮権を引き継いだ」
「この後の作戦行動は追って伝える。各艦は被害の復旧と戦闘力の報告を頼む。今より各艦は自由操艦、次の指示まで回避に専念してほしい。以上」
被害状況を妖精さん達が黒板にまとめていく。
「しょうはいかのかんていは、せんかんいせ、けいくうぼちよだ…
「まともに戦闘できるのは戦艦1、軽空母1、重巡2と水雷戦隊のみか…再編成しなくてはな」
ため息も出ようものである。
今回の宿毛泊地の参加艦艇は、二個戦艦戦隊、二個重巡戦隊、一個航空戦隊(軽空母)、二個水雷戦隊。
開戦早々に主力水上打撃部隊の半数以上に被害を受けたことになる。
しかし、どんな敗勢であったとしても影だけは胸を張っていなければならないのが指揮官であり、その点において彼に問題は無さそうであった。
もっとも、彼の意識外の事であったが…
「姿勢の良さは楽器をやっていて助かった数少ない一例だね」
とは後に青葉の取材にイヤイヤ答えた際の言葉である。
「千代田へ。搭載している艦攻にで偵察させてくれ。方向は沖ノ鳥島。一機は大洗艦隊の予定航路に向かわせてくれ」
「千代田、了解です。攻撃隊はどうしますか?」
「まだ待機させてくれ。偵察結果如何で飛ばし方を変えなければならないだろう。一応暖機は済ませて置いてくれ。特に艦戦を優先的に」
「そうそう、念のため1小隊CAP(戦闘空中哨戒機)を出しておいてくれ。可能なら敵水偵を落とすように」
「こちらも了解です。すぐに出します」
「臨時に千代田を旗艦とする航空戦隊を編成する。一水戦より第二駆逐隊は千代田の発着艦を掩護する様に」
「攻撃隊はまだださないのか?主力の位置はもう知れているようなものだとおもうのだが」
「敵 ー恐らく戦艦級ー が方角的に見て父島の裏側から着弾観測射撃をやっているのは、まあ事実だろう。現に奴さんが飛ばしてる。」
「しかし問題は、毎度お馴染みのヲ級さんだ。大洗がうまく叩いてくれていたならいいのだが、最悪の場合はこちらに横槍を入れてくることも考えられる」
「ところで、開戦前の通信、どう思う?」
「不自然なノイズが多かったのではないか?なにか、こう邪魔をされていたような…」
「やはりか、私は大洗が予定ルートをそれたと思う。先程の通信が妨害されていたとすると、今頃我々と同じように攻撃を受けているはずだ。
攻撃をしていたとすれば、時間的に見て我々が発見する頃には収容作業中の筈だ。軽空母一隻分の攻撃隊とはいえ、収容中に攻撃されればかなりの牽制になるのではないか…。というわけで艦載機はなるべく温存したい。従って炙り出すまで待機ということさ。」
「まあ、そうなる…のか?」
「さて、次だ。伊勢日向の瑞雲全稼働機を出して欲しい。爆装して出してくれ。恐らくこちらの転舵の瞬間を今か今かと狙っている水雷戦隊がいるはずだ。」
「発見次第攻撃してくれ。中破相当のダメージを与えれば十分だ」
「了解した。準備する」
「一水戦へ、一水戦は大破艦を護衛して直ちに海域から離脱せよ。特に空襲に十分注意する様に」
「二水戦へ、艦隊を川内隊、長良隊に分ける。各隊は父島の両端を掠めるように時間差を置いて雷撃。その後煙幕を展張しつつ退避、出てくるであろう敵水雷戦隊に対応してくれ」
「敵の水雷戦隊を撃破次第回頭・撤退する。少しでも変わったことがあればすぐに知らせてくれ」
「「了解しました」」
設定集に基本艦隊編成を追加しました。
興味のある方はどうぞ…
今回もお読み頂き、ありがとうございました。