芸術家提督ー英雄列伝   作:後世の歴史家(自称)

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今回で海戦終結です。



第四話 沖ノ鳥島海戦Ⅳ

提督代理となった渡邉大佐の命に従って艦隊が行動を起こす。

彼の乗る戦艦「日向」も中破しているが、まだ彼に撤退する気はない。彼は研修生ながら、安全な鎮守府から督戦するばかりの周囲とは異なり、警邏や遠征以外では必ず戦場にいた。

 

 

 

「無線通信だけで正確に戦況判断が出来るとは、どれほどの才能に溢れているのだろうかねぇ」

 

 

…この皮肉の効いた発言が事実であったか、についての正確な証言は残っていない。発言当時酔っ払っていた妖精たちの間では聞いた、いや提督は言ってない、などといった低レベルな争いが一部あった事は事実である。

事の発端は言わずと知れた"鎮守府のパパラッチ"による買収工作である。しかし下手をすれば"お偉いさん"に目をつけられそうな発言は、現場の店主"鳳翔"が笑顔で沈黙を守ったため、真偽は闇の中という形で収まった。

もっとも、渡邉本人が鎮守府から動かない指揮官を毛嫌いしていたのは確かのようだ。

 

 

 

ーーー

 

 

水雷戦隊の突撃開始からおよそ15分が経過した。

戦場の混乱は次第に収束へと向かっていた。

 

伊勢日向の瑞雲が聟島付近に敵水雷戦隊を発見。少数だが爆弾も命中し、更なる奇襲は未然に防がれた。

 

「川内参上、昼だけどしょうがないからいくよー。各艦逐次回頭。終わり次第発射!」

「よしきたー!みんな、転舵後雷撃!用意!」

 

また、雷撃を敢行した長良・川内両隊は煙幕を展開。同時に千代田艦載機による敵水偵の撃墜によって敵戦艦の砲撃精度は大きく低下。

当面の危機は脱したようである。

 

 

この瞬間、渡邉が命令を下す。

 

「全艦面舵一杯、進路3-0-0。現海域を離脱する。転針後は最大全速」

「千代田は転舵後に攻撃隊発艦。目標は現在交戦中の敵水雷戦隊。発艦後に艦隊直掩機をもう1小隊だしてくれ」

 

「最後まで気を抜かないように。このまま全員で生きて帰るぞ」

 

 

綺麗なウェーキを描きながら艦隊は撤退に成功した。

 

 

当時の戦闘詳報によると、最終的な損害は

 

大破8、中破13、小破以下9、轟沈0

 

対する戦果は

 

戦艦撃沈破3、軽巡撃沈1、駆逐艦撃破5

 

 

宿毛艦隊は戦力の七割の消耗と引き換えに、推定される敵前衛艦隊のおよそ4割を撃沈破したことになる。

 

 

 

 

ーーー

 

 

「大佐、艦載機より入電です。大湊艦隊は予定航路にはいませんでした。現在犬吠埼沖を北上中です」

「その、…航空戦隊の姿が見えなかった、と言っています」

 

「…そうか、報告ありがとう。引き続き小笠原方面の哨戒を頼む。何か分かったらまた教えてくれ」

 

「…千代田、了解です」

 

 

「日向、しばらく外す。通信、異常その他些細なことでもあればすぐに呼び出してくれ」

 

「分かった。何か有ればすぐに放送を入れる。その、大佐の所為ではないだろう。気にするな、とは言えないが、どうか気を落とさないでくれ」

 

「ああ、分かっているさ。ありがとう。しばらく頼むよ」

 

頷いた日向を背に彼は艦橋を後にする。

 

およそ10分後、艦隊は軍では滅多に聴くことのない弔歌を耳にした。

 

そのラッパの音色は何故か大湊艦隊の中にも聞いたものがいたという

 

 

ーーー

 

翌々日に出撃した横須賀艦隊が沖ノ鳥島近海で敵主力を撃破したことから、前例に習って沖ノ鳥島海戦と呼ばれた一連の戦闘は、大本営に衝撃を与えた。

提督の殉死はすなわち泊地の崩壊であり、特にこれ以上後退できない中、2泊地が機能停止に陥った海軍にとっては早急に手当しなくてはならない問題である。

 

 

 

各艦隊の戦闘詳報を受理した大本営は、大佐に大本営への出頭命令を発することを決定した。

 





渡邉が扱う楽器一つ目はトランペットです。

次回は大本営に移ります。


戦闘描写は何を書けばいいのですかね…
拙い文章ですみません。今回もお読み頂きありがとうございました。
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