完全無欠な女軍人の落とし方 作:ロシー
聖府軍特殊部隊、『
特別な訓練を受けており、人間には扱えぬはずの魔法を扱えるようにするテクノロジーを有するなど、純粋な戦闘力では右に出るものがない軍隊だ。
自治体が運営する『警備軍』などとは比べ物にならないほどの、圧倒的な戦闘力を誇る。
PSICOMは人が集まって出来る組織だ。
だから、当然、その中にもヒエラルキーがある訳で。
「ナバート中佐!お疲れ様です!」
「「「お疲れ様です!!」」」
「結構よ。作戦は滞りなく進んでいるわね?」
「え、ええ。予定通り、ボーダムの封鎖は完了致しました…パージは恙無く実行されるでしょう…ですが…」
「何か問題でも?」
コクーンでも有数の観光地、臨海都市ボーダムで『
下界のファルシは、人を下界のルシに変える。
そしてそのルシは、とある代償と引き換えに、コクーンの平和を脅かし得るほどの強大な力を得る。
その結果起こされたのが、数百年前の黙示戦争だ。頑強なコクーンの外殻が破壊された跡は、数百年経った今でもその恐ろしさを雄弁に物語る。
『下界のファルシが臨海都市ボーダムで発見された』
この事態は、コクーンが滅びる危機が間近に迫っているということを示している。
黙示戦争でのルシは、コクーンの
しかし、コクーン内部でルシが発生したとなると…当然その外殻は機能しない。いとも簡単に内側からコクーンは破壊され、そこに住む数千万人の命が散ることとなる。
コクーンの滅亡は人類の滅亡と同義だ。
だから、その最悪の事態を回避すべく、聖府がとった行動は、少数の市民を犠牲にすること———パージだった。
当然、その少数の市民は反発するだろう。
自分がルシだというのならともかく、ルシが紛れ込んでいる可能性がある集団の中の一人であるというだけで、
だから、その反発を抑えるために、PSICOMが出動することになったのだが———PSICOMの構成員も同じ人間だ。感情がついてこない者がほとんどだろう。
ただ、一方で———。
「我々は…いえ、私は…これが本当に正しいことなのか…計りかねます」
「…そう。聖府の決定に異を唱えるのね」
「い、いえっ、そういう訳では」
「———黙りなさい。反逆者」
【ブレイダ=ギア】
「がッ!?」
一方で、ただ冷徹に命令を遂行する、感情の無いような者も存在する。
ナバートは、魔法デバイスにより膂力を強化した身体で、思い切り警棒を振り抜いた。
「聖府の決定に疑問を持つこと…それだけで重罪よ!」
【サンダラ=ギア】
【ブリザラ=ギア】
「ぐあああああッ!!」
倒れ込む隊員に、執拗に制裁を加える。雷の槍が、氷の刃が、明らかに生命を脅かすレベルで、刺さる。
他の隊員たちは、その様子を震えながら見ていることしかできない。
「…さて」
「「…ひいっ」」
「あなた方は…どうなのかしら?」
———ジル・ナバート中佐。
聖府軍の特殊部隊『PSICOM』を統率する女軍人。
類稀なる美貌と、才気を感じさせる容姿とは裏腹に、その性格は冷酷そのもの。彼女の演出する圧倒的な恐怖で統率された彼女の隊は、精鋭揃いのPSICOMの中でも一際屈強な部隊だ。
そして、士官学校を主席で卒業した後、異例のスピードで出世を果たしてきた彼女が、唯一信じるもの…それが、聖府とコクーンだ。
僕は知っている。
聖府というものが、いかに虚構に塗れたものかを。
コクーンというものが、どんな目的で稼働しているのかを。
そんなものに縋る彼女の脆さに、僕は———、
「この程度で日和る、軟弱な側近は要らないわ。目を覚ましたら除隊処分だと伝えておいて。しかし…代わりが必要ね」
「…ちゅ、中佐殿!」
「…何?」
「かっ、代わりが必要なのでしたら…私で如何でしょうか!!」
「…」
「…っ」
「…気に入ったわ。着いて来なさい」
僕は、恋をしてしまったのだ。
▶主人公への印象
・ナバート
「あの出来事の後に立候補できる胆力…使いようによっては役に立ちそうね」
・モブ隊員s
「前々から不思議な奴だったがここまでとは」
「出世狙ってたとしてもアレは出来ねぇわ」
「他の隊いきたい」