魔法科高校の劣等生〜魔法世界に這い寄りし過負荷〜   作:味噌漬け

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ちょい久しぶりに箱庭見学シリーズ更新です。


番外編3 司波兄妹の箱庭見学 ②

 

 突然迷い込んだ学園にて、“風紀委員長”雲仙冥利と出会った司波兄妹の二人は雲仙の部下である鬼瀬針音(おにがせはりがね)の案内のもと、学園内を歩いていた。

 

「あの子…色々凄かったですね」

 

「そうだな」

 

「あはは…。あれでも丸くなったんですよ…」

 

 深雪と達也の言葉に鬼瀬は苦笑する。

 

「私が風紀委員会に入った頃は、まさに“悪・即・斬”って感じでしたから…」

 

「今でもそんな感じに見えますけど…」

 

 深雪はそう言うが、鬼瀬からしたら雲仙がわざわざ事情聴取になど行ってる時点で相当丸くなっているのだ。

 

「「正義と聖者は相容れない」…委員長の言葉です」

 

 鬼瀬が神妙に言う。

 

「私はそんな委員長の“やりすぎな正義”に共感して、風紀委員会に入りました。ですが…最終的には着いていけなくなりそうになったのも事実です」

 

「…やめようとは思わなかったんですか?」

 

 深雪が言うと、鬼瀬は首を振った。

 

「いいえ。もしかしたら、そんな過去(未来)もあったかもしれませんが…()()がいてくれましたから…」

 

「彼女?それは誰ですか?」

 

 達也の質問に鬼瀬は答える。

 

「この学園の生徒会長ですよ。あの人が真正面からぶつかってくれたから、今の風紀委員長がいてくれているんです」

 

 鬼瀬は続ける。

 

「私達は委員長を信頼していますし、委員長も私達を信頼してくれています。だから…この学園の治安を守ることができるんてす」

 

 そう言う鬼瀬の目は強く前を向いたものとなっていた。

 

「あの風紀委員長と真正面からぶつかり合うなんて…一体、どんな方なんでしょうね?」

 

「そうだな」

 

 深雪の言葉に達也が同意する…が、そんな彼の目は遠くなっていた。

 

「(…「正義と聖者は相容れない」……か……)」

 

 鬼瀬が語った雲仙の言葉について考え込む達也。

 自分自身が軍人として様々な闇と関わったからだろうか、その言葉には考えさせられるものがあったのだろう。

 

「あの生徒会長を一言で表すのは難しいですが…まぁ、すぐに会えますよ。ほら、あそこです」

 

 鬼瀬が指し示す方向には他の教室と比べ、より重厚に作られた扉があった。

 ネームプレートには【生徒会室】と書かれており、目的地に違いないだろう。

 

「すみません。風紀委員会所属の鬼瀬です。誰かいらっしゃいますか?」

 

 鬼瀬がノックするも、反応が無い。

 

「妙ですね…。いつもは誰かいらっしゃっているんですが…。もしかして、また何かおかしなことでもしてるんでしょうか…?」

 

「「(またおかしなことって……)」」

 

 鬼瀬の呟きに目と目を合わせる達也と深雪。

 一介の風紀委員に厄介者のように思われている生徒会長とは、一体どんな人物なのだろうか…と二人の心が一致した。

 そして鬼瀬はというとそんな達也達に苦笑いを向けた。

 

「あはは。すみません。うちの生徒会と各委員会は“下にはつけども従わず”が基本ですから…。あの人たちの動きは私のような一介の風紀委員には掴めないんですよ。また変なことしてるのは間違いないんでしょうけどね」

 

「そ、そうなんですか……」

 

 反応に困る深雪。

 第一校でも生徒会と風紀委員会が別組織として存在する…が、委員長同士が一緒にご飯を食べたりと和気藹々とした仲だ。しかし、この学園では鬼瀬の話を聞く限り、そこまで仲の良い関係ではないのだろう。

 

「さて…生徒会室にいない以上、次は十三組(ジュウサン)まで案内するのが委員長の命令ですし…。早速向かいましょうか」

 

 鬼瀬がそう言うと達也達も頷き、再び廊下を歩き始めた。

 

 

 鬼瀬達の言う十三組(ジュウサン)までの道中、達也と深雪は鬼瀬から十三組(ジュウサン)について説明を受けていた。

 

「つまり、十三組(ジュウサン)っていうのはこの学園の特待生のことなんですね?」

 

 深雪の言葉に鬼瀬は頷く。

 

「ええ。正確には“異常選抜特別特待生”と言うんですけどね」

 

 鬼瀬曰く、この学園では一組〜四組の普通科、五・七・九組の体育科、六・八組の芸術科。そして、十組の特別普通科と十一組の特別体育科、十二組の特別芸術科に加え、最後に十三組の特別特別科があるのだそうだ。

 

「あっ…そういえば、最近新しく(マイナス)十三組というクラスも出来たんですよ」

 

「「っ!!」」

 

 (マイナス)という単語に反応する二人。

 それもそうだろう。この言葉が表す存在を二人は嫌と言うほど知っているのだから。

 達也は驚きを隠しつつ、質問をする。

 

(マイナス)十三組ですか…?」

 

「ええ。色々…その、個性的な生徒の集まりとして結成されたクラスですね。ですが、今では真面目に登校して授業を受けている()()()()のある十三組(ジュウサン)の中でも異色なクラスとなってます」

 

 色々ぼかしているものの、マイナスという限りは色物揃いなクラスであるのだろうと、二人は推測する。

 そして深雪はというとマイナスとは別の部分の言葉にも驚いた。

 

「と、登校免除ですか?」

 

「そうですね。他の学校ではあり得ないのですが、ジュウサンには登校免除が適用されているんです。ですので、学園に来るのも滅多にないですね」

 

 ちなみに普段登校しているのは生徒会長と風紀委員長である雲仙冥利、そしてもう一人の三年生の計三人なのだそうだ。

 

「あ、着きましたよ。ここが十三組の教室でーー」

 

 鬼瀬が一年十三組とネームプレートが提げられた扉に手をかける。

 すると次の瞬間、ドガァンッ!!と破壊音を鳴らしながら教室の壁が()()()()()

 

「っ!」

 

「お兄様!!」

 

「キャッ!?」

 

 思わぬ出来事に達也は深雪を庇い、鬼瀬は両腕で頭を守る。

 舞った土煙が落ち着くと、壁の穴から人影が現れる。

 

「(女性…?)」

 

 その人影に達也は戸惑う。

 それもそうである。現れた人物はメイド服のような格好をしている銀髪の美少女…。それだけならまだしも両手に鎖で繋がれた六つもの巨大な鉄球を装備しているというどうツッコメばいいかわからない格好をしていたのだから…。

 

「27963448633」

 

「え?」

 

 深雪は突然、少女の口から発せられた数字の羅列に呆ける…も、それに構わず少女は話し続けた。

 

「183327033278 75346347934」

 

「え、えーと…その鬼瀬さん、この方は…?」

 

 多くの情報量に着いていけない深雪。

 鬼瀬はというと、冷や汗を掻きながら答えた。

 

「彼女の名前は雲仙冥加(うんぜんみょうが)さん。その…風紀委員長の姉です…」

 

「ええっ!?」

 

 更なるとんでもない情報に深雪は驚く。

 しかし、よく見るとその顔には面影があった。

 そして当の冥加が達也たちを睨みながら歩いてくる。

 

「9852478335788 426846843901604248 723085336844632488 582800024」

 

「え…え……?」

 

 ただひたすら数字言語を捲し立てる冥加。

 しかし、鬼瀬と深雪にはさっぱりわからない…。

 

「…………そういうことか」

 

 黙って冥加の話?を聞いていた達也は、閃いたのか冥利の真正面に立った。

 すると目を瞑り暫く思考した上で口を開く。

 

「587139726」

 

「2!!?」

 

「「え!?」」

 

 突然、達也の口から出た数字言語にその場にいる他の三人は目を見開く。

 そして冥加はというと首を振り、改めて話し始めた。

 

「28872801369842608538953416068168」

 

「3552238844531478632704167417117258428842884255644856816681384298」

 

 一体、何を話しているのかわからないが、冥加の数字言語に対して冷静に言い返す達也。

 この場において、深雪と鬼瀬は完全に蚊帳の外だった。

 

「28425083315138811684584268429?」

 

 達也が質問するように言う。

 

「05631751384384238842525478561486258」

 

 冥加が達也の質問?に答える?と達也は何やら戸惑いの顔を浮かべた。

 

「34428063344888338428083314514404667321836842368?」

 

「6580054138845842687842880455328604238422881368418」

 

「8324288126811368!?563588412809483206314」

 

「63212」

 

 会話を一旦、終え呆れた表情の達也。

 そして達也はため息を吐きたいのを我慢しながら言う。

 

「648423812881250208244705138426」

 

「054254536644284138115」

 

 達也の言葉に冥加は頷く。

 すると、彼女は鉄球をぶら下げながらその場を去った。

 

「はぁ……」

 

 会話を終え、思いっきりため息を吐く。

 達也にしては珍しく疲れた顔をしていた。

 

「そ、その…あの人はなんて言ってたのでしょうか?お兄様、教えていただけませんか?」

 

「わ、私も知りたいです」

 

「……ああ。わかった」

 

 達也曰く、冥加は珍しく登校したのだが、教室内の壁の側で黒光りする虫を発見。そのおぞましい存在にパニックになった彼女は思わず鉄球で壁ごと虫をぶち抜こうとしたらしい。

 しかし、感触的に殺ってないと判断。その存在を抹消すべく、廊下に出て達也たちと邂逅したのだそうだ。ここまでくれば後は交渉である。冥加のような危険人物とは関わりたくない達也と虫を消し飛ばしたいが出来る限り鉄球に汚れをつけたくない冥加。達也が駆除を代替わりすることを引き換えに立ち去ってもらったのだ。

 ちなみに冥加の会話の六〜七割におっ…女性の胸に関わるワードが入っていたが、達也はあえてそれについては話さなかった。いや、深雪の前では話せなかった。

 

「な…なるほど…。同じ女性として冥加さんの気持ちはわかりますが…」

 

「流石は委員長のお姉さん。やることが異常ですね…」

 

 そして鬼瀬が切り替えるように言う。

 

「それにしても凄いですね。彼女の数字言語が分かるのは委員長と生徒会長くらいですよ…」

 

「流石はお兄様ですね!!」

 

 達也のとんでもない頭脳に深雪と鬼瀬は感嘆する。

 少しすると、騒ぎを聞きつけたのか何人かの生徒が集まってきた。

 

「(少しこの場から離れた方が良さそうだな……)」

 

 ガヤガヤと声が入る。中には「フッフッフッ…。やるなぁ少年」と呟くツインテールの目隠しをしたガニ股姿勢の女子生徒がいたりもしたが、ツッコミ所が多いあまり、達也はスルーした。

 

「おいおい。こりゃ何があったんだ?」

 

「戦挙も終わったというのに、おちおち受験勉強も出来ないな」

 

 達也たちの元に二人組みが近づく。

 彼らに気がついた鬼瀬は驚きのあまり目を見開いた。

 

「あ、貴方達は…!!」

 

「ん?この時期に珍しいな。見学者なんて」

 

「そうだな。あいつの発案か…?」

 

 達也達の元に現れたのは包帯を巻き、頭にナイフが刺さった女子生徒?と、かの十文字会頭を遥かに超える巨体の大男だった。




えーと、本編よりも先に書き終えたので投稿します。今回は雲仙冥加の登場でしたね(あと、例の人気キャラもちょっぴり登場)。冥加は個人的に好きなキャラなので一回は書いてみたいなと思いまして。あと、十三組の異常性をわかりやすく描写するにはこのキャラが手っ取り早いですし。
今回は読んで頂きありがとうございました。登場してほしいキャラがいましたらコメントで書いてくださると嬉しいです。
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