魔法科高校の劣等生〜魔法世界に這い寄りし過負荷〜 作:味噌漬け
開会式の後、達也たちはホテルへと宿泊していた。
球磨川も大刀洗の紹介で同じホテルに泊まることとなる。
「…?あれ、球磨川じゃないか?」
「そうだな」
達也はレオに連れられ、温泉へと向かっていた。
すると、球磨川がのれんの前で立っているのが見える。
「球磨川ー」
レオが球磨川の名前を呼ぶと、彼もレオ達に気がついたのか後ろを向く。
『?』『達也ちゃんとレオちゃんじゃないか』
『温泉に入りに来たのかい?』
「ああ。せっかくだからな」
レオが頷くと彼は球磨川に問いかける。
「そういえばお前、大丈夫だったのか?懇親会でやらかしたって聞いたけど」
レオの質問に球磨川はヘラヘラ笑って答えた。
『ん?』『大丈夫だよ』
『ほのかちゃんにボコボコにされて大怪我したけど』
『別に気にするほどじゃないしね』
『それにやらかしなんて酷いなぁ』
『僕は売られた喧嘩を代わりに買っただけだぜ?』
『だから僕は悪くない』
「そ…そうか……」
他生徒から話をある程度聞いていたレオはほのかの流れるような攻撃をくらって、ヘラヘラ笑う球磨川になんとも言えなくなる。
そして、達也が球磨川に向けて口を開いた。
「すまなかったな。球磨川」
『…どうしたんだい?』『達也ちゃん?』
「深雪から聞いた。絡まれたところを助けてもらったって。…ありがとう」
『別に助けた覚えはないよ』
『いつも通り、嫌いなエリートの喧嘩を買って』
『また勝てなかっただけさ』
球磨川がヘラヘラ笑いながら言うと、達也も微笑みながら「そうか…」と呟いた。
そして次にレオが球磨川に話しかけた。
「つーか、お前ここに立ってるけどどうしたんだ?何かあったのか?」
そう球磨川はのれんを捲らず、ずっと立っていた。
温泉にも入ろうとせず、一体何をしようとしてたのだろうか。
『んー?何もー?』
『ただ、上手く女湯を覗く方法を考えてただけだよ』
「ふーん…女湯ねぇ…」
淡々とした球磨川の言葉に最初は普通に聞いていたレオ。
「…ん?」
そして少しだけ話を吟味すると、球磨川に向けて大声でツッコミを入れた。
「覗き!?マジで言ってんのか!!?」
『マジもなにも、真面目に決まってるでしょ?』
『こいつ何言ってるんだ?』という球磨川の目。
しかし、それを言いたいのはレオの方である。
「いや!やめろよ!!もしバレたら第一校は下手すりゃ出場停止にすらなるからな!」
全力で一般論を振り翳して、球磨川を止めようとするレオ。
だが、そんな風に言われたら余計に止まらないのが
『へぇ…』『それなら大丈夫』
『上手くバレないように覗くからね』
「いや!だからそもそも覗きなんてやめろよ!」
『何言ってるんだい!!』『目の前に宝の山…いや桃源郷があるんだぜ!!』
『それを放っておくなんて正気の沙汰じゃないよ!』
「正気じゃねぇのはお前だろ!!」
球磨川にとっては今更である。
目の前にいる男の所業をなんとか止めようとするレオ。
そんな彼に球磨川にニヤリと笑みを浮かべる。
『おいおい』『そんな風に言われるのは心外だなぁ』
『実を言えばレオちゃんだって興味あるんじゃないのかい?』
『エリカちゃんの裸とか』
「なっ!?」
球磨川の言葉にレオは顔を赤くする。
その瞬間を狙わない球磨川ではない。
『自分に正直になって良いんだよ?』
『前の体育の時もエリカちゃんのブルマ姿、凝視してたじゃないか』
『でも恥ずかしがることなんてない』
『男の子なら当然の欲求なんだから』
そして球磨川は不気味な笑みを浮かべ、トドメを刺そうとする。
『さぁ、一緒に行こうぜ』
『大丈夫』『万が一…いや京が一見つかったとしても』
『僕がみんなの記憶ごと無かったことにしてあげるからさ』
「う…ぐぐぐ…」
興味がないといえば嘘になる。
レオだって年頃の男の子なのだ。球磨川の提案は魅力的といっても過言ではない。
この悪魔の誘いにレオは心が揺さぶられる。
「球磨川…もし深雪の裸を覗くつもりなら俺は容赦しないぞ」
レオが撃沈しそうになる中、救いの主人公が現れた。
達也が球磨川の前に立ちはだかったのだ。
『安心しなよ』『深雪ちゃん以外の裸もキッチリ拝ませてもらうからね』
「まず覗こうとするのをやめろ」
『そんな風に言ってさぁ』『達也ちゃんも実は興味あるんじゃないのかい?』
「………」
球磨川の挑発に達也は全く動じない。
達也の目を見た球磨川は残念そうに肩をすくめた。
『うーん』『流石、達也ちゃん』
『レオちゃんと違って、チョロくないなぁ』
「誰がチョロいだ!!」と聞こえた気がするも球磨川はスルーした。
『まっ!達也ちゃんは深雪ちゃんとお風呂くらい、今でも入ってそうだし気にしないか』
『それこそ恋人みたいにさ』
「流石に入っていない。それに血のつながった妹だぞ。恋人なわけがないだろう」
『君達を見てて、その言葉を信じる人はどのくらいいるのかな?』
『全く説得力がないぜ』
「(…た、確かに)」
球磨川の言葉に珍しく同調するレオ。
そして球磨川は切り替えるように明るく振る舞った。
『さて…それはそれとして』
『僕はそろそろ行くよ』『せっかく覗きに行っても』
『女の子がいなかったら意味がないからね』
球磨川の懲りない言葉にレオは驚いた。
「お前!まだ覗く気なのか!?」
『おいおい』『そんな大声で言うなよ』
『バレたら面倒なことになるじゃないか』
「(だったら最初からやろうとするなよ…)」
達也は呆れながらそうは思うものの、堂々巡りになるのはわかっているため口に出せない。
球磨川の行動を止めるには強硬手段しかないか…と考えていると、球磨川の背後に誰かが立っているのが見えた。
「ふーん。何しに行くの?」
球磨川は興にのっているのか、気づかずに夢中で話し続けた。
『だーかーらー』
『何度も言ってるでしょ?』『男のロマンを拝みに行くってさ』
『さぁ!こののれんを潜る時だ!』
『ワン○ースはそこにあr……』
球磨川は意気込みながら振り返ると、カチンと固まってしまう。
それもそうである。球磨川の目の前にいるのは浴衣を着たエリカであった。
しかし、色っぽい見た目とは裏腹に彼女からは明王のような気迫が溢れ出ていた。
『あ…えーと…』
目が泳いでいる球磨川。
この先の展開がわかるのか、達也とレオは目を逸らしていた。
「さっ。球磨川君。覚悟は良いよね?」
笑顔を向けながら指をコキコキ鳴らすエリカ。
その後、のれんの前にて球磨川の断末魔が響いたとか、響かなかったとか。
こんばんわ味噌漬けです。一応、温泉(前)での出来事なので嘘はついてません。だから、私は悪くない……すみません。
時系列的にはホテルでほのかにしばき倒された、その夜の話です。大体、夜の8時から9時あたりですね。需要があれば女子サイドの温泉回も書こうかなと思います。
ちなみにこの番外編は私が書きたいものを優先して書くコーナーなので、順番とか色々スルーしてくださると嬉しいです。
今回は読んで頂きありがとうございました。