魔法科高校の劣等生〜魔法世界に這い寄りし過負荷〜   作:味噌漬け

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第二話 タイムスリップ

『ん…ここは…?』

 

 球磨川が目を覚ますと、寝ていたベッドから起き上がる。

 そして、キョロキョロを部屋を見渡した。

 

『やれやれ、安心院さんめ。せっかくの再会だってのにさ。』

『見る分には、僕が住んでたアパートみたいだけど…。』

『本当にタイムスリップとやらはしたのかな?』

 

 彼が寝ていたのはタイムスリップする前に在学中に住んでいたアパートの一室である。

 見て回ると、どうやら水や電気などの最低限のインフラは整っているようであった。

 

『(これは…封筒…?)』

 

 最後に見つけたのは玄関に無造作に置かれていた封筒であった。

 差出人は安心院なじみとなっている。

 

『まったく安心院さんめ。机じゃなくてわざわざ玄関に置いておくなんてさ。絶妙に意地悪だよ。』

 

 減らず口を叩くと、封筒を開く。そこにはいくつかの書類と手紙などが入っていた。

 

『(ふーん…。どれどれ)』

 

 球磨川は手紙を開き読み始める。

 

『えーと「やぁ!球磨川くん。この手紙を読んでいるってことは、タイムスリップに成功したってことだね。先に言っておくけど、この世界は君が箱庭学園を卒業してから約八十五年ほど未来の世界だ。そして、今の君の肉体は君が中学三年生の頃に戻っている。だから、君の過負荷(スキル)虚数大嘘憑き(ノンフィクション)から大嘘憑き(オールフィクション)に戻っているというわけさ。でも、安心してくれ(安心院なだけに)。君の禁断(始まり)過負荷(マイナス)却本作り(ブックメーカー)はサービスとしてそのままにしてある。話は戻すけど、君を十五歳に戻したのは、おつかいということで、君に再び学園生活送ってもらうためさ。これは決定事項だよ。まぁ、君も卒業したくないとか言ってたみたいだし、再び青春を送るのも悪くはないだろう。君が通う学校についても資料を残しておくから、読んでおいてくれたまえ。 愛してるぜ。みんなの安心院なじみより」…か。』

 

 球磨川は手紙を読み終わると、天井を見上げる。

 

『僕を未来に連れてきたと思えば、肉体は十五歳のころに戻すって…。君の前じゃ時間でさえも平等かい…?安心院さん。』

 

 球磨川は資料を少しだけ目を通す。

 

『ふーん…。国立魔法大学附属第一高校か…。まさにエリートの巣窟みたいな学校だね。気に食わない。』

 

 球磨川禊のような弱者(マイナス)にとって、エリートのような強者(プラス)は相入れ難い敵である。

 彼はグシャグシャに資料を丸めると、そのままゴミ箱に捨てようと、ポケットの中に突っ込む。

 そして、ニヤニヤといつものような不気味な笑みを浮かべた。

 

『まぁ、愛しい安心院さんの頼みだしね。それに、虚数大嘘憑きを戻してくれた借りもある。せっかくだから、そのエリートの巣窟に乗り込もうじゃないか。』

 

 彼の大嘘憑きは諸説あるが、とある過負荷のスキルにより虚数大嘘憑きにへと改造させられた。

 それは個性の改造もとい、否定とも言うべき、恐ろしいことである。彼も多少、自分の個性(欠点)をいじられたことには、少し心に思うことところがあった。そのため、大嘘憑きに戻してくれたことには、多少感謝しているのである。

 そして、球磨川はエリートを螺子伏せることを生きがいとしている。そんな彼が第一高に興味を持つのは当たり前かもしれない。

 

『さて、もう一つの資料も読んでおこうかな。』

 

 彼は同封されたもう一つの資料を読み始めた。

 

 

 

 

 資料を読み始めてから1時間後、球磨川はほとんどの資料を読み終わっていた。

 そして、ある程度この世界の現状を理解する。

 この世界では[魔法]と呼ばれる力が科学技術によって成り立っていること、そして、その力を持つ[魔法師]が第一線で活躍していることが書かれていた。

 

『(難しいことはよくわからないけど、つまり、元の時代で言う異常(アブノーマル)といったスキルが一部ではあるけど、色んな人が使えるように科学技術で再現した…ってところかな?)』

 

 球磨川は元の時代であらゆるスキルを相手に戦って来たからか、原理は分からなくとも、そんな力があるということくらいは理解することが出来た。

 

『(んで、その科学技術(プラス)の結晶がこのCADってやつね。)』

 

 球磨川は目の前にある腕輪を手に取る。

 ここでCADの説明をしておこう。

 CADとは術式補助演算機(Casting Assistant Deviceの略)のことで、つまり魔法を使うための装置である。 

 その形状は携帯端末型や拳銃型、球磨川が持っている腕輪型など様々な形があり、汎用型と特化型に分かれる。

 汎用型は起動式と呼ばれる魔法に必要な術式を最大で99種類もインストールできる。特化型は同一系統の魔法を最大9種類インストールでき、発動速度に優れている。つまり、汎用型は量、特化型は速さを重視した作りになっているのだ。

 ちなみに球磨川が持つのは汎用型である。

 

『ふーん…。でも、僕にはいらないかな。』

 

 球磨川はCADを封筒の中に片付ける。

 彼にとってCADのような武器(プラス)は必要ない。 

 彼はいつだって、自分より強くて美しくて、格好いい連中と戦ってきた。 

 理不尽極まりない天才である異常(アブノーマル)

 自らの欠点を武器に戦う過負荷(マイナス)

 途方もない個性を持つ悪平等(ノットイコール)

 コミュニケーションの極地とも言える言葉使い(スタイル)

 かの安心院をも殺した不可逆のデストロイヤー。

 そして、それらを時として超える友情・努力・勝利。

 そんな奴らに、運や偶然に恵まれず、奇跡にも運命にも頼らずに…弱くて、みっともなくて、汚いままに戦って来た。

 未来に来たから?そんなことが彼の生き方を変える理由にはならない。

 

 あいつらに勝ちたい。

 格好良く無くても、強く無くても、正しく無くても、美しく無くても、可愛げがなくとも、綺麗じゃ無くても、格好良くて強くて正しくて美しくて可愛くて綺麗な連中に勝ちたい。

 才能に恵まれずとも、頭が悪くても、性格が悪くても、おちこぼれでも、はぐれものでも、出来損ないでも、才能に溢れ、性格の良い上り調子でつるんできた連中に勝ちたい。

 友達が出来ないまま友達ができる奴に勝ちたい。

 努力出来ないまま努力出来る奴に勝ちたい。

 勝利出来ないまま勝利できる奴に勝ちたい。

 不幸なままで幸せな奴に勝ちたい。

 嫌われ者でも!憎まれっ子でも!やられ役でも!主役を張れるって証明したい!

 それが彼の生き方で信念だ。

 

『さて、そろそろ行こうかな。』

 

 彼はそう言って立ち上がる。

 普通ならば、外に出て行き世界の調査や情報収集、近隣の住民への挨拶などをするだろう。

 しかし、彼は球磨川禊。そんなありきたりな生き方はしない。

 

『まずは、未来の週刊少年ジャンプのチェックだ!!』

 

 彼は片腕を天に突き上げる。

 生徒会の仲間達がその場にいればズッコケて、安心院が居れば大笑いしたことだろう。

 彼は未来のジャンプを求めんがため、外へ繰り出した。

 

 

 

 

 

 




 こんにちは味噌漬けです。今回はさっくりとめだかボックスの用語と、魔法科高校の世界観を説明しました。もし、抜けているところがあったら指摘していただけると嬉しいです。
正直、ここからが本番なので、どんな物語にするか悩みます。個人的には何となく喜界島さんっぽい、穂乃果あたりを絡ませたいなとは思ってますが。
 ちなみに八十五年後とは、めだかボックスが連載したのが2009年として、球磨川が卒業したのが、それから一年後、つまり2010年から八十五年経っているということにしています。
 他にも何とかめだかと魔法科高校を擦り合わせるために、設定を考えてますが、知りたい方はコメントで質問してくださるとありがたいです。
 他のめだかメンバーは、一部だけ登場するかもしれません。まだまだの予定ですが。
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