魔法科高校の劣等生〜魔法世界に這い寄りし過負荷〜   作:味噌漬け

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女子視点です。ちょいR指定描写あり。


番外編4 温泉での出来事2

 ここはほのか達が宿泊しているホテルの地下。

 ほのか達はそこにある温泉施設にいた。

 

「はぁ…良いお湯〜!」

 

 お湯に浸かりながら腕を伸ばすほのか。

 顔も緩んでおり、リラックスしているようだ。

 

「わぁ…!ほのかスタイル良い〜!」

 

 そう言うのはほのか達と同じ学年の明智英美(えいみ)。本名は英美=アメリア=ゴールディ=明智という。

 彼女はマジマジとほのかの身体を見ていた。

 

「え…?」

 

 英美の舐めるような視線にほのかは戸惑う。

 実際に英美の言う通りほのかのスタイルは良い。

 筋肉質で、細くしなやかな腰回りにバランスの良い豊かな胸。お湯によって照りが増した艶やかな肌…と、英美が夢中になるのも仕方ない体つきである。

 

「というわけで揉ませろー!」

 

「きゃー!」

 

 何がというわけなのか、英美は興奮しながらほのかに飛び掛かる。

 ほのかは抵抗しようとするも、あっという間に背後を取られた。

 

「ちょ…や、やめ…あんっ…」

 

「ぐっへっへっへ! これは良い揉みごこちですなぁ!」

 

「や…やだ…英美(エイミィ)がオッサンみたいに…やんっ! た、助けて雫!」

 

 ほのかが懸命に雫に助けを求めるも、雫は自身の胸に手を添えた後に呟く。

 その声色は低く、若干落ち込んでいるようだ。

 

「大丈夫だよ。ほのか胸大きいから…」

 

「雫ー!!」

 

 無情にも親友に見捨てられたほのか。

 そして、そんな雫の言葉によって目を輝かせた者が一人。

 

「ふっふっふー!許可はとれたぞぉ!」

 

「い〜や〜!!」

 

 いたいけな少女の裸に再び英美(オッサン)の魔の手が襲い掛かる。

 そしてその時…彼女達の前に人影が現れた。

 

「なーにやってるの?ほのか」

 

「……エリカ」

 

 気がついた雫が名前を呼ぶ。

 そう現れたのはエリカだった。

 

「? ほのか達の知り合い?」

 

「(……! 今がチャンス!)」

 

 エリカのことを知らない英美が尋ねる。

 そうして英美の動きが止まった隙を狙い、ほのかは彼女の拘束から抜け出した。

 

「あっ!? むー」

 

 それに気がついた英美は頬を膨らませる。

 ほのかはまた捕まる前に雫の後ろへと隠れた。

 彼女達のやり取りを見た雫とエリカは苦笑いする。

 そして、雫は切り替えるように口を開いた。

 

「…彼女は千葉エリカ。私達の友人」

 

 それを聞いた英美は人懐っこい笑みを浮かべた。

 

「へーそうなの!私は明智英美。エイミィって呼んでね!」

 

「ええ。よろしくね」

 

 互いに紹介を終えると、エリカは浴槽に入る。

 

「あれ?深雪は?」

 

「あぁ。深雪ならそろそろ来るわよ。身体洗っている時、会ったし」

 

 ほのかの質問にエリカが答える。

 偶然にも、深雪とエリカは近い位置のシャワーを使っていたようだ。

 

「どうしたの? あんまり騒ぐと、貸してくださった方々に失礼になるでしょ?」

 

 シャワーを浴び終えた深雪が現れる。どうやら、先程のほのかと英美の騒ぎを聞いていたらしい。

 深雪の声に気がついたほのかは声をかけた。

 

「あっ!深雪……」

 

 ほのかは思わず息を呑んだ。

 ほかの皆も同様である。

 

「えっ…ど、どうしたの?」

 

 皆からの視線に困惑しながらも、温泉に入る深雪。

 それほどまでに深雪の身体は魅惑的であった。

 細くしなやかな身体つき、温泉により火照った顔が、絹のように滑らかで白く美しい肌をより引き立たせる。さらに、温泉の湯気が幻想のような雰囲気を醸し出している。それは、まさしく水の女神とでも言うべき美貌である。

 

「あっ…ご、ごめん。そ、その綺麗だから…。つい見惚れちゃって…」

 

「もう…女の子同士で何言ってるの?」

 

「あはは。それはそうなんだけどね…」

 

 照れるようにほのかが笑う。

 深雪も友人から褒められたためか、若干嬉しそうだ。

 そして和やかに会話が進み、ついに恋バナへと突入する。

 

「そういえばパーティーどうだった?」

 

「かっこいい人いた?」

 

 エリカが出した話題に英美が食いつく。

 年頃の娘にとって、色恋に関わる問題は好物らしい。

 

「…確か、三高に十師族の跡取りがいたはず」

 

「あっそうだ見た見た!一条将輝君!そーいえば、彼、深雪を熱い眼差しで見てたわよね?」

 

「そう…?全然気がつかなかったけれど…」

 

 雫の言葉に英美が思い出したかのように言う。

 そして当の深雪は全く身に覚えがないようだ。

 

「深雪は達也くんにぞっこんだもんね〜」

 

「あー確かに」

 

「…ブラコン」

 

 ほのかが揶揄うように言うと、エリカも頷く。そして、雫も同意するように呟いた。

 

「やっぱりお兄さんみたいな人がタイプな感じ?」

 

 英美が言うと、深雪は顔を赤くしながらも否定する。

 

「私とお兄様は実の兄妹よ?それに……お兄様みたいな人が他にいるとも思ってないわ」

 

「えーっ!つまんないそれーっ!」

 

 上手く躱された英美は不満そうに言う。

 しかし、これ以上の追求は難しいと判断したのか、別の標的へと視線を向けた。

 

「あっ、じゃあさほのかはどう?」

 

「えっ!? わ、私…!?」

 

 突然話題を振られ、驚くほのかに英美は揶揄うように言う。

 

「えーだってー。有名だもん。ほのかがずーっと一人の男の子と一緒にいるってさ。…やっぱり恋人だったりするの?」

 

 英美の言葉にほのかの顔は真っ赤になった。

 

「ち、違うから! 私と…ミ、ミソギくんはこ…こここ恋人とかそんな関係じゃないから!!」

 

「へぇー!ほのかのボーイフレンドの名前ってミソギって言うんだ〜。しかも下の名前で呼ぶなんて〜」

 

「あっ!!」

 

「…ほのか、墓穴掘りすぎ……」

 

 ニヤニヤと笑みを見せる英美に思いっきり墓穴を掘ったほのかはさらに顔を赤くさせる。

 その姿を見た雫は呆れるように溜め息を吐いた。深雪やエリカも苦笑いしている。

 そしてほのかは沸騰しながらも否定する。

 

「と、とにかく!わ…私とミソギくんはただのお友達!!そんな関係じゃあ〜り〜ま〜せ〜んっ!!」

 

「ふーん。そうなんだ…でも…」

 

 更に英美は踏み込もうとする。

 すると、シャワー室の方から誰かが歩いてきた。

 

「なんだ…?球磨川がどうかしたのか?」

 

「あっ、渡辺先輩…!」

 

 歩いてきたのは摩利であった。

 どうやら、一人で来たようである。

 気がついた深雪は会釈をする。

 

「…あたし、そろそろ上がるわね。身体あったまってきたし…」

 

「エリカ…?」

 

 エリカは温泉から上がると、そのまま出口に向かって歩き出す。

 その顔は少しばかり不機嫌であった。

 摩利はそんな彼女に一言かけようとするも、待たずにエリカは出て行ってしまう。

 

「え、えーと……」

 

 少しばかり重たくなる空気…。

 英美はこの空気を何とかしようと、明るく振る舞う。

 

「そ、そういえば、渡辺先輩は…その…ミソギ?って子のこと知ってるんですか?」

 

「あ、ああ。球磨川のことだろう?」

 

 あまり球磨川のことは口に出したくないのか、苦い顔になる摩利。

 そんな彼女を他所に英美は続ける。

 

「へぇー!あの三巨頭の渡辺先輩にも知られてるなんて、どんな子なんだろう…。興味湧いてきた!!」

 

 英美の目がキラキラ光る。

 ほのかはそんな彼女に少しばかりモヤモヤし、深雪や雫、摩利の三人は互いに見合って苦笑いした。

 

「エイミィ…あまりオススメはしないわ…」

 

「え?」

 

「……球磨川と関わるなら胃薬必須。生半可な覚悟で関わらない方が良い」

 

「え…ええ?」

 

 深雪と雫の言葉に戸惑いを隠しきれない英美。

 

「球磨川は…その…色々変わってるからな……」

 

「わ、渡辺先輩まで…」

 

 遠い目をしながら言う摩利に英美はさらに困惑する。

 摩利からしたら球磨川は今まで様々な厄介事に関わり、悪化させてきた貧乏神のような存在である。しかも証拠も何も残さないので本当にタチが悪いのだ。

 

「まぁそんなところがミソギくんらしさだから!」

 

「(い…一体…球磨川ミソギって何者なの……?)」

 

 唯一笑顔で言うほのかも、彼女達の評価の否定まではしていない。

 この場にいる全員から散々な評価を失って(得て)いる球磨川。

 怖いもの見たさなのか、英美の球磨川に対する興味はますます増していった。

 

「というか、エイミィも見たことあるはず」

 

「あれ?そうだっけ?」

 

 雫の指摘に英美は首を傾げる。

 

「パーティーで口喧嘩あったでしょ? 覚えてない?」

 

「あーしてたしてた!……もしかして、あれ?」

 

「そう。あれ」

 

 雫の言葉に英美はパーティーで一組の男女が言い争いしていたことを思い出す。

 まぁ言い争いというよりは一方的な煽りだったのだが。

 英美の脳裏にはその煽りまくっていた一人の男子が浮かび上がっていた。

 

「あれかぁ……」

 

 思いっきりテンションが下がる英美。

 それと同時にほのかに対し、お前の趣味悪くね?と一瞬だけ視線を向けた(流石に声に出してはいないが)。

 

「その…渡辺先輩……」

 

「? なんだ?」

 

 再び空気が重たくなる中、深雪がおずおずと摩利に話しかける。

 

「パーティーではお騒がせしてすみませんでした……」

 

「私も…あんなことしちゃってすみません」

 

 一応パーティーの後、真由美達に謝ったものの罪悪感のあまり、また謝罪する深雪とほのか。

 そんな彼女達を見て、摩利は慌てながら言う。

 

「い、いや…。事情は聞いているから問題ない。それに、君達は悪くないだろう…?むしろ、よく我慢したものだと思っているよ」

 

 実際、あの件に深雪に非はない。あるのは喧嘩を吹っかけてきた一色と、火にガソリンをぶちまけた球磨川である。むしろ深雪は完璧に淑女としての嗜みを守っていたとも言っていいのだ。

 そして、摩利は次にほのかに目線を向ける。

 

「君も球磨川を止めるためにしてくれたんだろう?やり方はともかく、よくやってくれたと思っているよ」

 

 実を言うと、今までに球磨川を止めることが出来たのは達也とほのかくらいである。

 摩利に至っては、パーティーにおけるほのかの動きを見て、本気で風紀委員会にスカウトしようか考えたほどだ。

 

「これでこの話は終わりにしよう。私は気にしてないからな!」

 

 しかし、気にしてないのはあくまでも摩利である。他の生徒がそうかと言われたら話は別だ。真由美に至っては球磨川の行動が原因で現在、胃を痛めて寝込んでいるくらいである(だから摩利は一人で温泉にきた)。しかし、摩利はこれを言うつもりはない。一番言わなければならない相手がいない上に、これ以上、真摯に謝る深雪たちに罪悪感を抱えて欲しくないためである。

 

「そうそう。気にしない方が良い」

 

 空気を読んでか、雫は摩利をフォローする。

 

「それに…。また球磨川が何かしてもほのかがボコボコにしてでも止めるから大丈夫。……だよね?」

 

「ちょっと!! 人を暴力装置みたいに言わないで!!」

 

「ぷっ…ふふっ!…あはははは!!!」

 

 雫とほのかのやり取りに吹き出し、笑ってしまう英美。

 それに釣られてか、深雪達の顔も笑顔となる。

 こうして、九校戦の前々夜は平和的に過ぎていった。




その頃の球磨川(詳しい経緯は前話参照)

球磨川『さ、流石はエ…エリカちゃん…』『また勝てなかった』

達也&レオ「「自業自得だ」」

エリカ「プンスカ」

 こんばんは味噌漬けです。今回は女性側の温泉回にしてみました。色々改変してますが、楽しんでいただけると嬉しいです。
  今回は読んで頂きありがとうございました。
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