フルカラー大激突!最初からクライマックスなヒーロー見参!   作:星野エグゼ

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 色々変わりましたが私は元気です。
 W.I.N.Gでちょこ先輩と夏葉のプロデュースが終わったので投稿です!

 それと今回のイベ報酬の果穂ヤバすぎますね・・・・・・



第3話 MANY LIEとのせいにして

 

 283プロダクションの女子寮。現在そこに在籍しているのは、凛世と樹里を含む5名のアイドルだ。

 食堂に集まり、楽しく会話を弾ませながら憩いのひと時。

 

 

「──それでね、甜花ちゃんが『帰りにクレーンゲームやってこ・・・・・・!』って言い出して」

 

「それって駅前のゲームセンターだよな? 確か、デビ太郎の新グッズが入荷したとか」

 

「そうなの! 甜花ちゃんが欲しがったから、甘奈ちゃんも張り切っちゃって」

 

「家族の願いを叶えようとする気持ち・・・・・・凛世にも、分かりましょう」

 

「フフ、素晴らしい姉妹愛だね。それで、デビ太郎グッズは捕れたのかい?」

 

「アルストロメリアの三人で協力して、ようやく捕れたのよ!」

 

「おっ、ユニットの勝利って訳か!」

 

「まこと・・・・・・お見事でございます」

 

「ユニットの絆があれば、絶対負けんもんね!!」

 

 

 そんな時間だった。この緩やかで心地よい団欒に、水の滴る声の持ち主が現れたのは。

 

 青いオーラのようなものが凛世に重なったかと思うと、凛世は眼鏡をかけたレディスーツ姿となり、瞳の色も深い青に変わった。

 

 

「『やぁ、可愛らしいお嬢さん達。僕と一緒にお茶でもどうかな?』」

 

「おや、私達かい?」

 

「まぁ・・・・・・!」

 

「ふぇ~!? 凛世、咲耶みたいになってると!?」

 

「ちょ、ちょっとタンマ! おい、こっち来い!」

 

 

 樹里がとっさの判断で様子がおかしくなった凛世の腕を引っ張り、食堂の外へ連れ出す。

 

 

「ウラタロスお前、なんで出てきたんだよ!?」

 

「『何故って、花に水をやるのは当然じゃないか。それのどこがいけないんだい?』」

 

「イマジンの存在は今んとこ、アタシ達しか知らねーんだからな!? それにいきなり話してる人が変わったら、びっくりするだろーが」

 

「『なら、びっくりさせなければいいんだね?』」

 

「そういう事じゃない! あ~もう! とにかく、一旦凛世から離れろ!」

 

「『分かったよ樹里ちゃん。可愛いレディーの頼みなら断れないからね』」

 

「ア、アタシの前でそんな事言うんじゃねーよ!」

 

 

 顔をほんのり赤くさせた樹里が追い払うと、やがてウラタロスは凛世の体から出ていった。意識が飛び倒れそうになる凛世を、樹里が寸でのところで支える。

 

 

「大丈夫か!?」

 

「驚いてしまいました・・・・・・。これが、憑依される感覚なのですね・・・・・・」

 

「そうだな。ったく、何度見ても慣れる気がしないぜ」

 

 

 そう嘆息する樹里の顔からは、すっかり赤みが引けていた。

 これで一件落着と判断した二人は、いつもの調子で食堂へと入ってゆく。

 

 

「悪ぃ、もう大丈夫だ、ぜ・・・・・・?」

 

 

 食堂の様子を見るや、頭の上に疑問符を浮かべる樹里。凛世も続いて「はて」と首をかしげた。

 食卓の上には、いつの間にか人数分の湯飲みが置かれていたのだから。

 

 

「どうしてお茶の準備してるんだよ!」

 

「先程のは、凛世のほんの戯れでしたのに・・・・・・」

 

「そうだったのかい? 私はてっきり・・・・・・」

 

「でも、お茶会をするのは大歓迎だわ。そうよね?」

 

「ばりうまかお煎餅もあるけんね! みんなで楽しか~な話もするとよ!」

 

「では凛世が・・・・・・お茶をお淹れ致しましょう」

 

「なんか悪いな、凛世。それでよ、茶葉ってこれでいいのか?」

 

「凛世ちゃんの淹れるお茶、すっごく楽しみね」

 

 

 こうして乱入者の存在もあったものの、概ね穏やかに女子寮の一日は過ぎていった。

 

 

 

▽△▽△▽△▽△

 

 

 

「・・・・・・っー事があったんだよ。一時はどうなる事かと思ったぜ~」

 

 

 翌日。公園に停泊中のデンライナーの食堂車にて。

 放課後クライマックスガールズの面々が旗を倒さないように五人前の山盛りチャーハンをつついている中、樹里が昨日の出来事──(ウラタロス)凛世ナンパ事件をぼやく。

 

 

「確かに、ウラタロスは私達の周囲にあまりいないタイプの男性だものね。次、果穂よ」

 

「しゃべり方なら咲耶さんに似てますけど・・・・・・。はい! 次は、凛世さんの番です!」

 

「人を喜ばせる術は、概ね同じという事でしょうか・・・・・・。お次は、智代子さん・・・・・・」

 

「それにふたりとも声がいいから、気を抜いたらときめいちゃうもん。はむっ・・・・・・ん~! このチャーハンおいしい~! 次は樹里ちゃん!」

 

「お、おう・・・・・・」

 

 

 チャーハン崩しは樹里から夏葉、果穂、凛世へと続き、周の最後にチャーハンの山をごっそり口へ持って行く智代子。

 

 

「ええ食いっぷりや智代子。 見てるとこっちまで気持ちよくなるで」

 

「そうなんです! ちょこ先輩と食べる料理は、すっごくおいしいんですよ!」

 

「本当!? 今度僕も試してみていいよね?」

 

「つっても、答えは聞いてないんだろ?」

 

「樹里ちゃん正解!」

 

 

 五人と二体は会話を弾ませながらチャーハンの山をある程度回し、やがて何度目かの周で樹里の前へやって来ると、それはそれなりにアンバランスな形へと変化していた。樹里の直前である智代子の取り分が総じて大きすぎたのだ。

 

 

「ちょっと取りすぎちゃってごめんだけど、樹里ちゃんがんばれー!」

 

「アタシの目には、ちょっとどころじゃないように見えたんだけどよ・・・・・・」

 

「せやけどここを凌げば、有利な展開に持ち込めるで!」

 

「負けないでください樹里ちゃん!」

 

「ガンバレー!」

 

 

 キンタロスらの声援を受け、バランスの崩れたお山をどう攻略するのか樹里が思考を巡らせている中、彼女らを見守っていたモモタロスが隣に立つウラタロスへ口を開く。

 

 

「おい亀。また女のケツ追っかけてたのかよ。しかも他人の体で」

 

「相変わらず堅苦しいなぁセンパイは。けど、それもそっか。センパイは直情的なおバカさんだからね。ジークになら、解ってもらえるかな?」

 

「なんだとぉ・・・・・・!」

 

「女との逢瀬など、我が望まずともついてくるのだ。姫との出会いがそうであったように!」

 

「やけに情熱的じゃねぇか手羽野郎」

 

「お供その一よ。そなたは恋を知らぬからそうなのだ」

 

「誰がお供だ! 俺はお前の下に就いた覚えは無ぇんだよ!」

 

 

 モモタロスらの会話が終わった所で、チャーハン崩しの戦況に動きがあったようだ。これからは口論せずに、見物に加わる。

 

 

「そ~っと、そ~っと・・・・・・慎重に・・・・・・!」

 

 

 樹里がスプーン一杯分の少なくない分量を掬い取り、旗を少々ぐらつかせながらも倒さずに凌いだのだった。

 

 

「うっし! 攻略完了! けどかなり少なくなっちまったな。次、夏葉だけどいけるか?」

 

「当然じゃない! 私はチャーハン崩しでもトップに輝くのよ!」

 

「がんばってください、夏葉さん!」

 

 

 緊張で汗が滲む中、計算を完了させた夏葉は先程と同じようにスプーン一杯分のチャーハンを掬う。そして、旗が大きくぐらついた。

 が、完全には倒れず。

 

 

「あ~っ! 今のは絶対に倒れるヤツだったろ!」

 

「お米の粘度や密度、そして具材のバランスを計算すれば当然の結果よ!」

 

「夏葉さんスゴイです! あたしも負けてられません! ていやーっ!」

 

 

 髪の毛をかき上げそう主張する夏葉。根本はストイックさ故のハイスペックなのだから、これくらいは造作もない。

 チャーハンの皿が目の前に回ってきた果穂が、思い切りよくチャーハンを掬い取る。勢いに当てられた旗はこれまで以上に傾くも、未だ倒れず。果穂の純真さ由来の直感。それによる見極めが絶妙だったと言えるだろう。

 チャーハンの皿は次へ回り、凛世の前へとやって来た。

 

 

「では、凛世が・・・・・・」

 

 

 いつものように冷静とした様子を保ち、淑やかな手つきでチャーハンを掬う凛世。すると旗を支えていた具材が零れ落ち、デンライナーが描かれた旗がとうとう皿の上についた。

 

 

「倒れて・・・・・・しまいました」

 

「あぁ~! 駄目だったかぁ・・・・・・」

 

「惜しかったね~。でもナイスファイトだよ凛世ちゃん!」

 

「さすがです凛世さん! 凛世さんはピンチになっても冷静でした!」

 

「『群青(あお)き導火線』は伊達じゃないね」

 

「知って、おられたのですか・・・・・・」

 

「君達がどんな活動をしているのか知りたくてね。ちょっと調べさせてもらったよ。ナオミちゃん?」

 

「は~い♪」

 

「それ、パソコンか? って、いつの間にそんな記事が!?」

 

 

 ウラタロスに呼ばれたナオミが抱えた、デスクトップ型のパソコン。その画面には、放課後クライマックスガールズの活動録が事細かに記載されていた。

 中でも目を引く、『轟!ーとどろきー紅蘭偉魔空珠(くらいまっくす)†番外地』の文字。過去に放クラが出演したWEBドラマシリーズだ。

 

 

「おっ! そのドラマ、また配信やってるんだな」

 

「どうやら人気らしいですからねぇ。いつの時代も、人気者は引っ張りだこですから」

 

「『紅蓮の英雄(ヒーロー)番長』、『金色(こんじき)の猛獣』、『豪勇の特攻隊長』・・・・・・カッコよさそうなのが揃ってるじゃねぇか!」

 

「ありがとうございますモモタロスさん! あたしもお気に入りです! えへへっ、『見ない顔ですねぇ・・・・・・!』」

 

「ちょっと待って! 私だけ省かれてない!?」

 

「だってよ・・・・・・『チョコレート番長』なんて全然強そうじゃねぇじゃねーか!」

 

「でもモモタロスだって似たようなものじゃん。『強すぎる仮面ライダー』なんてダサかったし」

 

「あぁ!? 何か言ったかハナタレ小僧!」

 

「モモタロスダサい」

 

「テメェ~~~ッ!!!」

 

「まあまあモモの字。にしても、果穂も樹里も凛世も演技に迫力があるなあ!」

 

「ふふ・・・・・・そうでしたら、幸いです・・・・・・」

 

「私も閲覧させてもらった。多少泥臭い故、好みとは違っていたが・・・・・・余興としては良きものであったぞ」

 

「あら、アナタにそう言ってもらえるだなんて、光栄ね」

 

「終盤のちょこちゃんの演技も、真に迫ってて素晴らしかったですよ♪」

 

「ありがとうございます! あの役は個人的にも重なる部分があったので、気合を入れて演じました!」

 

 

 放クラが演じたドラマを視聴したイマジンらが称え合う中、食堂車の扉が開く。

 入ってきたのは、283プロのプロデューサーだ。その手には糊付けを切られていない茶封筒が握られている。

 

 

「凛世、それにみんなも。ここに居たのか」

 

「あっ、プロデューサーさん」

 

「何か用ですかっ!?」

 

「ああ、凛世に用があってな。仕事の話だから、後は事務所で。頼めるか?」

 

「はい。凛世は、貴方さまの行く所へ・・・・・・ついて参ります」

 

「凛世! 仕事頑張ってけよ!」

 

 

 放クラのみんなとイマジンらに見送られ、凛世はプロデューサーの半歩後を歩いてデンライナーを出る。

 

 

(あの娘の様子、なるほどね)

 

 

 そんな凛世を、ウラタロスだけは訳知り顔で見つめていた。

 

 

 

▽△▽△▽△▽△

 

 

 

 凛世がプロデューサーから言い渡された仕事は、雑誌の撮影だった。

 そして、今日が撮影の日。多くの光源に照らされ、凛世は温もりを感じさせる洋服姿で佇んでいる。スタッフ陣の中には、プロデューサーの姿も。

 

 

「うん! その表情もいいよー! もう一枚行ってみようか!」

 

「・・・・・・はい」

 

 

 凛世が立っているのは、合成に使われるGB(グリーンバック)。冬号での雪降る街をイメージした表紙に使われるが、勿論今の季節に雪は降らないので、GBで凛世を切り抜き、雪が降る夜の街並みを合成して表紙にするのだとか。その為、凛世の服装やアクセサリーに緑色は使われていない。

 

 

「ねぇ、今の写真を合成したらどんな感じかな?」

 

「はい。今やりますね」

 

 

 興味を持ったディレクターに画面を覗かれつつ、合成担当がパソコンを巧みに操り、凛世を雪降る街に映し出す。

 

 

「んー・・・・・・もうちょい光の当て方変えてみようか!」

 

「ウス!」

 

 

 しかし、その画はディレクターのお眼鏡に適わなかったようで、もう一度取り直す事となる。街灯に照らされる光の感じを、スタジオで作り出そうとしているのだ。

 

 

「これでどうスか!?」

 

「ちょっと光の感じが強いかな・・・・・・もう一回だね!」

 

「ウス! ・・・・・・今度はどうスか!?」

 

「ダメダメ。弱すぎるよ~。何度もつき合わせちゃってゴメンね杜野ちゃん!」

 

「いえ・・・・・・この程度、お気になさらず・・・・・・」

 

「サンキュー! じゃあまだまだ行くよ!」

 

「・・・・・・ウス」

 

 

 このやり取りは何時まで続くのだろう。早く終わればいいな。ふとそう思った照明担当の袖口から、大量の砂が零れ落ちた。

 落ちた砂の始末は誰も気づかなかったのでなされず、合成担当者がディレクターを呼び、相談を持ち掛ける。

 

 

「ディレクター! そう何度も合成するのメンドいんで、LIVE合成に切り替えてもいいですか?」

 

「LIVE合成?」

 

「天気予報とかでよくやるヤツですよ」

 

「別にいいけど・・・・・・やれるの?」

 

「いけますって! 学生時代に取った杵柄ってやつです!」

 

「そっか! じゃあお願い!」

 

「はい。・・・・・・・・・・・・準備完了しました!」

 

「よし! じゃあ撮影再開だ! 杜野ちゃんも準備OKだね?」

 

「はい・・・・・・!」

 

 

 準備が整い、撮影が再開されようかというその時、零れ落ちた砂が集まり異形の怪人を模った。

 

 それは鋭利な(くちばし)とかぎ爪を持ち、肩にかかった茶色の房はまるで羽根の様。トンビの姿をした、カイトイマジンだ。

 カイトイマジンは照明担当の座った脚立まで音も無く飛び上がると、彼の肩に手を置き、耳元でこう(ささや)く。

 

 

「お前の望みは、『仕事を早く終わらせる事』。つまりこの現場をめ~っちゃ荒らしまくれば、俺は契約成立だ」

 

「け、契約? 何の事だよう!」

 

「どしたのショウちゃん・・・・・・うわぁ! ば、化け物!」

 

 

 照明担当が大きな声を上げた事で、カイトイマジンの姿がディレクターの目に留まる。

 波紋のように騒ぎは伝搬し、瞬く間にスタジオの隅まで広がった。

 

 

「見つかっちまったか・・・・・・」

 

「ちょっと! 何なのさキミ! 今撮影中なんだよね!」

 

「あくまでも撮影は続けるという訳か。ならば!」

 

 

 撮影を中断しただけに終わったら、契約は完了と見做されない。

 もっと深刻な事態に陥らせるべきだと結論付けたカイトイマジンは羽を広げて飛翔し、上空から獲物を定める。狙うは、孤立した凛世。彼女に向かって、急降下を開始する。

 

 

『見てらんねぇ! 俺が出る!』

 

『センパイは女の子の扱いがなってないでしょ。ここは僕に任せて』

 

 

 あわや凛世がカイトイマジンの毒牙にかかると思われたその時。スーツを着こなしたU凛世が、カイトイマジンの突進をいなした。

 

 

「『か弱そうな女の子を狙うなんて、感心しないなぁ』」

 

『ウラタロスさま・・・・・・助けていただきありがたく、存じます・・・・・・』

 

「『どういたしまして。それと、ちょっとだけ体貸してもらうよ』」

 

『それで場が収まるのでしたら、どうぞ・・・・・・お構いなく』

 

「『それじゃあ、お言葉に甘えて』」

 

 

 U凛世は腰元に実体化させたデンオウベルトを装着し、上から二番目の青いフォームスイッチを押す。ターミナルバックルは青に染まり、流れるミュージックホーンは知性を思わせる落ち着いた音色。

 

 

「『変身』」

 

《Rod form》

 

 

 ターミナルバックルにライダーパスをセタッチすれば、スーツが自動的に体を包み、青を基調としたアーマーが装着された。

 顔中央のレールに沿って後頭部からやって来るのは、青いウミガメ。このウミガメが変形・展開し、橙色の目をした電仮面となる。

 

 電王・ロッドフォームへの変身が完了した。

 

 

「『千の偽り、万の嘘。言葉の裏には針千本』」

 

 

 そう語りだしながらパーツ一番から四番を一直線に連結させ、完成したデンガッシャー・ロッドモードを肩に担ぎ、電王はカイトイマジンに向き直る。

 

 

「『お前、僕に釣られてみる?』」

 

「釣れるもんなら釣って見やがれッ!」

 

 

 ロッド電王の気障ったらしい喋り方が気に障ったカイトイマジンが、負けじと煽り返す。

 しかし、これこそロッド電王の思うツボ。獲物が針にかかったのだから。

 

 ぶつかり合うイマジンとロッド電王。カイトイマジンの持つ鋭い爪による攻撃を、ロッド電王は巧みな棒さばきで制す。

 凛世の体で変身したからか、いつもより小さい体格のロッド電王。しかし戦い方にそれを感じさせないのは、ロッドモードのデンガッシャーによる長いリーチの恩恵だろう。

 

 振り下ろされたカイトイマジンの爪をロッド電王はデンガッシャーで受け止め、そのままGBの上へ誘い込む。つけっぱなしのモニターには、雪降る街並みで戦うロッド電王とカイトイマジンが映し出されている。

 激しく火花を散らす両者であったが、やがてカイトイマジンがデンガッシャーによる横薙ぎの一撃をまともに受け、大きく吹っ飛んだ。

 

 

「地対地じゃ分が悪いか・・・・・・ならば!」

 

 

 地上戦での己の不利を悟ったカイトイマジンはその大きな翼で羽ばたき、飛翔。そのまま滑空し、ロッド電王へ爪の一撃を食らわせようと目論む。

 一撃離脱の戦法に、さすがのロッド電王も防御するだけに終わってしまう。

 

 

「『おっと、逃がすと思う?』」

 

 

 かと、思われた。

 ロッド電王がデンガッシャー・ロッドモードを釣り竿のように振るい、その先端からエネルギー状の糸を放つまでは。

 

 エネルギー状の糸はカイトイマジンの足に絡みつき、やがてロッド電王との格闘が始まる。糸を切ればカイトイマジンが勝ち、相手の体力を奪い釣り上げる事ができたならロッド電王の勝ちだ。

 

 カイトイマジンが糸から逃れようと力づくで引き離そうとするが、ロッド電王は付かず離れずの距離を維持するように竿を操る。

 

 力が拮抗し合っているのか両者に動きはないが、それも時間の問題。やがてカイトイマジンのスタミナが底をつきロクな抵抗が出来なくなった所を、ロッド電王が一気に釣り上げ、墜落させた。

 

 

「『そろそろ〆るとするか』」

 

『はい・・・・・・共に、参りましょう・・・・・・』

 

《Full charge》

 

 

 ロッド電王がターミナルバックルにライダーパスを翳すと、エネルギーがデンガッシャーの柄から充填される。必要量まで溜まったのを確認すると、ロッド電王はパスをぽいと投げ捨てた。

 

 ふらつきながら立ち上がるカイトイマジンにじっくりと狙いを定め、構えたデンガッシャーを槍投げのように素早く投げ放つ。

 デンガッシャーはカイトイマジンの体を貫くと思いきや、吸い込まれるように体の中へ消えてゆき、やがて正六角形のオーラがカイトイマジンの動きを封じ込めた。

 

 

「体が、動かん・・・・・・!」

 

 

 身動きが取れなくなったカイトイマジン。飛べなくなった鳥の姿を確認したロッド電王は、助走をつけずに跳躍し、破壊力20tのデンライダーキックをカイトイマジンへ叩き込む!

 

 

「『はあああああああっ!』」

 

『蹴りでございますが、斬・・・・・・!』

 

 

 オーラを纏ったロッド電王の右足が、六角形の拘束をガラスめいて粉砕し、カイトイマジンを遥か後方へ蹴り飛ばし爆散させた。

 徐に立ち上がった電王がデンオウベルトを外すと、仮面の名から凛世が現れる。それは、戦闘終了の合図。

 ウラタロスのおかげで凛世には傷ひとつ付いておらず、メイクを整えさえすれば今すぐにでも撮影が再開できる状況だ。

 

 

「た、助かった・・・・・・のか?」

 

「凛世ちゃんが、助けてくれた?」

 

「ようしお前ら、杜野ちゃんに続け! 最高の一枚を取り上げるぞ! ショウちゃんも準備OKだね?」

 

「ウス! 自分、一気に目が覚めたっス!」

 

 

 事態の解決に大きく盛り上がる撮影スタジオ。彼らが持った凄まじい熱気は、被写体を写す事のみに注がれる。

 こうして撮影された凛世の写真はめでたく、マガジン誌の表紙を飾ることになるのであった。

 

 

 

▽△▽△▽△▽△

 

 

 

 空がすっかり暗くなった帰り道。撮影スタジオから凛世が暮らす寮までは距離がある為、プロデューサーが運転する車の後部座席に座っている。

 凛世が流れゆく街の景色を興奮冷めやらぬ顔で眺めていると、テレパシーの類だろうか、ウラタロスに話しかけられた。

 

 

『凛世ちゃん。僕の見当違いだったら悪いんだけど、凛世ちゃんって、あのプロデューサーに恋してるんじゃない?』

 

 

 己の気持ちが見透かされていた事に驚く凛世。しかし数秒後にはいつもの調子に戻り、ウラタロスと会話を続ける。

 

 

『はい・・・・・・。お慕いして、おります・・・・・・』

 

『やっぱりね・・・・・・。そこで相談なんだけど、僕に任せてみる気はない? 僕なら彼との距離も、あっという間に縮められると思うんだ』

 

『ありがたきお心遣い・・・・・・ですが凛世は──』

 

 

 確かに彼のよく回る舌と頭なら、恋愛事でも有利に立ち回れるだろう。凛世の恋愛指南書にもなっている漫画本でも、実際に言葉巧みな駆け引きが行われるシーンが描かれている。

 

 

『凛世は・・・・・・嘘偽りなき、ありのままの凛世を好いていただきたく・・・・・・』

 

 

 けれど凛世が決めたのは、小細工に頼らず真正面からの恋心でぶつかっていく事。

 凛世の言葉が持つ想いの強さに、外野が口を挟むのは野暮だろうと思い至ったウラタロスは、さっと身を引くことにする。

 

 

『そうか、分かったよ。頑張ってね凛世ちゃん。僕は恋する女の子の味方だよ』

 

『ふふ・・・・・・ウラタロスさま、ありがたく・・・・・・存じます・・・・・・』

 

 

 最後に応援を送られ、ウラタロスとの会話は終わった。これで車内には、正真正銘プロデューサーと凛世の二人きり。

 灯りの燈るビル街で走る車を、お月様が見守っている。一緒の空間に居るだけで、どうしようもなく胸が鳴るのは、きっと貴方のせい・・・・・・だけでは無いはず。




 次回は誠意製作中ですので、気長に待っていただけると幸いです!


■カイトイマジン

 照明係のショウちゃんと契約したイマジン。彼がイメージするイソップ童話『タカとトンビとハト』の心象から、トンビのような外見で現出した。
 「撮影を早く終わらせる」という契約内容からスタジオを襲い撮影を中止させる事によって契約を完了させようとしたが、凛世が変身した電王ロッドフォームの「ソリッドアタック」からの「デンライダーキック」を受けて爆発した。

身長:180.0㎝
体重:108㎏
特色/力:高度な飛行能力
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