フルカラー大激突!最初からクライマックスなヒーロー見参! 作:星野エグゼ
クライマックス繋がりから始めたこの作品ですが、やるからにはイマジンズと放クラのメンバーでコンビを組む感じにしたい! 電王へ憑りついたイマジンはジーク含めて五体。そして放クラは全部で五人。これは全員組み合わせるしかねぇ!
という訳で智代子×リュウタロス回です。最後に残った一組にもこうご期待。
放課後クライマックスガールズ、今日はユニットメンバー全員がお休みを貰えた日。
イマジンを安全に倒すには電王でないと難しい。その為、放クラのスケジュールはデンライナーの面々にも共有されているのだ。そして、誰かが口にした。
「せっかくだからデンライナーでパーティーでもしよう」と。
五人は買った材料やテーブルゲーム等を詰めたバッグを両手に持ち、デンライナーの停まっている公園へ軽やかな足取りで歩いている。
「モモタロスさん達とパーティーできるなんて、スッゴく楽しみですね!」
「はい・・・・・・。ナオミさまやオーナーさまにも話は通してあります故、皆さま準備なされているそうです・・・・・・」
目を輝かせる果穂の後ろで、凛世が微笑みながら伝える。
基本面白い事には乗っかっていく主義のイマジン達が、パーティーが開かれるという話を聞き逃すはずもなく。今回のパーティーには彼らも参加する事になったのだ。
「って事は、皆も手料理を振る舞ってくれちゃったりして!」
「あいつらに任せて大丈夫なのかよ。ナオミのコーヒーみてーなの出されるんじゃねーか?」
パーティーと言えば、美味しい料理も目玉の内である。どんな料理が出てくるのかと心躍らせる智代子の隣で、両ポケットに手を入れた樹里が不安をこぼす。
「あら、それこそパーティーの醍醐味じゃない。何が出てきても、皆でなら思いっきり楽しめるもの」
胸を張る夏葉の先導で、放クラの五人は意気揚々とデンライナーの扉をくぐった。
「あ! みんないらっしゃい!」
「さぁ、こちらへどうぞ。僕の手を取って」
出迎えてくれたのは、パーティー帽をかぶりマーチングドラムを携えたリュウタロスとウエイター服を着たウラタロスだ。
ウラタロスの手に引かれて食堂車へ足を踏み入れると、車内は紙テープを輪にして繋げた装飾でカラフルにデコレーションされており、醸し出される特別感がより一層楽しさを掻き立ててくれている。
「おぉ皆! 俺の男料理も食っていき!」
「パーティーってのは祭りだからな。ノリなら俺の得意分野だぜ」
魚市場のおっちゃんのような恰好をしたキンタロスが、鯛を片手にそう断言した。その反対側のテーブルでは、法被を羽織った縁日のおっちゃんじみたモモタロスがタコ焼き機を前に生地を混ぜている。
「今日はいつにも増して、デンライナーが賑やかですねぇ」
オーナーはいつもと変わらずにスプーンを操っているが、目の前に置かれているのはかき氷だ。しかも逆さにした手持ち花火が刺さっており、今も火花を散らしている。お祭り仕様の豪華な一品である。
「祭りの騒々しいが、慣れてみると悪くない」
「お飲み物をどうぞ~♡」
「うむ」
片隅に設けられた豪華絢爛な空間では、ジークの持つグラスに、ナオミが瓶から黄色い炭酸飲料を注いでいる。
「キンタロスさま、今からお魚を・・・・・・?」
「せや。俺の料理は出来るまで時間が掛かるからな。気にせず遊んどき」
「ふふっ。楽しみに待ってるわ」
凛世の問いにどーんと答えるキンタロス。するとその隣で、夏葉が微笑んでそう口にした。
「じゃ、お言葉に甘えて、アタシらは遊んでようぜ」
「はいっ! カードもボードゲームも、いっぱい持ってきたんですよね!」
「ゲームするの!? わ~い楽しみ!」
「頭を使う勝負事なら、僕は水を得た魚だね」
テーブルゲームで遊ぶ流れになってくると、果穂はバッグからゲーム類を取り出してテーブルに並べ、樹里、ウラタロス、リュウタロスと一緒にどれで遊ぼうかと吟味する。
「待って皆! まだゲームで遊ぶのは早いよ!」
「それも一理あるね、まだ始まったばかりだし」
「ちょこ先輩。じゃあ、何するんですか?」
「せっかくタコ焼き機があるんだから、タコパしようよ!」
が、そこに智代子が待ったを掛け、ウラタロスも彼女に同意する。そして果穂の問いに、タコ焼きパーティーを始めようと提案したのだった。
「そうだそうだ! 俺を無視すんな! 丁度生地が仕上がったんだぜ。使わなきゃ勿体ないだろ」
「えぇー・・・・・・。モモタロスの作った生地多いし、この量じゃ絶対途中で飽きるよ」
モモタロスが智代子の案に便乗する一方で、リュウタロスのテンションが落ちる。
「確かに飽きるね。じゃあ、入れる具材がタコじゃなかったらどうなるかな?」
「タコじゃ、無かったら・・・・・・?」
「そう! タコだけじゃなくて、お菓子でもハムでもチーズでも・・・・・・色々入れるの!」
「・・・・・・面白そう! やるやる!」
智代子の手腕で、リュウタロスはみるみる活気を取り戻す。
「リュウタロスの扱い、見事だね智代子ちゃん」
「いやぁ、小さい頃の弟に似てたので・・・・・・」
子供っぽい面のあるリュウタロスを上手く御した。昔取った杵柄だと智代子は語る。
その理由を聞きウラタロスは独り合点がいく。リュウタロスが懐いていた人物も、また姉なのだから。そして、彼に小さな疑問が生じた。
「もしかして、皆にもきょうだいが居たりする?」
「はい! あたしにはお兄ちゃんがいます!」
「凛世には・・・・・・姉さまが・・・・・・」
「ウチには兄貴がいるな」
「私には兄さんがいるわね」
「わぁ! 全員きょうだい持ちなんて凄いですね~!」
「俺たちもつくづく、きょうだいと縁があるな」
「せやなぁ。にしても顔見てるだけで、仲が良いって分かるなぁ」
「家族の情愛とは深いものだ。私にも覚えがある」
きょうだいの事を思い出しながら語る放クラの五人が、あまりに曇りなく笑うものだから、自然とイマジンらの心も和らぐ。
家族についての話に区切りがつくと、皆は持ち寄った食材やデンライナー車内にある食材の中から、タコ焼きに合いそうなものを探しだす。ああでもない、こうでもないと考えを巡らせながら、選び抜いた食材を手に皆は再びテーブルに集まった。
「アラ汁が出来たでぇ! 自由にとっていき!」
「あ、ありがとうございます!」
「~っ! いい匂いです~!」
そうこうしている内に、キンタロスの料理が出来上がった。大鍋のふたを開けると、たちまち湯気がもわっと立ち込め、味噌とアラが合わさった豊かな香りが運ばれてくる。
五人とイマジンらは各自でお椀にアラ汁をよそうと、それぞれ席に着いた。
「それでは皆! 選べたかな!?」
「おう! 俺はプリンを入れるぜ!」
「あたしはこれですっ!」
智代子の煽りに真っ先に乗ったのはモモタロス。彼が市販のプリンをテーブルに置き、続けざまに果穂がバッグからラーメンのスナック菓子を取り出した。
「先輩はさておき、果穂ちゃんはいいチョイスだね」
「えへへ・・・・・・ありがとうございます!」
「おい亀。俺はさておきってどういう事だよ」
「そうね。だったら私は・・・・・・これにするわ!」
「それはっ!? 私へのキャビアではないか!」
「こんな事もあるんじゃないかと、前もって調べておいたの。そうしたら、明太子もタコ焼きに合うそうじゃない。だったら同じ魚卵の塩漬けであるキャビアも、タコ焼きに合うに違いないわ!」
胸を張って高級食材を掲げる夏葉の横で、ジークの表情が驚愕に染まる。彼はこれを貢ぎ物だと思い込んでいる為だ。
制止をかけるジークに対し、夏葉は「キャビアは何かと併せた方がもっと美味しくなるわ」と反論。更にキャビアを食した経験もあると言われれば、彼は
「凛世は・・・・・・この、おかきを・・・・・・」
「僕は塩辛にしようかなぁ。夏葉ちゃんの話だと、しょっぱいものも合いそうだし」
「アタシはコレだな。タネに紅ショウガ入れる事もあるし、ピクルスも合うだろ!」
「僕はこれ~! キャラメル!」
「私はやっぱりチョコ! でもただのチョコじゃなくて、ナッツ入りだよ~」
全員分の材料がそろった。後は焼いて食べるだけ。
「おう! じゃんじゃん焼くぜ焼くぜ焼くぜぇ!」
モモタロスが型にタネを流し込み、各自が持ち寄った食材に加え、定番のタコも入れて焼き始める。焼き上がりの外見は完全に判別がつかなくなるが、それはそれで楽しみが増えるというやつだ。
「おっ、いい匂いがしてくるなぁ」
皆がタコ焼きの完成を心待ちにしていると、デンライナーの扉がスライドし新たな来客が訪れる。
「あっ、プロデューサーさん!」
「仕事はいいのかしら?」
「ははっ、今の仕事に区切りがついたからな。休憩がてら遊びに来たんだ」
「そうなのですね・・・・・・」
「じゃあ、プロデューサーさんもいっしょにパーティーしましょう!」
「今タコ焼き作ってるんだよ。食うか?」
「そうなのか。出来上がったら、一個貰っちゃおうかな」
「一個とか言わず、もっと食べてもいいんだぜ? 沢山焼くからよ」
「そうそう。僕らに遠慮はしなくていいから」
「プロデューサーも、これ食っていき!」
「はは、ありがとうございます」
プロデューサーもキンタロスからお椀を受け取り、それをテーブルに置く。
「そういえば智代子、こんなのに興味ないか?」
「何ですか? これは・・・・・・ドラマの企画?」
プロデューサーが智代子に手渡したのは、ドラマの企画書の一部。話によれば今度、出演者をオーディションで決めるのだという。
「ほ、本当に・・・・・・私でいいんでしょうか?」
「やってみればいいんじゃないかな。智代子ちゃん結構演技派だったし」
「そうです! ちょこ先輩なら、スゴい演技ができるはずです!」
「二人ともありがとう! そうだね・・・・・・これはチョコアイドルを広めるまたとないチャンスだもんね! 園田智代子、不肖ながらオーディションを受けさせていただきます・・・・・・!」
自信なさげに聞き返す智代子だったが、果穂とウラタロスの励ましによりオーディションへ参加する姿勢を見せ、精進せねばと気合を入れる。
それから十数分ほど待てば、外がカリカリ、中はフワトロのタコ焼きが焼き上がる。外見の差異はほぼ存在せず、口に入れて見てからでないと何が入っているのか分からない。
なので全員がそれぞれ一個ずつタコ焼きを取り、智代子の「せーの」の掛け声で一斉に食べると決められた。
「それじゃあいくよ? せ~の」
『いただきま~す!』
全員が同時にタコ焼きを口に入れる。さて、お味は如何に。
「~~~!! スッゴくおいしいです!!!」
「ちょっと考えるようなチョイスもあったけど、意外とイケるね」
「思いもよらない組み合わせだけれど、その分可能性はすさまじいのね!」
「ふふ・・・・・・まさに、神機妙算の如き・・・・・・」
「ま、その場のノリと思い付きがほとんどだけどな!」
「それでも楽しめてるなら、別にいいんじゃねーか?」
「そうだな。丁度いいガス抜きになりそうだ!」
「これすっごく楽しい! ねぇ、またやってもいいよね!?」
「よ~し! 次もこの調子でいこう!」
『おー!!』
その後、タコ焼きに入れる具材のチョイスは次第に過激さを増してゆき、最終的には食堂車に死屍累々が築かれる事になってしまった。
後日。智代子はプロデューサーを付き添いにオーディションを受けに来ていた。控室で順番を待っている間でも、彼女の胸の鼓動が静まらない。
「あぁ~どうしよう! 今からでもチョコ買ってきた方がいいかな!?」
緊張で智代子が軽く迷走状態に陥る。そんな彼女をリラックスさせるべく、プロデューサーは言葉を送った。
「そんなに心配しなくてもいいよ。審査員はきっと、ありのままの智代子が見たいはずだ」
オーディションは可能性を探すための物だ。審査員が「この役者いい演技するな」と気に入れば、最初の脚本段階では存在しなかったキャラが生まれるし、キャラと演者にシンパシーがあれば、そのキャラの可能性は無限大へと広がる。故に、雑談で合否を判定される場合もあるのだとか。
オーディションにはそんな側面もあると知っているプロデューサーは、智代子がありのままの自分を見せた方が採用されるチャンスはあると考え、彼女にそんな言葉を送ったのだ。
「ありのままの、私・・・・・・?」
「あぁ。愛嬌もあって、感情が豊かな智代子なら、きっと合格できるさ」
そう語りかけるプロデューサーは誇らしげで、合格通知が届く事を疑っていない。そして彼の期待に応えねば。と、智代子の心に火が付いた。
「ありがとうございます、プロデューサーさん! よ~し、オーディション頑張るぞ~!」
「はは、そう来なくちゃな」
迷いから一転、晴れやかな表情になる智代子。肩の力も程よく抜けて、最高のコンディションだ。
どこからか悲鳴が聞こえた。
「きゃあああああああ!」
悲鳴が聞こえた智代子とプロデューサーは、何があったのかと現場へ駆けつける。
現場はなんと、オーディション会場。そこで二人が見た光景は、二又の大顎と双剣を持った怪人が、並み居る女性達に刃を突き付けているというものであった。女性達は皆、ギラリと光る刃を前に恐怖で震えあがっている。
「テメェらは全員不合格だァ・・・・・・!」
怪物は足で床をトントンと叩きながら、女性達全員に対して順繰りに、双剣の先端を眼前までゆっくりと持ってくる。まばたきも出来ず目を見開き続ける者、荒い呼吸を繰り返し声すら出ない者、必死に目を背けようとする者等、彼女達の反応もそれぞれだ。そんな彼女達の様子を見て、怪物は満足げに笑った。
「何何!? 今回ってそういうオーディションなの!?」
「いや、違う! あそこを見るんだ、智代子。床に砂が落ちてる!」
「・・・・・・って事は、イマジン!? オーディション会場にいるって事は・・・・・・」
「ああ。オーディションを受けに来た誰かの『受かりたい』という願いを叶えようとしているのかもな」
その特性から怪物の正体と目的を推察するプロデューサーと智代子。しかし、大きな声を出してしまったので、二人はイマジン・スタッグビートルイマジンに気づかれてしまった。
スタッグビートルイマジンの次の標的が決まる。
「その胸のバッヂ・・・・・・テメェもオーディションとやらを受けに来たのか」
双剣を打ち鳴らしながら、スタッグビートルイマジンは智代子へにじり寄る。そして人ひとり分まで近づいた地点から、イマジンが跳んだ。
「テメェも不合格にしてやるゥ!」
「智代子、下がれ!」
鋭利な刃が智代子に振り下ろされる。あわや、という所で彼女が軽やかなバク転を披露し攻撃を回避した。その後も双剣を振り回すスタッグビートルイマジンだったが、ダンスのステップを踏むかのような動きを見せる智代子に次々と躱されてゆく。
「ア゛ア゛ア゛ァ゛! なんで避けられ続けんだよ!!」
「よかった、智代子・・・・・・ん?」
智代子が怪我を負わなくて安堵するプロデューサーだったが、彼女の格好が変わっていることに気づく。
どことなくカジュアルな装いでキャップを被り、首元には黒いヘッドホン。瞳は紫色へと変わり、髪の毛にも瞳と同じ色をした毛房が混じっている。
リュウタロスが憑依した、
『・・・・・・助かったぁ~! もうどうなる事やらと思ってたよ~!』
「『チョコちゃんは“お姉ちゃん”じゃないけど、やっぱりお姉ちゃんだったからね』」
『えっ!? どういう事かよく分からないけど・・・・・・嬉しかったんだよね?』
「『うん!』」
「そうか。リュウタロス・・・・・・頼んだぞ!」
「『任せてよプロデューサー! チョコちゃんは僕が守る!』」
R智代子はそう決意してデンオウベルトを握り、腰へ勢いよく巻き付けた。
一番下のフォームスイッチを押すと、ポップでアゲアゲなサウンドが流れ出す。
「『変身っ!』」
《Gun from》
R智代子はクルリとターンすると、思い切りよくベルトのターミナルバックルにパスをセタッチする。
アンダースーツが一瞬で形成されて、オーラアーマーが装着される。中央のレールに沿って紫の龍が後頭部から顔の正面までやって来ると、龍を正面から見たような電仮面へと展開し、電王・ガンフォームの変身が完了した。
「お前倒すけどいいよね?」
スタッグビートルイマジンへ問いかけながら、電王はデンガッシャーを組み立ててゆく。
一番パーツはフレームに、二番パーツが銃口で三番パーツが発射装置、そして四番パーツはグリップに。
「答えは聞いてない!」
スタッグビートルイマジンへ銃口を向け、連射。
身体から火花を散らしたスタッグビートルイマジンは、苛立ちを抑えきれずに吠えた。イマジンがたたらを踏んでいる隙に、プロデューサーは会場の人々の避難誘導を請け負う。
「皆さん! 早くこちらへ!」
「あ、ありがとうございます!」
「さぁ、監督さんも・・・・・・っ!」
プロデューサーが番組の監督に手を差し伸べた時、目を丸くした。
監督が着ている服の袖から、砂が零れ落ちていたからだ。
「監督さん・・・・・・まさかあなたが!?」
「分からない・・・・・・私はただ“オーディションでいい役者が見つかりますように”と願っただけなのに・・・・・・! 私は役者を傷つけるような事望んではいない!」
「ええ。分かっています。だから今は逃げましょう」
「相手は得体の知れない化け物だ。なのに君は、随分と落ち着いているな」
「はは。最近はもう慣れっこですから」
そう言いながらはにかむプロデューサーが監督の肩を支え、オーディション会場を脱出する。
「なんでオーディション会場に電王がいんだよ!」
うなじを掻いたスタッグビートルイマジンが、双剣の激しい乱舞を繰り出す。それに対し電王は、ステップを踏みながら、ひらりひらりと躱し隙を見ては銃撃を加えていた。
智代子の体格は放課後クライマックスガールズ内では一番小柄だが、銃という武器の性質上、体格差をある程度無視して攻撃を行える。そして小柄な体格が逆に、攻撃を避けるには好都合だ。
そうして電王とスタッグビートルイマジンの勢力差は時間と共に広がってゆき、とうとうイマジン側が押し負ける形で拮抗が崩れた。
「おお・・・・・・華麗だ・・・・・・!」
「監督さん!? 下がっててください!」
繰り広げられた戦いに監督が思わず身を乗り出し、それをプロデューサーが押しとどめる。
だが、それももう幕引きを迎える。電王がターミナルバックルにライダーパスを翳すと、エネルギーが半球のパーツを通じて雷へと変換されてデンガッシャーに充填された。
《Full charge》
「『そろそろトドメだけどいいよね?』」
「クソがぁ・・・・・・!」
「『答えは聞いてない!』」
『いっちゃえー!』
銃口から放たれた紫色の雷の弾丸が、スタッグビートルイマジンの胸に突き刺さり、イマジンは爆発を起こしながら消滅した。
イメージが暴走する気配が無いことから電王は構えを解くと、ベルトを外して変身と憑依を解除する。
「はぁ~・・・・・・何だかどっと疲れました・・・・・・」
「お疲れ。智代子にも大事が無くて一安心だよ」
「うむ、アクシデントはあったが被害は軽い。メンタルケアが終わり次第、オーディションを続けるぞ!」
再開されたオーディションは終了し、後は結果を待つばかりとなった。
そして、選考結果が事務所に届いた。プロデューサーが封を開け、中身を確認すると智代子に向き合う。
「プロデューサーさん! 結果、どうでしたか!?」
「それが・・・・・・不合格だったんだ」
「そんなぁ~! 今一歩力及ばず・・・・・・無念!」
プロデューサーから聞かされた審査結果に、肩を落とす智代子。だが、通知書に書かれているのはそれだけではない。
「けど、智代子が監督に気に入られたらしくてな。」
「えっ!? 本当ですか!」
「ああ。これが台本だ」
智代子は台本を受け取るとページをめくり、内容にざっと目を通す。
「・・・・・・これ、ダンスのシーン多くないですか?」
「監督の印象が強いのは、ほとんどリュウタロスに憑依された智代子だったんだろう。・・・・・・ダンスレッスン、増やしておくからな」
「うわ~ん! 役がもらえたのは嬉しいけど、なんか納得いかないよ~!」
その後智代子はハイレベルなダンスレッスンを見事にこなし、ドラマで好演を果たした。
このドラマが、チョコアイドルの新たな一面を開拓する事になったのは、また別のお話。
「ハーッハッハッハ! 中々プリンの可能性を見つけてきているじゃないか電王! だがまだまだ駄目だ! 同じ桃太郎のよしみで教えてやる!
プリン140gに対し薄力粉と牛乳をそれぞれ大さじ3、砂糖を大さじ1加えて混ぜ、レンジで1分半加熱してもう一度混ぜたら、デザートにも使える美味しいカスタードクリームの出来上がりだ! アイスクリームにスコーンにアップルパイ、使えるお菓子は様々だぜ!
頑張れよ電王! ドン王への道はまだまだ遠いぜ!」
※作中に出てきたタコ焼きの具は、私が勝手に「これイケるんじゃね?」と想像したものです。もし試す場合は、自己責任でお願い致します。
■スタッグビートルイマジン
ドラマの監督がイメージした『ケラムボス神話』から、クワガタムシの姿で実体化したイマジン。大顎を模した一対の双剣で戦う。
監督の『オーディションでいい演技をする役者を見つけたい』という願いを受け、契約を履行すべく会場に潜伏していたが、生来持つ短気な性格から中々契約が完了できない事に苛立ち会場の人を襲った。
その後はガンフォームとなった電王に追い込まれ、「ワイルドショット」を受けて消滅した。
身長:170㎝
体重:78㎏
特色/力:双剣による乱舞