フルカラー大激突!最初からクライマックスなヒーロー見参!   作:星野エグゼ

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 大変お待たせいたしました。前回の投稿が……6月1日!?
 お待たせしすぎました。どうぞお楽しみください。


第6話 君の誇りはDIAMOND

 

 本日予定されていた収録が早めに終わった放課後クライマックスガールズは、空いてしまった時間に自主トレとして走り込みを行っていた。

 

 

「放課後~!」

 

『ファイ、オー! ファイ、オー! ファイ、オー!』

 

 

 掛け声を出し、一体感を高める。それにより、ライブでのパフォーマンスを存分に行える体力と連携が身につくのだ。そんな中ふと顔を上げた樹里が、上空の異変に気づく。

 

 

「雲行きが怪しくねーか?」

 

「ホントだ。なんだか、今にも雨が降りそうです・・・・・・」

 

 

 樹里につられて果穂も、空模様を気にしだした。

 風に乗って雲が流れてくる方には、大きな黒い黒雲が立ち込めている。

 走り込みを続けている最中にも雲行きは怪しさを増してゆき、やがて豪雨に降られてしまう。

 

 

「わっ! 降ってきました!」

 

「ここからだと、私の部屋が一番近いわ! ついてきて!」

 

 

 体が冷えて風邪を引いてしまっては大変だ。スケジュールに支障が出かねないからだ。

 放クラは夏葉の先導で、彼女の自宅へ雨宿りする事になった。

 

 タワーマンションの高層階。その一室が夏葉の自宅だ。壁一面のガラス張りの窓からは、本格的に土砂降りとなった外の様子が窺える。

 

 

「にわか雨だし、二時間もすれば止みそうね」

 

「いやー、けど助かったよ!」

 

「急に降ってきたから、かなり焦ったもんな」

 

「まこと・・・・・・僥倖でございました・・・・・・」

 

「そうです! 夏葉さんはいつも頼りになって、あたしたちのヒーローです!」

 

「ふふ、これくらいならお安い御用よ」

 

「私からも気持ちを籠めて送ろう。ありがた~く使うがよい」

 

 

 ふかふかのタオルを受け取りながら、メンバーが夏葉に礼を伝える。丁度全員にタオルが行き渡ったタイミングで、メンバー全員の携帯からチャットアプリ『チェイン』の着信音が鳴る。携帯を起動させ画面を見ると、プロデューサーからの連絡が入っていた。

 

 

『みんな! 雨に降られたみたいだけど、大丈夫か!?』

 

 

 問題無しとの旨を送り、タオルで濡れた髪を拭き上げる。

 

 

「タオル、スッゴくフカフカです!!」

 

「やっぱり夏葉ちゃんの家の物はひと味違うねぇ~!」

 

 

 タオルの毛並みは最高で、顔をうずめてそのまま過ごしたい気分になってしまう。また、柔軟剤の芳醇な香りもタオルの心地よさを掻き立て、至福のひと時を提供してくれる。

 

 

「待て待て待て! なんか変なのが居なかったか!?」

 

「私を『変なの』扱いとは・・・・・・頭が高い!」

 

 

 あまりにも自然な感じで居ついていたものだから、反応が遅れてしまった。

 やっと樹里がツッコミを入れたはいいが、甚大な態度で返されてしまう。今まで後ろでふんぞり返っていたので気づき辛かったが、ジークもまた問題児の一員なのだ。

 そんな問題児をいつの間にか自宅に招いてた夏葉に、他の四人は面食らう。

 すると、果穂の髪の毛が逆立った。

 

 

「『俺、参上』」

 

 

 モモタロスが果穂に憑依したのだ。

 

 

「『手羽先野郎お前こんな所に居やがったのか!』」

 

「頭が高い。頭が高いぞ」

 

「『背の高さはどうでもいいんだよ!』」

 

 

 M果穂がずかずかとジークへ近づき、襟首を掴んで持ち上げようとする。が、彼女とジークの身長には約20㎝の差があるので中々上手くいかない。

 M果穂が悪戦苦闘する後ろで、他の三人が夏葉にジークを招き入れた意図を尋ねた。

 

 

「それで、夏葉ちゃんはどうしてジークを招いたの?」

 

「凛世も・・・・・・気になっております・・・・・・」

 

「大通りを歩いている所を偶然見かけたのよ。どこへ行くのかも決めていなかったらしくて、つい招いてしまったわ」

 

「けど、どうしてジークはデンライナーから出てたんだ? 結局そこが気になってくるな」

 

『その辺の事情は、僕から話した方が良さそうかな?』

 

 

 そんな声が聞こえてくるのと同時に、凛世が眼鏡をかけたレディスーツ姿へと変わる。

 凛世に憑りついたウラタロスが、事のあらましを仰々しく語りだした。

 

 

「『デンライナーが故障中って事は、皆も知ってるよね?』」

 

「うん。私達が出会ったきっかけだもんね。よく覚えてるよ!」

 

「『故障したままだと動かせないから、僕達は皆で、デンライナーの復旧作業を分担して行っているんだ』」

 

「へぇ~。・・・・・・待てよ。じゃあアイツは何をやってたんだ?」

 

「『察しが良いね。先輩は勿論、オーナーさえ汗水たらしてデンライナー復旧の為に働いているのに、ジークだけはソファーに座ってふんぞり返っている。そんな状況に我慢ならなくなった僕達は、ジークを車両から追い出した・・・・・・という訳さ』」

 

「自業自得だったのね・・・・・・」

 

 

 事の顛末を聞いた夏葉は納得する。では夏葉がジークを匿ったのが間違いだったのかというと、そうでもない。

 

 

「『けど、見つけてくれて感謝もしてるよ。また誰かに忘れ物を届けてもらう訳にもいかないし』」

 

 

 借りにジークを置いて行けば、新たな騒動の火種になるのは明白だ。前にも似たような事例があったが、その時は通りすがりによって届けられた。が、次も彼が届けるとは限らない。

 フォローに回ったウラタロスは、そのままM果穂の元へ移動。彼女の肩に手を回し、耳元で語り掛けた。

 

 

「『ジークはここにいるって分かったんだし、そろそろ潮時じゃないかな。先輩?』」

 

「『シオドキもジョーモンドキもあるか! あいつを一回シメねぇと気が済まねぇんだよ!』」

 

「『それは放クラの皆に任せてもいいんじゃないかな? これまでも僕達と仲良くしてこれたんだし、きっとうまくいくと思うよ』」

 

「『お、おう』」

 

 

 モモ、ウラ、キン、リュウも揃って曲者だ。そんな彼らですら受け入れる放課後クライマックスガールズの懐の深さに賭けてみようと提案するウラタロス。モモタロスとしても、今この場でジークを締め上げる事と天秤にかけられる程の説得力を持つ選択肢であった。

 

 

「『じゃあな! それと首洗って待ってろよ手羽先野郎!』」

 

 

 悩んだ末に捨て台詞を吐いてモモタロスは憑依を解除し、夏葉の部屋を去ってゆく。それを見たウラタロスも凛世から離れた。

 

 デンライナーへと戻ったモモタロスとウラタロス。いつもの食堂車で、ナオミの出迎えを受ける。すると彼女の後ろにいるリュウタロスから、早速質問を受けた。

 

 

「モモタロスちゃんにウラタロスちゃん、おかえりなさい♪」

 

「鳥さん見つかった~?」

 

「あぁ。引っ張っては来れなかったがな」

 

「なんやだらしないのぅ! 少しはいじっちゅうもんを見せんかい!」

 

「いいんだよ! 今回はアイツらに任せた!」

 

 

 キンタロスに背中を強く叩かれたモモタロスは、どつき返しながらそう答える。しかし、リュウタロスには彼の指す人物らがピンと来ていない模様。仕方がないのでウラタロスは、リュウに助け舟を出す事にした。

 

 

「アイツらって誰?」

 

「放クラの皆の事だよ」

 

「オーナー、デンライナーの外から出しちゃっていいんですか?」

 

「いいですよぉ。但し、余計な混乱を招いたら・・・・・・相応の処罰を下しますがねぇ」

 

 

 ナオミのふとした疑問に答えながら、オーナーは銀のスプーンを光らせ、チャーハンに思い切り突き刺した。が、その所為でチャーハンの山に刺さった旗が倒れてしまう。

 

 

「やってしまいました・・・・・・」

 

 

 両手の甲を頬に当ててオーナーが悔いている頃、件のジークは夏葉の部屋で寛いでいた。うるさい来客が引き返したので、静かになった時間を楽しむジーク。足を組んで炭酸飲料入りのグラスを揺らしている。

 

 

「皆の者ご苦労。これで平穏は取り戻された」

 

「なーんかアタシらだけ動いてた気もすっけどな」

 

「当然であろう。世界は私の為に回っているのだからな」

 

「ジークさん、スゴい自信です・・・・・・!」

 

 

 樹里の指摘への返答から見られた態度の大きさに、果穂も思わず舌を巻く。

 

 

「皆の者、私は腹が減った。デザートを持てい」

 

 

 ジークが新しい命令を下した。

 

 

「スイーツなら、貰い物のフィナンシェがあったはずだけど・・・・・・満足してくれるかしら」

 

「確かに・・・・・・派手さが足りないもんねぇ」

 

「う~ん・・・・・・どうすればいいんでしょうか・・・・・・」

 

 

 プレーンのフィナンシェでは物足りないのではなかろうか。

 夏葉が浮かべた疑問に智代子が頷き、果穂が首をかしげる。彼女らが思い浮かべたのは、デンライナーで提供されるコーヒー。抜な色使いが特徴的なそれは、イマジンらに好まれている。

 このフィナンシェをイマジン好みに仕上げるアイデアを思い付いた凛世が口を開く。

 

 

「・・・・・・『でこれぇしょん』は、如何でしょうか」

 

「ホイップクリームとかで飾るのが定番だよな。冷蔵庫にあんのか?」

 

 

 そう問われて夏葉が冷蔵庫の中を思い出す。

 

 

「ホイップクリームは無いけど、卵ならあるわ! これでメレンゲを作りましょう!」

 

 

 早速キッチンの棚からボウルを取り出し、メレンゲ作りが開始された。卵白と卵黄を分けて卵白の方をボウルに入れ、砂糖を三度に分けて加えながら五人が交代でかき混ぜる。卵白から泡だて器を離した際にツノが立ち、ツヤとハリが出来るようになれば、美味しいメレンゲの完成だ。

 そうして出来上がったメレンゲと、智代子が鞄に入れていたチョコレートを使ってフィナンシェをデコレーション! 完成したスイーツをみんなでジークの前まで運ぶ。

 

 

「お待たせしました! どうぞ召し上がってください!」

 

「おお! これはこれは・・・・・・」

 

 

 ジークが皿を受け取ると同時に全員の携帯からショートメッセージの着信音が鳴った。メッセージの送り主は、彼女らのプロデューサー。

 

 

「プロデューサーさんから、西公園にイマジンっぽいのを見たってメッセージです!」

 

「雨なんて気にしていられないわ! 今すぐ行きましょう!」

 

 

 メレンゲを作っていた内に雨の勢いが弱まっているとはいえ、外に出ては再び濡れることになるだろう。それを承知の上で駆け出す放課後クライマックスガールズを、ジークは静かに見つめるのだった。

 

 

 

▽△▽△▽△▽△

 

 

 

 件の公園では、男子高校生がクラゲのイメージから生まれたイマジン、ジェリーイマジンに詰められていた。

 

 

「お前の捜してた物だ。これで契約は完了だな」

 

「・・・・・・それには四人の友情の証が無い。これは違う!」

 

「いいから黙って時の扉を開け!」

 

 

 契約完了を拒否されたジェリーイマジンは、激昂し青年を触手で鞭打つ。彼は至る所に痣が出来た体を丸まらせ、目を瞑ってすすり泣きながらも契約完了を認めずにいる。

 

 

「ち、違う・・・・・・それじゃない・・・・・・!!」

 

 

 契約完了を拒絶し続けている青年に、ジェリーイマジンの苛立ちは加速する。拳を軽く握るとまたも触手を振るい、青年の体に新しい痣をつけた。

 そこへ、放クラの五人が駆け付けた。

 

 

「やっぱり実体化してる!」

 

「既に・・・・・・契約は成ったのでしょう・・・・・・」

 

「それに、このままじゃあの人が危ないです・・・・・・! モモタロスさん、行きますよ!!」

 

『待て』

 

 

 ライダーパスを懐から取り出し変身準備に入る果穂をジークが声で制すると、そのまま夏葉へと憑依した。首に白い羽根のマフラーを巻き、瞳もまた白く。そして頭部には数本の白いメッシュが入った。

 

 

「あぁーーーっ! ジークさんが、夏葉さんに!!」

 

「『彼女には一宿一飯の恩義があるのでな。今こそその恩を返そう』」

 

『あら、義理堅いのね。けど、私はあなた一人に任せておく気は無いわ』

 

 

 W夏葉は静かに頷くとどこからともなくデンオウベルトが飛来し、彼女の腰元に巻き付く。ベルトのバックルは黄金の鳥の形に変化しており、中央からは水色の輝きを放っている。

 

 

「『変身』」

 

 

 優雅なサウンドが流れる中、W夏葉はパスを変化したバックルにタッチする。

 

 

《Wing form》

 

 

 電子音が流れると金色のオーラスキンが実体化し電王・ソードフォームと同じ形状の、しかし白色のオーラアーマーが装着される。

 顔面中央のレールに沿ってやって来るのは、水色の白鳥。それが広げた翼を模る電仮面へ変形し、マスクの上に装着される。

 

 

「『降臨、満を持して!』」

 

 

 純白の羽根がひらひらと舞い降りる中、電王・ウイングフォームへの変身が完了した。

 電王は徐に腰のデンガッシャーを手に取ると、一番パーツと四番パーツ、二番パーツと三番パーツをそれぞれ繋ぎ、ブーメランモードとハンドアックスモードへ変形させる。それを見た四人は、倒れた青年へと駆け寄った。

 

 

「おい、無事か!?」

 

「は、はい・・・・・・何とか」

 

「ねぇ、よかったらイマジン・・・・・・あの怪物が何を探してるのか、私たちにも教えて欲しいな」

 

「三人の友情の証が付いたキーホルダー・・・・・・お揃いの赤い炎のエンブレムが付いてるんだ。失くしたとなったら、あいつらに顔向けできねぇよぉ・・・・・・!」

 

「・・・・・・!」

 

 

 青年が咽び泣きながら失せ物の詳細を語る。彼が言うには、キーホルダーを最後に見たのがこの公園だとの事。失くしたことに気づき、公園まで戻って探している所に契約を持ち掛けてきたのだ。

 失くして号泣する程に大事なものなのだから、きっと三人の絆も固く結ばれているのだろう。そう思い至った果穂は不敵な笑みを作り、青年の手をぎゅっと握った。

 

 

「心配しないでください!」

 

「き、君・・・・・・」

 

「キーホルダーは、あたしが探してきます! だから、あなたはここで休んでいてください!」

 

「あ、ああ、ありがとう・・・・・・ありがとう・・・・・・!」

 

 

 果穂の言葉を受けた青年は彼女の手を握り返すと、感極まったのか熱い涙を流す。

 

 

「しょーがねーな・・・・・・アタシらも探すか!」

 

「落し物は、警察へ・・・・・・。凛世は、交番へ行って参ります」

 

「そんじゃ、アタシは公園の外探してくるぜ」

 

「分かった! 見つけたらチェインのグループに連絡入れてね! 君、怪我は大丈夫? 立てる?」

 

「俺の為にゴメンな・・・・・・」

 

 

 青年は智代子に支えられて近くの病院まで歩くことになった。そして果穂は公園内の捜索へ。樹里と凛世は公園を出て、それぞれの目的地へ向かった。

 

 果穂達がそうしている間にも、電王とイマジンの戦いは進んでいた。ジェリーイマジンが伸ばした触手をデンガッシャーで切り裂いていった電王だったが、突如として電王の右足を痺れが襲う。電王の足元にジェリーイマジンの触手が絡みつき、電撃が流れ込んだのだ。すぐさまハンドアックスで触手を切り離したので事なきを得たが、それでも足には痺れた感覚が残っている。

 

 

「『電撃か・・・・・・』」

 

『厄介ね。触手には当たらないようにしましょう』

 

「そらそら! どんどん行くぞ!」

 

 

 右足の様子を確かめながら気を引き締める電王に、ジェリーイマジンは今が好機と触手を伸ばして攻め立てる。

 ジェリーイマジンが振るう触手を、電王は時に両手のデンガッシャーで切り払いながら、最小限の動きで避け続けた。思うようにいかない事で次第にジェリーイマジンの苛立ちが募り、やがて彼はしびれを切らす。

 

 

「ムカつくなぁ! どうしてあれっきり当たらねぇんだよ!?」

 

「『教養の差ではないか?』」

 

『力み過ぎは良くないわ。適度に力を抜いて、思いっきり振り抜かなくちゃ』

 

「・・・・・・きいいぃぃっ!」

 

 

 ジェリーイマジンはジークと夏葉の言葉を受けてムキになり、大量の触手を一斉に伸ばした。触手はそれぞれで異なる軌道を描き、中にはブラフやフェイントも仕込まれている。二十を優に超える触手の中で、電王に到達するのは、たった六つ。

 

 

『右から二つ、左から三つ。それから左斜め上から一つよ!』

 

「『心得た』」

 

 

 が、夏葉に動きをいたって冷静に見切られ、電王がハンドアックスとブーメランの刃で迫る触手を全て選んで切り落とす。

 

 

「なっ・・・・・・!?」

 

 

 渾身の技が通じなかった点に動揺し、ジェリーイマジンの動きが一瞬、止まった。

 

 

「『我が刃の前にひれ伏せ』」

 

 

 電王は武器についた粘液を削ぎ落すと、ブーメランを投擲。ブーメランは回転しながらジェリーイマジンの胸目掛けて飛んで行く。

 

 

「ふざけんよ・・・・・・こんなとこで、負けてたまるかよ!!」

 

 

 電王への強い執念にジェリーイマジンは追い立てられ、その身体を液状化しブーメランを突き抜けさせた。ブーメランが彼方へと飛んでいったことを確認したジェリーイマジンは、液状化を解除し電王に勝ち誇る。

 

 

「それ見ろ! 噂の電王も大したことないじゃないか!」

 

《Full charge》

 

 

 罵声を浴びせてくるジェリーイマジンに対し顔色一つ変えずに、電王がライダーパスをバックルへタッチ。エネルギーが充填されたハンドアックスを、電王は投げた。

 また飛び道具か、とジェリーイマジンが動こうとした時、彼の背に激痛が走る。返ってきたブーメランが背を切り裂いたのだ。それに数刻ずれてハンドアックスが鳩尾へ突き刺さる。それを確認するや、電王が疾走。ハンドアックスを手に取るとそれを振り抜きながら、ジェリーイマジンへ背を向ける。すると、ブーメランが丁度電王の手に収まった。

 致命傷を受けたジェリーイマジンは仰向けに倒れながら爆散。イメージが暴走する気配もない。電王の勝利だ。

 

 戦闘を終えたW夏葉は変身と憑依を解除。今もキーホルダーを探し続けている果穂へ声をかけた。

 

 

「こっちは片付いたわ。果穂、キーホルダーは見つかったかしら?」

 

「夏葉さん! それが・・・・・・まだなんです・・・・・・」

 

 

 果穂が申し訳なさげに項垂れる中、二人の携帯からチェインの着信音が鳴る。

 

 

『見つけたぜ! アイツのキーホルダー!』

 

『今は凛世ちゃんと○○病院にいるよー!』

 

 

 メッセージは、樹里と智代子からのもの。すっかり雨も上がって雲の切れ間から青空が覗く中、果穂と夏葉は三人が待つ病院へ走った。

 

 病院の玄関前で待っていた智代子が二人を見つけると手を大きく振り、樹里がキーホルダーを掲げ、その後ろで凛世がお辞儀をする。

 キーホルダーには確かに炎のエンブレムが刻まれており、青年が語った特徴と一致している。

 

 

「全員集合です!」

 

「みんな、泥だらけじゃない。帰ったらシャワーを浴びる必要がありそうね」

 

「・・・・・・どうして凛世さんとちょこ先輩まで、泥だらけなんですか?」

 

「病院へ送った後、どうしても気になってね・・・・・・」

 

「はい・・・・・・。凛世も同様に、警察へ伺いを立てた後、捜索に加わりました・・・・・・」

 

「それより、今はとりあえずキーホルダーだろ? 渡しに行こうぜ」

 

 

 そう言って入っていく樹里に続いて、他の四人も病院へ入った。病院の待合室では、既に処置を受けた青年が、手を組んで祈りながら椅子に座っている。青年は彼女らが視界に入ると、痛みを訴える体を無視して駆け寄った。

 

 

「見つかったんですか!?」

 

「おう。ほらよ」

 

 

 差し伸べられた青年の手のひらに、樹里が剣の形をしたキーホルダーを落とす。

 

 

「本当に、本当にありがとうございます・・・・・・!」

 

 

 青年はキーホルダーを胸元に寄せると、大粒の涙をこぼしながら固く握りしめる。

 するとそこへ、新たな来訪者がやって来た。

 

 

「おい一ノ瀬! 怪我したって本当か!?」

 

「誰だ!? 誰にやられたんだ!?」

 

「二宮、三村!」

 

 

 彼らはイマジンに襲われた青年、一ノ瀬の友人だ。彼が病院へ行ったと聞きつけて、お見舞いにやって来たのだ。友の無事を確かめ一頻り喜び合った三人は、恩人に礼を言うべく五人の方へ向き直った。が、ここで二葉が気付く。

 

 

「ってかあの人たち、アイドルの放課後クライマックスガールズじゃねぇか!?」

 

「えっウソマジ!? 俺そんな有名人に手伝ってもらってたの!? ヤバ~!」

 

「サイン! サインください!!」

 

 

 画面の向こうの有名人との遭遇により、男子高校生三人のテンションは急上昇。一気に沸き上がり、せっかくだからとサインをねだった。

 

 

「みんな、どうする?」

 

「オフなのだけれど・・・・・・サインならお安いご用よ」

 

「はいっ! あたしも問題ナシです!」

 

「応援してくれる方への心遣いは、欠かしたくなく・・・・・・」

 

「みんな賛成みたいだな。・・・・・・アンタら、なんか書くモン持ってねーか?」

 

 

 樹里に尋ねられると、彼らはスマホケースとサインペンを差し出す。受け取ったケースに収まるように、五人の手でそれぞれサインを書いてから返すと、彼らは満足気に息を吐いた。

 

 

「やべーよ! 俺芸能人のサインなんて初めて貰ったよ!」

 

「俺だってそうだ! これは一生モノの経験だぜ!」

 

「だよな!」

 

 

 これからも彼らの友情は、刻まれたエンブレムの如く燃え上がるのだろう。そんな確信めいた願望を抱きながら、果穂達は病院を後にした。

 

 

 

▽△▽△▽△▽△

 

 

 

 キーホルダーの紛失を発端とする一連の出来事が片付いた後日。放クラの五人とプロデューサーがいつものようにデンライナーの食堂車へ遊びに来ていた時、ジークがようやく戻ってくる。何の前触れもなくふらりと現れたジークに、モモタロスがガンを飛ばしながら詰め寄った。

 

 

「テメェ、どの面下げて戻ってきやがったんだ」

 

「今ようやく分かったのだ。そなたらの行動の理由が」

 

「なるほどねぇ・・・・・・なら聞かせて貰おうじゃねぇか」

 

「良いだろう。そなたらは・・・・・・」

 

 

 モモタロスが期待混じりに問いつつ、耳らしき部位に手を当てて聞く姿勢に入る。食堂車に集った面々が固唾を呑む中、ジークが口を開いた。

 

 

「私を快く過ごさせようとしてくれたのだな!」

 

 

 食堂車の全員がずっこけた。

 

 

「私は高貴な存在故に、汚さないように故意に追い出したのであろう? いやはや、そなたら臣下の心意気には大いに感心させられる」

 

 

 そう語りながら寛ごうとするジークにすかさずモモタロスが突っかかろうとするも、前からはウラタロスが押しとどめられ、後ろからキンタロスに羽交い締めにされて身動きが取れなくなってしまう。

 

 

「テメェこの野郎! やっぱ一回〆ないと気が済まねぇ!!」

 

「まぁまぁ落ち着こうよ先輩。果穂ちゃんの前だよ?」

 

「せやせや! 頭を冷やせモモの字!」

 

「イェ~イ、頭頭~!」

 

 

 その周囲でリュウタロスがちょこまかと動き回りながら、ピコピコハンマーでモモタロスの頭を何度も叩いている。

 最早いつもの光景と化した、じゃれ合いのような喧嘩を眺めながら

 

 

「デンライナーの機能が復旧すると快適に過ごせるのは間違いじゃないから・・・・・・半分はあってるのかもな」

 

「もしかして、私たちがジークを甘やかしたからこんな風になっちゃったのかな!?」

 

「いや、ああいう奴はそう簡単に自分ってのを曲げねーだろ」

 

「ふふ・・・・・・終わり良ければ、総て良しともありましょう・・・・・・」

 

「そうね。私たちは一ノ瀬さんたちの友情を守れた。それでいいじゃない!」

 

「結果がオールライト! です!」





 五人のアイドルと五人のイマジンはそれぞれ邂逅を果たし、この物語はいよいよ後半へ! 完結までお付き合いいただければ幸いです!

■ジェリーイマジン

 男子高校生の一ノ瀬と契約したイマジン。彼がイメージした童話『クラゲのおつかい』からクラゲのような姿で現出した。
 体中にある触手を伸ばし鞭のようにして使用するほか、この触手から電撃を放つことも出来る。また、身体を液状化させる能力も持ち、投擲されたブーメランへの緊急回避手段として用いた。
 一ノ瀬の「キーホルダーを探し出す」という望みを叶えようとするが、持ってきたキーホルダーは全て契約者に別物と判断され契約を果たせずにいた。そこへ駆けつけた放課後クライマックスガールズによって契約者を離され、契約を果たせず苛立つ中、電王ウイングフォームへ精神的優位に立とうとするも悉く阻まれ、「ロイヤルスマッシュ」を受けて爆散した。
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