まさかのここで終わるか!?という所で終わってしまったので後章が待てない…
前章ではゴルバ出てきてないし、前章ではグレートプレアデスの後ろにいたカットしかなかったから後章見たら気絶しそう…
西暦2042年6月12日
イグルート帝国 バルバード軍港陸軍基地 基地本部 会議室
「ところで日本連邦国の諸君。我がイグルート帝国に何の用かね?あれほどの威圧感のある戦艦を持ち出したと言うことは砲弾外交と捉えても致し方ないが?」
急遽、イグルート帝国外交省から派遣される外交官の繋ぎとして陸軍基地司令がバインダーを片手に言った。
「ええ、そう捉えてもらっても構いません。しかし、こちらとしてはこの世界は何があるかわからない未知の領域。決して砲弾外交ではないと宣言します。」
両津外交官の言葉に陸軍基地司令は何も言わずに手元にある書類を見た。
「それで…えー…と。日本連邦国の外交官が来たのには何の目的がある?」
「我が国は貴国との国交締結のためにここに訪れました。この世界で生きていくためには隣国である貴国との関係が必須なので。」
「そうか…分かった。簡単でいい、日本連邦国について話してくれ。文化でも軍事でも特産物でもいい。私は簡単な報告書の作成を頼まれているのだ。」
「分かりました。では、簡単かつ簡潔にお話ししましょう。日本連邦国は我々のいた地球世界では先進国に分類され、軍事力、経済力共に世界3位を維持してきました。人口は1億9000万人で、首都は東京。準首都として大阪、京都があります。」
「準首都とは何だ?」
「準首都とは首都が自然災害やテロ、戦火に晒された場合に速やかに遷都する為の都市であり、首都と同等かそれ以下の国の重要施設を有しています。」
両津外交官の言葉に陸軍基地司令はふむふむと羽ペンで書類に書き込む。
「ところで、貴国では羽根ペンは主流であるのですか?」
「いや、完全に私の趣味だ。」
両津外交官は羽根ペンの存在が趣味であることに安心する。まさか、羽根ペンが主流だとしたら時代錯誤すぎる。
「では続けます。主食は穀類である米や小麦粉で作られるパンです。どちらかといえば、米の方が主食と言えるでしょう。そして…」
「もういい。次に行ってくれ、次は軍隊についてだ。」
中々、客人に失礼な男だなと両津外交官は思う。が、その言葉を心の内に秘めたまま、営業スマイルを続ける。
「日本連邦国軍は5軍制となっています。陸軍、海軍、空軍、海兵隊、宇宙軍です。ここまでで何かわからないことはありますか?」
「その…海兵隊とか宇宙軍とは何なのだ?」
「分かりました。海兵隊とは陸海空軍よりもより早く迅速に行動することができるいわば即応軍です。陸海空軍の混成部隊と思ってもらってもいいです。宇宙軍は宇宙空間にて作戦を行う軍隊であり、地球世界では宇宙空間の領有権が無いので、あくまでも人工衛星や対人工衛星用の武装や人工衛星に偽装した戦闘宇宙艦が各国上空で睨み合っている程度です。」
「ちなみに兵力は?」
「おっと…言い忘れていましたね。陸軍が12万人、海軍が10万人、空軍が8万人、海兵隊が4万人、宇宙軍が3万人です。」
「…まぁいい。こんなところでいいか。日本連邦国の諸君、ここからは私的な意見だが、我が国は日本連邦国のことを疑ってかかるだろう。そうしたら、日本連邦国が我が国の外交官を招待しろ。そうすれば、日本連邦国のことは嫌でもわかるだろう。」
「奇遇ですね…私もそうしようと思っていたところでした。」
両津外交官の言葉に陸軍基地司令はニカッと笑う。態度こそ大きいが、悪い人では無いのだ。
「しかし、なぜ我が国のことを考えてくれるのですか?」
「…これも国益の1つだ。日本連邦国の戦艦はとても力強い。どう見たって、イージス艦にしか見えない。ああ、イージス艦というのはだな…」
「説明は結構です。我が国にもイージス艦は存在しますので。」
「ほう!技術的な開きもあまり無い様ですな。」
陸軍基地司令はそういうと席を外す。そして、ドアを開けると去り際に顔を両津外交官に向けた。
「では、案内役がまた来る。本国からの外交官はあと2日で来る予定だ。私とは多分、この先も会わないだろう。では失礼。」
バルバード軍港 戦艦機動艦隊 前衛武装戦隊 〈扶桑〉
特徴的な艦橋。違法建築などと揶揄される本艦であるが、高い艦橋には高度な電探が積まれており、戦艦機動艦隊の目となっていた。その最大探知距離は350海里。648キロである。
「電探に反応…62海里先の周辺空域を飛行していた6の所属不明機より発射された12発のミサイルが接近中。」
「〈大和〉より入電。『直ちに迎撃せよ。』以上です。』
「座標入力…艦対空ミサイル発射ッ!」
主砲と艦橋の間に設置された箱型の多目的ミサイルランチャーから24発の艦対空ミサイルが発射される。微かな白煙だけを吐き出しながらロケット推進で12発のミサイルへ向かう。
「反応消滅…全弾迎撃しました。」
「所属不明機をカメラが捉えました!映像映します。」
スクリーンに表示される6機の所属不明機。三角形の陣形を取りながら優雅に飛行している。
細い胴体に短い矩形の主翼を持つ小型軽量の機体に強力な単発エンジンを一基搭載している。その卓越した高速性と形態はミサイルを彷彿とさせている。イメージとしてはF104 スターファイターといったところか。
排気熱は緑。『スパニート66』といいこの世界はどうなっているのか。
速度はマッハ0.8。高度は驚異の30フィート。メートルに直すと約10メートル。
「敵編隊の練度は高いな。無人と言われても信じてしまうだろう。」
艦長の発言に周りにいる船員は皆、小さく頷く。コックピットには小さな窓があり、付近に熱源がある事から有人であることは確実であるのだが、イマイチ信じられない。それ程の練度なのだ。
「第1主砲に対空炸裂弾を装填。反撃だ。」
「第1主砲に対空炸裂弾を装填開始!…自動装填終わる。」
「第1主砲発射よーい!…発射まで、3…2…1…。」
「撃てぇッ!」
高波が立つ。砲撃したことで砲身から黒煙が噴き出し、艦が左右に大きく揺れた。
30.5センチ連装砲から放たれた30.5センチ対空炸裂弾の威力は伊達ではなかった。内装されている赤外線センサーで敵編隊まで誘導。それから、敵編隊より10メートルで炸裂した。火球が生成され、敵編隊の前方を覆った。
そして、1発につき50発の子弾であるタングステン弾が敵機を血祭りに上げる。
すると、敵編隊の1番前を飛行していた所属不明機にタングステン弾が命中。右翼がもげ、胴体が穴だらけになる。駆け抜けるタングステン弾は他の機体をも貫き、たちまち飛行能力を奪う。
タングステン弾の嵐が過ぎ去った時には航空機とは思えない醜いスクラップが登場する。当然、コックピットもその影響を受けており、生存者はいないだろう。
一瞬にして血祭りに上げられた敵編隊。その様子がスクリーンにリアルタイムで配信され、船員たちは歓声を上げる。
「全機撃墜完了。…ッ!?」
「どうした?」
「…バルバード軍港陸軍基地から入電…です。」
艦橋内が一気にピリついた。皆が電探士の方に顔を向ける。
「読み上げろ。」
「『こちらはバルバード軍港陸軍基地である。現在、日本連邦国艦隊に攻撃を加えたのは我が軍の航空機では無い。迎撃を感謝する。』以上です。」
艦橋内の空気が元に戻った。安堵の声が艦橋内を包み込む。が、その中で対照的に険しい顔をする男が1人。艦長である。
「これは次が来るぞ。」
その言葉に船員たちの視線が艦長に集中する。そして……。
「120海里先を航行している4の艦影よりミサイルが発射。その数32発…目標は〈大和〉ですッ!」
「愚かな…暴れ女をわざわざ相手しようとするとは。」