崩れ落ちる残った床の下には
「不味いぞっ?!ここももう持たない!!
エイミィ!!全員の強制転移を早く!!」
〈今やってる!!〉
〈プレシア・テスタロッサ!
今はここからの脱出に〉
「もぅ、いいわ。」
その言葉を合図に
プレシア・テスタロッサと
アリシア・テスタロッサの肉体が入ったカプセルの下に
「かあさん!!」
駆けだすフェイトをあざ笑うように
広がり続ける虚数空間
「ダメだ!フェイト!!」
全身でフェイトを受け止め
アルフとなのはもソレを止める
「ごめん、アリシアちゃん!変わって!」
(うん!お願い!アリサちゃん!)
泣き崩れるフェイト
それを抑えるなのは、アルフ、クロノ
3人に合流するアリサ
「シンヤ!!早く!!」
わりぃ、行って来る
虚数空間に自ら飛び込んだ
「・・・シンヤーっ!!」
▽
「っ!?
・・・プレシア・テスタロッサ、
アリシア・テスタロッサのカプセル、
・・・シンヤ君を除き、全員、
アースラに転移、完了しました。」
「アースラ、次元震の中心より離脱、
影響が出ない安全区域へ。」
「りょう、かい。」
「母さん!!シンヤは!?」
「クロノ、職務中よ、
アースラ全力運転、当区域より全速離脱。」
局員達が了解と小さく返す
「エクサグラマ?」
《駄目です、既に眷属召喚範囲外です》
「あら?そんな事言ったかしら?」
《握る手を強くされても、
無理は無理です、マスター》
「バルディッシュ。」
《すみません》
「レイジングハート。」
《・・・不可能です》
「ねぇ、ハピネス。」
《・・・全ての情報を再検索しています》
▽
虚数空間内
(へぇ、思ったより空間としては
安定してるんだな)
《・・・シンヤ》
「バカね、貴方。」
「あぁ、底無しな馬鹿だけど?なにか?」
「もぅ、魔力は使えないわ。」
「あぁ、知ってる。」
「戻れないわよ?」
「なぁ。」
「なによ?」
「俺の母親になってくれないか?」
「・・・脳味噌、入ってるの?」
「いや、俺の両親、
航空機事故で二人共亡くしてるんだ。」
「そぅ。」
「家も空き部屋がまだあるんだ。」
「そ。」
「しなの、充填率報告。」
《現在、68%》
「何をしようっての?」
「
俺を抱えてくれる?立ってられなくてさ。」
有無を言わさずもたれかかる
「貴方ね・・・いいわ、
ほら、これでいいかしら?」
触れるだけで滲み出る血液は
シンヤの身体が異常をきたしているのは明白だった
「貴方のデバイスも支える?」
「うん。」
「わかった。」
いつの間にか、アリシアのカプセルは
この子のデバイスのアンカーで固定され、
私達もしっかり捕まえていた
「しなの、ばれるてんかい。」
《・・・はい》
「こんな主人で苦労するわね、貴方も。」
《えぇ》
「しょうじゅん、こてい。」
《はい》
(明確な目標も無いのに何処を狙っているの?)
辺りは漂うナニカが行ったり来たり
分裂したり融合したり
「ほうしん、かいほう。」
あの艦首を模した砲身がせり出して来る
「たきおんりゅうし、さいだいあっしゅく。」
《充填率98%》
「たいしょっく、たいせんこうぼうぎょ。」
《準備、よし》
身体を押さえてくれていた
《充填率100%》
「さいしゅうあんぜんそうち、かいじょ。」
滴る血は球体に溜まっていく
「かあさん、みえない、から、
かわり、に、ひきがね、ひいて?」
その手に力は無く爪の間からも血が流れ出ていた
「っ、ほら、私も持つから、
一緒に引くわよ?しんや?」
うなずく
《充填率120%
最終調整、右3度、上方2度修正》
「はどうほう。」
「発射。」
《最大解放、発射》
▽
「アースラ、安全区域に退避完了、
次元震、終息に向かっています、
ロストしたジュエルシード9つは、
回収不可能です。」
エイミィが事務的に言葉を放つ
「状況終了ね、エイミィ、
お疲れ様、部屋で休んで頂戴?」
「はい。」
「クロノ?」
「なんですか?」
「エイミィを、彼女を部屋に送って頂戴?」
「・・・わかりました。」
泣き、うずくまる4人に掛けられる言葉が無かった
警報が鳴り響く
「きっ、極めて極大なエネルギーを検知!!」
「エイミィ!!」
「今、スキャンをしています!!」
(アリサ!!アリサ!!お願い!!)
「・・・あり、しあ?」
《タキオン粒子を検知!!
間違いありません!!しなのの物です!!》
「っ?!」
「メインパネルに!」
一筋の蒼い光が映し出された
「これは・・・。」
「っ!?生体反応検知!!
生きてます!!
シンヤ君の生命反応も!!
プレシア・テスタロッサの反応もあります!!
カプセルも確認出来ました!!」
「アースラ!最大船速!
救助急いで頂戴!!」
▽
「宇宙空間、ね。」
球体は維持され漂っている
「ねぇ、シンヤ?シンヤ?」
《生体反応著しく低下、
早急に処置が必要です》
「ちょ、こんな状況でなにが出来るって言うのよ?」
《・・・できません》
「貴方ねぇ!!」
(おかしい、苦しくない?)
「まさか!?」
《はい、貴女の病巣はシンヤが引き受けました》
「バカな事をっ!?」
人工呼吸を続け、
AED代わりに雷撃を抑え心臓を動かし続ける
「起きなさい!!起きなさいよ!!」
《やはり、持ちませんでしたか》
「クソデバイス!!何を知っているの!
教えなさい!!」
《心臓が身体の割に小さい病気だそうです、
既に、貴女の紫電の直撃を喰らい、
ダメージが残っているにも関わらず、
こうして無茶をした、その結果です》
「戻りなさい!!シンヤ!!
貴方言ってたでしょ!!
私に母親になって欲しいと!!
バカ!!
私に
《・・・微弱ながら心臓の鼓動を検知、
再動を確認、自発呼吸も確認しました》
「しんや!!」
「・・・ただ、いま、ぷれしあ、かあさん。」
▽
あれから2週間
面会謝絶のままシンヤとは会えていない
「シンヤ兄さん、大丈夫だよね?」
「アリシア、重い、どいて。」
「ちょっ!?重くありません~っだ!」
意識が戻ったと思ったら
プレシア・テスタロッサさんの・・・胸を掴んで
カプセルのアリシアに触れた
そして、目覚めたのだ
身体は事故当時のままで
私と同じ服のサイズなのが災いし、
経過観察の元、家に居候している
勿論、プレシア・テスタロッサさんもいる
え?なんでって?
しなのが、管理局の色々を引っ掻き出して、
プレシア・テスタロッサさんが
被害者なのも判明しちゃったから減刑で、
この次元で終身刑、つまり、他の次元には行けない
「で?リンディ母さん?なにしてるの?」
この抹茶ラテ激甘党のリンディ母さんは、
プレシア・テスタロッサさんと話している
「シンヤ君の面会謝絶が解除になるから
その日程調整よ?」
▽
「シンヤ?」
(おぅ、アリサ、悪い、色々ガタガタだ)
機械の左腕
黒く変色した両膝下
左目の眼帯
《サポート、範囲を拡大します》
「・・・ぁー、あー、
うし、声出るな、
うひー、感覚はあるけど、
メカメカしい左腕に、うわっ、なんだこの色、
あ、でも動くな。」
「それが代償なのね?」
「あ、プレシア母さん、
ごめんね、心配させて。」
「ばかね、ほら、
シンヤよ、アリシア?」
「ひゃぅ!?」
「あはは、生身じゃ初めましてだな、
アリシア?」
「シンヤ、兄さん?」
「お?俺が兄貴でいいのか?」
「うん!おにいちゃん!!」
抱き着かれた
「あはは・・・心配かけたな、アリシア、
もぅ、無茶はしないよ。」
「ばかぁ・・・。」
二人に抱きしめられ
・・・やば、ムラムラしそう
《マスター、シンヤの部分的に熱量が上がっていますが?》
「へ?」
「ばかっ!?」
「え?なにこれ?」
ばちん!!
ァー!?
「ちょっ?!アリシア!?
そこは叩いちゃダメよ!!」
「シンヤ!?シンヤ!?大丈夫なのっ!?」
「・・・大丈夫なら、悶絶しない。」
「あはは!おにいちゃん変なの~!!」
「アリシア!!ちょっと来なさい!!
フェイト!!フェイト!!
そこで覗いてないでアリシアを捕まえて!!」
「はわわわ///」
「ねぇ?フェイトちゃん?なんで
お顔が赤くなってるの?」
「ひゅぇっ!?」
「エクサグラマ、やっぱりシンヤを処するべきかしら?」
《それは大丈夫かと、
と、言うか助けないんですか?》
「五月蠅いぞお前ら!ここは病院なんだぞ!」