リリカルなのは 変動記   作:扶桑畝傍

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30話

やっちまった

 

「はぁ。」

 

思えばこの身体に10年

 

前世で35年

 

計45年生きても

 

「人間嫌いは治らない、か。」

 

数珠を掴み

 

「読むか。」

 

延々と般若心経を読み出す

 

▽

 

 

「あの、アリサ。」

「なに?」

「怒ってる?」

「そうね、フェイトは知らない事ばかりだから

 しょうがないけどアンタは別よ?な(・)の(・)は(・)。」

「なんで?」

「はぁ、シンヤが言った事、もう忘れたの?

 フ(・)ェ(・)イ(・)ト(・)は(・)貴(・)女(・)の(・)物(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)、

 なのは、今のアンタは

 お(・)も(・)ち(・)ゃ(・)を(・)取(・)り(・)上(・)げ(・)ら(・)れ(・)た(・)子(・)供(・)な(・)の(・)。」

「子供って・・・。」

「それと、フェイト。」

「はい!」

「今日から家に泊まりなさい、

 なのはは、お(・)兄(・)さ(・)ん(・)から

 お説教があるから帰りなさい。」

「え?」

「そうそう、なのはさんのご両親も

 オ(・)ハ(・)ナ(・)シ(・)があるから

 帰って来なさいって言ってたわ、

 多分そろそろ。」

 

なのはー!!

 

「ひぃっ?!」

部屋の隅に逃げるなのは

 

コンコンコン

「開いてるわよ~。」

「失礼する。」

普段は良いお兄さんの恭也さんだけど

「ぁ。」

「なのは、帰るぞ。」

「ハイ。」

殺気が乗った言葉は重かった

 

▽

 

嵐が過ぎ去った部屋に戻ると

 

「・・・晩飯、まだだろ?」

とりあえずでた一言だった

 

って、買い物してねぇから・・・

 

「ジャガイモに、コレかぁ。」

 

前世に置ける初料理で

特定の人が食べると泣いてしまうアレを作る

 

「ほれ、とりあえず腹入れとけ。」

 

ジャガイモパンケーキ

 

程よい甘さとジャガイモの風味が良く出る

 

「シンヤ。」

「悪い、今から追加の食材買って来る。」

 

▽

 

「・・・リンディ母さん、食べる?」

「そうね。」

 

「って、フェイト?大丈夫?」

ポロポロと涙を流しだす

 

「っ・・・わからないの、でも、止められない。」

「フェイト?私にもくれるかしら?」

「プレシア母さん。」

「・・・ごめん、私はパス。」

「アリシア?」

「これは、ね。」

そう言って部屋を出てしまった

「っ!?

 これは・・・そうね、男が作る、

 そう言う味ね、これは・・・っ、

 涙なんて、久しぶりね。」

リンディ母さん

プレシア母さん

フェイトも

「・・・えい!」

私も食べる

「・・・ふぇ?」

ポロポロ

「にゃんでぇ?」

涙が止まらなくなった

噛めば噛むほど

懐かしい味と

「・・・寂しい?」

「そぅ、ね、これは父(・)親(・)が(・)作(・)る(・)味(・)ね(・)。」

 

「っ!?」

目の前に誰かが現れる

(し~)

口を人差し指で押さえられた

 

周りは誰も気づいていない

 

(貴女は誰?)

(あら?ダメよ?見えるからって

 簡単に話しかけちゃ憑りつかれちゃうわよ?)

(えぇっ!?)

(冗談よ、貴女がアリサちゃんね?)

(・・・はい)

(出来ればお話が出来る場所がいいんだけど)

(わかった)

「ごめんなさい、

 一度、部屋に戻るわ。」

▽

 

「ふぅ、ここなら良いわよ?」

〈じゃぁ〉ぽん!

 

「・・・痴女。」

「失礼ね!!一応吸血鬼の衣装なのに!!」

「吸血鬼・・・まさかっ!?」

「そ、シンヤのお母さんよ?」

背中に生える禍々しい翼に

鋭い牙、爪、そしてギリギリしか隠せていない水着?

「でも。」

「そ、墜落事故で《再生に今日まで掛かっちゃったのよ》、

 そうしたら、こんな可愛い子を巻(・)き(・)込(・)ん(・)で(・)

 なんて子かしら。」

「シンヤのせいじゃないわ!!

 コレは私の意志で見える事を受け入れたの!!」

「そぅ。」

冷たい爪先が喉に当てられる

「あの子の何を知って、

 理解している積りかしら?」

「・・・正直、知らない事が多すぎて解らないけど。」

あえて爪に押し付ける

「私はシンヤが大好きなの!!」

 

「・・・強い子、

 私は弱かった、羨ましいわアリサちゃん。」

爪を収納し

「ごめんなさいね。」

キズを撫でる

 

「はい、これで大丈夫よ。」

傷痕は無くなっていた

「治癒魔法?」

「そうね、ベルカ式でも、ミッド式でも無いけどね。」

「そうだ!!生きているなら!!」

「ダメよ。」

「どうして!?」

「もぅ、あの子の母親としての私は死(・)ん(・)だ(・)の(・)よ(・)?

 ここに居るのはそ(・)の(・)記(・)憶(・)を(・)持(・)っ(・)た(・)だ(・)け(・)の(・)吸(・)血(・)鬼(・)。」

「でも!!」

扉が開く

「こんな禍々しい妖気を持つ同族が身近にいるなんてね。」

「あら?貴女がこ(・)の(・)世(・)界(・)の(・)純(・)粋(・)種(・)ね(・)?

 月(・)村(・)す(・)ず(・)か(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)?」

「この世界?

 名前を憶えて貰えて光栄です、

 真(・)祖(・)様(・)。」

「止めて頂戴、その役柄を捨ててこの世界に来たのだから。」

「失礼しました。」

「すずか?」

まるで、王様に跪くように屈む

「アリサ、ごめんね、私じゃ到底敵わないお人よ。」

「すずか。」

「はぁ、固いのはナシ、いいわね?」

「・・・ですが。」

「あの子の血(・)、美味しかったでしょ?」

「・・・はぃ。」

「私の血と、宗栄(ソウエイ)の血が混ざってるんだもの、

 美味しいだけじゃないの、わかってるでしょ?」

「・・・はい。」

「って、すずか?その羽・・・。」

すずかの背中には

二(・)対(・)の(・)羽(・)が(・)生(・)え(・)て(・)い(・)た(・)

「宗栄の血は聖属性、

 いわゆる魔(・)を祓う力を持つ、

 私は魔(・)を貯める力を持つ、

 その二人から産まれる子が、

 普(・)通(・)を(・)謳(・)歌(・)出(・)来(・)な(・)い(・)の(・)を(・)承(・)知(・)で(・)

 私はシンヤを産んだの、

 お互いの血を残したかったから。」

「でも。」

「えぇ、身体は弱く、

 心臓も普通の子より小さい病気を持って生まれた、

 丈夫に産んであげられなくて

 何度も謝ったわ、

 でもね、シンヤは許してくれた。」

「あぁ、そうだ。」

「あら、久し振り、シンヤ。」

「久し振りだな、母さん、

 すずか、アリサ、こんな痴女が俺の母さんだ。」

「痴女じゃないわ!!」

「「ぷっ!」」

 

あははは

 

二人して笑った

 

「も~。」

「ったく、母さん、父さんはどうしたんだ?」

「もぅ上がっちゃったわよ、

 シンヤをよろしくって言われてね。」

「ったく、一発殴らせろ。」

「喚(・)((・)よ(・))(・)ぶ(・)?」

「・・・止めとく、今じゃ無いだろうから。」

「正解、良く出来ました♪」

「・・・それで?」

「そぅ、ね、

 夜天の書を調べたけど良くて二(・)カ(・)月(・)ね。」

「二カ月?」

「やっぱ、そうか。」

「ねぇ、シンヤ?二カ月ってなんなの?」

 

あぁ、は(・)や(・)て(・)に(・)残(・)さ(・)れ(・)た(・)時(・)間(・)だ(・)

 

「「っ!?」」

「それも、急速に進んでるから、

 下手すればひと月持たないわね。」

「うげ、間に合うかどうかギリギリじゃねぇか。」

「そうね、シンヤ貴方は周りを鍛えなさい、

 ギリギリまでね?」

「はぁ、母さんは?」

「ん~、ちょっと別件で調べ物、

 あの動物園で使われた呪符に

 ちょっと心当たりがあるから。」

「・・・魔(・)絡み?」

「嬉しくないけどね。」

「はい、これ。」

紙袋を渡す

「あ!コレコレ!!

 私の服!!シンヤ!!ありがと!!」

むぎゅう!!

「・・・母さん?」

「貴方、また無茶したのね?」

「あぁ。」

「そうなんですよ。」

「そうそう、シンヤったら

 何言っても無茶しちゃって。」

「あらあら。」

(何の因果か、お(・)犬(・)様(・)に喚ばれてるわよ?)

(・・・わかった)

「はい、これで暫くは大丈夫、

 でも、調(・)整(・)は(・)も(・)う(・)効(・)き(・)に(・)く(・)く(・)な(・)っ(・)て(・)る(・)わ(・)、

 選ばなきゃいけないわ。」

「・・・はい。」

「選ぶ?」

「ねぇ、シンヤ?」

「それじゃ、母さん、またな。」

じゃら

「ちょっ!?その数珠は止めて!!」

素早く窓際に逃げる

「なんだよ?妖怪だし、

 記(・)憶(・)を(・)持(・)っ(・)て(・)る(・)だ(・)け(・)の(・)吸(・)血(・)鬼(・)なんだろ?」

「ぉ、怒ってる?」

「アァ、怒ッテナイヨ?」

「やぁ~ん!!」

飛んで逃げられた

「ちっ、逃げられたか。」

「し、シンヤ?」

「まさか。」

「ン?イイカ?

 何(・)モ(・)聞(・)カ(・)ナ(・)カ(・)ッ(・)タ(・)、(・)見(・)ナ(・)カ(・)ッ(・)タ(・)、

 イイネ?」

「「はいぃ!!」」

 

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