「何やってんだお前ら」
千次郎は男達に大きな怒鳴り声を上げて近づいた。
「なにお前?来たよ来たよ正義のヒーロー的な奴」
「おいお前死にたくなかったら早くどっか行きな」
男達は笑いながら千次郎に近づいてきた。
「おいお前ら今すぐこの娘に土下座して消えろ死にたくなかったら」
「なにこの馬鹿俺らが誰か知らないの」
「俺達ここらで“オルトロス”って言われてんだぜ」
男達は自分達のあだ名を名乗った次の瞬間、
「お前みたいな馬鹿は死ね」ドゴッ
「ガッ」
「ついでにこれもくらえ!」ゲシッ
「ブッ」
右のボディーと腹に膝蹴りを食らった千次郎はそのまま立ちすくんでしまう。
「なにこいつ口程にも何ねぇじゃん」
「所詮口だけだな」
「うぅぅ・・・」ポロ ポロ
「なにこいつもしかして泣いてんの」
「もっとして欲しんじゃね?」
男達はそう言うと倒れてる千次郎に蹴りとボディーをまた入れてきた。
ドゴッ! ゲシッ!
「フガァァ!」
千次郎はさらに蹴りとボディーを食らったため口から血を出していた。
「さらにもう一発だ!」
「死ね!」
男達がもう一発千次郎に向けて放とうとしたその時だった。
「やめて!!!!!!!」
少女が千次郎と男達の間に割って入ったのだ。
「なにお前も死にたいの?」
「どかねぇならタダじゃおかねぇぞ!」
1人の男が少女に脅迫したが少女は怯まなかった。
「もうやめてください!私付き合いますからもうやめてください!」
少女は必死に千次郎を守っている所を見て千次郎は情け無い気持ちでいっぱいだった。
(くそ!助けようと思ったら逆に助けられてしまったぜ)
そう考えていた時だった。
「もう遅いんだよこのアマ!」パシンッ
「きゃあ!!!!!!!」 ドサッ
少女は男の平手打ちを食らって倒れた。
「ははははは!最初から大人しくしてたら良かったのになぁははははは!」
男の笑い声はまさに狂人だった。しかしその笑い声も次の瞬間で止まった。
「グギャアア!」 ドサッ
男が何者かによって気絶したのだ。
「はぁ!何倒れてんだよ!起きろよ!」
もう1人の男が倒れているのを起こすがグッタリと気を失っていた。
「おい・・・お前」
「てめぇはもしかしてお前が・・・」
「よくも女に手を出しやがって・・・」
千次郎は男にゆっくりと近づく。
「ま・・・待て!話し合えば分かる!」
「そう・・・でも俺は話し合っても分かんねぇよ!」
ゆっくりと構えて・・・
「一回死んでこい!」バキッ!
「フゲェェ」 ドサッ
千次郎のパンチをまともに食らった男は10mぐらいぶっ飛んだ後動かなくなった。
「大丈夫ですか?」
千次郎は倒れている少女に話しかけた。
「あ・・・はい、大丈夫です。」
少女は千次郎を見て顔を赤くしていた。
どこかおかしいのかなぁと体を触るとすぐに分かった。
ズボンのチャックが空いていたのだ。
「うわぁ!ごめんすぐ閉めるから」
そう言ってズボンのチャックを閉めた。
「ごめんごめんチャック開けていて」
「いや大丈夫です」
少女と軽く話していると千次郎は気になる事があった。
「でも何で君みたいに可愛い子が1人で帰っているんだい?」
そう質問すると少女の顔が暗くなった。
「実は私・・・大変な事をしてしまったんです」
「大変な事?」
「実は私・・・黒森峰で戦車道をしているんですけど10連覇を逃してしまったんです」
「えぇ黒森峰ってあの9連覇していたあの?」
「はい・・・」
「もしかして貴方は西住みほさんですか?」
そう質問すると少女は一瞬びっくりしてまた暗くなった。
「はい・・・私は西住みほです」
「えぇーーー!」
千次郎はとても驚いた。なぜならみほは千次郎の世界では世界の中で5本指に入る実力を持つ
トップアスリートだったからだ。
「そんなに驚きますか?」
みほは千次郎の対応に少しきょとんとしていた。
「いやごめん少しびっくりしちゃってそれで?」
千次郎は謝って事情を聞いた。
「それで私決勝戦で味方の戦車が川に落ちちゃってそしたら私はフラッグ車を捨てたんで敵戦車に
狙われてそれで10連覇を逃したんです。私のせいで・・・私の自分勝手のせいで」
みほは話しているうちに涙を流していた。
「その日からずっと皆に手のひらを返されたように見られました。
私はただ人を助けただけなのに」
「やっぱり私間違っていたのかなぁ・・・自分が助けにいかなかったら
『それは間違っていないですよ。』」
「え?」
千次郎はみほの顔を見て、
「みほさん!貴女がやったことは素晴らしいことなんです。だから自分が悪いとか
思わないでください。いつか絶対分かってくれる人をいます。その時まで今は耐えてください。
今は」
千次郎は笑ってみほを見つめた。すると、
「……っ、ぅ……ぅぇえ……っ」
みほは泣いていた。
「えぇいや何で泣いてんのまるで俺が流したみたいだじゃないか!」
あの決勝戦の後、みほのことを誰もが責めた。特に戦車道の隊員たち、それを支援し推してきた学園、その生徒やOG。みほを庇う者は誰もいなかった。そして皆は絶対このようなことを言った。
ーーあなたのせいでウチが負けた。
ーーフラッグ車を捨てるなんて、考えられない。
ーー副隊長なのに、逃げるなんて信じられない。
みほの行動も、その考え方も、試合そのものも。その全てを否定されたのだ。
誰も認めてくれない、自分の戦車道。西住流に身を置きながらも、静かに己の中に隠していた
自分だけの戦車道。それを真正面から屈服させられ、貶められてきたみほにとって、千次郎の言った言葉は予想外だった。あの時、勝利よりも仲間を優先した行動は、みほ自身もまだ自覚していない自分だけの戦車道の行動だった。その行動の結果は敗北だった。そしてそれは間違っているのだと誰もが責めた。けれど、認めてくれる人も確かにいたのだ。自分の信じた道を進んだあの試合を、素晴らしいと言ってくれる人が。自分の戦車道は、間違ってはいないのかもしれない。なぜならあの決勝戦の行動を素晴らしいと言ってくれる人がいたのだからだ。その思いが爆発して、
胸にこみ上げるものが視界を瞬時に歪ませた。
「じゃ、じゃあ俺は帰るので、ではさ、さようなら!」
千次郎はそう伝えた瞬間一目散に走った。
「ああ待ってください」
みほは呼び止めようとしたが千次郎はそのまま行ってしまった。
みほの心の中は複雑な気持ちだった。「あなたがやったことは素晴らしいことです」この言葉が
しきりに自分の頭の中に響いていた。
(私のことを認めてくれた人がいた。私は間違ってなんかいなかったんだ!)
そう思うとみほは何かを決心した。
「はぁはぁ何であんなこと言ったんだろう」
一方千次郎はあのまま走って再びあの商店街へと戻っていた。
「結局ここに戻ってしまったか・・・」
そう思うとため息をつく千次郎。辺はすっかり夕方で明かりがつき始めた。
「あいつは・・・いないなぁ」
界王はもうここにはいなかった。
「まぁあいつがいても絶対戻らないけどなはっはっは!」
ゲラゲラ笑っていたその時だった。
ヒューーン
夕方の空に何かが降り注いでいた。まるで隕石のようだった。
「あれ?何だ?隕石なんて初めて見たぜ」
そして隕石はそのまま熊本市内に落ちて衝撃波が起きた。商店街の人々はいきなりの隕石落下に
ざわついていた。
「何だ隕石だ!」
「何あれヤバくない?」
「お母さん何あれ?」
「近いぞ!落ちた所」
そして隕石が落ちた場所には煙が上がっていた。
「何だ火事が起きたのか?」
「何か怖くないか?」
「何ビビってんだよただの煙ごとき」
「近くに見に行こうぜ!」
「待てよ俺も行く!」
人々が隕石のことで騒がしい中1人だけ警戒している者がいた。
(何だろうこの胸騒ぎ?何にもいないのに誰かに見られているようだ。)
千次郎以外は隕石のことで夢中でスマホで写真を撮ったりSNSにあげている人ばかりだった。
このままではまずいすぐにここから逃げようと身構えした時だった。
「うわぁ何だ!煙の中から人が出てきたぞ!」
誰かが大きな声で叫んでいた。
目をそこに向けると確かに人がいた。髪が長く何かよくわからない服装をしていた。
「大丈夫ですか?すぐに救急車を呼びますから!」
叫んだ人はスマホを取り出して電話をかけようとしたその時だった。
「戦闘力たったの5か・・・ゴミめ」フュン!
「え?」
叫んだ人がびっくりした瞬間、叫んだ人から赤いものが吹き出した。
「ぎゃあああああ」
「ふん脆すぎるな」
叫んだ人はそこらをのたうち回った後事切れた。
それを見ていた市民は一気にパニックに陥った。
「きゃあああ」
「何あれ?殺されるーー!」
「うわぁああどけどけ邪魔だ」
「こっちに来る逃げろ逃げろ!!」
パニックに陥った人々はすぐさま一目散に謎の人から逃げていた。
「逃げなくていいものぉこれから全員死ぬというのに」
怪人はそう言うと空中に浮き近くのビルや商店街を気弾で撃ち壊し始めた。
「グワァああ」
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」
「やばい殺される!」
人々はその気弾に巻き込まれて吹き飛んだ。
「なんて奴だ。ここから離れないと」
千次郎は壊された商店街からその一部始終を見て逃げようとしていた。しかし、
「助けてくれ!誰かーー!」
「!!」
1人の男が怪人捕まって殺されそうになっていた。
「安心しろすぐに楽にしてやるからなぁハッハッハ!」
「ひぃーーー」
これを見ていた千次郎は止まってしまった。
(くそっ!何で捕まってんだよ!やばい早く逃げないと!くそっ何で足が動かないんだ!
どうしよう俺が行かなきゃ死んじゃう!くそっ逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。
逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。くそっ!)
そう思いながら怪人に向かって、
「今すぐその人から手を離せ!このクズ野郎!」
怪人の目の前に立ってそう言っていた。
久しぶりのツイートです。今回は頑張って書きました。ちなみに怪人の正体はラディッツです。
あ!ネタバレしちゃった。