だからアタシは鬼じゃねぇっつってんだろうが!?   作:七日 八月

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本作は、

「光属性の武器とか地味に鬼特攻じゃね?」
「なんならそもそもフォトンの力で鬼自体焼けそうじゃね?」

という発想から生まれました。

ぶっちゃけ鬼の血ってダーカー因子ほどの浸食力無さそうだし、理論上何でもアリなフォトンならイケルイケル。


では本編をどうぞ。


鬼を狩る鬼? いいえ、デューマンです。

「……だあぁああぁぁっ!? しつっこいんだよクソがぁっ!?」

 

 ――ハロー妹分(イオ)。元気ですか?

 お姉ちゃんは元気です。

 

 朝目が覚めたらいきなり知らない土地に放り出されていてビックリ。

 慌てて本隊との通信を試みるも一切繋がらず、それはもう盛大に焦りました。

 

 しかし、こちらも驚きましたがそちらも大いに慌てている事でしょう。

 本当に申し訳ない、でも不可抗力です。

 

 アタシは悪くねぇ

 

 まぁ、以前も似た経験をしていたので割と直ぐに落ち着きました。

 ……状況を理解した時には「またかよクソがふざけんな!!」とキレ散らかしていましたが、それはそれ、です。

 

 とりあえず、どうにかこうにか生きています。

 

 

 

 そんなお姉ちゃんは今、

 

「そっちだ! そっちへ行ったぞ!!」

「おのれ悪鬼め……! 絶対に逃がさんぞっ!!」

 

 現地民から、

 

 

 

「だぁからぁ!! アタシはぁ!! 鬼じゃねぇっつってんだろうがぁぁあああぁぁっ!?」

 

 

 

 全力で命がけの鬼ごっこ(とうそうちゅう)です。

 

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

――――数十分前。

 

 

 

「……ふわぁ~……良く寝t…………ほァ?」

 

 目が覚めた直後、視界に広がった光景に思わず間抜けな声が口からこぼれた。

 具体的に言うと、見渡す限りの森&森。何ならベッドの上ですらない草むらの上、おいおいコイツは一体何の冗談だ?

 

 一応頬を抓ってみる、痛い……夢じゃない。

 

 自分は誰だ? 名前は『セキレイ』、オラクル船団*1のアークス*2の一人だ。

 うん、大丈夫、記憶障害とかは一切発生してない。よな……? 正直自信が無い、だってアタシは昨日、普通にマイルームで就寝した筈、なのに起きたら暗い森の中、イミガワカラナイ。

 こんなの誰だって戸惑う、六芒*3だろうが守護輝士(ガーディアン)*4だろうが宇宙猫顔晒すに決まってる。本当にイミガワカラナイ――――ッ!!

 

「……オイちょっと待て、まさかっ!?」

 

 そうして状況の確認をしている最中、前にも同じような事があったのを思い出して背筋が凍りついた。

 もし以前と同じであれば状況は最悪だ……! アタシは慌ててアイテムパックを確認してみた。

 

「……ッハァ~、セーフッ! 丸腰じゃなくて良かったァ……!!」

 

 思わず安堵のため息が出る、アイテムパックにはいつもの装備に各種アイテム類がきちんと収まっていた。

 本当に良かった……()()()着の身着のままで放り出された訳ではなかった様だ。

 

 ひとまず、よっぽどの事が無い限りどうにかなりそうな事は判ったので次は現在地の確認だ。

 

「……マッピングは……出来てるな?」

 

 マップ機能に対するジャミング等は無し、現在居る場所を中心に障害物の位置等がきちんと記録されている。

 つまり、ここは特殊な条件下に置かれた異空間等ではないようだ。

 

 ……まぁ空間そのものに異常がなかったとしても状況は異常以外の何物でもないのだが。

 

「ひとまず歩いてみるかぁ……幸い月が見えてるし、今アタシが向いてる方角が南って表示され…………あン? 月ィ?」

 

 改めて空を見れば煌々と輝く満月、その表面には見覚えのあるクレーターがたくさん。

 あっ、ウサギさんが見えますね! ……おいマジか。

 

「ええぇぇ……ウソだろ? オイ、地球って……なんでェ……?」

 

 声が震える、なんなんだマジで? 『目が覚めたら現在地はまさかの太陽系第三惑星・地球でした』ってか? 売れないラノベのタイトルかな?

 いっそ『【悲報】現在地はオラクル側の宇宙ですら無かった件【ボスケテ】』ってスレでも立ててやろうか。

 

 ……現実逃避はやめよう、悲しくなってきた。

 

「しかし、そうなると通信が繋がらないのはどういうこった……?」

 

 現在地が地球であるならば、どこに居ようが通信は本隊にも繋がる筈だ、なのにいくらやっても繋がらない。

 実はここはアークスシップ内の施設のVR空間で、誰かの仕掛けたドッキリでした、なんていうオチも考えたが、即座に否定する。

 

「コイツはデータじゃねぇ、()()()()()()()

 

 目の前の樹木にくっついていた虫がちゃんと生体反応を示している、つまりはそういう事だ。

 そうなると、残る可能性は「見つけたぞ鬼めっ!!」……あン?

 

 声のした方向を見れば、どこかで見たような覚えのある服装にカタナを持った男が一人。

 なんだかとても殺気立っていらっしゃる、隙を見せれば今にも斬りかかって来そうだ。

 マップを見ればこちらに接近してくる同じようなサイズの反応、思わず真顔になった。

 

「コイツ、隙が無い……!」

「焦るな、二人でかかれば……」

 

 どうも敵意剥き出しなその様にため息が漏れる。なるほど、大体わかった。

 鬼かー、そっかー、まぁ似てるよねぇ、アタシって()()()()()()()()()()()*5だし。

 

 おそらく今のアタシは死んだ魚みたいな目をしている事だろう、鏡を見なくてもわかる。

 

 デューマン、肌は大抵色白を通り越して白く、そこに部分的に刺青の様な黒い模様が浮かぶ、頭に角を持ち、瞳は特殊な虹彩になりやすい、そんな種族。

 遺伝子操作やら何やらで生み出された人造の種族であるが、そもそもアークス全員どの種族もそんな生まれだし、ていうかそんな事はどうでも良い。

 

 鬼、アタシの想像通りなら、おそらく人喰い鬼の化け物の事だろう……見た目が似てるからそんな畜生共と間違えられた? 冗談じゃねぇ!!

 

「……アタシはあんな畜生共じゃねぇ……!」

 

 ぽつりと呟きながらアタシも自分のカタナを取り出す、どこからともなく現れたカタナに目の前の二人組が息を呑むが、知ったことじゃない。

 そうして、得物を構える二人組に視線を向け、いつでも抜刀出来るようにカタナを構えたアタシは――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――その場から脱兎の如く逃げ出した。

 

 仕方ないじゃん! 何せ相手はフォトン*6の保護だとかそういった類のモノが一切無い人間。

 こちとらお前らの敵よりもっとヤベー化け物と普段から殺しあっているのだ、加減に失敗したらどうなるか想像したくない。

 何より撃退するなんてもってのほかだし、下手に交戦した結果どんな影響があるか判ったモンじゃないし。

 

「!!?!?」

「逃げた!? 追うぞっ!!」

 

 全く以ってフザケてやがる。あぁそうかい、()()()よりにもよって『鬼滅の刃』か。

 

「またかよクソがふざけんなァ!!」

 

 ブチギレながら全力でカタナのフォトンアーツ*7・アサギリレンダン*8を連打して逃げる、長距離移動が前提なので今回はガーキャン*9ではなくステキャン*10でいい、さーてトンズラだー!(涙)

 

 

 

 ……なんか途中に件の人喰い鬼が居たからすれ違い様に斬り捨てといた、ちょっとスッキリした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……馬鹿な、鬼が鬼を狩っただと……?」

「一体どうなっているんだ……!?」

*1
超巨大な惑星航行船団、1隻のマザーシップと多数のアークスシップで編成されている。

*2
オラクル船団に存在する組織、正式名称『Artificial Relict to Keep Species』、訳すると『人為的なる残存種の保護。そのための聖櫃、あるいは方舟』的な意味らしい。

*3
六芒均衡、旧体制のアークスにおける最高戦力。メンバーは零から六のナンバーを振られる。なお零は基本的に秘匿された存在であるため「七芒均衡じゃないの?」とツッコんではいけない。

*4
現体制のアークスにおける最高戦力の一角、この肩書きを持つのは主人公(プレイヤー)とヒロインの内の一人の計二人だけ。殆どの権限に縛られない代わりに上位の命令権限等も持たない。

*5
PSO2の世界以外、PSUシリーズのPSPo2iにも同名の種族が登場する。が、名前だけ同じのほぼ別物。

*6
なんかすごいエネルギー、設定的に恐らく何でも出来る(誰でも出来るとは言ってない)。

*7
略称PA、ドラクエで言う特技、なおドラクエで言う魔法的な物はテクニックという物が該当する。

*8
高速移動した後に静止して前方を斬り刻むPA、静止する前にキャンセル出来る。

*9
ガードキャンセル、なおガーキャンしたアサギリは全移動系PA中最速。

*10
ステップキャンセル、アサギリステキャンも十分はやい。




なんか注釈だらけになった。


なおセキレイちゃんの武器は、

クラースサーベル(武器フォーム・オロチアギト)属性:光

OP構成は、
S1:錬成の志2
S2:妙撃の志2
S3:妙撃の志2
S4:妙撃の秤
S5:反撃鋭刃
ガーディアン・ソール
ディバイン・オーダー
イクシード・エナジー

となっております。(筆者は持ってません)

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