最終的に闇堕ち霊夢と戦う話   作:カザナミ

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第3話

 

霊夢「ま、何だって良いわ。とにかく、さっさと帰った方があんたの為よ」

 

「…うん、ありがとう。でも私、帰る所が無くて」

 

霊夢「あー?…そういや、見ない格好ね。もしかして外来人?」

 

 

外来人というのは、幻想郷から見た外の世界…つまりは現代社会に生きている人間の事だ。

 

幻想郷というのはある理由で隔絶された土地であり、そこに現代人が入る事は出来ない。

 

…のだが、何らかの要因や偶然で迷い込む時がある。

 

自分の存在が完全に忘れられるとか、気紛れに引きずり込む変な女が居るとか…まぁ聞いただけで、実際にそんな奴が居るのか知らないけど。

 

まとめると、幻想郷に来る前の私は普通の学生=現代人=それが幻想郷に入り込んだ→外来人=正解。これだけ分かっていれば大体合ってるから。

 

 

「えっと、多分、そうなの、かな?」

 

霊夢「めんどくさ…(ボソッ)じゃあさっさと外の世界に送り返し、たいんだけど…」

 

霊夢「悪いけど二日だけ待ってて貰えないかしら?ちょっと前に大きな仕事を片付けた後でね。結界を安定させておきたいのよ」

 

「あ、はい。分かりました」

 

霊夢「…物分かりが良いのは結構だけど、随分落ち着いてるのね?あんた以外にも外来人は見たけど、もっと焦ったり、混乱してたりするものなんだけど」

 

「!い、いや本当はすごく分かんないけど、でもでも」

 

霊夢「あー、もういい分かった分かった。黙って私に付いてきなさい。ここじゃ落ち着いて話が出来ないし。それに、今日なら多分来ると思うわ」

 

「来る?」

 

霊夢「あんたの仮住まいの相談はいるでしょ」

 

 

それ以上は話すつもりはねぇとばかりに霊夢は私に背を向けて歩き出す。私が追い付けなかったり、見失ったりしないように一応気を遣っているらしい。

 

そんな彼女の背を見つめる。やがて幻想郷を変えてしまう破壊者になる者の背を見つめる。

 

今の彼女が悪い訳ではない。それは分かっている。分かっているが、絶望の未来での仕打ちを知っている私は正直な所、複雑だ。

 

今すぐにでも怒りを叩き付けたい。皆の仇を討ちたい…でも、まだ行動を起こしてない霊夢にそんな事をしたって…

 

だから今は…静かに、奥深くに、気持ちを沈めておくべきだ。

 

 

・・・

 

 

霊夢「やぁっと戻ってこれた。歩かないといけないのって、やっぱめんどい…」

 

「あ、あの…ごめんなさい。私のせいで」

 

 

私が妖獣に襲われた場所から博麗神社までそこまで長い距離があった訳じゃない。でも彼女と私には違いがあるので、いつもよりも長く感じるのだろう。

 

その違いというのが空を飛べるか否か、というもの。

 

私はあくまで外の世界で生きてきた普通の人間だ。空を飛ぶなんて出来ない。

 

でも幻想郷には…正確に言うならある程度戦える者は人間だって空を飛んで戦ったり、移動している。方法は様々らしいが。

 

 

霊夢「疲れた…お茶飲も」

 

「あ、あの…私は、どうしたら?」

 

霊夢「あーん?だから、二日くらい待っててつったでしょ?まだ葛籠が置かれてないから、今日辺りにあんたと同じ外来人が来るの。そいつと宿かなんか探しなさい」

 

霊夢「…丁度良いわね。来てくれたわ」

 

 

神社の縁側に腰を落ち着け、一人でお茶を飲んでいた霊夢が空の一点に視線を向ける。

 

釣られて私も見上げると、大きな籠を背負った少年の姿が見える。

 

空を飛ぶ、というよりは細かい足場を何度も跳躍しているという様子でこっちに来た彼は中身がどれくらいかは分からないけど、籠の重さを感じさせない軽やかな着地を見せる。

 

 

「お待たせしたな。今週分の納品を、と…え、博麗神社に、お客さん!?」

 

霊夢「賽銭を入れてないからそいつは客じゃない。あんたと一緒、外来人よ」

 

「外来人?それはまた…タイミングの悪い時に来てしまったな」

 

 

葛籠を霊夢の側に下ろし、霊夢は心なしか嬉しそうに葛籠を神社の中に持っていく。

 

一応彼に私の寝床を相談するという目的があるのに、真っ先に葛籠の方へと興味が向かうのは正直どうかと思う。

 

 

「どこまで霊夢が話したか知らないけど、まぁ取り敢えず。草渚 興那(くさなぎ おきな)だ。あんたと同じ、外来人だよ」

 

 

私はこの人を知っている。私が幻想郷に来てしまったその日から、幻想郷に残りたいと希望したその後も色々と面倒を見てくれた恩人だ。

 

けど、彼も…絶望の未来では霊夢が甦ったという噂の真相を探るために動き、そして二度と帰ってくることは無かった。

 

私はこの人を知っているけど、この時間では彼からすれば私は初めて出会う筈だ。だから、久し振りと言いたい気持ちを抑え、始めてましてと紡ぐ。

 

 

興那「まずはあなたがどこまで自分の状況を理解しているか。何でも良い。ここは何処だとか、言えるだけ言えるか?」

 

「……ここが、幻想郷っていう場所で、帰るのに二日はかかるって」

 

興那「成る程…霊夢にしては珍しくちゃんと説明してたのな」

 

霊夢「なぁんか言った?」

 

興那「別に、気のせいだろ」

 

霊夢「今結界動かせないからさ、そいつ二日位どうにかしてくんない?」

 

興那「ここに置いてたら良いじゃないか」

 

霊夢「色々と面倒いからやだ」

 

興那「えぇ…」

 

 

近くに置いて当日にさっさと返す方が楽だと思うのは、私だけでしょうか?

 

 

霊夢「だからあんたが適当にそいつの面倒見ててよ。同じ外来人の方がそいつも気が楽でしょ」

 

興那「そうとは限らんだろ…まぁ、当てがない訳ではないけどさ」

 

霊夢「じゃあ決まり。もう決まり。そういう事だから、後は興那に聞いてね!じゃ、もう用事も無いでしょうし帰った帰った」

 

「何なのこの人…」

 

興那「まぁその…気を悪くしないでくれ。誰に対してもこうなんだ」

 

 

それはそれで問題だろ。

 

 

・・・

 

 

興那「風圧とか平気?」

 

「あ、はい、大丈夫です!」

 

興那「それにしても悪いね。早く家に帰りたいだろうに、こっちの都合に合わせて貰ってさ」

 

「お気になさらず…」

 

 

博麗神社から歩いて人里まで行くのはかなり時間が掛かるからと、先ほど彼が持ってきていた背負い葛籠の中で私は何とか言葉を返す。

 

乗り心地はそこまで良くないけど酔うほどではない。気分転換に下の方を眺めてみる。

 

 

「…やっぱり、綺麗だよね」

 

 

未来では、最早どうあっても見ることのない景色に思わずそう口にしていた。

 

青々とした木々に、底まで見える澄んだ川。そして、空を駈る者にだけ感じ取れる冷たい空気が肌を撫でる。

 

 

興那「気に入った?」

 

「うん…もうずっと、眺めていたい位に」

 

興那「はは、同感だがここで生きるのはオススメしないかなぁ…ここはここで、色々あるからさ」

 

興那「あ、そういえば二日住む場所がいるんだったな。安心してくれ。ちゃんとそういう場所があるんだ」

 

「うん…」

 

 

私は思う。私は絶望の未来を変えるために記憶を過去に送った。では、私がその未来の話をしたからといって未来が変わるだろうか?

 

いや、多分変わる事はない。いきなりそんな話をした所で誰にも信じて貰える筈がないから。

 

それでも霊夢が死ぬ時は来てしまう。だから、その時が来る前に協力をしてくれる存在を探そう。

 

 

「興那、さん」

 

興那「んー?」

 

「私、幻想郷に住みたいです。どうすれば、良いですか?」

 

興那「ええ!?本気で言ってる?何でまた…」

 

「…どうしても、大事な事なんです」

 

興那「何だそれ、幻想郷に住むのが大事な事なのか?」

 

「…」

 

興那「…ま、外の世界から幻想郷に来るような奴だ。言いたくない事くらいあるわな」

 

「ごめん、なさい…」

 

興那「いや構わんよ。じゃあどうするか………まぁ、外来人が幻想郷で生き残りたいならどこかに後ろ楯になってもらうのが確実かな」

 

「後ろ楯?」

 

興那「あぁ。上手く取り入れれば衣食住の保証を心配しなくて良くなる。下手に手を出したら、おっかないのが出てくるって妖怪に対する牽制にもなるしな」

 

興那「じゃあこうしよう。取り敢えず俺が話を通しておくから、一週間位研修みたいな感じで住んでくれ。途中で無理になったらそのまま外の世界に送り返す。そうしよう」

 

 

彼は私が途中で止める為の逃げ道を用意しているが、私はそれを使うつもりはない。

 

記憶を継承出来たのが私だけだから、もし死ねばその瞬間絶望の未来が確定してしまう。

 

それを防ぐには、一人でも多くの理解者が絶対に必要になる。それに、理解者が強い存在であればそれだけ状況に対応しやすくなるだろう。

 

 

「じゃあ、紹介して下さい!」

 

興那「本気なのか…えっと…

 

人里 一番安全

 

命蓮寺ー

    |ーー割りと安全

神霊廟ー

 

白玉楼 ー多分死ぬ

 

紅魔館 ー死にたいなら

 

フリーランス ー強くて二週目前提

 

 

………うん、こんな感じかな」

 

 

下半分の難易度爆上がりでヤバい…

 

てか何だよ強くて二週目って!

 

ただ、命蓮寺や神霊廟で修行者を募っていると聞いた事はある。下半分はともかく、この二つは一度体験してた方が良いかも。

 

 

興那「ま、選ぶのはお前次第だ」

 

「…ちなみに、興那さんはどこ?」

 

興那「フリーランス」

 

「なるほど…色々と、納得かも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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