最終的に闇堕ち霊夢と戦う話   作:カザナミ

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第7話

 

美鈴「今日の監督は私の番です!」

 

「よろしくお願いします、美鈴さん!」

 

美鈴「はい!何を始めるにも、まずは正しく体を作る方法を学びましょう」

 

「体力作りって事かな?了解です!」

 

 

ここは幻想郷という隔絶された人妖が住まう土地。その中でも、私は吸血鬼の棲む紅魔館での生活を続けていた。

 

私は普通の人間である。なので、初日から今に至るまで何度も死にかけたし、危ない目に何度も遭ってきた。

 

ただ、そんな危険と隣り合わせの生活も数日経てば色々と慣れてきてしまった。

 

…いや、慣れたと思わないとしんどいものがあるからかもしれないけどね。

 

ただ今日は比較的安全だ。武術に通じているという美鈴さんは、人間の限界というのをちゃんと分かっている。

 

どこかの誰かさんみたいに、いきなりデスゲームに放り込まないし、度胸付けるために妖獣の所に連れてったりしない。それだけでも私からすればありがたい。

 

 

「でも私、格闘技とかやった事無いんですけど、大丈夫ですか?」

 

美鈴「勿論!危ないからいきなり無理な事はしないよ。ちゃんと段階を踏んでいこうね!」

 

「そ、そうだよね…うぅ」

 

美鈴「え。ど、どうしたの?」

 

「いや…普通そうだよねって、感動しちゃって…そりゃね、私だっておかしいのは分かってるよ。いきなり理不尽ゲームとか実戦はおかしいよ…」

 

美鈴「はは…御愁傷様」

 

 

因みに、今日はここの主であるレミリアはどこかに出掛けているらしい。だから敷地内での指導をしてくれているという訳だ。

 

そうしておかないと、妖怪とかに攻撃されるかもしれないからね!

 

 

美鈴「任せて下さい!最終的には、貴女を月下さんや咲夜さんに認められるほどに鍛えてあげます」

 

美鈴「お二人に勝つ第一歩。基礎作りからね。行くよ!」

 

「はい!」

 

 

別に、月下や咲夜に勝ちたいとかそういう訳では無いんだけどね。

 

ただ、私が受けた過去を変えるという使命を為すためには、危険を避ける事は出来ないかもしれない。

 

幸いな事に、幻想郷に来た直後に記憶を送れたので霊夢が病死するまでは時間がある。原因も突き止めないといけないが、危険に対して自衛が出来なければ話にならない。

 

だから、遠回りでも今はこれが私の出来る最善の行動のはず。

 

 

「ちょ、ちょっと待って、くだ…」

 

 

…の、はず何だけど。基礎作りの段階で、私は息が上がってしまっていた。

 

いや、これは普通に人間のスペックだときついだけでこの人が体力おばけ過ぎるのでは?

 

別に転んだりとかしなければ怪我しそうとかじゃないけど、単純に体力の差を感じる。

 

 

美鈴「はい、一旦休憩にしようか。どう?普通の人には結構キツいんじゃないかな?」

 

「ゼヒュー…ゼヒュー…す、うん」

 

 

まぁそれでも、月下のしごきに比べれば命が懸かってないだけ遥かに気楽だけど。

 

時折休憩を挟みつつ、美鈴さんの元で体力作りに励んだ。

 

流石に一日そこらでは体感できる程にはならないが、そのうち楽になりすぎて物足りなくなるよと笑っていた。

 

 

美鈴「じゃあ次は組み手…の前に、拳の握り方を教えておこうかな。はい、どっちでもいいから拳を作ってみて」

 

「拳?じゃあ…ギュッ、と」

 

美鈴「あぁ、その握り方は良くないね。親指を痛めちゃう」

 

美鈴「一度手を開いて。そして、小指から薬指。中指人差し指親指って一本ずつ順番に握り込むの」

 

「えっと、小指…薬指、中指、人差し指、親指…こう?」

 

美鈴「うん!親指を人差し指に乗せるんじゃなくて、体のある内側に寄せれば完璧!」

 

 

どうやら、拳の握り方一つにもやり方があるらしい。

 

親指を人差し指や中指で包む握り方。親指を包み込まず、外側から人差し指の第三関節に乗せる握り方。

 

美鈴さん曰くこの二つはよろしくないらしい。正解は親指を包み込まず、親指は第二関節に寄せておくのが正しいみたい。

 

 

美鈴「軽くでいいからそうだね…そこの壁でも叩いてみて。軽くだよ?突き指しちゃうからね」

 

「分かりました。軽く、ね」

 

 

親指を人差し指と中指で包む握り方。これは素人にも分かるくらい本当にダメだ。

 

親指を握り込んでる分、人差し指と中指が拳頭より先に殴る目標に当たるので、衝撃が親指の根本に集中してる。

 

本当に、軽くやっただけで突き指になりそうだ。この握り方で殴ったりすると、骨折するんじゃないのかな?

 

次いで親指を包み込まず、人差し指の第三関節に乗せる握り方。

 

これは単純に握る力を込めにくいというのと、親指が拳頭より先に当たって怪我をしやすいとの事だ。

 

そして正しい握り方である親指を握り込まずに第二関節に寄せておく握り方。

 

これが正解ってのは納得だ。これまでの握り方と違って親指に負荷がかからないし、何より力を込めやすさが違う。

 

当てるべき一番硬い部分である拳頭が何にも阻害されてない。なるほど、これが正しい握り拳の形なのか。

 

 

「理解は出来たけど…まだ意識しないとちゃんと出来ないなぁ。親指が、ちゃんと動いてくれない…」

 

美鈴「慣れだよ、慣れ。何度も繰り返して癖付けて咄嗟に出来るようになったら、一歩成長だよ」

 

「鍛練に近道は無いって事ですね」

 

美鈴「そだね。だからまずやるべきは、正しい力の使い方。力は自分の身を守るのに必要だけど、変な使い方をすると逆に自分を傷つけちゃうから」

 

美鈴「私の教えが、少しでも君の糧になればと思ってます!」

 

 

ええ人や…本当に。ここまで丁寧に教えてくれるだけで良い人柄なのが伝わってくる。

 

これが月下なら、瓦割りやるぞ!やってみせたからお前もやってみろ!とか言い出しかねないんだよね…

 

 

美鈴「拳の事を学んだ後は、蹴りの時の足の使い方。仕上げに軽い組み手をするよ。しっかりと着いてきてね!」

 

「はい!」

 

 

なんだろ、ここまで数日過ごしてきた中で一番充実というか安息出来ている気がする。

 

まぁ、同僚の行動に振り回されるのに比べたら、特に難しく考えずに体を動かしてるだけの方がマシだと思えるのか。

 

 

美鈴「それにしても、君って我慢強いんだね」

 

「我慢強い?」

 

美鈴「うんうん。こう言っちゃだけど、普通の人が新しくお嬢様の下に就くのは珍しいんだ。それに月下さんや咲夜さんが色々教え込んでいるんでしょ?嫌になって逃げたくならないのかなって」

 

「うーん…確かに美鈴さんの言うことも分かるんだけど…」

 

「まぁ、初日に比べたら大抵の事は大丈夫でしょって、慣れましたね」

 

美鈴「はは…きっと、あなたは、大物になれますよ」

 

 

そう、紅魔館に来た初日…地下室に閉じ込められて脱出ゲームとかされたのに比べれば…

 

毒ガスとか水責めとか吊り天井とかに比べれば…大抵の事はそれより危機度は低いからね!無問題。

 

 

月下『紅魔の全従業員に告げる!お嬢が帰ってくるぞ!全員、正門前に並べぇ!!』

 

美鈴「おっと、お嬢様達が帰ってきたみたい。今日はこの辺にして、お出迎えに行こっか」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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