「お使い、ですか?」
レミリア「ええ。暖炉でマシュマロでも焼いて食べようと思っていたの。でも肝心の薪を切らしてたみたいでね。路銀は渡すから買ってきて頂戴」
「…木なんて、近くに生えてるのを持ってくれば良いんじゃ無いですかね?」
レミリア「嫌よ。私は早くマシュマロが食べたいの!あなたはこの私に乾くのを待てと言うつもり?」
「待てば、良いんじゃないすかね?」
私の目の前で、マシュマロみたいに柔らかそうなほっぺを膨らませて我が儘を言っている幼女のせいで、今日の私の仕事はお使いに決まった。
そもそも今日は私が紅魔館での一週間が終わる日。明日から別の場所で活動をするのだけど、何で最終日にもなってお使いなんて事をしなきゃなんだろ…
「月下さん…炎の魔術得意でしたよね?だったらその辺の木でも使えないんですか?」
月下「知らないのかい?シスター。煙を出さねぇようにするなら乾いた薪にするべきなんだ。これは、炉心の温度を高い状態にしたいけど、水分を含む生木だと水分で温度が下がっちゃうからなんだ」
「あ、そうなんですね。知らなかったな…」
月下「つーわけだからよ、無いんなら仕方ねぇよなぁ?」
咲夜「存在しない物は使うことも出来はしない。だからこれは仕方ないのよ」
レミリア「そうそう。仕方ない、仕方ない」
「?」
なんか、いつもと違って皆の言動にわざとらしさがあるような気が…
そもそも、月下と咲夜が二人揃って薪が無いのを忘れてたってのがね。多少言動はアレでも、優秀なのは間違いないのに、違和感あるような…気にしすぎなのかな?
まぁとにかく、人里まで行って薪を買ってくれば良いわけね。
レミリア「私の部下だと名乗るなら、幻想郷でのお使い位はこなしてみせなさい。それが出来たら、そうね…ふふ、良いことがあるわよ」
「良いこと?まぁ、分かりました。じゃあちょっと行ってきます」
咲夜「持ち運べる程度で良いからね。無理し無くても大丈夫よ。はい、お金」
月下「服装もバッチリ決めとけよ。未来はどうあれ、今はお嬢の部下だからな。誰に見られても問題ないように、キュッと」
「ふ、二人とも…ちょっと、そこまでしなくても…」
月下「あと、これ。グローブとレガース。メーリンが教えたっても、まだ慣れてないだろ?取り敢えず着けとけ」
時折きつくないか、重くないか等を聞きながら咲夜と月下の二人がテキパキと私の服装回りを調整している。
私自身にされている事なのに何をされているのかよく理解できず、されるがままになっていた。
実際には対した時間は経っていないのだろうけど、着付けをされるだけで何だか疲れてきた。たかがお使いで大袈裟なんじゃないかな…
咲夜「………よし。大丈夫でしょう」
月下「………ああ、問題無さそうだな」
「お、終わりました?なら、もう、行ってきます…」
レミリア「期待してるわ」
「あいー…」
レミリア「…」
レミリア「……」
レミリア「…………」
レミリア「さて、と」
・・・
美鈴さんに挨拶をして紅魔館を出る時に聞いてた人里の方へと歩みを進める。
過去に戻ってくる前は人里以外には行かなかったから、ちょっと不安だ。
そういえば、人里といえば絶望の未来が訪れていない今の時間なら、稗田さんや慧音さんはまだ無事なんだよね。
ただ、今の私はまだ彼女達と出会ってないから…まだ生きてるのは嬉しいけど、気軽に話せないな…
「…今はレミリアのお使いをこなさないとね」
稗田さんや慧音さんだけじゃない。もっともっと、話したい人がこの時間には生きてる。
私は、そんな皆を救うために、皆に託されて過去へと戻ったんだ。
だから今は…いずれは、またみんなと過ごせる明日の為に…私の出来る事をしていこう。
「それにしても…ちょっと重いな…」
紅魔館から出る前に咲夜と月下がしてくれた着付けの中で、私には二つ新しい装具を付けられた。
グローブとレガース。拳と足の保護をするための防具なんだけど、紅魔組では少し違う。なんとこの二つに、砂鉄を詰め込んでいるらしいのだ。
部分的ではあるものの、鎧の防御力は据え置きのままに体の動きを阻害せず、攻撃として相手に使えば人間の力でも破格の威力になり得る、というとんでも装備だ。
ただ、それでも私には全然重たい。最初の調整より軽くして貰ったけど、鍛え始めて一週間程度だから私そのものが対して強くなれて無いんだよね。
「ちょっと慣らしながら行こうか」
幻想郷の人里では人間は襲ってはいけない。誰が決めたか知らないがそういうルールがある。
だが裏を返せばそれ以外の場所でなら人間を殺しても構わないと言ってるようなもの。
まぁ、さすがに用事があるなら護衛を雇ったりしてるからそうそう死ぬような事は無いらしいけど。
で、今現在一人でブラついて人里に居ない私はそんな妖怪達にとって格好の獲物という訳だ。
「!うおっと!?」
ヒュッ!と私に向かって迫る風切り音から逃れる為に、とにかくその場から必死に飛び退く。
とすっとすっ、と近くの樹に何かが当たったみたいだけどその正体を確かめる暇も無く、また次の風切り音が迫る。
「くそ、何処!?」
相手は私に姿を見せずに私を殺しきるつもりらしい。ほとんど勘だけで避けてるけど、いつまでも続くものじゃない。
「通常弾(魔術)!!」
こっちがいくら持ちこたえた所で、見逃してくれはしないだろう。だから私も、今使える技術で応戦する。
僅かな風切り音を頼りに少しずつ相手の方角、どういった移動をしているのかを確かめ、それまで適当に撃っていた魔術弾を今度は襲撃者の居場所に撃ち込んだ。
「外した!?んなろぉぉ!!」
「!?」
魔術弾は外れてしまった。それを見た襲撃者が勝負をつけるために大技か何かの準備で一瞬攻撃の嵐が止んだ。
魔術弾は外したが、大まかな位置は変わってないはず。再び魔術弾を作る隙までは無かった私は、反射的に近くの石を蹴り飛ばしてやった。
うまく襲撃者の不意を突けたらしい。飛ばした石は弾いた様だが、今まで影すら捕らえられなかった襲撃者の姿を補足した。
「美鈴さん直伝…閃脚!」
その速さ、光の如し…というのは、美鈴さんのみたいに強い人が使った場合。
慣れない砂鉄入りの重い装備という条件もあり、美鈴さんのようにはいかない。
ただ、砂鉄レガースの重さは威力に変わる。左回し蹴りは防がれたけど足を落とした瞬間、今度は右から頭部への蹴りを繰り出す。
今ので人間の出せる威力を越えているのを悟ったのだろう。今度は防がずに避けようとしたみたいだ。
「………なるほど、反応は悪く無い」
「さて、と。お顔を拝見させて、…え?」
私の蹴りを避けようとした襲撃者だが、直撃こそしなかったものの、完全に回避は出来てない。
少しだけ私の蹴りが当たったのだけれど、襲撃者はなにやら仮面を着けていたようで、それにヒビを入れるのが限界だった。
仮面のヒビが広がり、せめてどんな奴が私を襲ってきてるのかを見てやろうとしたのだが、今回の襲撃者の顔を見て私は思わず面食らってしまった。
「あの…何してんですか、咲夜さん?」
だって、この襲撃者の顔はどー見てもさっきまで私が居た紅魔館のメイド長、十六夜咲夜でしか無かったんだから。
咲夜?「咲夜?一体何の事を言っているのかしら?」
「いや、顔も声も服装すら咲夜さんじゃないですか。あなたみたいな人二人も三人も居ないっすよ」
咲夜?「誰と勘違いしているのか知らないけれど、私は咲夜とかいう人間じゃないわよ。私は…」
咲夜?「ナイフの一般妖精だから!」
「いや人工物の妖精なんて居るわけないでしょ!?せめて付喪神なら分かるけど!?」
咲夜?「あー、じゃあそれで」
「じゃあそれで!?」
な、何なんだこの人…妖精だと名乗ったと思えばじゃあ付喪神でいいやってどうゆう事なの…
「あの、咲夜さんも知ってると思うんですけど私、レミリアお嬢様のお使いが、あるんですよ」
咲夜?「だから何?私には関係ない」
「えぇ…」
咲夜?「まぁ何にしても、ここから先に通す気は無いわ。文句があるなら…分かるでしょ?」
そう言って咲夜さん…いや、ナイフの付喪神は両手指でナイフを鉤爪のように掴む。
…何のつもりかは知らないけど、やる気満々という訳だ。
咲夜?「安心しなさい。空を飛べないあなたの為に、緋想天レギュレーションに合わせてあげるから」
「…態々相手に合わせるのか…てのと、初対面の相手が飛べない事何で知ってんだよとか、聞くのは野暮だったりする?」
「…いいや、そっちがそのつもりなら…胸借りるつもりでやらせて貰います………行くぞぉ!!」
・・・
緋想天レギュレーションというのが私にはよく分からないけど、戦う条件を同じにするって認識で良いのかな?
使える技は何だって使ったけど、咲夜に膝を着けさせるのも無理だった。
結果的に、手加減されたまま向こうが構えを解いた。
「ぜぇー…ぜぇー…なろぉ…ま、まだ…やれ、る…!」
咲夜?「…この辺にしておきましょうか。あなたには、やることがあるし」
「は、はぁ!?あんたから、仕掛けてきたんだろが!」
咲夜?「飽きたから放してあげるわ。それとも…死ぬまで続ける?」
「………いや、もう何も、してこないなら、いい…」
咲夜?「賢明ね。じゃ、私の役目は終わったから帰るわね」
「………何なんだ、本当に…」
肩でしている息をゆっくりと落ち着け、持たされていた飲み物に口を付ける。
今の一戦で私はしばらく動けそうに無いのに、咲夜さんは息一つ切らしてなかったな…
「ていうかあの人…マジで何しに来たんだ…」
本人はナイフの付喪神とか言い張ってたけど服装とかそのままだったし、隠すつもりを感じない。
邪魔をしに来たかと思えば、飽きたから帰るって…
「とにかく、ちょっとだけ…休もうかな…」
紅魔館から人里まで距離は結構ある。近くに危険は感じないし、休んで行こうか。
・・・
咲夜…ナイフの付喪神の襲撃を何とかした後は、以外と順調に人里に辿り着いた。
幻想郷に始めて来た時のように妖獣の姿も見つからない。ま、あいつらは居ない方が良いけど。
けど人里に着くまでに結構時間が経っていたらしく、もうお昼を過ぎていたようだ。
あまりゆっくりしていると夜になるかもしれない。お使い目的である薪を買った後、私はすぐに人里を出た。
「持って帰れるだけで良いって話だったけど、これで足りるのかな?」
持って帰れるだけという量の指定もされなかったので、片手で持てる程度しか買ってない。
あまり詳しくないけど、流石に少なすぎるんじゃないかな?
「…沢山買ってこいとは言われてないし、まいっか」
そう考える事にしました。私は別に言うこと聞いてないとかじゃないしね。やることはやりました。
謎の声「………リー……ザ…」
「何だ?」
謎の声「ザ……ー……リー」
「こっちに…何か、来る!」
謎の声「ザリー、ザリー」
人里こら紅魔館への帰路の途中、奇妙な音が聞こえ始めた。
木の枝を折り、草を踏みしめる音に混じる言葉とも鳴き声ともつかない何かが、私の方へと近付いてきている。
謎の声「ザリー!ザリー!」
「ぅえ!?な、ええ?」
私の目の前に現れた者、それは…
ザリガニの着ぐるみだった。
謎の声「おやぁ?こんな所に人間が居るとはなぁ」
「しゃ、喋った!?」
ザリガニの妖怪「私は最強のザリガニ妖怪、ザリー様よ!」
「ざ、ザリガニの、妖怪…?てか、それ着ぐるみじゃ…」
ザリガニの着ぐるみ「着ぐるみじゃないわ!最強の妖怪、ザリー様よ!」
「お、おう…」
等と言っているが、甲殻類のような固そうな殻じゃない。何なら布にしか見えないから。
あ、でもハサミは動くんだ…って手!普通の手がハサミの中から見えてるぞ!?
「その、最強の妖怪ザリー様が、何の用ですかね?」
ザリー様「くっくっくっくっ…なぁに、直ぐに済むんだけどね」
ザリー様「ぎゃおー!食べちゃうぞー!」
「ああ、そういう奴ね!!」
素早く反転。来た道を全速力で引き返す。一度振り返ってみたけど、ザリガニの着ぐるみは移動してない。
それにしても、変なのに絡まれてしまったものだ。大回りになると道が分からないから紅魔館に帰れるか不安なんだよね…
ザリー「ぎゃおー!逃げなきゃ食べちゃうぞー!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
結構距離が取れて余裕だと思ってたのに、気が付くとすぐ真後ろまで迫ってきていた。
驚いたけど、すぐに90度方向転換。今度こそ逃げる。
ザリー「逃がさなぃぃぃ!」
「ひぃっ!?」
なんとザリガニの着ぐるみは、一度樹にへばりついて方向転換した私に高速で突進して来たのだ。
でかいザリガニの着ぐるみが喋りながら襲ってくるという異常事態に恐怖し、地面に転けた。
それが私の命を救った。倒れた私の真上をザリガニの着ぐるみが通過していき、ザリガニは樹に張り付いた。
「こ、この野郎…」
ザリー「あら?もしかして戦うつもり?」
見た目はどうあれ、あのザリガニの着ぐるみのスピードからは逃げられない。
ならもう、戦って活路を見出だすしかない!
ザリー「そういう事なら、楽しませて頂戴?行くわよ、『レッドスプラッシュ』」
「うっそだろお前!?」
てっきりさっきと同じように突撃してくると思ってたんだけど、その予想は大きく外れた。
ザリガニの着ぐるみの回りに、いきなり真紅に輝く魔方陣のようなものが浮かび上がり、そこから無数の弾幕が射出される。
ザリー「あーははは!どうしたの?そんなんじゃ逃げる事も出来ないわよ!」
「やってやる…サムワンズメモリー…インストール『グレイソーマタージ』!!」
ザリー「! おっとと」
ザリー「なるほど、これが月下が言ってた…へぇ、これはなかなか」
「ぶち抜く…」
ザリー「あ、やべ」
唯一使える遠距離攻撃である通常弾(魔術)程度じゃ、あのザリガニにダメージを通せない。飛び交う弾幕をすり抜け、当てることすら至難の技だ。
私は能力を発動させる。誰かの想いを読み取り、可能な限りその想いと近い現象を引き起こす。
未来に生きた誰かの想いは、星形の無数の弾幕となってザリガニに届いた。
ザリガニの動きが止まった隙を逃すつもりはない。一気に接近し、砂鉄グローブでの全力パンチを胴体に打ち込んでやった。
「死ねぇぇぇぇ!!」
謎の声「ぶぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「!?」
ザリガニの胴体を殴った所、なんかザリーとは違う声で悲鳴が上がった。
びっくりして詰めた距離を開けちゃったよ。
ザリー「少しはやるみたいね!でも、私には効かないわよ!」
謎の声「ゲホッ!ゲホッ!おぇ…痛った…」
ザリー「ちょっと!なにフラフラしてるのよ!しっかりしなさい!」
謎の声「む、無理言わんで下さいお嬢…受け身取れないから素人パンチでもキツイんですよ…」
さっきからザリガニの下半身がフラフラしてるんだけど。
というか、まさかとは思うけど…このザリガニの中身って、レミリアと月下なんじゃない?
ザリー「お前なら使っても平気そうね。行くわよ!『アメザ・リ・グングニル』!」
なーんかすっごく見たことありそうな炎の槍がザリガニの両手に生み出される。
相変わらずの攻撃力だけど、機動力はさっきの打撃でかなり落ちてるような気がする。
ザリー「なかなか避けるわね。悪くないわ」
「!?大丈夫なの、それ?」
ザリー「はぁ?急に何よ」
「いや、だって…燃えてるよ?」
ザリー「そんな嘘が通じると、」
ザリー「って本当に燃えてるじゃん!?」
ザリガニの着ぐるみは、アメザ・リ・グングニルの残り火によって火が着いていた。
慌てたザリガニが消そうとわたわた動いているけど、それがかえって酸素の供給をしたのか、逆に炎の勢いを増してしまった。
ザリー「ちょ、月下ぁ!!あなた今まで何してたのよ!?」
謎の声「もう手遅れです!(半ギレ)」
ザリー「水、水!あ、月下、あそこ、川!川!!」
ザリー「助か、ああこの川、思ったより深い!」
「そこ流れ強いぞ」
ザリー「だずげでぇぇぇぇぇ!?!?」
「………ザリガニの妖怪なのに、泳げないのか…」
ザリガニが川に流されていくのを見送って、紅魔館へと足を向ける。
火は消せても、水を吸った着ぐるみから抜けるのは大変だろう…助けずに先に帰ったらどうなるんだろ。
・・・
「えーっと。薪、買ってきましたよ。これだけで良いんですか?」
咲夜「ええ、結構よ。良くできました」
月下「やるなシスター!俺はちゃんと帰って来るって信じてたぜ!」(満身創痍)
レミリア「合格よ。これであなたは、私の下僕ね!最強の妖怪ザリーを倒したのは特に評価するわ!」
「…」
咲夜「どうしたの?」
「いやどうしたもこうしたも…お使い、なんですよね?どうして、咲夜さんとかが邪魔しに来たんですか?」
「ていうかさぁ…レミリアお嬢様達はここで待ってたんだよね?何で変なザリガニ妖怪と戦ったのを知ってるの?」
レミリア「え」
咲夜「!」
月下「!」
レミリア 咲夜 月下 (お互いに視線を交わす)
レミリア「ふふん!何も特殊な能力というのは、あなたの専売特許では無いという事よ」
レミリア「あなたのお使いの様子は私の運命を操る力でしっかりと見させて貰ったわ。ねぇ、二人とも?」
咲夜「はい、その通りです。なので私は別に付喪神という訳ではないのよ」
月下「全くです。砂鉄グローブの腹パンで悶絶してたりはしてないぞ!」
「あっそ。ならもっと殴れば良かったわ」
月下「止めてください、死んでしまいます」
ザリガニの妖怪は別に倒してないし。勝手に自爆しただけなんだよなぁ…
正体なんてバレバレなのに、最後まで変な事をしてる人達だなぁ。
レミリア「一度訪ねましょうか。ここで過ごして、どうだった?」
「正直、何度か死にかけたし、嫌な事の方が思い出せますね」
レミリア「それでも、あなたは紅魔館での生活に付いてこれた。もはやあなたは、幻想郷の何処に行っても生きていける筈よ」
確かに…ここ以上に濃い一日を過ごせる場所なんて無いだろう。
何だかんだ、月下や咲夜の教えてくれる技術は確かで、私の損なるような事はしなかった。
たった一週間、けれど私はかなり成長を出来たのだろう。
レミリア「あなたがこれから、どんな運命を歩むのかとても興味が湧いたわ。何かあれば、何時でも我が紅魔の門を叩きなさい。話くらいなら、何時でも聞いてあげる」
「…お世話に、なりました」
紅魔館に来てからというもの、驚かない日は無かった。毎日気を抜けなくて、怖い時もあった。
でも楽しかった。きっと私にとって、ここでの日々は大事な想いになるだろう。
閉ざされた未来を切り開く、一欠片になれば良いけど。
・・・
おまけ
朔日 月下 友好度 2
月下「ホーリーシット…やってくれるよなぁ…」
「月下?どうかしたの?」
月下「ああ!聞いてくれよシスター。さっきよぉ、お嬢が紅茶淹れてくれって言うからさ、俺用意したんだよ」
月下「そしたらサクヤがさー、お嬢様は甘い方が好きだって勝手に砂糖を増やしやがったんだよ」
月下「だから俺はサクヤにこう言ってやったのさ。お前は野菜が食えねぇキッズがやるハンバーグソースとマヨソースを混ぜたオーロラソースみてぇな奴だってね」
月下「HA↑!HA↓!」
「よく分かんない例えだけど、レミリアの事が好きな事は分かる」
月下「おう!これでも俺は、10年以上お嬢の下に付いてるからなー」
「10年!?そんなに昔からレミリアと一緒だった…あれ?」
月下「どした?」
「少なくとも10年ってことは、月下って今何歳なの?てっきり同じくらいだと思ってたけど…」
月下「あー…それはだな……13から17の何処かだな」
「え、自分の年齢でしょ?」
月下「うん…実は俺、お嬢に付く前の歳を知らねんだよ。付いてからは10年間違いないんだけど」
「どうしてそんなことに…」
月下「お、聞きたいかー?そう、あれは今から10年前の事、俺は人を守る剣、魔の者を焼く炎として戦ってた時の事だ…」
月下「人間社会に紛れ込む魔の者を狩る者達の中でも天才と呼ばれた俺は来る日も来る日も魔の者達を千切っては投げ、あ千切っては投げと…」
「あぁ、もういいもういいもういい…まともに話すつもりがないのは分かった」
月下「何だよ、別に適当言ってる訳じゃねぇってのによぉ」
「どうだか…」
月下「ま、そんな感じで正確な歳は俺も知らんって事で」
少しだけ、月下と仲良くなれた気がする。
魔術 ソウェルデヴォート を修得しました!