私立 ミソラ学園。
有名な元トップアイドル寺門 嘉威が気分とノリで作り出したといわれている噂の高校でそこの卒業生のほとんどがアイドルになっているというとんでもない実績を持っているために今年は倍率は過去最高の40倍だった常識外の高校。
その中でも一部のトップ成績者は寺門の事務所にはいり、メジャーデビューもあるという。むしろそっちの方が本当の目的だったりするのかもしれない。
だがくくりは一般私立というのが激しく謎ではあるが。
中学からの一環で、外部からの入学はほぼ無理だと言われるほどに厳しい。
その死闘ともいえる激戦を潜り抜けて僕、日比野 和馬はこの学校の入試に合格した。
身長は高からずも低からず、黒縁の眼鏡をかけ、特に垢抜けたところもないただの高校生。
それが、僕だった。
ミソラ学園は分類としては一般私立高校とされているが、実際はアイドル養成学校のようなもので、カリキュラムもそれ用に組まれていると言われている。(勝手な想像だが)
そこを受けようと思ったのもかなり急なもので、僕自身、その学校がどのような体制で授業を進めているのかは知らないが、当然、集まるのは垢抜けた美人や美男子ばかりだと思う。実際に入試の時もそういう人が多かった。
今日からその学校の寮で暮らすというその日になって、僕はこの学校に受かってしまったことを後悔していた。
「母さん、今からでも転校手続きってできると思う?」
「何言ってんのよ、ここまで来て。合格できたってアンタも喜んでたじゃない」
僕の母、美代子はいつも僕がはじけないことにいつも愚痴を言っていた。
確かに僕はは中学のころは一人の女子との会話もなく、なんの青春イベントもなく大切な中学時代を終えてしまっているのだ。
ミソラ学園に行くことで少しでも明るくはじけてくれることに大きく期待しているのだろう。多分、いや絶対ないけど。人間そうやすやすと代われるようには出来ちゃいない。
「いや、ホラ、よくあるじゃない。やってしまってから気づくことって」
「大丈夫よ、アンタはこのあたしの遺伝子受け継いでるんだから。」
自慢げに踏ん反り返って自慢の胸を大きくそらす。
僕は母親似であると思ったことはないが、母さんもかなり垢抜けた美貌の持ち主だと思う。
そのうえ、短く整えられた髪がさらに彼女をわかわかしく見せているのであろう、いまだに20代に間違われることもあるという。
かなり、胸も大きい方だ。
その胸に押しつぶされることも何度も僕は経験し、巨乳が嫌いになったほどである。
「大丈夫だって。別に全員が全員、アイドル級のイケメン、美女じゃないだろうし、きっと友達になれそうな奴だって見つかるよ。それよりもこっちの方がこれから大変なんだから。料理人の和馬がいなくなっちゃって、これからあたしどうしよう?」
「どうしよう、じゃねーよ!子供じゃないんだから飯ぐらい自分で作れ!」
僕の言葉にブーブーと母さんは子供の用に文句を言う。
この母親を見ていると自分が悩んでいることなどどうでもよくなってしまう。
父親が突然死してしまい、生活が苦しくなっても僕がこうやって普通にやってこれたのは
母親がこういう人だったからなのも少なからずあるのだろうと思う。
そういう意味では感謝している部分もある。
「必ず、夏には帰ってくるのよ、彼女連れて!」
「大きなお世話だ!じゃあ、行ってきます」
こんな僕にでも見つけられるのだろうか。
父親の突然死という事実が受け入れられなかったとき、学校で友人からさけられていた時、僕のありとあらゆる苦しい場面において慰めとなってくれて、力強い勇気をくれる歌を歌ってくれたあのひとたちのような何かが。