いやー、ほんとに久しぶりです。
内容は相変わらずグダってますが、大目に見て下さい。
僕は今、今までの人生の中で一番の窮地に立たされているようだ。
差し込んだままのはずのカードキーがなかったのだ。
考えうる限り最悪のパターンだ。
カードキーなくす上に無断侵入もばれて……。
いや、無断侵入は普通に家にカードキーを置き忘れたことにすれば問題ないか……。
だけど、どのみちカードキーがないことに変わりはない。
あぁー、どうしよう。
ものすごく先生に言いづらい、イメージも悪くなるだろうなー。
寮から一進一退を繰り返しているうちに、先ほどの説明所から帰ってくる生徒がちらほら見えだした。
そういえば、確か部屋はペアだって言ってたよな。
それなら、僕のペアの人を探して一緒に入れてもらえばいいじゃないか。
しょっぱないきなりないっていうのはさすがにイメージ悪すぎるけど、一か月くらいたってからなくしましたって言えば、まだそのイメージの悪さは緩い気がする。
まぁ、ペアの人にはかなりの迷惑かけることになるけど……
とりあえず、よりどころが見つかって安堵の息が漏れる。
「和馬く~ん」
かなり遠いところから、多分、つかれているのだろうか力は抜けているのに、かなり響く声が僕の耳に入ってくる。
後ろを振り返ると、ハクが大きな荷物を二つ抱えてこちらに向かっていた。
そのハクが持っていた一つが僕のものであると分かったと同時に僕は説明所に自分が荷物をほっぽってきたのだと気づいた。
あわてて、ハクの下へと駆け寄っていく。
「もぉ、鞄忘れるなんて、和馬君はどれだけおっちょこちょいなのさ」
「ごめん、それとありがと。助かったよ」
僕はハクが左手に持っていた僕のカバンを受け取る
「優男って呼んでくれてもいいんだよ?」
カッコをつけて前髪を左手で前にはじき出すように撫でる。
普通ならおちゃらけてって所なんだろうけど、ハクの場合はやたらとかっこよく見える。
「やさおとこって?」
「優しい男子ってこと。」
「そう。じゃあ、ハクは優男だね。」
「そうで…だろ、そうだろうとも。じゃあ行こう。どうせ一緒の部屋なんだし」
「僕、ハクとおんなじ部屋なの?」
「え?あ、ああ、うん、そう。そうだよ。」
どうして同じ部屋ってわかったんだろう?
いや、まぁあのままあの部屋でペアの人が見つからなかったから必然的にってことだろうか。皆ペアで部屋に戻ってきてるみたいだし。
それにどうしてわかったかなんてこの際どうでもいい。これはラッキーだ。
あって間もないがそこそこ仲良くなれたし(勝手に思ってるだけかもしれないけど)
まだ、初めて話す奴に言うよりも何十倍もましだ。
まぁ、言うのは部屋に帰ってからでもいいか。
「じゃあ、せっかくだし一緒に行こうか」
「そうだね。」
それにしても、どうしてか、ハクを見ているとあの時の人が頭の中をちらつく。
無人のはずの部屋にバスタオル一枚でいたあの女の子。
一体誰だったのだろうか。
というか、まだあの部屋にいたりするのだろうか。
……ないな。
居たら居たで驚きだけど。
ゆっくりとした足取りで、寮へと入っていく。
こういう時は、なにか話題でも作った方がいいんだろうか。
でも、僕そんなに話題が膨らむような話持ってないしなー
さっき途中で終わったカラオケの話なんてどうだろうか。
うん、いけるな。
「あのさ、さっきのカラオケの話の続き聞かせてよ」
「ふぇ?あ、うん、いいよ!ええと、どこまでしゃべったっけ?」
「物忘れ激しいね。老化現象始まるの早くない?」
「うわ!失礼な奴!ちょっと別のこと考えてて忘れちゃっただけだ。バカ!」
「僕、中学の時成績トップテンに常に入ってたけど?どこまで話したかだったけど、ルカって人が暴走してってとこまでだってちゃんと覚えてるし」
「和馬は見た目によらず意地悪だな。」
「見た目によらずっていうのは僕は優しそうな見た目ってこと?」
「いや、猫背だしメガネかけてるしオタクっぽいし、へなちょこって感じ」
「ハクも結構毒吐くんだな。」
ざっくり言われると結構傷つく。
今度、姿勢の矯正にでも挑戦してみよう。
「お返しだ。これでおあいこだろ。」
そんなことを言い合っている間に部屋の前に到着。
僕はハクに開けてもらうようにし向けるためにあえて後ろの方に回る
ハクは何の疑いもなく扉を開けてくれた。
扉を閉めて中へと入る。
昼間、入ろうとして入れなかった寮の部屋。
ベットは二つ、別々に用意されていて机、電球など基本的なものが真ん中できれいに分かれて二つずつ用意されていた。
「ふぅ、つかれたぁ~。」
こっちまで気が抜けそうな声を出してベットにハクは倒れこむ。
僕も自分のベットにとりあえず腰を下ろした。
そして、今一度部屋全体をぐるりと見回す。
フローリングの床に、ベッドの横に少し間を取って勉強机。
その少しの間には、小さめの冷蔵庫が置いてある。
ベランダもあって、カーテンもおしゃれな模様のついた白いもの。
そして、それらが見事なまでに真ん中で線対称になっている。
線対称になってないものと言ったらユニットバスが僕側にあってテレビがハク側にあるくらいなもんだ。
何の気なしにベランダに足を運ぶ。
するとそこには廊下の窓からのぞいたときとはまた違った学校や、大広場などの景色が広がっていた。
涼しい風が僕の髪を薙いで行く。
夕飯までもう少し。
カードキーのこと言っとくなら今か。
そう思って、部屋の中に戻る。
「あのさ、ハクに一つお願いがあるんだけど。」
ハクはベットから埋もれていた頭をぴょこっと出してこちらの方に向けてくる
「なに?」
「えっと、その、僕、実は部屋のカードキーなくしちゃってさ。その、もし良ければ、最初に一か月だけ、最初の一か月だけでいいから共用にしといてくれないかな?お願い!」
「その必要はないよ」
ハクの意外な言葉に間の抜けた声が出てしまった。
「はぇ?」
「だって、僕が、いいえ、私が……」
そう言いながら、ハクはカツラを取り、まとまっていた長い髪を背中におろす。
「君の、持ってるもん」