次の投稿まで、また少し間隔が開くかもしれません。
『中山競馬場は皐月晴れ、一際大きな歓声に迎えられまして第65回皐月賞GⅠ、出走各馬の入場です。芝の2000m戦、今年のメンバー18頭ご紹介しましょう』
『皐月の舞台に駒を進めた若葉ステークスのウィナー、アドマイヤフジ。鞍上は………』
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『笑顔の大歓声を受け、偉大な祖父の歩めなかったクラシックロードを歩む三代目大怪盗。一つ目の関門制覇なるかバーネットキッド。石河大介』
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『一番人気の期待を受けた無敗の巨大彗星。クラシック大気圏に突入の時は迫る。ディープインパクトと館ナユタ』
ファンファーレと手拍子が混然一体となって、競馬場全体にうねるように轟く。
そうか……これが……ここがオグリ爺さんが立てなかった、立ちたかった、クラシックG1レースか。
っていうか天才含めてみんなそんなチラチラこっち見て来るなよ……えらい注目集めてるな、俺……まあいいさ、一番応援して欲しい人たちが来てるんだ……なら、やるだけやって突っ走ってやるとも。
『さあ12万人が集まった中山競馬場。未来の夢の三冠馬。スター誕生の舞台へようこそ。
平成17年牡馬クラシックは今、ここから始まります』
『アドマイヤジャパンがゲートを嫌がっておりますが……今、入りました。そして、ダンスインザモアが落ち着いて収まりました』
さあ、レースの時間だ……深く、静かに、緩く構え……
『ゲートが開いて第65回皐月賞スタートしました! まずはバーネットキッドとストーミーカフェの二頭が絶好のスタート! その後は横一線のキレイなスタートとなりました』
必殺! 馬式、某グラップラー流ゴキブリダッシュじゃーい!!
『いつも通りバーネットキッドとストーミーカフェの二頭が逃げていく。
追って行くのはビッグプラネット。その後ろパリブレスト、エイシンヴァイデン、ダイワキングコンそしてコンゴウリキシオー、外からはダンスインザモアスーッと上がって。内からはヴァーミリアンさらに内からトップガンジョーも上がって行って先団を窺います。
アドマイヤジャパン、ディープインパクトは並んで後方から4番手から5番手で1コーナー回って行きました』
おうおう、カフェ君、やっぱ君が来たか。まあお互いやること一緒だしな!
まあいいさ……第4コーナーまで道中一緒に行こうぜ。
『先頭から振り返ってバーネットキッド先頭でほぼ併走する形でストーミーカフェ。6馬身開いてビッグプラネット、さらに2馬身開いてコンゴウリキシオーが4番手に上がってきました。エイシンヴァイデン5番手。
第2コーナーカーブ。外に出したダイワキングコン、内からアドマイヤジャパンが上がって行きます。2馬身開いてマイネルレコルトが追う形で向こう正面中間に入ります。1000m通過は58秒ジャスト。かなりハイペースの展開だ』
解ってる。解ってるさ。
敵は英雄ディープインパクト。だからこそ『緩めるところは緩めたペース配分』ってやつが重要なのだと。
だから兄貴。
従ってやるから、この『少し遅めのペースで』指示をちゃんと出してくれよ?
『第3コーナーに入って依然先頭はバーネットキッド。ストーミーカフェと半馬身ほど差が開いたか。
さらに7~8馬身後ろに3番手ビッグプラネット、その直ぐ後ろにコンゴウリキシオー、外からエイシンヴァイデンが続いています。
そしてマイネルレコルトが今動いた。先頭に喰らいつこうと3コーナーから4コーナーに入って行きます』
さあ第4コーナー……ここからが正念場だ!!
「さあ、先頭で直線に突っ込んできたバーネットキッド! ストーミーカフェ、必死に食い下がるが、後ろからマイネルレコル……いやディープインパクトだ、ディープインパクトが来た!! 前二頭を躱して一気に加速!!」
「来やがった!」
そら、おいでなすった!! さあ、全力で逃げ切るぞ!!!
『必死に先頭から食い下がるストーミーカフェを躱して、一気にディープインパクトが突っ込んできた!
やはり最後はこの二頭か! 先頭バーネットキッドを躱すか、躱すか!! 残り200ここからキッドは未知の世界!!』
うおおおおお、ふっざけんじゃねぇぞクソッたれがああああああああ!!!
『さあ、残り100、ディープが躱す! 躱し……せない!? バーネットキッド粘る、粘る、ここでまさかの二の足か!?』
っだりゃああああああああ、負ぁけぇらぁれぇなぁいぃんじゃあああああああああ!!!
『今、ゴール!!! 一着はバーネットキッド!! タイムは1分57秒9! またしてもレコードタイム!! 無敗のまま三冠のうち最初の一冠。お宝を手にした三代目大怪盗!!
ディープインパクト、最後クビ差まで迫りましたが、惜しくも二着。
三着にマイネルレコルト、四着ストーミーカフェ。五着にシックスセンスが入着しました!!』
ど、どうだ……勝った……ぜ……………くそった……れ……
って……ドコだここ? 俺……何してたんだっけ?
やけにフワフワした足元を四本足で闊歩しながら、なんか光ってるほうに歩いていくと。
なんかキレイな虹色の橋が架かってる川があって。
で……対岸に、青いメンコ付けた小柄な鹿毛の馬が不機嫌な顔で立っていたり。
ていうか、ホントにここドコだろうね? ちょっと橋を渡って向こうで聞いてみようか……と思った、その時だった。
『バカヤロウ!!!!! まだ早いわ大馬鹿者がー!!!!!』
『どふぁあああああああ!!!』
気が付いて起き上がると。
そこは中山の芝の上だった。
「キッド!!」
「おい、落ち着け!! どう、どう……」
あれ……俺、ディープに勝ったんだよね?
なんで兄貴、鞍上から降りてるの? っていうか、ディープと館さんが何で居るの? いや、俺いつの間に寝てたんだ?
……なんか、物凄い勢いで、誰かに怒られた気がするんだけど……よく思い出せん。
っていうか何でターフに馬運車が来てるのさ? 誰かケガでもしたんか?
予後不良とかじゃないといいんだけど……
「良かった……良かった、キッド……」
おう、良かったな……勝ったぞ。そんなに泣くほどうれしいか?
じゃあ芸をしてほら、客を沸かせに行こう……って、何で俺が馬運車なんだよ兄貴! 俺はドコも痛くないし至って健康だっつーの!
「館さん……俺……」
「いいから早く!」
『ひひーん!!(おいこら、どうなってんだよー!!???)』
何がどーなったのか理解する余地もなく。
俺は馬運車に押し込められて、馬の病院に直行する事になった。