はーい、美浦トレセンからこんにちは、バーネットキッドです。
『坂路もう一本行くぞ! 宝塚までに徹底的に絞るからなー!!』
「うぃっす!」
現在、いわきの療養施設でぐーたらこいて524キロまで肥えた馬体重を、鞍上の兄貴&無線でやり取りしてるテキと一緒に絞ってる真っ最中。
皐月賞の時498キロだったのが、短期で+26キロという食用馬の肥育でもしたのかというような破滅的な体重増で美浦に帰ってまいりました。
いや、病院の飯が旨くて旨くて……そしてプールもあるから軽く泳いでたんですが、療養中という事でトレセンほど泳がせてもらえず。
で、テキが少し目を離した隙に、放牧場で寝ながらタンポポの花を貪るような生活を数日していたらこんな事になってしまい、大慌てで美浦トレセンに戻って調教兼ダイエットに勤しんでおります。
っていうかね……美浦に帰ってきた時の馬主君と厩務員君の最初の一言がね……
「……デヴだ」
「ああ、デヴだな」
『デブ』どころかウに濁点がついた『デヴ』と強調して思いっきり罵られまして。
仕方なかったんや、しょうがないんや、飯が旨かったのが悪いんやーっ! ってか、ディープとガチって虹の橋を渡りかけた愛馬に対して、もう少しオブラートに包んだ物言いしてくれたっていいじゃないかー!!
「ほれデヴガッパ、お前の大好きなプールで泳ぐぞ。ダイエットダイエット」
厩務員君に手綱を引かれてプールに向かう。
しくしくしくしく……いいもん、プールでいつもより長めに泳いでやる。
「まったく……回復の早い馬だと思ってはいたが、早すぎだろう……」
あれほど酷い
あにはからんや、予想よりも相当早く回復していたらしく、気づいたらいつもの爆食モードで飯を食い荒らし、デヴ馬と化して帰って来やがったのである。
まあ、予想より回復力があったというのは、本来は歓迎すべき事である。
元来、競走馬というものに余計な脂肪は存在せず、ほぼ筋肉の塊であのスタイルを維持しているのであって。
故に、一日に消費されるエネルギーは、都度都度食事として補給していかないと筋肉が維持できずに萎んでしまうわけで、それを考えると食欲不振で痩せて帰ってくるよりは、よっぽどマシといえばマシなのだが……
「寝ながら飼い葉桶や寝藁に頭突っ込んで飯食ってたって……アイツの食い意地はホントにどうなってんだまったく……」
それに……
オーナーが矢面に立ってくれた事により、世間の批判はだいぶ落ち着いたものの。
宝塚に出走予定の馬が所属する厩舎なんか『大変だねぇ、頑張って』と言いながらも、明らかに目が笑ってないし。
直接顔を合わせることのない栗東のある厩舎なんかは、オーナーの判断を褒めたたえつつも『古馬というものを分からせてやる』と意気込み満々だという話だそうだ。
「キッド……ここが正念場だぞ……」
今となっては重たすぎるオーナーの信頼に応えるべく、調教の計画を練りながらも。
……加齢とストレスで最近とみに増えてきた抜け毛に、何とかバーコードを回避できないかと悩まされていた。
5月29日
東京競馬場 第10R 東京優駿(G1)
芝2400m(左)晴 良
「さあ、18頭のゲートインが終わりました……今スタート、ディープインパクト今日はソロっとした感じで出ました。一度後方に下がります。先手を取るのはやはりストーミーカフェ、コスモオースティンがそれに続きます。大外からぐんぐんとシルクネクサスが出をうかがいますが、真ん中からシャドウゲイト、中からは七番インティライミ、ダンツキッチョウも……」
「さあ、注目のディープインパクトは後方、後ろから三番手で第一コーナーを回っていきました。
一コーナーを回ったところで先頭を切るのはストーミーカフェ、リードは二馬身、コスモオースティンがそれに続き……」
「ディープインパクトは最後方から三番手、その後ろにコンゴウリキシオー最後方にマイネルレコルト」
「さあ、第四コーナー回って後方の馬群が一気に迫ってきた。4コーナーから直線に向かってシルクネクサス、外からダンツキッチョウが差を詰めて大外からディープインパクト一気に先団を飲み込むか!! さあ一気に坂を上り切ってこれは独走になるか、残り200を切った、さあ内で粘るストーミーカフェ、インティライミを飲み込んで、ディープだ、ディープだ、ディーーープインパクト圧勝!!!!」
「館騎手、ダービー制覇ですがいかがでしたでしょうか?」
「そうですね、最大のライバルに譲られたと言えばそれまでですが……逆を言えば、それだけの強さを示せた事を嬉しく思います」
「終わってみれば、まさに圧勝といった空気ですが」
「まあ、道中厳しいマークや意識はされていましたが、きっちり撥ね退けて存在感を示せましたね」
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「では、最後に一言」
「そうですね……『有馬が楽しみです』と言いたいですが、まず次の菊花賞と、その前のレースを着実に取りに行きたいと思います」
「本日は、ありがとうございました」
6月9日。
宝塚記念ファン投票結果発表。
有効投票総数1374015票
上位10位
1. バーネットキッド 82031票
2. ゼンノロブロイ 65231票
3. タップダンスシチー 63590票
4. アドマイヤグルーヴ 54242票
5. ディープインパクト 46321票
6. リンカーン 42806票
7. ダンスインザムード 38312票
8. スズカマンボ 34213票
9. シルクフェイマス 31321票
10. シーザリオ 30421票
バーネットキッド、宝塚記念へ参戦決定。